前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

「Z世代のためのウクライナ戦争講座」★「ウクライナ戦争は120年前の日露戦争と全く同じというニュース⑨」「開戦1ゕ月前の『米ニューヨーク・タイムズ』の報道」』★『日本はいずれ国運をかけてロシアと戦わなければならず,シベリア鉄道がまだ十分に開発されていない現在が,勝てる可能性が高いと見ている』

   

 

   2017/08/19『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』㉗1903(明治36)1220日『米ニューヨーク・タイムズ』『ロシアと日本』

①この記事は『米ニューヨーク・タイムズ』の戦争報道の優れた論評である。日本のメディアの報道とは雲泥の差がある。
これまでのシリーズで紹介した関係各国のメディアの報道ぶりを比較しても、「タイムズ」「ニューヨークタイムズ」の報道が圧倒的に優れている。
②英米ジャーナリズムと、ロシア、日本、中国などの後進国ジャーナリズムの質、量の圧倒的な差である、各国の検閲制度には差があるが、それと闘いながらのジャーナリストとの取材力、事実への肉薄力、正確性、客観性、現場主義、的確な分析力、予測力、歴史力を含めたインテリジェンスに決定的な差を感じる。
④メディアにも軍事力、統治能力、国家戦略にもすべて共通したインテリジェンスが、国家の興亡を分ける。

ーーーーーーーーーーーー

<記事内容>

最近満州各地を訪れた旅行者たちはロシアの鉄道が同国の軍隊を東へ輸送するため限度いっぱいに操業していると伝えており,また同時に,ロシアはありったけの海軍部隊を北太平洋のアジア沿岸に派遣中との報道も流れている。

最近の情報によれば,ロシアはアジア艦隊増強のため地中海の海軍力をすべて引き揚げたという。

行動は言葉より雄弁であり,.こうした準備行動がとぎれも緩みもしていないことは,ペテルプルグや東京で外交官が公式に事態の平静を請け合っているのよりはるかに説得力がある。世界は戦争になりそうだと信じており,これほどの戦争の事態について憶測を避けることは不可能だ。

もちろん事前の憶測はすべて1度戦乱が起これば,往々にして覆るものだ。われわれは.最も慎重ながら,事前に下された結論が事実によって覆されたのをごく最近まのあたりにしたばかりだ。

情報に通じた観測者の大半は10年前、日本が中国を攻撃するなどは狂気のきただと思い,(日清戦争のこと)中国の方があらゆる資源,ことに数でまさっていることを指摘しただろう。だが,理論的には弱いはずの小国が理論的には強いはずの大国を海陸のすべての地点で打ち破った。

外部の干渉さえなければ,中国は勝者である日本の思うがままに征服されたはずだが,日本は戦争で予想外の手腕を発揮したのと同様,勝利にあたっても,予想外の賢明さを示してその要求を和らげたのだった。(三国干渉の受諾)

だがなおその後,ブール人がイギリスに対しあれほど頑強かつ長期の抵抗を見せるとは,だれも夢にも思わなかった。ブール側へ最後通告を発した後,ロンドン・タイムズ軌は,陸軍の1個軍団さえあれば,南アフリカ現地で徴募可能な不正規兵の援助を得て,十二分に鎮圧できると断言した。(ボーア戦争)

統計に示された両交戦者の能力比較を見る限りその予言は外れるはずがなかったが,実際にはいかに途方もなく的外れとなったか,だれもが知っている。

そこで,今回の場合も,似たような判断を慎まなければならない。

ロシア人は,自分たちの方がすぐれた人種だから,勝っに決まっていると言うだろう。だが巨大なロシア帝国は大いなる複合体である。そのすべての戦力が「コーカサス」人種だというわけではない。その大きな部分はコーカサス地方の彼方の出身者だ。

ナポレオンは「ロシア人を引っかけばタタール人が現れる」と言った。これを現代風に焼き直してラジャード・キプリング氏は「ロシア人は腕まくりしなければいいやつだ」と言うが,その意味はロシア人はヨーロッパ人よりアジア人に近いというものだ。

実際,ロシアが中央アジアの汗(イスラム)の諸国を同化し,ロシア文明の恩恵を与えるのに成功したのは,ロシア人の侵入者がアジア人に近かったり,アジア系だったりしたからだとよく説明されてきたものだ。

 物質的な比較では,ある海軍評論家が詳細な見積りを行い,数か月前,仮にロシアの全海軍が太平洋で任務に就いたとしても,日本が海軍力でまさっていると推定した。

地上軍ではロシアがもちろん圧倒的にだが,これはもしロシアが,日本より大きな陸軍部隊を,その根拠地からアジア帯に輸送して補給することによりその優を活用できればの話であって,一方日本,戦争がアジア本土で行われる場合でも、いわば地元で戦うことになる。

