★◎『2018年「日本の死」を避ける道はあるのかー『日本興亡150年史』(2)明治のトップリーダーはきら星のごとく
月刊『公評』2013年1月号掲載
『坂の上の雲』を実現した明治のリーダーの凄さが改めて見直されていますね。
ここで歴史に詳しい皆さんのリーダー論を聞きたいね」
「
維新三傑」は西郷、大久保、木戸孝允(桂小五郎)と言われているが、明治を興し、政府や各界でその後、活躍したトップリーダーの年齢をみると、いずれも貧乏下級武士出身で、20代の若者が中心であり、変革の情熱とエネルギーに満ちあふれていた。板垣退助(31)、大隈重信(30)、幕臣側では勝海舟(45)、福沢諭吉(33)ですね。
松方 正義(首相、財政の父)33歳、大山嚴(陸相、日露戦争での満州総司令官26歳)、山本権兵衛(首相、海軍建設の父)16歳、 桂 太郎(首相、日露戦争当時の総理大臣)20歳、児玉源太郎(日露戦争の参謀総長)16歳、
東郷平八郎(日本海海戦当時の連合艦隊司令長官)20歳、高橋 是清(首相、日露戦争での外債募集に成功)14歳、
高齢者は全人口の4人に1人の三千万人、老衰老害社会となっているのだから。ただし、革命や暴動はヤングパワーの産物としても、体験と知恵を積んだ老人パワーで単なる破壊ではなく、秩序のある変革、改革なら若者と協力して世の中をかえることは可能じゃないかな。
かっての学生運動や「全共闘」の連中もあの頃の保守官僚体制の打破の理念をもう一度思い出して老人革命家となって立ち上がるべきだね(笑)」
寺子屋で学んだ「知合一致」的な真の行動的な学問があった。いまの空虚な看板だけの学歴ではなく、国内、外国人との戦い、交渉の修羅場をくぐった体験によって培われた本物の実力、胆力があったのです。
日本は清国に侵略されるのではとの強い危機感、恐怖があったので、その点をよく見ないと、日清、日露戦争も侵略戦争と誤解してしまうね。」アジア太平洋戦争とは区別しないと・・』。
今で言えばサッカーのワールドカップに初出場したアジアの無名のマイナーチームがFIFAランク1位のロシアに世界中の予想を裏切って歴史的な大金星をあげたようなもんだね。そのほうが、今の若い人には良くわかると思う。」
アジアの代表としての1等国にのし上がったわけですが。その日露戦争の勝利の理由
は一体何だったんだろうか』
それに
伊藤、山県、松方、井上、大山らの元老たちのチームワークが緊密であった。特に幼友達の伊藤と山県は政治思想、外交路線ではことごとく対立しながら、国難に当たっては一致協力し、オールジャパンで臨み国民これに結束したことが大きいですね。それが、太平洋戦争の敗因につながる。昭和戦後の場合も同じパターンで裸一貫から『坂の上の富国』をめざしてしゃにむに働いて、「ジャパン・イズ・ナンバーワン」『世界第2位の経済大国』でピークに達した1990年ころは世界一と驕ってしまい再び負けパターンに陥る。『何度でも負ける日本病』が克服できていないんですよ」
日露戦争の最大の勝因はインテリジェンス(智慧、情報、諜報、スパイ)の勝利で、その国家戦略を1人で立案したのは、陸軍参謀総長・川上操六です。彼はドイツ参謀本部のモルトケ参謀総長に弟子入りして、ナポレオンを敗った。
『クラウゼヴイツ』の戦略を学んで、陸軍参謀本部を作り替えた福島安正、明石元二郎、宇都宮太郎、田中義一、広瀬武夫、荒尾精、花田仲之助などの優秀な情報将校をヨーロッパ、ロシア、中国、満州に派遣し諜報網を張って、情報作戦を展開したおかげなんですね。
川上参謀総長の功績は明治史の中では評価されていませんね、実におかしなことですよ』
これは最近明らかになったことですが、日英同盟の裏には極秘の軍事協商が結ばれたのです。情報の全面交換、協同暗号、英国側の石炭燃料の提供、海底ケーブルの敷設などを結んで、バルチック艦隊が地球を半周して日本くるまでに、英国の植民地を経由してくる訳ですから、英国側があるゆる妨害工作をして、到着を遅らせて、同艦隊の士気を挫いた。日本海海戦までにすでにバルチック艦隊は英国の情報妨害戦にクタクタになっていた。
明治のリーダーとくらべても、ごりごりの視野の狭い軍人たちで対中認識、対米知識の不足、国際的な視野や知識が決定的に欠如していた。中国に対する根拠なきおごり、米国に対してもその力の差を認識することなく、大和魂の精神主義1本槍となっていた。経験不足ですね。
特攻隊、全員玉砕の大和魂ばかりを強調して、これも日露戦争の二〇三高地、旅順の攻撃の肉弾攻撃をそのまま引き継いだもので、兵器の近代化、レーダーの開発など情報技術の研究をまるで行わなかった。敵性語の禁止を行って英語の使用もアメリカの研究も禁止するというアナクロニズムですね。
人口減少とどう戦って国の衰退を止めるかという方に問題点が移っていますよね、
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