『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』ー『トランプ大統領は「チャイナコロナ」と明言し本気で中国を抑え込む新冷戦「中国包囲網」づくりに突入した』★『ファーウェイ禁止、「台湾外交支援法」(3/27),「ウイグル人権法案」(5/17)を成立させ人権外交で全面対決中』(5月22日)
米中の新冷戦― 「対中包囲網」の再編成
前坂 俊之(ジャーナリスト)
「チャイナコロナ」と明言し、中国とWHOの非難を続けていたトランプ米大統領は5月14日、新型コロナウイルスでの中国の対応 について「とても失望している。中国が発生源で感染を止めていれば、地球全体に拡大しなかった」と批判、「私たちは多くの措置をとることができる。中国とのすべての関係を断ち切る(国交断絶) こともできる。そうすれば 5000億ドル(約54兆円)を節約できる」とも述べた。
中国への宣戦布告とも受け取れる爆弾発言だが、すでに米国ミズーリ州は中国の隠ぺい工作が世界へのパンデミックを引き起こしたとして中国相手に国家賠償訴訟を提議、議会でも検討中だ。
ドイツの新聞もドイツの経済的損失額は1650億ドル(約18兆 円)にのぼるとして支払を要求。米、英、仏、独、豪も巻き込んで中国への巨額の損害賠償訴訟に動きだした。
米国は本気で中国を抑え込む新冷戦「中国包囲網」づくりに突入した。
WTOの年次総会開催前の15日には半導体受託生産の世界一の台湾積体電路製造(TSMC)が、中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)からの新規受注を中止した。米商務省が米国製の製造装置を使った半導体のファーウェイ向けの輸出を禁止した措置に従ったもの。ファーウェイはスマートフォン市場ではアップルに次いで世界第2位だが、TSMCからの基幹半導体の供給に頼っており、これを断たれれば「5G」向けのスマホ開発は頓挫してしまう。米国は中国経済の糧道を両面から絶つ戦略を進めている。
今回のコロナパンデミックで一挙に表面化したのはサプライチェーン(供給網)の中国リスクだが、これに代わってマイク・ポンペオ米国務部長官の発言(4月29日)では「米国はわが友邦国である日本、韓国、オーストラリア、インド、ニュージーランド、ベトナムの7か国と組んで、『経済繁栄ネットワーク』(EPN)」を立ち上げてアジア・太平洋市場の再編成を構築中だ。これは中国の『一帯一路』、に対抗する貿易圏構想であろう。
また、金融面でも米国の連邦職員向けの年金基金の中国株への投資開始計画を中止させ、中国企業の米上場を阻止する検討をすすめている。
これに加えて、中国のアキレス腱である人権問題もきびしく追及し、「香港人権・民主主義法案」(2019年11月成立)に続いて、中国の圧力が続く台湾を外交面で支援する「台湾外交支援法」を3月27日に成立させた。
また、ウイグル人らイスラム教徒を大量拘束し、新疆ウイグル地区で100万人以上を再教育キャンプの収容所に隔離している問題は5月14日に「ウイグル人権法案」を成立させるなど人権外交で全面対決中だ。
結局、①「香港の一国2制度」②「台湾独立問題」➂「新疆ウイグル問題」④「南シナ問題」➄「尖閣諸島問題」はいずれも中国が絶対に妥協する余地のない「核心的利益政策」であり、、中国対その周辺国、日本、米国はこれをめぐって延々と対立,紛争を続けているわけだ。
5 月18日に開催予定のWHO年次総会でも 台湾がオブザーバー参加を求めているが、中国は絶対反対で軍事的な圧力かけ続けていた。また、豪政府がコロナの発生源や感染拡大に関して、中国側に調査を要求したことに対して、中国は猛反発し、豪の食肉や大麦の輸入停止措置で即、報復するなど中国の『アメとムチを使い分ける』巧妙で独善的な強権外交に各国とも翻弄され続けてきた。
中国は世界の目がコロナ防止にクギ付けになっていた間隙をついて4月末には「1国2制度」の香港基本法の解釈を変更し、民主派著名人15人を一斉に逮捕。ベトナムなど周辺国と領有権で争う南シナ海でも一方的に行政区を設けて、空母も派遣して軍事演習を強行した。日本の尖閣諸島周辺にも連続して中国公船が活発に侵入し、緊張は一段と高まっていたが、この一連の中国の行動は習近平主席の国家戦略「核心的利益政策」の軍事的エスカレーションの一環なのである。
