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百歳学入門⑨ <日本超高齢社会>の現実と過去と未来①

   

百歳学入門⑨日本超高齢社会の現実と過去と未来①
 
                   前坂 俊之
                (静岡県立大学名誉教授)
 
Q1>-日本は世界一の高齢社会になったといわれていますが、その内実はどうなんでしょう。
 
A-『日本は女性の平均寿命八十五歳以上という世界一の長寿国であり、世界の歴史上にない最速のペースで超高齢社会に突入しています。
二〇〇五年での六十五歳以上の人口比率(高齢化率)は二〇・二%で、人口三千万人以上の世界三十七カ国の中では最高で、次いでイタリア(一九・七%)、ドイツ(一八・八%)、スペイン(一六・八%)の順でした。五年前の調査ではイタリアがトップで、日本は二位だったので、日本の高齢化が急ピッチに進んでいることを示しています。(日経2007年七月十一日付)
 
こうした平均寿命の延びとともに、100歳以上の人もどんどん増えています。07年9月の厚労省の発表では、百寿者は3万2295人となり、この10年で約4倍に激増しています。男女別では女性が85.7%、男性はわずか14,3%と、圧倒的に女性が長生きなんです。人口比では百歳人は人口4000人に1人という計算ですね。

1963年に老人福祉法が制定されたときには百歳以上は全国でわずか153人だったのが、81年には1072人と千人を突破、98年には1万人を超えて、03年には2万561人と急増しているんですね。都道府県別にみると、沖縄が57.89人(人口10万人当り)で35年連続で断然トップ、ついで高知(52.98人)、島根(51.02人)の順で、暖かい西日本に長寿県が多いんですね』
 
<Q2>―百歳の老人を英語ではCentenarian「センテナリアン」というのですか。
 
A-『そうです。百年間「Century」を生き抜いた人という意味で、百歳以上の人々すべてを含んだ言葉です(鈴木信『データでみる百歳の科学』大修館書店(2000年刊)。鈴木氏はピッタリとした日本語がなかったので、『100歳人』ではなく、「百寿者」と名づけています。

また、英語では90歳代老人は(ノナジェナリアン)「nonagenarian」 、80歳老人は「オクタジェナリアン」(octagenariaI)といいますが、日本語では,90歳に相当する「卒寿」は「卒」の略字の「李」が九十と読めることからはじまっているので、90歳代老人は卒寿者。
80歳に相当する日本語として,傘寿という言葉がありますが,傘は八十の文字に似ていることからの使用で80歳代老人は傘寿者ということになりますね』
 
<Q3>―センテナリアンはこのペースで、これからもどんどん増えていくのでしょうか
 
A-『これは、2004年の数字ですが、百寿者は米国で約7万2千人、中国で1万7千人、日本が2万2千人と、人口比では米国が圧倒的に多いんですね。07年3月発表の国連経済社会局編「二〇〇六年版世界人口白書」によると、これから約40年後の二〇五〇年の世界の日本の人口では八十歳以上が現在の五%から一五・五%に増大する。
 
これは青少年(五歳以上二十四歳まで)の人口比率一五・九%とほぼ同じくらいで、日本社会が現在の高齢社会(65歳以上)から、超超高齢社会〔80歳以上〕になると予測しているんです。
この時、百寿者は世界中で三百八十万人にのぼり、日本人はその中で七十五万人を占める計算されています。みなさん、想像してみてください。
百歳以上が集まった75万人の大都市ができる、8、90歳以上をいれれば百万都市ができるんですよ。日本はスーパー超老人国家になるわけで、この<未来超老人病院都市>を考えてみてくださいよ。
 
町の全体が、巨大な老人病院、介護センターと化しているでしょうね。そこでは医者、看護婦、薬剤師、介護士、介護ロボット、機能訓練士などが都市の中心スタッフで、百寿者の食事、医療、生活、居住空間などを都市機能の中心として設計した町づくりとなっているでしょう。今の20代がちょうど、60歳代になったころの日本社会の姿ですね。
 
2050年、いや現実にはもっと早く訪れるでしょうね。人類が経験したことのない超老齢社会になる中で、元気な長寿者や百寿者の元気に生活していく知恵やノーハウこそこれからますます大切になってくるんです』
 
<Q4>・・・『確かに、平均年齢が上がり、長寿者が増えることは歓迎すべきことですが、「センテナリアン」100万都市の出現は恐ろしいというか、すごいことですね・・・・』
 
A-『平均寿命は生まれた子供が、何もなければ何歳まで生きられるかという寿命のこと。乳幼児の死亡、伝染病による病死、戦争、地震災害による事故死などがなければ、平均寿命は当然上がるし、医学が進歩し、年をとっても簡単に死なない延命医学も大いに進んだので、平均寿命は飛躍的にのびたのです。
 
さらに、平均余命という言葉があります。これはすでに成人、老人となっている人があと何年生きられるかということで、平均寿命を上回ります。厚生労働省「2006年簡易生命表」によれば、65歳の男性の場合はまだ18年余、女性は23年余、70歳では男性14歳余、女性19歳余、80歳の男性は8歳余、女性は11歳余と生きる計算です。今の団塊世代から上の人は平均寿命よりも大幅に長生きするのです。
ですから、最近では平均寿命よりも、健康で何年生きられるかの「健康寿命」のほうが重要視されてきています。
 
だれもが寝たきりや、認知症、痴呆になりたくない、80,90歳まで元気に活躍し、最期まで自分のことは自分でしてぽっくり死にたい、「ピンピン、コロリ」(PPK)が理想だね。病気をせず、元気でピンピンして、コロリト死ぬ。この健康のままでのままで何歳まで生きられるかというのが健康寿命ですよね。この健康年齢こそ大いに伸ばす必要がありますね。

「ピンピン、コロリ」と天寿を全うする人はまだまだ少数なんですね。今は飽食の時代、過剰医療の時代で、テレビやメディアでは美食、飽食の情報ばかりが流されています。たしかに、平均寿命はのびているものの、健康長寿はそうでもない。ここで、実際に長生きした長寿者やセンテナリアンの健康法、養生法から粗食少食腹7分で、健康寿命をすこしでも延ばす方法を考える必要がありますね』
 
<Q5>・・・『日本のセンテナリアンで、自分のことが自分で出来る自立した人の割合はどのくらいなの』
 
A-『残念ながら多くはありませんね。外国、とくにアメリカのセンテナリアンと比べると半分以下です。日本では寝たきり、認知症などで、食事も、話も出来ない百寿者が大半という現状なのです。

03年9月10日付毎日新聞によると、百歳以上の女性は1万7402人、男性は3159人で、女性のセントナリアンが8割以上と圧倒的に多い。しかし、このうち自立できている人(食事など基本的動作が介助なしでできる)割合は女性でわずか13.6%と、8人に1人しかいません。

男性は女性よりも元気で30.9%で3人に1人の割合です。会話などができて意思の疎通がはかれる人は、男性が58%、女性は35%の割合です。
80歳、90歳代では、肉体的、精神的にまだまだ若いので、元気に過ごしていくことが必要ですね。健康長寿で生涯現役。これは何も仕事をするという意味ではなく、自分のライフワークというか、好きなことを最後までやると言う意味ですが、そうした元気な生き方、死に方を探す必要がありますね、
 
それが、自分のためでもあり、家族のため周囲のためにもなり、ひいては社会のためになる。元気で天寿を迎える方法を、セントナリアンの人生の大先輩から学びたいと思いますね』
 
 
 
 
 

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