前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(975)-「メジャーを制したイチロー引退」―『天才とは学習の産物である』★『イチローは「考える人」であり、「自分の努力をボールを打つ感覚で的確に表現できた詩人、肉体を極限まで鍛え上げて野球場でパフォーマンスした創造者でもある』

      2019/04/08

「メジャーを制したイチロー引退」―天才とは学習の産物である。                  

3月21日、大リーグ( MLBマリナーズの東京ドームでのアスレチックスとの開幕2戦目終了後、イチロー外野手(45)は引退を表明、日米通算28年の現役生活にピリオッドを打った。同日深夜の記者会見(1時間20分)はBS日テレで全中継されたが、私はテレビにかじりつき、大リーグの頂点を極めたこの偉大な『チャレンジ精神』に改めて尊敬の念を深くした。

イチローの28年間(日本球界で9年間、その2倍の大リーグでの19年間)にわたって野球とベースボールで前人未踏の領域を切り開き、永くその頂点に君臨した点では、「米国の野球殿堂入り」はもちろん「国際スポーツ平和賞」があれば、それに匹敵するものではないかと思う。

イチローはあの細い体で目標を決めて、計画を立て、練習を重ねて、有言実行で大リーグの頂点までに達した。メジャーリーグがホームラン全盛で、それも筋肉増強剤がまん延していた時代に、イチロー流の『内安打』など『ない安打』にトリッキーとバカにされた時代での挑戦である。大谷選手の2投打流と同じく、メジャーでは通用しない、日本へ帰れと批判と批判された。

ところが、いざふたを開けると、ご覧の通りの大活躍だ。

イチローは肉体を極限まで1日も休まずに、毎日毎日の練習で鍛え上げ不屈の精神と「継続は力なり」の努力によって、大リーグのスピードと力任せに振り回す長打技術を凌駕した。それもヒットを打つこと、アウトになる内野ゴロをその走塁スピードで内安打として、即座に2塁に盗塁し、後続バッターの安打によって1点を得点する「安打製造法(イチローテクニック)」を発明した。イチローの数々の野球技術を発明は発明王『エジソン』にたとえられる。それも18年間続けてベンチャービジネスを世界的ブランドにした「小さな巨人」で世界の人々に勇気と希望を与えた。

天才とは生まれつきの才能ではなく、努力と学習の産物なのである。

イチローは小学生の時からチチローに連れられて365日、バッティングセンターに通って、バッティングテクニックを磨き、以後30年間以上も肉体的、メンタル的トレーニングを続けてきた。その自己改革法、学習法、異文化スポーツ成功法のプログラムを書いた「プログラマ」ともいえる。

天才・イチローもう1つの凄い点は「彼は考える人」であり、「自分の努力をボールを打つ感覚で的確に話せる詩人であり、表現者、芸術家、創造者」である」である。彼の名言、格言、インタビューの言葉を読めば、いま世界で最も必要な「異文化コミュニケーション術」「異文化接触成功法」の学習法、勉強術がオープンソースとなっている。これで学習すると、ごく普通の人でも可能性は大きく広がる。

引退記者会見でのイチロー名言を紹介する。

「(引退で)後悔はあるか」-「今日の球場での(引退を惜しむ大声援)あんなものを見せられたら、後悔などあろうはずがありません」

「大リーグ生活」-「最初は「日本に帰れ」って、しよっちゅう言われましたよ。結果を残した後の敬意というのは、手のひらを返すというか。行動で示す敬意は迫力があるという印象ですよね。認めてもらった後はすごく近くなるという印象で、ガッチリ関係が出来上がる」

「記録について」―『去年の5月以降ゲームに出られない状況で(毎日,黙々、と練習を続けた試練の日々)、それを最後まで成し遂げられなければ、今日のこの日はなかった。あの日々は…ひょっとしたら誰もできないかもしれない。どの記録よりも自分の中では、ほんの少しだけ誇りを持てたと思います。』

 「野球の魅力」―「団体競技なんですけど、個人競技なんですよ。それが面白い。個人としても結果を残さないと、生きていくことはできない。野球は同じ瞬間がない。必ずどの瞬間も違う。これは飽きがこないですよね。本来、野球というのは、頭を使わないとできない競技なんですよ。この20年でMLBが頭を使わなくてもできる野球になりつつあるのが残念です」と語る。