そんな中でWHO(世界保健機関)総会が18日から2日間の日程で、194加盟国全部が参加してテレビ会議形式で行われた。初日は、中国の習近平国家主席が「中国は透明性をもって情報を提供してきた。米国などが批判する感染状況の隠蔽はない。WHOのテドロス事務局長の指導のもと、国際的な感染対策で多大な貢献をしてきた」と自画自賛し、2000億円の資金提供を約束した。
米国は「少なくともか1ヵ国(中国と名指しせず)は、 新型コロの発生隠そうとして、WHOも失敗して世界に大きな被害を及ぼした」と批判して、台湾の参加と初期対応を検証を迫った。結局、台湾の参加は否決されたが、初期対応の検証は賛成多数で認められた。
一方、トランプ大統領は18日、WHOのテドロス事務局長に対して「30日以内にWHOに本質的な改善がみられなければ、アメリカは脱退(WHOへの最大の資金提供国年間約480億円)する」と最後通牒的な内容の書簡を公表した。
米中対立で機能不全に陥っていたWTO(世界貿易機関)のアゼベド事務局長が5月14日に、任期前に辞意を表明した。「グローバル経済」「自由貿易主義」はいまやコロナとの戦いでストップしたままだ。1930年代の世界大恐慌によって、各国の保護貿易化、ブロック経済化が進み、軍事ファシズムが勃興して第2次世界大戦へと突入した「歴史の悪夢」がよみがえってくる。
関連記事
-
-
2025年は太平洋戦争敗戦から80年目となる。今後1年間、日本終戦80年史を振り返り、断続的に連載する。「終戦」という名の『無条件降伏(全面敗戦)』の内幕②
2015/07/16 記事転載 終戦70年・日本敗戦史(111) 戦 …
-
-
『湘南海山ぶらぶら日記『 ★『鎌倉カヤック釣りバカ動画日記『★『忍者カワハギとの決闘編ー爆釣はレッドソックス・上原クローザーの「瞬殺」法の秘伝を公開』(2013/11/03 )
2013/11/03   …
-
-
『時代は、時代に後れる者を罰する』(ゴルバチョフ)ー今、冷戦崩壊に次ぐ、2020年の「withコロナ」時代、「地球温暖化・第3次デジタル世界大戦」に突入した。この時代の大変革に乗り遅れた国家、企業、個人は,明日の世界で生き残れないだろう。
2020/10/06 『オンライン/新型コロナ …
-
-
『日本死刑白書』(1982年版)内容ー「忘れられている死刑囚」★「死刑執行まで」★「誰が死刑囚になるのか」★『誤って殺される人たち』★『閉ざされる道」★「死刑廃止は是か、非か」★『人の生命は全地球よりも重し」★『世界の死刑白書』
『日本死刑白書』 前坂 俊之 19820430 三一書房,239p.   …
-
-
現代史の復習問題/「延々と続く日中韓衝突のルーツ➉』記事再録/中国紙『申報』からみた<日中韓のパーセプションギャップの研究>』⑦『1883(明治16)年3月5日付「申報』の『琉球人の派閥分裂を諭ず』』
2014年6月30日『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』 日中韓のパ …
-
-
日本のメルトダウン(525)「人類はロボットによって二分されるのか」 「全く的外れな日本の「ドイツの脱原発を見習え」論」
日本のメルトダウン(525) ●「人類はロ …
-
-
<国難日本史ケーススタディー①>『三国干渉』(明治28年)でのリーダーたちのインテリジェンスー知恵と勇気の古典に学ぶ①
<国難日本史ケーススタディー①> 『三国干渉』(1895年(明治2 …
-
-
『各国新聞からみた日中韓150年対立史④』(1882年の壬午の変)で『東京日日新聞』は『朝鮮の内乱不干渉』を主張④
『各国新聞からみた東アジア日中韓150年対立史④』 &n …
-
-
日本のリーダー・初代の総理大臣・伊藤博文は政治力もあったが『好色一代男』
1 日本のリーダー・初代の総理大臣・伊藤博文 04年1月 前坂 …
