前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

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★『2018年(明治維新から150年)「日本の死」を避ける道はあるのか④ 『2050年には日本は衰退国ワーストワンなのか!

   

『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか
ー―日本興亡150年史』④―
<『2050年の世界」で日本は衰退国ワーストワン
になるのか!>
 
                     <月刊『公評』3月号掲載、執筆は1月10日までの認識>
 
                   前坂 俊之
              (静岡県立大学国際関係学部名誉教授)
 
 
●国債1000兆円の突破についてはどうなるのか
ジャック・アタリは「日本はデフォルトに向かっている」
と警告
 
 
(A)「では危機的な財政問題を突破するにはどうすればよいのか』 
 
(B)『現在、日本の公債残高は財務省のホームページにトップで載っているが709兆円、国債の利子の支払いだけで年10兆円に上っている。国の一般会計予算90兆円のうち税収はその半分以下で、残りは赤字国債でやりくりしていことは皆さんご存知の通りです。一般的にいえば毎月40万円の給料しかないサラリーマンが100万円の生活を続けているのと同じ。
累積の赤字は一般会計税収予算(42兆円)の17年分に膨れ上がっていて、国債発行と税収の数字はワニの口のように年々広がっている。
このため、日本の政府債務残高は対国内総生産(GDP)比で約237%と、ギリシャの約171%、イタリアの約120%、米国106%、ドイツ88%をはるかに超えて、先進国の歴史上、最悪の水準。このまま債務が増え続けると、第2次世界大戦直後の英国を抜き、先進国史上、最も悪い状況に陥る可能性があり、将来世代に大きなツケを残す状況です。
民主党政府はやっと消費増税に踏み込んだが、安倍自民党政権がこれを本気で実行するかどうかはわかりませんね。増税をする前に景気の回復、2%のインフレターゲットを日銀にも要請し、再び公共事業を復活するといっていますので・・」

(C)『安倍政権の円安、インフレ誘導政策で、もし国債の金利が1%でも上がればたちまち10兆円の負担増が銀行などにのしかかり、経営危機に陥る金融機関が続出するリスクも生じます。
歴史上最も低金利に抑えられていたのは、日本国債の95%は国内の金融機関、生保、投資家が保有しているので、大部分を海外投資家が保有しているギリシャ国債の場合のようにデフォルト(債務不履行)の心配がなかったわけですね。しかも日本の対外資産は265兆円もある。国民の預貯金、家計の金融資産も1475兆円あるので、この範囲内であれば、国が国民の預貯金を借金していることなのでまだまだ大丈夫というわけだ』
(A)「しかし、それも原発の安全神話と同じだよ。危険な原発が決してクリーンエネルギーではないように、借金は借金に変わりはない。返せない限度を超えればつぶれないはずがない。ヤバイことだよ。デッドラインを越えたんじゃないかな。シティーバンク証券のデータでは、あと20年後の2036年には国と地方を合わせた借金が2000兆円を突破するという試算もあります。国の借金が国民の預貯金(1476兆円)でまかなえなくなるのが2025年前後ともいわれる。
海外の日本国債の比率も上がっており、海外投資ファンドも『日本は借金を返済できない水準に近づいている』と日本国債の暴落を見込んで、虎視眈々と狙っている。国内の金融機関も今後の高齢化で預金の引き出しや生保の払いが増えて、国債の継続買いが難しくなっている。
財務省自身も薄氷の上にあることを認めている。財務省は長期の国債を国内の銀行、外国政府に購入を働きかけているほどの危機感を持っている」
 
(B)「安倍政権は日銀の白川総裁に大胆な金融緩和、2%のインフレターゲットの設定を強圧したが、通貨の番人の日銀に禁じ手の国債などの購入圧力をかけるのは
① 財政の規律が緩み、一層の財政悪化を招く。
② 急激な円安とインフレは日本の通貨の信用性を失う
③ これまで、度重なる量的な緩和を日銀は続けたが、デフレ脱却はできなかった。10年前よりも財政状況はモット悪くなっており、世界もデフレ、金融緩和のデフレスパイラルに陥っており、ますます選択肢は狭められてきている。
④ インフレターゲット2パーセントを決めても机上の空論で、重症の実体経済を回復することは難しいーなどなど批判が出ているね』。
 
(C)「白川総裁は『財政のバランスがくずれると通貨の信用は崩壊する。選択肢は限られておりナロウパス(狭い道)を通らねばならない』と話す。世界的な投資家のジム・ロジャースは日本への緊急課題はとして「人口増、移民受け入れ、最後は国民全体の節約しかない」という。この3つとも日本は拒否しているので、市場での日本国債の売りが近づいている』と警告している。
それなのに安倍自民党政権は増税より経済の成長が先だとの、これまで20年間の経済再生、成長戦略で数百兆円のコンクリ―ト公共事業などの失敗に懲りず、またまた国土強靭化法なる公共事業に二百兆円もつぎ込もうというのだから、またまた、失敗から何も学ばない『死に至る日本病』でっす」
 
