人気リクエスト記事再録『百歳学入門(199)』★『関精拙、原坦山、仙厓ら<禅の巨人>の往生術から学ぶ』★『よりよく生きるためには、いかに死ぬかを学ぶ必要がありますね。「ピンピン、コロリ」(PPK)が理想といわれていますが、現実はなかなかこうはいきません」
2010/01/21 再録
百歳学入門①ー知的巨人たちの往生術から学ぶ①
前坂俊之(ジャーナリスト)
『大西良慶師
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%A5%BF%E8%89%AF%E6%85%B6
は法話でこんなことを言っています。生死一体、生者必滅、生まれたものは必ず死ぬ。生まれたかぎり、死ぬ事は、誰でもわかっているようで、元気なうちはわからないし、気がつかない。死がいつ訪れるか、本人はもちろん、他人にはなおさらわかない。
元気とは性欲、食欲、名誉欲、金銭欲がふつふつと煮えたぎっている状態、つまり煩悩である。その元気が死を覆い隠しているのです」とね。
確かに、今の世の中、人は欲く得くで生きることばかりを考えて、死をみず、死を避け怖がる傾向がますます強まっていますね。よく生きることは、よく死ぬことです。死ぬまで生きるという覚悟をもって、人間としての自覚をうしなわず、生の意識を死ぬ直前まで持続させることは、容易ではない』
『だからこそ、いまこそ仏教や禅を学ぶ必要があるのでしょうね。仏教の究極は生死の解脱であり、悟りであり、そのためにきびしい修行をつむのです。生死の超越は禅の大課題でもあり、禅師は臨終にのぞみどのような死生観を示すのか、いかに見事に、従容として死んでいったかを問われます、いわば禅の最終テストのようなものであり、公案そのものでしょう』
『そんな見事な往生術、悟りを開いた大往生を大西良慶はいくつか紹介しています。天竜寺に関精拙老師(1877 – 1945)(68才)=1922年臨済宗天龍寺派第7代管長に就任=https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E7%B2%BE%E6%8B%99
がおられた。老師は死を悟ったとき、弟子を呼んだ。体を支えてくれといって、坐禅に入った。「わしが頭をくっと前にたれたらおしまいじゃ、その時を見とどけるよう」にと命じられた。しばらくして、その通り老師の頭は下がり、そのまま大往生を遂げられた。』
『原坦山(たんざん)(1819~1892)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%9D%A6%E5%B1%B1
は曹洞宗の有名な僧侶です。明治12年、東京大学印度哲学の最初の講師で、その後、曹洞宗大(駒沢大)総監にもなっています。
一風変った僧侶で、大酒のみで体は肥満、性格は姦落そのもの。明治の廃仏毀釈のあとを受けて仏教界は混乱の時代だったが、仏教を教え、仙術を学び、仏仙会を起したりしていました。
明治24年7月、74歳の時、死期を悟った坦山は知人に「拙者儀、即刻臨終仕り候。此段御通知に及侯也」とのハガキを出した。「まさか、いつもの冗談じゃろう」と友人たちは半信半疑で家にかけつけてきた。
ところが坦山、悠然と碁を打っている。「またか!?」、かつがれたと思って怒る者もあったが、「碁敵がやって来たので今始めたところだ。一これがすんだら御免被る」そういって悠々と碁を楽しみ、終わるや否や忽然として大往生を遂げたといわれます」。
『良慶さんは誰にでも『ゆっくりしいや』が口癖でしたね、そんなにガツガツしないで、ぼちぼちいこか、というユックリズム。いまのスローライフを実践していたんですね。「ほっといたって人間いつかは死によるんやから、死ぬことなんて考えないの」ともよく言ってましたね。そんなにきばって、生真面目に死ぬことないの・・とね。そんな死に方も一つ紹介していますよ』
「禅坊主は臨終に遺言「遺偶」(ゆいげ)を書きます。名僧ほど立派な「遺偶」(漢詩)を書くのはいうまでもありません。
博多に当代随一とうたわれた禅僧・仙厓(せんがい)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%99%E3%81%8C%E3%81%84%E7%BE%A9%E6%A2%B5
