米国・ロシアのスパイ大作戦―プリゴジンの「ワグネルの反乱」、プーチン激怒、粛清するのか!』★「第2次世界大戦」ーノルマンディー上陸作戦のスパイ大作戦「フォーティテュード欺瞞作戦」
2023/09/01
第2次世界大戦で最大のスパイ工作事件はノルマンディー上陸作戦を成功させた「フォーティテュード欺瞞(ぎまん)作戦」である。フランス上陸作戦の目的地がノルマンディーではなく、パ・ド・カレーであるとドイツ軍に信じこませることを狙ったスパイ大作戦だ。
そのだましのテクニックは①ニセモノの木製の戦車や上陸用舟艇、武器、軍事備品やホンモノの道路までつくり、本物の軍人もたくさん集結し、実在しない部隊の存在をしているように仮装した。②活発な無線交信を模擬して、敵に傍受させて部隊が実在するかのように誤認させた。➂英国が転向させたドイツの二重スパイ(ダブルクロス・システム)を使って、ドイツ諜報局にニセ情報を送り続けた―などでドイツ側をだました。
当時、ドイツ空軍による英国本土の空中偵察はほとんど行われなかったため、①の物理的な欺瞞は役にたたなかった。ニセの無線交信とドイツの二重スパイが大きな効果を上げ、特に二重スパイが最も成功したキーマンとなった。
あれから約80年、今、ウクライナ戦争の泥沼化で追い詰められたロシアが「戦術核使用」の恫喝を繰り返しており、ウクライナ戦争は「サイバー戦争」「スパイ情報戦争」の様相を呈している。
6月24日、民間軍事会社「ワグネル」(兵士約2万5千人)の創設者・プリゴジン氏が反乱を起こし、モスクワに向けて進軍した。ところが、わずか1日でプーチン氏の命令で鎮圧されたが、プーチン政権の内部対立の深刻さを改ためて世界に示した。
24日当日は、プーチン氏はサンクトペテルブルクで大富豪の友人の豪華ヨットで休日を楽しむ寸前に、反乱勃発を聞き大慌てでクレムリンに引き返し、記者会見で盟友のプリゴジン氏を逮捕すると激しく非難した。
反乱の原因はロシア側から国防省と正式に契約をするようにと警告され、しない場合は資金提供を打ち切り、ウクライナでの軍事作戦にも参加させないと通告された。プリゴジン氏は激しく反発、契約を拒否、「国防省がワグネルを解体しようとした」と怒りを爆発させ武装蜂起に立ち上がった、という。
プリゴジン氏の盟友のロシア軍の副司令官、セルゲイ・スロビキン氏は事前に「反乱計画を伝えられていた」との容疑で、25日に逮捕、刑務所に拘禁された。プーチン大統領は、プリゴジン氏経営の企業グループ「コンコルド」に支出された国費の使途を調査する意向を表明し、今後、汚職を厳重に追及すると発表した。
もともと、「ワグネル」はプーチン氏の「私兵」的存在で、ロシア軍の別動隊、隠れ蓑的な役割りを果たしていた。プリゴジン氏は「プーチンの料理人」と呼ばれ、「アルマゲドン」との異名をもつセルゲイ・スロビキン氏は共にシリア紛争やチェチェン紛争に派遣され民間人を無差別に殺戮したとして悪名高い。
この2人をプーチン氏は寵愛し、ウクライナ戦争でも最前線の指揮官に抜擢、登用し増長させてしまった、という。そのツケで「飼い犬に手をかまれた状態となった」わけで、これまでのプーチ氏の失敗と疑惑の実態が明るみに出てくるのを防ぐためスターリン的な大粛清を始めるのか?、「身から出たサビ」としてもみ消してウヤムヤにするのか、その動向が注目される。
プリゴジン氏とワグネルのその後の行方については6月28日、ベラルーシのルカシェンコ大統領がベラル―シに滞在中だと明らかにした。6日にはプリゴジン氏はサンクトペルスブルグに向かい、プーチン政権との協議が始まったという。
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米国のインテリジェンス
ロシアの内乱1週間後の7月1日、米中央情報局(CIA)のウィリアム・J・バーンズ長官はイギリスでの講演会でこの問題にふれ「プ―チン氏の行動とプリゴジン氏の反乱でロシアの社会体制がいかに腐敗しているか。国内で正当化していたウクライナ侵攻の根拠そのものが否定された。戦争へのロシア国民の不満は今後ともますます高まるだろう。」
「その結果、ロシア国内で情報源となる人をCIAがリクルートする絶好のチャンス到来で、今やCIAはフル回転で営業している」と述べると場内は大爆笑に包まれた。
すでにCIAは「二重スパイ」大募集のリクルート動画広告をロシアで広く使われているSNSアプリ「テレグラム」に出している。この動画は公開第1週間で、250万回視聴された。その数は明らかにしていないが、数十人人がリクルートされた、という。
講演の最後で「プーチンの戦争はすでに失敗した。経済は今後何年間も続いて大打撃を受ける。中国の格下のパートナーとして、中国の経済的植民地となる運命が待ち受けている。」
すでに、ロシアでは、若者を中心に970万人が国外に脱出し、深刻な兵士不足に陥っている。IT技術者も約10万人が国外流出した。
ウクライナ戦争は「偵察衛星・通信衛星主流の情報戦争」「サイバー戦争」であり、ロシア軍の位置情報、戦車、武器、軍備は地上30センチの大きさまでリアルタイムで高画質で撮影監視、通信傍受もされている。地球の軌道上を回る人口衛星数ランキング(2022年5月時点)によると、 1位米国3415基、2位中国535基、3位英国486基、5位ロシア170基である。ロシアは米英の23分の1以下で勝負はすでについているといえる。
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