(B)『ヨーロッパを代表する思想家のジャック・アタリの『国家債務危機』(作品社、2011年)によると、『どの時代でもデフォルトを考えたものはほとんどいないが、ほとんどの国は少なくとも1回はデフォルトを起こしている。
1800年から現在までに対外デフォルトは250回、国内デフォルトは68回起こった』というからね。借金大国の倒産は歴史の法則という訳だ。
アタリはまた『日本の公的債務の対GDP比は2020年には300%に増加する。日本政府は少なくとも歳出を20%削減するか、20%増税しなければならない。こうした政策が打ち出されなければ、日本はデフォルトに向かって突き進むことになる』と警告しているよ」。
 
 
●今は臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の時。経済爆発中の中国、
アジアに日本から出稼ぎに行け。
 
 
(A)「私は日本沈没とか、日本衰退とか、日本亡国などとよく言っているので、一体どうなるのですか、とよく聞かれる。そんな時には太平洋戦争の敗戦のように、空爆で町が廃墟と化して何十万もの人が戦争によって犠牲になるといったものではない。人が大量に死ぬのではない。
3,11福島原発事故があった時、米国のサマーズ財務長官は『日本は今後貧しい国になるでしょう』と発言したように、1人当たりのGDPの少ない貧しい国、格差社会、インフレ経済,自治体の倒産続出というイメージです。火の消えたシャッター街、廃屋、失業者の群れ、公共サービスのパンクと、町は老人だらけ、孤独死、餓死もふえるでしょう、さびしい社会ですね」
 
(C)「われわれ、団塊世代前の人間には昭和30,40年代(1955-1970)の東北から上野駅にくる集団就職列車や出稼ぎ労働者のイメージは強烈な戦後体験です。仕事のなる、金のある東京に出稼ぎ、就職に来たのです。今の場合は、経済爆発中の中国、アジアに日本から出稼ぎに行けば良いだけのこと。
 
『ユニクロ』の社長の柳井正は『アジアの市場はゴールドラッシュで湧いているのになぜ、日本企業は国内から出ないのか』と嘆いていたが、ほんとに国も企業も国民も個人も、明治日本の精神的シンボルの福沢諭吉の「独立・自尊・自立本願・起業立国」の気概がなくなった。
不況、不景気、職がないと、国に借金しても公共事業をよこせ、バラマキの大合唱だものね。情けないね。今は臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の時です。日露戦争(明治37年)に勝てたのは日清戦争(同27年)後の臥薪嘗胆(10年間)でトップが10年間の長期戦略で軍備増強に励み、増税して国民全体が歯を食いしばって、頑張ったおかげですよ。少し、古すぎるかな(苦笑)』
 
 
(A)「【資源のない日本】の生きる道は人材の活用しかない。これまでの内向きの発想では沈没あるのみですよ。今後、日本の人口は8000万人まで減少すると予測されているので、人材の国際競争力を強化する以外にない。グローバルに通用するビジネスマンを養成してどうやって外貨を稼げるのか。真剣に考える。それも難しくはない。これまで通り、経済の原則に従えば,減速は克服できますよ。
経済繁盛地に出店する。金のあるところに出稼ぎに行くのは古今東西、商売の鉄則です。かつては繁栄した日本の国内で行われておったことを今度は、アジアに海外へ出稼ぎ、移民で出て行けばよいだけのこと。
 
 
 
(C)「そうですね。国の経済政策も常識に帰る必要がある。日本の政策失敗はすべて反常識(常識に反する行為)です。人口減には出産増、結婚増、移民増しかないがこれもまともに取り組まない。日本は貿易立国しかないのに、TPPやFTAにも不熱心で、取り組まない。食糧自給率は最低なのに、農業改革を毎回唱えられながら百年かわらない、農地法の改正などはね、これでは脱皮できないヘビは死ぬのです」
 
(B)「教育制度も完全に行き詰っている。大学全入制で、使い物にならない大学生を大量に生みだして、就職できないと大騒ぎしている。国際競争力のない低レベルの商品を大量に作って輸出減となっているのと同じ構造で、国際的な人材競争に負けているのです。英語を公用語にしようというのも相変わらず店ざらしのままだしね」
 
 
●『死に至る日本病』の情報戦略の欠如、『戦略』の意味とは・・
 
(C)「輸出競争力で日本を抜いた韓国(人口約5000万人)のは国外に住む在外韓国人は約600万人(全人口の10%)だが、日本はわずか人口の1%、120万人にしかいない。それだけ、全体が内向き、鎖国状態で、外に打って出ない。籠城して全員、ゆでガエル、最後は飢死してしまうという危機感がないのです。
 雑誌『フォーチュン』による世界大企業500のCEO(最高経営責任者)で、米国人以外で最も多いのはインド人です。彼らはバックパッカーとして、無一文でニューヨークにやってきて50年かけて大金持ちになった連中です。
 
