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 世界、日本の最先端技術『見える化』チャンネル ★5『中国溶接・切断ロボット業界の最新動向』- 『 溶接・切断の国際的な専門展示会として、アジア最大規模の 「北京エッセン溶接・切断フェア」(6/14―17)の最新レポート』●『安川電機を筆頭に、ファナック、川崎重工業、不二越、 自社製の溶接機と各種溶接ロボットを 組み合わせたソリューションを提供するダイヘン、 パナソニックの全6社が出展。

      2016/10/23

 世界、日本の最先端技術『見える化』チャンネル

★5『中国溶接・切断ロボット業界の最新動向』-

『 溶接・切断の国際的な専門展示会として、アジア最大規模を誇る

「北京エッセン溶接・切断フェア」(6/14―17)日の最新レポート

中国のロボット市場全体でトップシェアの

安川電機を筆頭に、ファナック、川崎重工業、不二越、

自社製の溶接機と各種溶接ロボットを

組み合わせたソリューションを提供するダイヘン、

パナソニックの全6社が出展。

溶接・切断の国際的な専門展示会として、アジア最大規模を誇る「北京エッセン溶接・切断フェア」が6月14―17日の4日間、中国・北京の新国際博覧センターで開催された(写真1)。

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今年21回目となる同フェアの統計データ(出展規模や来場者数など)については、主催者側が例年(閉会約1カ月後に)提供してきた「最終レポート」を公表していないため詳細は不明(※来場者数は2年前の北京開催時の規模か

ら10%以上減少し、2万人〈実数〉を割り込んだもよう)。

会場を回ると、溶接機材の世界トップシェアメーカーであるリンカーン・エレクトリック(米国)が出展ブースの規模を例年の半分程度に縮小し、また、常連企業であった切断機大手メーカーのメッサー(独)が出展せず、また、エサブは(費用対効果を考慮し13年から)ミーティング/セミナーのみ開催するなど、溶接・切断業界を牽引する大手メーカーの出展姿勢に勢いが感じられないというのが実情。

また、来場者の動向についても、世界中の溶接ロボットメーカーが一堂に集う正面エントランス最寄りの、いわゆる〝ロボット館〟は盛況を博していたものの、その他のエリアの出展メーカー各社からは「2年前の北京開催時よりも少ないのでは」という声が多く聞かれた。

中国経済がGDP7%程度の安定成長へと転換し、鉄鋼や石炭などの設備過剰の解消や利益を出さない「ゾンビ企業」の淘汰などを通

じた構造改革が推進される中、同国の経済成長を長年支えてきた重工業分野は新たな局面を迎えており、

15年の中国市場における溶接材料/溶接機/大型切断機の需要は総じ20-30%減少しているもよう。

写真左は 日欧の主要な溶接ロボットメーカーが 終結 (※写真はABBの造船向けアーク溶接パッケージ)

 

このような市場環境の下、今フェアでは前年に比べてどのような新しい出展傾向が見られたのか。現地レポートをお伝えする。

本フェアのハイライトとして、①主要溶接ロボットメーカーの競演②自動化による高品質施工ニーズの高まり――が挙げられる。

 写真(下)リンカーンや奥太はアプリケーションごとに最適な溶接ロボットを選択

 

 

[主要溶接ロボットメーカーの競演]

 

日系メーカーでは、中国のロボット市場全体でトップシェアを有すると言われる安川電機を筆頭に、ファナック、川崎重工業、不二越、そして、自社製の溶接機と各種溶接ロボットを組み合わせたソリューションを提供するダイヘン、パナソニックの全6社が出展。

一方、欧州勢では、ABB(スイス)とKUKA(独)の2大メーカーにigm(オーストリア)とカール・クルース(独)を加えた4社が独自の溶接ロボットシステムを発表。そして、中国勢では、熊猫(パンダ)、時代(Time)をはじめ10社超のメーカーが自社製ロボットをPRした。

各社の動向として、アーク溶接ロボットの3大メーカー(※各社約20%のシェアを保有)と言われる安川電機・ダイヘン・パナソニックの主な出展内容を見ていくと、安川電機は従来のアーク/スポット溶接システムに加えて、nLight製の発振器を搭載した「リモートレーザ溶接システム」もPR。

ダイヘンは「シンクロフィードGMA溶接システム」を中心に、溶接機「Welbee」シリーズと組み合わせたシステムを実演。パナソニックは溶接電源を融合した「Active TAWERS」に加えて、レーザ溶接ロボットシステム「LAPRISS」も紹介。

 

ファナック、川崎重工業、不二越のブースでは、川崎重工業が大徳重工と提携したIPGフォトニクス製の発振器を搭載した〝宙吊り式〟レーザ溶接システムとVictor製の手持ちプラズマ切断機を搭載した〝宙吊り式〟プラズマ切断システムという現場仕様のアプリケーションが大きな注目を集めていた。

