『リーダーシップの日本近現代史』(162)記事再録/日本名人・達人ナンバーワン伝ー『イチローは現代の宮本武蔵なり』★『「五輪書」の「鍛錬」とは何か、鍛とは千日(3年間)の稽古、錬とは1万日(30年間以上)の毎日欠かさずの練習をいう』●『武蔵曰く、これが出来なければ名人の域には達せず』(動画20分付)★『【MLB】なんで休みたがるのか― 地元紙が特集、イチローがオフも練習を続ける理由』
2017/10/22『イチローと宮本武蔵「五輪書」の「鍛錬」の因果関係ー免許皆伝とは!!』
前坂俊之(ジャーナリスト)
新聞社に身を置いて半世紀、メディアの見方も大いに変わった。新聞第一面の政治、国際、経済などの魑魅魍魎(ちみもうりょう)のニュースよりも、勝ち負けのはっきりして結果の見えるスポーツが好きになった。
年をとると、自分の持ち時間が大いに気になる。メディアの接触時間もなるべく節約したい。テレビの番組も録画して、広告を飛ばし、早送りで見る。好きなスポーツ選手の活躍もYoutube動画で、活躍シーンだけを見る。MBA(米大リーグ)やサッカーの欧州リーグの日本選手の活躍ぶりもYoutubeに翌日にはハイライトシーンが入っており、ケイタイ、タブレットで楽しんでいる。
スポーツ新聞は見なくなった。
私はイチロー選手の昔からン大フアン。43歳(10月で44歳)になったマーリンズ・イチローが止まらない。今季は出場機会は少なく、代打で出る機会が多いが、9月中旬までの打率.262、出塁率.327を記録、代打安打数でも27本で両リーグトップを独走。ジョン・バンダーウォールが1995年に記録した28安打のメジャー記録にあと「1」と迫って10月2日、シーズンを終えた。
50歳まで現役続行を見据えているイチローはメジャー通算安打数で歴代21位のキャップ・アンソン(3081本)にも迫った。
『イチロー伝説』を続ける「まさに怪物」、「ハンド・アイ・コーディネーション」(打撃技術)の高さは”モンスター級”だと米野球専門家からも絶賛された。
天才・イチローはどのようにして生まれたのか。
イチロー(本名は鈴木一朗)は小学三年生から、一年間全く休まず、360日少年野球に明け暮れ、夜は父と近所のバッティングセンターで時速140キロのボールを打った。中学でも200球以上の打ち込みを毎日欠かさなかった。18歳でドラフト4位でオリックスに入団した。
「音楽の英才教育に一万時間」という法則 がある。―物心ついた幼児から一日3時間、10年間休むことなく稽古すれば、約1万時間の練習になる。ピアノやバイオリンの世界コンクールに入選する人の多くが、この手の若き音楽家である。イチローはこのスポーツマンの部類の天才といえる、
日本の武道をさかのぼれば、「生涯無敗伝説の宮本武蔵が『五輪書』で強調した「鍛錬」という言葉が思い浮かぶ。
『鍛とは千日(3年間)の稽古、錬とは1万日(30年間以上)の毎日欠かさずの練習』をさす。武蔵はこの「錬」を実践しなければ達人の域には達しない、いう。
イチローの野球道は日本刀をバットにかえた剣聖・宮本武蔵の『鍛錬』の実践と思う。
アメリカに乗り込み、シャトル、ニューヨーク、マイアミなどの自宅にはトレーニングマシーンを設置し、けがをしない柔軟な身体づくりと入念な筋肉ストレッチを毎日欠かさない。バッターボックスに入る前に必ずおこなうヒザの屈伸、足腰の筋肉のストレッチ、バットを垂直に立てる一刀流の構えのイチロー流儀は不変である。
イチローの人生哲学は
①シーズン休まず150試合に出場するように心がける。
②グローブその他の道具の手入れを丁寧に毎日欠かさない。
③ (打率でなく)ヒットを一本増やしたいとポジティブに考える。
④カレーライスを常食とする
⑤自分の持っている能力を活かせば可能性は広がる。
⑥打線が苦しいときには、守備とか走塁で流れをつくるのが野球の基本
⑦小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただひとつの道-などなど。
世界記録を作ることは超難しい。
その記録を伸ばすことはさらに難しい。それ以上に至難なのは10,20年と連続してトップを維持すること。肉体的には非力なイチローは「鍛錬、努力の40年継続」でベースボールの頂点に立った。彼の人生の不動の哲学は武蔵流の「鍛錬」で、天才バッターは努力の超人なのである。
来季、日本ハムの大谷翔平選手もMBAを目指すようだが、これまでの松坂、ダルビッシュ、田中その他の選手の多くは肘を故障しメスを入れ、ケガで選手生活を縮めた。
高校野球を含めて、日本の投手は投げすぎが原因とも言われている。ケガをしない入念な筋トレ、ストレッチこそが欠かせない。
日本のプロ野球選手の平均在籍期間は8.9年といわれる。ヤンキース・松井選手は38歳で現役引退、最高齢記録は中日の山本昌投手で50歳で出場・登板して現役生活を締めくくった。ヤンキースのジーター選手は40歳で引退した。
ところが、MBAにはすごい選手がいるもので、1965年に登板して3回投げてゼロに抑えたサチェル・ペイジ投手はなんと59歳で、これが歴代最高齢出場、引退の記録である。
これをみると、来期18年目となるイチローは50歳まで生涯現役プレーヤーを目指すといわず、その先もまだ続けて欲しい。