日本で生まれた世界的なベンチャーは皆無といっていい状態です。相変わらず国が1世紀遅れの『ものづくり』「不況に沈む製造業の育成」を後生大事に叫んで、死にかかった老齢企業にカンフル剤を投与して生き延びさせている。少子化、出産、移民対策に重点的に金を出すのではなく、高齢者重視、旧産業、既得、危篤産業の擁護、重視の政策を続けているので、新陳代謝をおくらせて沈没を阻止するつもりが、逆に加速させていることに気がついていない愚行ですね。日本は2度も3度でも死ぬのです」
 
(A)「やはり、最後には、いつもその『死に至る日本病』がでてきましたね。①考えない日本人、合理的な思考ができない日本人②伝統主義、前例踏襲主議、非改革主義によって「脱皮できないヘビは死ぬ」③原因の究明、責任追及、その結果の処罰は一切なし、目的と手段の倒錯などなど・・・」
 
(B)「日本はいつも情報戦で破れるのです。例えば、この連載の前回(上、1月号)でも言及しましたが、大東亜戦争の敗因は日露戦争前にあった。ニコラ テラス(1856-1943、忘れられた科学者、エジソン以上といわれ交流発電機を発明)とマルコニー(無線電信の発明)の大西洋横断の無線電信の競争が行われていたのは日露戦争の少し前。
 
秋山真之らの献策で日本海軍は調査団で両方を調査させた。テスラの大きな装置と長大な放電に海軍調査団は腰をぬかし、マルコニーの小じんまりした装置が軍艦も搭載しやすいと海軍は採用した。この結果、日本海海戦で大勝利したのです。
日本海軍はこの勝利で鼻高々となり、太平洋戦争ではレーダーに敗れた。米国がレーダーを開発していたこともしらないので、太平洋での制空権はことごとく米側ににぎられた。実は、テスラがレーダーの発明をしていたので、日本海軍が科学的な知識があってテスラの装置を採用しておれば、大東亜戦争に負けなかった可能性もある。日本海海戦の大観巨砲主義の勝利におごって、伝統主義を守って飛行機の時代に入っているのに、戦艦大和を作って、沖縄に丸裸で特攻に出すなど支離滅裂で、戦略も合理的な精神もない、死にいたる玉砕主義に陥る」
(C)「昭和戦後の経済競争の場合も、大量生産大量消費経済では日本型ピラミッド垂直総合大産業工業企業国家」が『戦艦大和』と同じく勝利して、世界第2の経済大国になったが、21世紀の情報社会にはいると、20世紀の勝ちパターンはリセットされて、インターネット、PCからスマホ時代となり、ガラパゴスジャパンは総崩れ。自動車、電気産業も韓国サムスンなどにやられてしまった。つまり情報戦略にまけているのです」
 
 
(A)「もともと、情報戦略の『戦略』(ストラジティ)とはギリシア語が語源で「戦いの計画を準備し、決定的な諸地点に軍をおき、勝つために最大量の兵力を運ぶ場所をさぐる技術」というのが原義で、広義には「兵站」の意味です。
勝つために最大量の兵力を要所に集結させる。
そのためには、地元住民の心理観察、慰撫、地理、地形、地図の偵察、把握、兵器、軍事的技術はもちろん、輸送の方法、経済的、技術的なシステマティックで総合的な計画と効果的な展開が必要です。
 
これはヨーロッパのように諸民族、諸国家が乱立、混在し数多くの戦争の中で編み出されたもので、海にかこまれた島国の日本では千年間以上、蒙古来襲と秀吉の朝鮮出兵以外は、明治まで内戦をしか知らなかったので、『戦略的思考』は育たなかった。古代中国で生まれた「孫子の兵法」、イタリアのマッキャベリーの『君主論』、クラウゼビッツの「戦略論」など大陸の興亡史の中で「戦略論」は生まれた。鎖国して外敵と戦わなかった日本にはありませんね。
つまり、『戦略的な思考』とは、シュミレーションすることであり、「危機管理」「リスク管理」することです。これに失敗すれば国が滅びる。平和も戦争も永久のものではない。人間も国も仲良くしたりケンカする。『常在戦場』で、治にいて乱を忘れず、「危機管理」とは日ごろからと準備と心がけですが、これが今回の原発事故でも全く抜け落ち落ちていた。戦略発想のなさがこれまた『死に至る病の日本病』です」
 
                             (つづく)
 
『「日本の死を避ける道はー日本興亡150年史』2050年の世界」で
日本は衰退国ワーストワンになるのか!
 
 ★◎『2018年「日本の死」を避ける道はあるのかー『リーダー不在の―日本興亡150年史』(2)
 
 
 『2018年「日本の死」を避ける道はあるのかー―日本興亡150年史』(1)
 

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