『Z世代のための日中韓外交史講座』⑯』★『ニューヨーク・タイムズ(1894年12月9日付)』★『日清戦争の未来図―「日本に世界を征服してもらえば中国もヨーロッパも悪政下に苦しむ一般民衆には福音となるだろう』
2015/01/01「日中韓150年戦争史」(71)『ニューヨーク・タイムズ(日清戦争未来図ー「日本が世界を征服してもらえば良くなる」記事再編集
1894(明治27)年12月9日 『ニューヨーク・タイムズ』
1894年11月6日に日本軍は金州城を占領する。11月21日に、難攻不落といわれた旅順要塞をわずか1日で陥落させ、世界をあっと言わせた。
ロシア紙は「世界的大強国の出現」と日本の勝利に危機感をみなぎらせ、以下の「『ニューヨーク・タイムズ』では第2のモンゴルのユーラシア大陸征服にたとえているのにはさらに驚く。
① 「文明化した聡明な日本が世界征服すれば、中国は野蛮なタタール人に征服され続けているよりは、より早く近代化するだろうし、ヨーロッパもそうであろう。
② 現在ヨーロッパ各国政府の悪政という重荷と各国間の憎悪と不信感という重荷を背負わされている一般民衆は.しばらく時がたてば日本人を解放者と思うようになり,天皇の臣民の中でも最も忠実な臣民となるだろう。
日清戦争の未来図「日本に世界を征服してもらえば悪政下に苦しむ一般民衆には福音となるだろう」.
ペリー提督が日本人の泥土のとりでに一撃を加えて彼らの眠りを覚ましたとき,提督が考えていたのはただ西洋の産物のために新しい市場を開くことだけだった。‘最近のできごとに照らして見ると,ペリーの大砲は実は東半球全体の運命を決するものだったかのごとき観がある。
日本がヨーロッパ文明を取り入れた結果は,強大な中国が日本の陸海軍の前に手も足も出ないという事実に明らかだ。日本はやすやすと中国を征服し.北京を首都とする広大な新しい日本帝国を打ち建てることができるということをもはやだれも疑わない。中国人は何年も前ひと握りの野蛮なタタール人に征服され,以来ずっとタタール人の支配に従ってきた。文明化した聡明な日本人の支配に従うのははるかに簡単なことだろう。
日本が中国を領有し.開かれた強力な政府を作ったと仮定しよう。新しい日本帝国は4億の人口を抱えることになる。国民皆兵役制を導入すれば.日本には4000万の兵から成る軍隊が誕生する。中国人が俊一秀な兵隊になり得ることはゴードンが証明している。
よく訓練され,装備も整った4000万の中国兵を日本人将校が指揮する軍隊は.世界が1つになって武器を取って立ち向かっても歯が立たないだろう。
日本の統治下で中国には鉄道網が敷かれ,中国の物質的繁栄は大幅に増大するだろう。合理的な税制により,政府の税収は信じられないほどの額になることだろう。
この税収をもとに日本は世界史上類を見ない艦隊を築くことができよう。数の上でも力からいっても他を寄せつけない艦隊で,外国の船舶は日本の許可を得ずに太平洋やインド洋を航行することはできなくなる。その陸海軍をもってすれば,日本がインドを侵略してこれを占領するのは朝飯前のことだろう。北には敵はいない。
というのも.ロシアは好戦的態度を引っ込め,防衛に主眼を置かざるを得なくなるだけでなく.その防衛も軍隊ではなく雪と荒地に頼るはかなくなるからだ。インドと中国の支配者となった日本がさらに領土を拡大しようとする時がやってくるだろう。
トルコの遊放民がその昔ヨーロッパに侵入した道をたどって日本はトルキスタン,ベルシヤ.シリアを征服し,地中海は日本の湖と化すだろう。侵略者は次いでヨーロッパに入る。ヨーロッパは日本のおびただしい軍勢と大艦隊を前にしてなす術もないだろう。
中世ヨーロッパを驚愕させたトルコ人の侵略も.訓練された中国兵,日本兵から成る何百万の軍勢の侵略に比べれば児戯に等しい。たちまちヨーロッパ艦隊は撃破され,ヨーロッパ連合軍は四散させられるだろう。ウィーン.ベルリン,ローマ,パリ,マドリード,ロンドンに日本の国旗が翻る。
やがてロシアもそれ以上,寒冷な気候と国土の広大さを盾に身を守ることができなくなり.アジア・ヨーロッパ全土が日本と化すだろう。
わずか1年ほど前,日本と中国の間に戦争が起きると思わせる理由もなく,中国は今後も隣国の小さな島国のかなう相手ではないだろうとされていたとき.ウルズリー卿はいっの日か中国が西洋式の軍隊編制を採用し,全ヨーロッパを侵略し得る国になる時が乗ると予言した。
日本が中国を完全に征服するようなことがあれば,ウルズリー卿の予言はたちどころに現実のものとなるかもしれない。日本のような小国が中国のように広大で人口の多い国を領有することは絶対にできない,などと言ってみてもむだだ。