欧州メーカーでは、ABBが造船向けアーク溶接パッケージ(全長7mのレール上を溶接機・ワイヤ送給機・レーザセンサ付の溶接ロボットを乗せた台車が走行)やアルミのスポット溶接ロボットをPRし、KUKAはアーク/スポット/レーザの豊富な溶接ソリューションを紹介、igmとクルースはコンパクトなアーク溶接ターンキーシステムを提案した(写真2)。

 

そして、中国政府の支援を受けて研究・開発を強化する中国メーカーの溶接ロボットについては、信頼性が着実に向上しており、早ければ3年後にも(現在の主流であるオフライン用途ではなく)〝インライン〟で普及するのではないかと言われている。

[自動化による高品質施工ニーズの高まり]

13年から産業用ロボットの購入台数で世界1位(自動車製造用途が50%以上)となり、さらに、自国製ロボットの普及が国家プロジェクトとして推進される中国では、溶接工の不足や人件費の高騰に加えて、「自動化による溶接品質の向上」も大きな課題となっている。

1つの事例として、某溶接機メーカーの首脳からは、「造船の厚板ワークを溶接する際、作業者の関心が溶接品質の確保ではなく〝仕事を時間内に終わらせること〟にあるため、予め設定された溶接条件よりも高い電流値に勝手に変更されるケースも見られる」という声が寄せられている。

そのため、工場内のすべての溶接機の稼動状況を経営者がオンラインで確認できる(IoT対応)「品質管理システム」とともに、溶接工程そのものの自動化ニーズが高まっている。

このような中、溶接機メーカーの取り組みとしては、

①  イヘン、パナソニック、クルース、時代(Time)、佳士(JASIC)などのように自社製の溶接機と溶接ロボットによるトータルソリューションの提案

②  カイエルダ、瑞凌(Riland)のように特定のロボットメーカーとの提携による自動化ソリューションの展開

③  リンカーン・エレクトリック、奥太(Aotai)などのように、(アプリケーションごとに)様々なメーカーの溶接ロボットを採用――という大きく3つのパターンに分かれている(写真3)。

中国のGDP成長率が従来の2ケタ%から約7%へと減速し、大口顧客であった重工業向けの需要が減少する中、溶接機メーカー各社が溶接機の販売台数を確保するためには、溶接ロボットと組み合わせた自動化ソリューションの提案がますます重要性となっている。

一方、ロボットメーカーにとっても溶接ロボットの販売台数を伸ばす上で、主要な需要先であるシステムインテグレータに加えて溶接機メーカーの販売チャンネル(=代理店網)を獲得することは重要な戦略であることから、両者の協業が一層強化される中、今後は溶接機の販売代理店とシステムインテグレータの境目が見え難くなり、更には、システムインテグレータ業界における競争が激化する中、ソリューション提案に優れた企業の事業規模が急速に拡大することも予想される。

[分野別マーケティング]

続いて、本フェアの出展メーカー各社に対するヒアリング内容を基に、中国市場における「溶接材料」「溶接機」「切断機」「レーザ」のマーケティング情報をレポートする。

【溶接材料】

中国市場における15年の年間需要量は、同国経済(特に重工業分野の)の減速を受けて前年比20~30%減となったもよう。300万㌧弱と言われる需要量のうち、トップメーカーの金橋グループ(Golden Bridge)が約30%のシェアを有し、大西洋グループ(Atlantic)が第2位のシェアを有するもよう。両社とも全生産量における溶接棒の割合は50~60%、輸出比率は20~30%となっている。

これに対して、日欧米などの海外大手メーカーは、エネルギー分野向けをはじめ各社が強みを有する市場向けに、高付加価値な製品を中心とする販売戦略を展開している。

【溶接機】

中国市場における15年のアーク溶接機の販売台数は前年比30%減の約50万台、販売金額は同20%減の約1000億円弱となったもよう。中国メーカーでは、14年に時代(Time)を抜いて初めて溶接機の売上トップメーカーとなった奥太(Aotai)が引き続きトップの座を維持したもよう。

海外メーカーでは、特にC02溶接機でトップシェアを有するパナソニック及びOTC(ダイヘン)という2大日本ブランドが浸透しているものの、近年は中国政府が年間約8000億元を投資する高速鉄道案件など(アルミニウム、ステンレスの溶接)に強いフローニアスがシェアを急拡大している(写真4)。

【切断機】

粗鋼生産量は日欧米の年間1億㌧に対して6~7億㌧、切断機メーカーの数は(大小含めて)600社、全ユーザーの切断機の保有台数は3000台と言われる桁外れなスケールを有する中国の切断機市場では、切断機のタイプによる〝棲み分け〟が進んでいる。