日本は「少子化・超高齢化社会」に突入、「生涯現役社会」の構築を目指しているが、高齢者の『寝たきり』『認知症』を防止しのためにも、筋トレ、体力作りにイチロー方式は広く応用できそうだ。
それと、もう1つスポーツで気になることがある。昭和以降で初という3横綱が初日から不在の大相撲は2大関も休場するピンチに陥ち入った。
体重増の力士が増えたこと、力士の稽古不足、筋トレ不足などが要因に挙げられている。MBA流の科学的なトレーニングが必要ではないかと思う。
『稽古をおこたれば、すぐに力は衰える。油断、慢心が最大の敵』との言葉は横綱大鵬が、朝青龍が26歳で20回目の優勝した時に、送った言葉である。
【MLB】なんで休みたがるのか― 地元紙が特集、イチローがオフも練習を続ける理由
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171021-00088948-fullcount-base
日本パワースポットの旅<剣聖>宮本武蔵の
独行歩の記念碑ー終焉の地の熊本・宮本武蔵公園で
『サムライの聖地」、宮本武蔵が『五輪の書』を
書いた霊厳洞ー熊本の岩戸の里にある
関連記事
-
-
『オンライン講座/百歳学入門』★『日本一の大百科事典を創るため土地、家屋、全財産をはたいて破産した明治の大学者(東大教授)物集高見(82歳) と長男・物集高量(元朝日記者、106歳)は生活保護の極貧暮らしで106歳まで長生きした長寿逆転人生とは①』★高見は「学者貧乏、子孫に学者は出さぬ」と遺言し、高量はハチャメチャ流転物語」
物集高見が出版した大百科事典『群書索引』『広文庫』 前坂俊之(ジャーナリスト) …
-
-
「Z世代のための『人生/晩節』に輝いた偉人伝』★『日本一『見事な引き際の『住友財閥中興の祖・伊庭貞剛の晩晴学①『「事業の進歩発達を最も害するものは、青年の過失ではなく、老人の跋扈(ばっこ)である。老人は少壮者の邪魔をしないことが一番必要である』★『老人に対する自戒のすすめ』
2010/10/25 日本リーダーパワー史( …
-
-
『Z世代のための日本最初の民主主義者・中江兆民講座④』★『中江兆民(53)の死に方の美学』★『兆民の唯物論とは「続一年有半」(無神・無霊魂)の現代訳では、以下になる」』 』
以下は『民権の獅子』日下藤吾著、叢文社、平成三年刊)による「続一年有半」(無神・ …
-
-
梶原英之の政治一刀両断(5)『休止原発は再開させられるのかー10年後の脱原発より、重大なことだー』
梶原英之の政治一刀両断(5) 『休止原発は再開させられるのかー10 …
-
-
『外紙」からみた『日中韓150年戦争史』(54)日清戦争の原因 『日本側の言い分』英紙「ノース・チャイナ・ヘラルド」
『中国紙『申報』や『外紙」からみた『日中韓150年戦争史』 日 …
-
-
人気記事再録/日本リーダーパワー史⑤ 明治以来、最高のリーダーは誰だ!?西郷従道だよ。
2016/04/05 …
-
-
日本の最先端技術「見える化」チャンネル-『最新の3次元CADがよくわかる動画』★『KODAMA CORPORATIONの「先進の3次元CAD Top Solid”7」のプレゼン』
設計・製造ソリューション展2018(6/21、東京ビッグサイト) -KODAMA …
-
-
Z世代への遺言「東京裁判の真実の研究②」★『敗戦で自決した軍人は一体何人いたのか』★『東京裁判ではA級戦犯の死刑はわずか7人、BC級裁判では937人にものぼり、下のものに圧倒的に重罰の裁判となり、「復讐の裁判」との批判を浴びた』★『戦陣訓』で、捕虜になるより自決を強制した東条英機の自殺失敗のお粗末、無責任』
『リーダーシップの日本近現代史』(124)ガラパゴス日本『死に至る病』 &nbs …
-
-
『オンライン講座/明治維新は誰が起こしたか』★『高杉晋作の国難突破力②』★『明治維新は吉田松陰の開国思想と、その実行部隊長の「高杉奇兵隊」(伊藤博文、山県有朋も部下)によって、倒幕の第一弾が実現した」★『英外交官パークスに自分のフンドシをプレゼントした高杉晋作の剛胆・機略縦横!、②』
2012/10/29 リーダーパワー史(33 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(47)記事再録/『異文化コミュニケーションの難しさ―< 『感情的』か、『論理的』かーが文明度の分かれ目>①『 STAP細胞疑惑問題にみる「死に至る日本病」』
2015/01/01月刊誌『公評』7月号―特集『実感 …
- PREV
- 『リーダーシップの日本近現代史』(161)記事再録/日中北朝鮮150年戦争史(6) 日清戦争の発端ー陸奥宗光『蹇々録』の証言②『頑迷愚昧の一大保守国』(清国)対『軽佻躁進(軽佻浮薄)の1小島夷(1小国の野蛮人)』(日本)と互いに嘲笑し、相互の感情は氷炭相容れず(パーセプションギャップ拡大)が戦争へとエスカレートした。
- NEXT
- 『リーダーシップの日本近現代史』(163)記事再録/『明治国家の影の大参謀・杉山茂丸は近世最大の怪物、怪人だよ!』☆『 茂丸の長男・夢野久作(作家)は『近代快人伝』の中で「茂丸はいつも右のポケットには二、三人の百万長者をしのばせ、左のポケットには伊藤、山県、児玉、後藤ら政界の大立者四、五人をしのばせて『政治は道楽だ』といいながら、自在自在にあやつった」』