人口4000万のイギリスが,何千マイルのかなたにある人ロ2億のインドを領有し統治し得ている以上,日本が.ほとんど目と鼻の距離にある中国を領有し統治することは確実に可能だ。 世界の版図が日本とアメリカの間で2分されるという予測は一見.歓迎すべからざるものに見えるだろうが,ヨーロッパが日本の支配下に置かれるようなことになっても悪いことばかりとは限らない。
その場合.ヨーロッパの戦争は終りを告げることになる。ローマの平和が地中海諸国にとって大きな祝福だったように,日本の平和もヨーロッパにとって大きな祝福となるだろう。ドイツとフランスとイタリアは,完全武装で互いに相手ののどに飛びかかる槻会をうかがいあうことがなくなるだろう。3国は共通の主人を持っことになり.その主人は,倒すべき敵がもういないから.平和を守るだろう。
日本軍が治安維持にあたり,ヨーロッパの民衆は兵役から解放された上,敵が攻めてくる心配もないので,安んじて日々の労働にいそしむことができるだろう。彼らを治める政府は,少なくともフランスの議会やイギリスの貴族院やロシアの皇帝による政府と同じくらい聡明なはずだ。ローマ法王はおそらくその地位を仏教の僧侶に奪われることに異議を唱え.カンタペリー大司教は儒教の賢人に席を譲るのを嫌がるだろう。
だが,現在ヨーロッパ各国政府の悪政という重荷と各国間の憎悪と不信感という重荷を背負わされている一般民衆は.しばらく時がたてば日本人を解放者と思うようになり,天皇の臣民の中でも最も忠実な臣民となるだろう。
関連記事
-
-
辛亥革命(1911年10月10日)百周年ー『孫文の辛亥革命を日本の新聞はどう報道したのか』①
辛亥革命(1911年10月10日)から百周年 ―逆転した今後の日中 …
-
-
日本リーダーパワー史(841)★☆(人気記事再録)『明治維新150年』★『日本人だけが忘れ去った世界的英雄/革命家としての西郷隆盛を再評価する』★『世界革命史に例のない<江戸城無血開城>を実現した西郷 隆盛、勝海舟の超リーダーシップを見よ』●『一個の野人・西郷吉之助を中心とし、一万五千の子弟が身命を賭して 蹶起し、うち9千人までも枕を並べて討死するとは、じつに 天下の壮観であります。』
日本リーダーパワー史(841) ★☆(人気記事再録)『明治維新150年』 &n …
-
-
日本リーダーパワー史(195)『真珠湾攻撃から70年―山本五十六のリーダーシップ』ー海軍大将・井上成美が語るー
日本リーダーパワー史(195) 『真珠湾攻撃から70年―山本五十六 …
-
-
◎<独創的人間はどのように誕生するのか>建築家のノーベル賞(プリツカー賞)を受賞した坂茂氏の会見(4/2-80分)
◎<独創的人間はどのように誕生するのか> 建築家のノ …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(259 )/「シュバイツァー博士(90歳)の長寿の秘訣」★「世界的チェロ奏者のパブロ・カザルス(96歳)」の「仕事が長寿薬
2015/03/08 /百歳学入門(104 …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(166)』『海外出張経費について、ロンドン市から返信あり!文字通り、舛添知事の豪遊とケタ違いだった』●『★小泉元首相インタビュー「原発ゼロやればできる!」「みんな安全って言ってたんだ。ほんと悔しいよ』●『多くの日本人が貧困に沈むのは、なぜなのか』
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(166)』 海 …
-
-
日本リーダーパワー史(219) <明治の新聞報道から見た西郷隆盛①> ―死しても愛された西郷隆盛が語るー
日本リーダーパワー史(219) <明治の新聞報道から見 …
-
-
速報(398)まとめ『3・11から丸2年になる』日本のメルトダウンの連載21回(4/12)―40回(4/24)までを振り返る』②
速報(398)『日本のメルトダウン』 ● <まとめ> …
-
-
速報「日本のメルトダウン」(521)●日本経済、2014年が正念場(英FT紙)○「シェールガス」バブルの崩壊は目の前」
速報「日本のメルトダウン」(521) ● …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ回想録②』★『パリ・ピカソ美術館編➅」《ドラ・マール》の傑作2点の明暗』★『ピカソの巨大な創作意欲は、彼の女性遍歴(5名)と密接不可分の関係にある』
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(117)』 &nb …