「子どもへのメッセージ」-「自分が夢中になれるモノ、熱中できるモノが見つかれば、目の前に立ちはだかる壁に向かうことができると思います。見つからないと、壁が出てきても立ち向かえない。自分に向くか向かないかよりも、好きなモノを見つけてもらいたい」とすべての人間に通用するメッセージを発した。

私が心に刻んできたイチロー格言は・・・

 

①毎シーズン休まず百五十試合に出場するように心がける。

②グローブその他の道具の手入れを丁寧に毎日欠かさない。

③試合前後の入念な筋肉トレーニング、バッティング練習も三十年欠かさない。

④(打率でなく)ヒットを一本増やしたいとポジティブに考える。そうすれば打席に立つのが楽しみになる。

➄小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただひとつの道。

⑥僕は決して「打率4割」とは言わないんです。6割の失敗は許してやるわ、と。いつもそう言っているんです。

⑦結果が出ないとき、決してあきらめない姿勢が、何かを生み出すきっかけをつくる。

⑧(3000本安打の達成感について)「小さなことでも満足することははすごく大事なことで、味わえば味わうほど前に進める。

 

                 

 - 人物研究, 健康長寿, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

「今、日本が最も必要とする人物史研究➂」★『日本の007は一体だれか』★『日露戦争での戦略情報の開祖」福島安正中佐➂』★明石元二郎の「明石謀略」は裏で英国諜報局が指導しており、福島安正、宇都宮太郎(英国駐在武官)がバックアップした。

日本リーダーパワー史(553)記事再録                前坂 俊之 …

『Z世代のための大谷イズムの研究』★『ドジャース地区優勝決定翌日のロッキーズ戦』『大谷は特大54号3ランで「54-57」を達成』★『地元TV局は「タイタニックな一発」と驚嘆』★『大谷の父親は「真美子さんがいなければ、今の翔平はない」』

ドジャースが地区優勝を果たした翌日の一戦で、大谷翔平投手は27日、敵地・ロッキー …

第70回鎌倉花火大会(7/24pm7,20-8、10)-残念ながら雲と煙にさえぎられて、花火の半分以上は見えなかったよ。(15分間に圧縮)

第70回鎌倉花火大会(7/24pm7,20-8、10) 7月24日夜、開催の鎌倉 …

no image
速報(239)『欧州危機は全治2年、時間必要』『「日本のようにはならない」移民受け入れ・シンガポール』

速報(239)『日本のメルトダウン』   ★『欧州危機は全治2年、リー …

『鎌倉カヤック釣りバカ仙人ー2015年元旦、めでたくもあり、めでたくもなし>

★<2015年元旦、謹賀新年、めでたくもあり、めでたくもなし>   『鎌倉カヤッ …

『Z世代のための< 日本議会政治の父・尾崎行雄の日本政治史講義』★『150年かわらぬ日本の弱体内閣制度のバカの壁』★『 明治初年の日本新時代の 当時、参議や各省長官は30代で、西郷隆盛や大久保利通でも40歳前後、60代の者がなかった。 青年の意気は天を衝くばかり。40を過ぎた先輩は何事にも遠慮がちであった』

2012/03/16  日本リーダーパワー史(242)『日本 …

no image
『オンライン/天才老人になる方法④』★『天才老人NO1<エジソン(84)の秘密>➁落第生 アインシュタイン、エジソン、福沢諭吉からの警告』★『天才、リーダーは学校教育では作れない』★『秀才、優等生よりは、落ちこぼれ、落第生の方が天才になれるのよ』

『リーダーシップの日本近現代史』(64)記事再録/    & …

「オンライン動画講座」★再録〈速報(307)『日本のメルトダウン』★『福島原発事故の東京電力の責任』●『2012年6月8日、国会事故調での清水正孝前社長の2時間半の全証言動画中継』

2012/06/10  速報(307)『日本のメルトダウン』再録 &n …

no image
日本リーダーパワー史(265)『シンドラーを超えて6千人のユダヤ人にビザを発行した外交官・杉原千畝』(白石仁章氏の講演)

日本リーダーパワー史(265)   世界が尊敬した日本人   …

no image
連載「エンゼルス・大谷選手の大活躍ー<巨人の星>から<メジャーの星>になれるか」② 『大谷メジャー初本塁打 本拠地で右中間へ3ラン』★『大谷翔平は「天才」米メディアも連日の大絶賛』★『全米が大谷フィーバー!「カネではない」純粋な野球愛に感動』

連載「エンゼルス・大谷選手の大活躍ー <巨人の星>から<メジャーの星>になれるか …