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日本の明治以来の「殖産振興」「経済大国化」の原点・世界文化遺産『富岡製糸工場』を見に行く動画30分(10/15)①

      2015/01/01

 

日本の経済発展の原点・世界文化遺産『富岡製糸工場』を見に行く①

 

             前坂 俊之(ジャーナリスト)

 

 

http://www.tomioka-silk.jp/hp/index.html

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%8C%E5%B2%A1%E8%A3%BD%E7%B3%B8%E5%A0%B4

 

  

世界文化遺産に今年指定された『富岡製糸工場』については今から150年の前明治初期に
群馬地域で謡われた次のような歌がある。

 

上州一の宮 あずまやの二階

椅子に腰かけ はるか向うを眺むれば

あそこに見えるは ありゃどこだ

 あれこそ上州の甘楽(かんら)郡

 音にきこえし富岡の

 あれこそ西洋の糸きかい

西洋づくりで木はいらぬ

 まわりはしごで 屋根瓦

 窓や障子はギヤマンで

 糸繰る車はかなぐるま

 あまたの子供はつれだちて

 かみは束髪 花ようじ

 紫ばかまを着そろえて

 ちりめんだすきをかけそろえ

 糸とる姿のほどのよさ 

 

(上州の俗謡から)

 

 

明治維新政府が唱えた「殖産興業」のスローガンの下に、わが国製糸業の近代化を進めるモデル工場として、政府の手でつくられた官営工場のはしりが『富岡製糸工場である。

 

  製糸業のパイオニア

 

 安政六年(一八五九)、いわゆる安政条約によって神奈川、長崎、函館の諸港が開かれてからロシア・英・仏・オランダ・米などとの貿易が始まった。輸入は綿製品が最も多く、そのため国内の綿作農業は急速に衰退した。それに反し

て、生糸と蚕卵紙は開港以来、輸出のトップを占めつづげ、とくに信濃(長野)と上野(群席)の養蚕・製糸業を発展させた。

 

 とはいえ、当時の製糸業はすべて家内工業で、品質は一定せず、海外での評判もよくなかった。

 「わが国通商を開きしより以来、生糸の名、海外にあらわれ、輸出第一の要品たり。これを以ってその価、一時に騰貴し、農商ともに不慮の利を得たるにより、狡奸利はかる者、漸く多く、偽製贋造至らざる所なく、英国ロンドンに於て機工に適せざるもの数千筐堆乗するに至る。ここに於で声価とみに減じ、輸出の数もまた漸く多からず‥‥」

 (「富岡製糸所記」)という状態となった。

 

 

 そこで明治政府は、「旧来製糸方を革正せんと欲し、譲を民部・大蔵両省に下」心て「名師を海外に正門のすぐ前にあるマユ倉庫徹し、一大製糸場を起こし、糸褸(いとらん)純情、色沢麗の佳品を製し」(前掲書)あわせて新技術を身につけた女工の養成を目的として、明治三年二月、伊藤博文 (大蔵少輔) と渋沢栄一(租税正)に模範的な近代工場の建設計画を進めさせることになっ。


「世界文化遺産「富岡生糸場」への道、街並ー市営上野駐車場から10分 」

 

 伊藤と渋沢は、元幕府の顧問だったフランス人ジブスケ(東京・築地に居住) の紹介で、この年の六月、フランス人技師ポール・ブリューナと工場建設の仮契約を結んだ。

ブリユーナはまず、フランス製繰糸機械を輸入すること、フランス人技術者を数名雇い入れること、マユを蒸殺し、機械を動かすためにボイラーを使うこと、工員462名が必要なこと、など八項目の意見書を提出した。そして政府がこれを認めたため、ブリユーナは武州・上州・信州各地の養蚕地を旅行して、結局、「養蚕の盛んな土地で水運の度があり、製糸に必要な水と燃料の豊富」という条件をみたすところとして、富岡に白羽の矢を立てた。

 

 十月十三日、民部省庶務少佑の尾高惇忠(のちの初代所長)はブリュ・-ナと宮岡に出向き、加賀前田家の別家で七日市藩主のいた陣屋跡一五、六〇〇余坪を反当たり二五円で買収した。また同じフランス人の建築家バスチャントが製図を始め、同年の暮れにできあがった。

 

 工場建築は翌明治四年正月から始まり、同時にブリユーナは機械購入と技師女工の雇い入れのためフランスに帰国、六月に七名の技術者と機械一式をともなって帰ってきた。

 建築資材はすべて富岡付近のものでまかなうことにした。煉瓦を焼くについても、フランス人たちは手まねでその製法を教え、かわら焼きの経験をもとにして、どうやらつくりあげた。セメントもあろうはずはなく、代りにしっくいが使われた。

 こうして翌明治五年七月、二〇万円を投じて繰糸場一棟、マユ直撃一棟二二百人の女工を収容する寄宿舎、事務所、倉庫、貯水池、役員住宅.外人住宅、病院などすべての施設が完成した。

 

煉瓦造りといっても、柱は全部太い角材で、その基部に地上二尺、地下二尺

の石を頗え、思い切り良質の材料を使ったため、九三年を経た今日でも微動だにしない。昭和八年、ここを訪れたドイツ人建築家ブルノー・タウトも感歎したといわれる。

 

優遇された仏人たち

 

 工場完成の一ヵ月前、大蔵省は全国の養蚕・製糸業者に対して富岡製糸所創立の狙いをPRする「論告書」をくばった。

「‥朝廷万民ノ為ヲ思シ召サレ…上野富岡へ多分ノ入費ヲカケ盛大ナル製糸場ヲ御建テ遊バサレ…・製糸二志アル者へハ士民ヲ論ゼズ熟覧ヲ許サレ、コノ製糸場二於テ女職人四百人余御雇人レアイナリ、製糸ノ法ヲ学バセラル‥‥」

 

 そして、いよいよ十月四日に歴史的な操業を始めることとなったが、かんじんの女工が一向に集まちない。「異人どもは魔法使いの悪鬼輩で、年若い工女を工場に入れると、その生血をしぼって飲むそうな…こといううわさがひろまったからだ。

これは、フランス人たちが食事のときに必ず飲むブドウ酒をかん違いしたものらしいが、見たこともない煉瓦づくりの大きな建物や、その中ですさまじい音をたてて回転する機械などに、娘をもつ親たちが異常な恐怖感をもったこともたしかであろう。

 尾高惇忠はまず自分の長女を工女第一号にし、知己や縁者を説得して娘たらを集めた。政府もこまって、しまいには東北各県の県知事に命じて、強制的に女工たちを集めさせるぼか、旧幕府の旗本、与力、同心などの子女をもかき集めて、やっと石名余りがそろった。「国家前途のため」「国益伸長のため」―娘たちはまるで人身御供に出される気持ちで富岡へ来た。

 

 こうして生糸をつくる近代的工場が操業したが、翌年、ウィーンで開かれた万国博覧会でTO印の富岡生糸が二位となり、品質改良という初期の目的は一応達成された。

 

だが、経営的には、他の官営事業が例外なくそうであったように、富岡製糸所も赤字がつづいた。原因は、フランスから輸入せねばならなかった石炭のコスト高のためであった。設立前ブリユーナーは燃料に薪を使ってもよいとの意見をはいていたのが、いつの間にか石炭に切りかえられ、しかもそれをフランスから運ばせるようにしたからである。

 

世界文化遺産「富岡生糸場」の明治産業歴史散歩全記録(30分)①



 

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