といた。87年間、禅一筋に生き、戯画を描いては大衆に禅を説いて親しまれていた。臨終が迫り、弟子が遺偶をお願いした。固唾をのんで弟子たちが見守っていると、なんと、「死にとうない、死にとうない」と書いてある。
「立派な遺偶が出てくるもの」と信じきっていた弟子たちはびっくり仰天、「もうちょっと、気の利いたことを書いていただけませんか」と恐る恐る申し出た。
仙厓は「ああ、そうか」とあっさりにうなずいて、筆を持ち直して、「死にとうない、死にとうない」の横に「ほんとに」と書き足した、という。(笑う)』
『まるで、ジョークだな、立派に、悟りきったように死ななければならないと、脅迫観念にかられる。そんな見栄をはる必要はないよ、といってるわけですね。
死を必要以上に飾り立て、悟ったように見せかけて、周りを騙す。自分までも騙されて悟り切ったような気分になって、最期の遺偶まで、見せかけに終わる。これを「野狐禅」(やこぜん)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E7%8B%90%E7%A6%85
という、狐の化かしで、死を飾り立てるニセモノの禅のことですよね』。
つづく
関連記事
-
-
日本リーダーパワー史(73) 辛亥革命百年⑫インド独立運動を助けた頭山満(ジャパンタイムズ評)
日本リーダーパワー史(71) 辛亥革命百年⑫インド独立を助けた頭山満 <ジャパン …
-
-
『キスバカ日記』-本日もまたまた大漁なり、こいつは春から縁起がいいや、メバルに感謝じゃ
『キスバカ日記』-本日も大漁なり、メバルに感謝じゃ 前坂俊之(カヌーフィッシング …
-
-
『Z世代のための日本最高のリーダーシップ・西郷隆盛論⑤』★『米国初代大統領・ワシントンとイタリア建国の父・ガリバルディと並ぶ世界史の英雄・西郷隆盛の国難リーダーシップに学ぶ。★『奴隷解放』のマリア・ルス号事件を指導。「廃藩置県」(最大の行政改革)「士農工商・身分制の廃止」『廃刀令」などの主な大改革は西郷総理(実質上)の2年間に達成された』
2019/07/27 日本リーダーパワー史(858)/記事再録編集 …
-
-
『2014ー鎌倉サーフィンチャンネル総集編』『KAMAKURAサーフィン・ベストショット、稲村ヶ崎、カブ根は最高エキサイティング
『2014ー鎌倉サーフィンチャンネル総集編(12/31)』 &nb …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(258)/ 「ニューヨーク・タイムズ」など外国紙が報道した「日韓併合への道』の真実㉖ 「日本は朝鮮を吸収との言」ーハルバート氏,すべて良好とのラッド教授の意見に反論』★『償いなき略奪。日本が条約に違反し製品を無開税で輸入している証拠を握る
2018/01/12「 英タイムズ」「ニューヨーク・タイム …
-
-
『オンライン/渋沢栄一(91歳)の百歳生涯現役講座』★『50歳からの第2の人生へ出発』★『不断の活動が必要で、計画を立て60から90まで活動する』●『煩悶、苦悩すべて快活に愉快に、これが私の秘訣です。』★『90歳から屈身運動(スクワット)をはじめ、1日3時間以上読書を続けていた』
2017/08/09   …
-
-
百歳学入門(68)「茶陶の領野に新機軸を打ち立てた-萩焼の人間国宝、三輪壽雪翁(102歳)」
百歳学入門(68) 「茶陶の領野に新機軸を打ち立てた-萩焼の人間国 …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(962)ー『2019年は『地政学的不況』の深刻化で「世界的不況」に突入するのか,米中貿易協議(3/1)の行方はどうなる!?』➀
世界/日本リーダーパワー史(962) 前坂俊之(ジャーナリスト) 2018年12 …
-
-
<日中韓三国志・新聞資料編>『朝鮮王妃・閔妃暗殺事件の新聞報道』(『ノ―ス・チャイナ・ヘラルド紙』1896年1月31日付)
<日中韓三国志・新聞資料編> 『日清戦争の原因となった朝鮮王妃・閔 …