前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(110)『解釈改憲を目論む安倍政権の危うさー地方自治体の「憲法集会」にも圧力5/7)』

   

  池田龍夫のマスコミ時評(110)

 

解釈改憲を目論む安倍政権の危うさ(5/7

 

    池田龍夫(ジャーナリスト)

 

  

 歴代内閣は、これまで①集団的自衛権は行使できない②この政府解釈は時の政権の政策判断では変えられない
③行使できるようにするためには憲法を改正する必要がある――と言ってきた。

右旋回を鮮明にしてきた安倍晋三政権は、この3つを一気に転換しようとしている。

 

地方自治体の「憲法集会」にも圧力

 

強引な政権運営を危惧する世論が高まっているため、安倍首相は最近「解釈改憲には時間を要する」などと〝軟化〟のポーズを示しているが、公明党に配慮したものと推察される。「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」は憲法21条に明記された条文だが、その「表現の自由」が怪しくなってきた。

 

毎日新聞54日付朝刊、サンデー毎日511号が報じたもので、憲法問題をテーマに掲げる市民らのイベントに対し、自治体が(中立性の確保)を理由に、これまで続けてきた講演を見直したり、施設を使わせる際に内容に注文をつけるケースが増えてきた。神戸市では護憲団体による「神戸憲法集会」が53日開かれたが、これまで受けてきた市と市教委の後援は断られた。

 

「昨今の社会情勢を鑑み、改憲、護憲の政治的主張があり、憲法集会そのものが政治的中立性を損なう可能性があるとの理由だが、恐るべき言論弾圧ではないか。千葉県白井市は、イベントを共催、講演する際の内部規定を41日に改定。後援を認めない対象を、従来「政治的目的を有するもの」などとしてきたが、「政治的色彩を有するもの」と改めた。

 

表現をあいまいにして後援しない範囲を拡大させた」と懸念する声が上がっている。このほか奈良市でも「公民館で特定の政党の利害にかかわる事業は行えない」として、演題の「自民党改正案を斬る」を「憲法学習会」に改めさせられという。

 

放置できない「言論弾圧」の声、高まる

 

政治権力の圧力を地方自治体ははねつけるわけにはいかず、苦渋の選択に違いないが、言論弾圧にまで乗り出した安倍政権の政治姿勢を放置するわけにはいかない。

 

3日の憲法記念日、日比谷公園で開かれた集団的自衛権行使に反対する集会には約3700人が参加。日本弁護士連合会と東京の3弁護士会は有楽町で異例の街頭行動を行った。

 

日弁連は「憲法の解釈変更が国民の中で十分議論されずに行はれることは、立憲主義に反し絶対に認められない」との村越進会長の談話を出して街行く人に訴えていた。

 

9条は改正すべきでない」との世論が多数

 

毎日、日経両紙は3日朝刊に世論調査を掲載。毎日の調査では「憲法9条改正すべき」36%「思わない」51%で、同紙は「安倍首相が憲法解釈変更で集団的自衛権行使を認めようとしていることも影響したとみられる」とコメントしていた。

 

日経の調査でも「憲法は現在のままでよい」と「改正すべきだ」がともに44%だった。2004年以降で、「現状維持」は過去最高。これまでずっと改憲支持が上回っていたが、今回の調査で初めて並んだ。憲法の現状維持を国民の多くが求めているわけで、安倍政権も無視できまい。

 - IT・マスコミ論 , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日韓歴史コミュニケーションギャップの研究ー『竹島問題をめぐる』韓国側の不法占拠の抗議資料』★『竹島は日本にいつ返る、寛大ぶってはナメられる』(日本週報1954/2/25)

日韓歴史コミュニケーションギャップの研究ー 『竹島問題をめぐる』韓国側の不法占拠 …

『Z世代のための最強の日本リーダーシップ研究講座㉟」★『120年前の日露戦争勝利の立役者は児玉源太郎』★『恐露派の元老会議に出席できなかった児玉源太郎』★『ロシア外交の常套手段の恫喝、時間引き延ばし、プロパガンダ、フェイクニュースの二枚舌、三枚舌外交に、日本側は騙され続けた』

元老会議の内幕   (写真右から、児玉総参謀長、井口総務部長、松川作戦 …

『Z世代のための日韓国交正常化60年(2025)前史の研究講座⑤」★『福沢諭吉の「韓国独立支援」はなぜ誤解、逆恨みされたのか⑦ー「井上角五郎伝」による甲申事変の真相、脱亜論への転換これで起きた』

2015/01/01/福沢の一番弟子「井上角五郎伝」から読み解く⑦ http:/ …

no image
 日本メルトダウン(992)-『トランプ氏、キューバ国交再断絶を示唆 「より良い取引」要求』●『イラク派遣隊員29人が自殺 帰還隊員らが語ったPTSDの恐怖』★『“トランプ人事”で地金が見える? 躍起の各国と喜色満面・安倍首相が得た「果実」』●『焦点:債券から株への「大転換」、今回は本物の可能』◎『GPIFに現れた予期せぬ助っ人、収益増へ力強いレバレッジ効果』◎『ゆがむ韓国経済、財閥偏重の「疑似資本主義」が迎えた限界』●『東芝がまた不正会計、ついに「監理銘柄」入りか』

 日本メルトダウン(992) トランプ氏、キューバ国交再断絶を示唆 「より良い取 …

『日中台・Z世代のための日中近代史100年講座⑧』★『日本恋愛史の華』★『憤怒の眦(まなじり)を決して伊藤伝右衛門氏下関で語る』「大阪朝日」

2015/01/01/NHK「花子とアン」のもう1人の主人公・柳原白蓮事件(7) …

日本の最先端技術『見える化」チャンネル/「2019NEW 環境展」(3/13)ー「リョ―シンのAI選別ロボット」は、従来「人」の手で行われていた廃棄物の選別工程をAI(人工知能)が自動化します

日本の最先端技術『見える化」チャンネル 「2019NEW 環境展」(3/13)ー …

『 Z世代のためのス-ローライフの研究』★『元祖ス-ローライフの達人・仙人画家の熊谷守一(97歳)のゆっくり、ゆっくり、ゆっくり』★『小学校の時、先生はいつも「偉くなれ、偉くなれ」というので、「みんなが、偉くなったら、偉い人ばかりで困るのではないか」と内心思った』

 2023/11/12の「」百歳学入門」の記事再録 <写真は5月29日 …

no image
日本リーダーパワー史(417)『軍部テロと闘った不屈の新聞人・菊竹六鼓ー世界の報道人100人」に選ばれた』

 日本リーダーパワー史(417) 『軍部テロと闘った不屈の新聞人・菊竹 …

『美しく老いた女性講座/作家・宇野千代(98歳)研究』★『明治の女性ながら、何ものにもとらわれず、自主独立の精神で、いつまでも美しく自由奔放に恋愛に文学に精一杯生きた華麗なる作家人生』『可愛らしく生きぬいた私の長寿文学10訓』

    2019/12/06 記事再録  …

『リーダーシップの日本近現代興亡史』(225)/★『明治大発展の国家参謀・杉山茂丸の国難突破の交渉力」➃『『軍事、外交は、嘘(ウソ)と法螺(ほら)との吐きくらべで、吐き負けた方が大損をする。国家の命脈は1にかかって嘘と法螺にある。『 今こそ杉山の再来の<21世紀新アジア主義者 が必要な時」』

 2014/08/09 /日本リーダーパワー史(520)記事再録 &n …