そして軍事評論家は,日本がアジアで攻撃的な戦争に出ても.ロシアの旅順とウラジオストクの南海軍基地に対し「内線」の利点を保持すことになると指摘する。

 だが,日本の満州侵攻も,ロシアの日本侵攻も,もちろん起こり得るとはいえ,戦争が起これば海軍力がこれを決定すると見られる。いずれにせよ朝鮮の争奪戦では海軍力の方がものを言う。そして朝鮮の支配権が実は肝心の問題なのだ。

日本はいずれ国運をかけてロシアと戦わなければならず,シベリア鉄道がまだ能力いっぱいに開発されていない現在の方が,後にそうなったときより.勝てる可能性が高いと一致して見ている。

また,ロシアが朝鮮において支配権取得という有利な地位に立っことに命がけで抵抗しなければならないという点でも一致しているようだ。

日本は,ロシアが満州において「特別の地位」を占めるのを認めるから.ロシアは日本が朝鮮で同様の地位を占めるのを認めよという立場であり,それが満たされない限り満足しそうにない。そしてロシアが誠意をもってそれを認めるという兆候はない。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本メルトダウン(932)『株価上昇を狙う日銀の政策に問題はないか》●『中国で日本式スーパー銭湯が大ブームになっている 年間100万人が殺到する上海』●『コラム:2016年後半、さらに悪いことが起きるのか』●『Appleの国内サプライヤー向け支出額は約3兆円 71万超の雇用を創出ーAppleと日本は互いに重要な顧客だ。』

 日本メルトダウン(932)   株価上昇を狙う日銀の政策に問題はない …

no image
日本の最先端技術「見える化」チャンネル-『最新の3次元CADがよくわかる動画』★『KODAMA CORPORATIONの「先進の3次元CAD Top Solid”7」のプレゼン』

設計・製造ソリューション展2018(6/21、東京ビッグサイト) -KODAMA …

no image
日本リーダーパワー史(148)『(資料)明治・大正の政治はどのような実態だったかー長州閥を打倒せよ』(永井柳太郎)

日本リーダーパワー史(148) 『明治・大正の政治はどのような実態だったのか』( …

no image
「集団的自衛権の行使」について、政府の安保法制懇座長代理の国際大学・北岡伸一学長の記者会見(2/24)90分

    「集団的自衛権の行使」について、政府の有識者会議「安 …

no image
 日本リーダーパワー史(241)空前絶後の名将・川上操六(29)「インテリジェンス」と『ロジスティックス』

 日本リーダーパワー史(241) 空前絶後の名将・川上操六(29) 1     …

no image
日本メルトダウン脱出法(738)「まれに見る「不仲」に終わった米中首脳会談】●「将来の海面上昇、90センチ以上に、NASA」●『グーグル検索で大統領選の結果も「操作可能」米研究」

   日本メルトダウン脱出法(738)   まれに見る「不仲」に終わった米中首脳 …

no image
高杉晋吾レポート⑩『滔滔たる利根川を高水数字と難解語が流る、?!八ッ場ダム珍百景「高水論争」』

高杉晋吾レポート⑩   『滔滔たる利根川を高水数字と難解語が流る、?! …

『東京モーターショー2017』-『トヨタ車体の宅配業者の働きやすいコンセプトカー』★『ISUZUのブースの出展車両ズラリ』★『ISUZUのデザインコンセプトカー「FD-SV」』

日本最先端技術『見える化』チャンネル  「第45回 東京モーターショー2017」 …

『Z世代のための百歳学入門(187)』★『「長崎の平和祈念像」を創った彫刻家・北村西望(102歳)の創造の秘訣』★『日々継続、毎日毎日積み重ね,創造し続けていくと、カタツムリの目に見えないゆっくりした動きでも、1年、2年、10年、50年で膨大なものができていくのだ。』

  2019/10/29  『リーダーシップの日本 …

no image
日本リーダーパワー史(834)(人気記事再録)『明治維新150年』★『日露戦争勝利の秘密、ルーズベルト米大統領をいかに説得したかー 金子堅太郎の最強のインテジェンス(intelligence )⑥』★『シベリア鉄道のおどろくべき秘密』●『ドイツ皇帝からの親書を金子が読む、大統領は親友だから見せないが、話すよ』●『日本海海戦勝利にル大統領 は大喜びして、熊皮を明治天皇に プレゼントした』

<日本最強の外交官・金子堅太郎⑥> ―「坂の上の雲の真実」ー 『日本海海戦勝利に …