プラズマ切断機市場では、NC装置事業とモータ事業を傘下に収めたハイパーサームが価格競争力を武器に圧倒的なシェアを有することから、創業約100年のメッサーや小池酸素(唐山)、

上海田中机械といった海外系の大手切断機メーカーの活路は、レーザ切断機あるいは中国企業が不得意とするロボットや生産管理システムなども活用した「自動化・デジタル化」分野などに活路を見出している(写真5)。

なお、レーザ切断機については、14年・15年に1~6㎾のファイバーレーザ切断機を400~500台販売し、1~16㎾の同溶接機を50台、同マーキング装置を1000台以上販売したと言われるハンズレーザ(中国)が中国市場のみならず世界市場での存在感を強めている他、同じく中国企業で00年にオーストラリアの有力メーカー・FARLEYを買収したHGTECHは、中国へ進出している大手日系メーカー(自動車・電機など)に対し、総額500万㌦以上に及ぶレーザ加工機(マーキングシステムが中心)を納入しているもよう(写真6)。

そして、ソフトウェアでは、溶断用CAD/CAMで世界トップシェアを有すると言われるシグマテック社が、(歩留まりの高いネスティング/管理ソフトで顧客の生産コストの抑制し、さらに、生産性の最大化を実現する)〝不況に強いビジネス〟を展開し、15年も中国やタイをはじめ各地に新拠点を設けるなどアジア事業を急拡大している。

【レーザ】

大手メーカー各社の中国事業については、IPGフォトニクスの16年1~3月期の売上高が前年同期比約9%増加し、切断・溶接のアプリケーションが好調に推移。トルンプの16年1月~5月の売上高は各月とも前年同月比10~20%増で推移し、

 

自動車及びエレクトロニクス向けが好調。レーザーラインは15年まで毎年20%以上の高成長を維持し、主要客先である自動車やマイニング分野向けに溶接・クラディング・焼入れなどのアプリケーションを提供。パナソニックの「LAPRISS」が今期、中国市場に2台以上納入されている。

[アルミニウム溶接の動向]

 

先述のとおり、近年は中国政府が年間約8000億元を投資する高速鉄道案件が進行していることから、アルミニウム製の鉄道車両に対する溶接需要が高水準で推移している。なお、本案件はシーメンス社(独)が受注したことから、溶接機の需要先はフローニアスやエア・リキードウェルディング(仏)、ケンピ(フィンランド)といった欧州メーカーとなっており、この中でも、アルミニウム溶接に関して世界最高水準のMIG溶接技術を有するフローニアス製の溶接機の販売が好調に推移している。

 

なお、アルミニウムの生産量・消費量ともに世界第一の中国では、近年、(食品向けなどに)アルミニウム製タンクを中近東や東欧向けに輸出するケースが増加しており、このようなタンクの溶接には、ケンピ製のアルミニウム溶接システム(溶接機+最長30m先まで供給可能なワイヤ送給装置「スーパースネーク」)が数多く採用されている(写真7)。また、自動車やバイク、化学プラント、造船(スピードボード)、スイッチボックスなどにおいてもアルミニウム溶接の需要が引き続き好調に推移しているもよう(写真8)。

このように、アルミニウム溶接に対する需要が旺盛に推移する中、本フェアでは、先述の欧州系メーカーに加えて、日系のパナソニック溶接システムやダイヘン、中国現地の有力メーカー各社、米国系のリンカーンやミラーなどもアウミニウム溶接(システム)をPRした他、ロボットメーカーのABBがアルミニウム専用のスポット溶接ロボットを紹介。

そして、会期中には、溶接機材世界トップシェアメーカーのリンカーンと同2位のエサブによる、それぞれ「Advanced Alminum Welding Technology」/「Esab Engineering Automation Solution, FSW」と題するテニクカルセミナーも実施された。

◇    ◇  ◇

現在、世界の溶接現場では「溶接技能者の不足」が深刻な課題となっており、溶接機メーカー各社が「自動化」「教育」をキーワードに対策を強化している。

本フェアでは、「教育」に関するソリューションとして、リンカーン・エレクトリック、ミラー、フローニアスの3社がそれぞれ独自のコンセプトに基づく「ヴァーチャル溶接システム」を発表したことも、来場者及び出展者の注目を集めていた(9、10、11)

リンカーンは従来型の据え置きタイプに加えて新製品のポータブルタイプも披露。ミラーは同社製の溶接機とトーチを用いてヴァーチャルなトレーニングを行った後、同じ条件の下で実際にアークを出しながら溶接を行えるモデルをPR。フローニアスはロボット溶接のティーチング機能も組み込んだモデルを紹介。

これらの「ヴァーチャル溶接システム」は、日系溶接機メーカーの間では効用を疑問視する声が多いものの、欧米や中国では新入社員や学生向けの「教育」ツールとして着実に普及しているもようであることから、世界市場における今後の展開が注目されている。

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