前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(796)ー「日清、日露戦争に勝利』 した明治人のリーダーパワー、リスク管理 、インテリジェンス』⑬『日露開戦7ゕ月前、ロシアは韓国を強圧して竜岸浦の租借を要求した。

      2017/04/30

 日本リーダーパワー史(796)ー

「日清、日露戦争に勝利』 した明治人のリーダーパワー、

リスク管理 、インテリジェンス』⑬

『日露開戦7ゕ月前、ロシアは韓国を強圧して竜岸浦の租借を要求した。

 

 ロシアは一方で清国を脅迫しながら、鴨緑江方面での侵略はいよいよ激しくなり、ついに、同江を越えて韓国内に侵入する。そして、駐韓ロシア公使パヴロフは、ロシア木材会社伐採が伐採することを韓国側に通告して、木材会社施設の下に、兵器や軍需物資をひそかに鴨緑江の下流地方に送り始めた。

 

竜岸浦に現われた数十名のロシア人は、土地家屋を買収し、清国、韓国人を雇って堤防や桟橋等を建設し、ひそかに大量の銃器と弾薬とを大東溝に輸入した。

 

さらに、馬賊数十名を率いたロシア人の二隊は義州に入って白馬山の伐採に着手し、竜岸浦に来た多数のロシア兵は、名を森林保護に借りて、同地を占領し、永住する計画に着手した。

ロシアの一連の行動は白昼公然の強盗団と変わりなかった。韓国政府はロシア兵の撤退を要求したが、ロシア側は全く無視して、かえって増兵した。鳳凰城には別に森林保護隊の司令部が設けて、約二千の兵員を駐屯させて、森林経営の名のもとに占領地域を拡大し、改めて竜岸浦の租借を韓国政府に要求した。

 

 こうしたロシアの傍若無人の侵略に対して、小村外相は韓国政府にロシアの行動に反対の態度をとり続けることを要請すると同時に、速やかに義州の開港を実行して、ロシアの行動を牽制するようイギリス公使と協同して韓国宮廷に決断を迫った。韓国側は義州開港に賛成だったが、ロシア公使パヴロフは、満州でのロシアの優勢を誇示して、韓国側の義州の開港に強く反対した。

 ロシアは義州の開港に反対しながら、竜岸浦の経営を着々と実行して安東県、竜岸浦との間に電信線を架設した。小村外相はロシアの竜岸浦経営が、韓国におけるわが利益を圧迫すると同時に、この電信線の架設は明治十六年の日韓条約に違反する事実をあげ、林公使から韓国政府に抗議させた。

韓国政府は義州、竜川の郡守に電信線の撤去を命じたが、ロシア兵はこれに応ぜず、ロシア公使も反対した。このため、韓国政府は両郡守に命じて、電柱をことごとく撤去させた。

ロシア公使は、電線の架設は木材会社の当然の権利であると主張し、また電柱撤去に関する損害賠償金を韓国側に要求し、その賠償金は木材会社の韓国に対する上納税金からこれを差し引くと主張した。

ロシアのあくどい強圧に屈した韓国はついに竜岸浦の租借を認めて、八月二十三日、森林監理生協とロシア木材会社代表者ボウコスとの間に協定が成立した。これに対し、林公使は小村の訓令に基づいて、強硬な抗議を韓国政府に提出したので、韓国政府は「本件についての契約は有効と認めない」との声明を出した。

 この間、ついに竜岸浦には保塁工事が開始となった。

また豆満江方面のロシア、韓国の国境線上には若干の哨兵が配置され、鴨緑口の斗流浦には望楼が建てられるなど、ロシアは清国、日本、韓国の反対など無視して戦争準備行動を着実に進めていった。もはや日本や韓国の口頭による抗議などは、ロシアには全く効果がないことがわかった。

 

 - 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など外国紙が報道した「日韓併合への道』㉑ 「伊藤博文統監の言動」(小松緑『明治史実外交秘話』)⑥『伊藤はハーグ密使事件は韓帝の背信行為と追及』

「 英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など外国紙が 報道した「日韓併合への道 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(133)/記事再録★『大宰相・吉田茂首相と戦後憲法』ーマッカーサーは 憲法は自由に変えてくださいといっている。 それを70年たった現在まで延々と「米国が新憲法を 押しっけた」「いや日本が押しっけられた」と非難、 論争するほど無意味なことはない』★『1週間で戦後憲法を作った米国の超スピード主義』『憲法改正を70年間議論している超スローモーな日本沈没政治』

    2016/03/10 &nbsp …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(54)『米軍再編と普天間基地の行方-〝日米軍事一体化〟促進に狙い』

 池田龍夫のマスコミ時評(54)   『米軍再編と普天間基地の行方-〝 …

no image
日本メルトダウン脱出法(822)「米投資家ソロス氏「中国のハードランディングは不可避」」●「中国の「海に浮かぶ原子力発電所」 来年には建造開始」●「「アジアの優良上場企業50社」 日本は1社、韓国4社、中国25社」

  日本メルトダウン脱出法(822) 米投資家ソロス氏「中国のハードランディング …

no image
日本リーダーパワー史(566)「安保法制案」の国会論戦の前に、『わずか1週間でGHQが作った憲法草案①』を再録①

日本リーダーパワー史(566) 一連の「安全保障法制案」が閣議決定され、本格的な …

no image
日本のメルトダウン(525)「安倍首相の「ウーマノミクス」は革命が必要(英FT紙)●「日本の『報道の自由度』が59位に後退」

  日本のメルトダウン(525)     …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(5)記事再録/日本国難史にみる『戦略思考の欠落』⑤ 『1888年(明治21)、優勝劣敗の世界に立って、日本は独立を 遂げることが出来るか』―末広鉄腸の『インテリジェンス』① < 各国の興亡は第1は金力の競争、第2は兵力の競争、 第3は勉強力の競争、第4は智識の競争であります>

  2015/11/23  日本リーダー …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(83)◎『改憲、歴史認識に国際的非難-安倍首相の独断専行の危うさ』

     池田龍夫のマスコミ時評(83) …

サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会の日本対ドイツ初戦が23日午後10時から始まる」★『戦略眼からみた世界サッカー戦国史』①ー『前回のW杯ロシア大会(2018)と日露戦争(1904)の戦略を比較する。西野監督は名将か、凡将か➀-8回連載を再録する』

       2020/03/ …

no image
日本リーダーパワー史(205)★『トッドの提言―日本の国家戦略はアメリカの庇護下、核武装、中国従属の3つー』

日本リーダーパワー史(205)   『エマニュエル・トッドの提言―20 …