日本風狂人列伝(34) 元祖ス-ローライフの達人・仙人画家の熊谷守一(97歳)のゆっくり、ゆっくり、ゆっくり
画家は好きなことをやっているので長生きの人が多いし、奇人、変人ばかりといっていいでしょうが、その中でも極めつきが熊谷守一でしょう。熊谷守一は九十七歳で亡くなったが、早くから、「画壇の仙人」「超俗の人」「奇人画家」、伝説の人と呼ばれていましたね。子供が病気になっても、生活に困った時でも、絵を描いて金にかえるといぅことは出来なかった。秀子夫人や周囲から「なぜ絵を描かないか」と責められたが、守一は「四十年も過ぎた今になっても、胸のしめつけられる思いですが、あのころはとても売る絵はかけなかったのです」と自伝で回想している。
水飲み場があるので集まる鳥も昆虫も年中、バラエティに富む。生物多様性のある小宇宙であり、大自然でもある。熊谷は
暖かくなった時期には庭にゴザを敷き、木のまくらで昼寝をする。夏には木陰で休む、手製のパイプを吸いながら、ゴザの上で昼寝もしながら半日過ごす。何時間でも木々や葉々を眺め、鳥のさえずりに耳を傾け、地面に動き回る昆虫やアリの動きを画家の眼で見つめた。昭和四十二年、熊谷は文化勲章受章者に内定したが、断わってしまった。宮内庁が再三にわたって説得したが、「めんどうで煩わしい」と聞き入れない。「小さいときから勲章はきらいだったんですわ。よく軍人が勲章をぶらさげているのを見て、どうしてあんなものをべたべたさげているのかと思ったもんです」「欲しがっておられる方に差し上げてくださればよい」と最後まで固辞した。世間の損得などを超越して、無関心な熊谷は静かな日々は失われることを恐れ、無心に創作三昧の日々を選んだのである。
関連記事
-
-
『リーダーシップの日本近現代史]』(26)-記事再録/トラン大統領は全く知らない/『世界の人になぜ日中韓/北朝鮮は150年前から戦争、対立の歴史を繰り返しているかの連載⑶』ー(まとめ記事再録)日中韓異文化理解の歴史学(3)『日中韓150年戦争史の原因を読み解く』 (連載70回中、37-50回まで)
日中韓異文化理解の歴史学(3) 『日中韓150年戦争史の原因を読み解く』 (連載 …
-
-
<屁(おなら)のような昭和史>浜口雄幸、吉田茂
2007年6月10日、 雑誌「本」に掲載 …
-
-
『オンライン講座/最強のリーダーシップの研究 ⑪』★『児玉源太郎の電光石火の解決力⑦』★『日英同盟によって軍艦購入から日本へ運航まで、英国は日本を助けて、ロシアを妨害してくれたことが日露戦争勝利の要因の1つである』
2017/06/04 日本リーダーパワー史(820)記事再録『日清、日露戦争に勝 …
-
-
日本リーダーパワー史(430)★「山本太郎の<平成天皇手紙事件>を見て、日本の民主主義政治社会はどこまで、成熟したのか
日本リーダーパワー史(430) …
-
-
『Z世代のための日韓国交正常化60年(2025)前史の研究講座③」★『井上角五郎は苦心惨憺、10ゕ月後に朝鮮で最初の新聞「漢城旬報」を発行』★『清国から西洋思想、日本の宣伝機関である、「井上角五郎を誅戮せよ」と非難、攻撃された』
苦心惨憺、10ゕ月後に朝鮮で最初の新聞「漢城旬報」を発行 http://ja.w …
-
-
『Z世代のための明治大発展の国家参謀・杉山茂丸の国難突破力講座⑧』★『杉山茂丸と玄洋社、頭山満の国難突破力3重奏』
●杉山茂丸と玄洋社について 夢野久作はその著「近世快人伝」中の「杉山茂丸」の項に …
-
-
近現代史の重要復習問題/知的巨人の百歳学(158)-『渋沢栄一(91歳)の国民平和外交を潰した関東軍の満州事変の独断暴走が、日本を破滅(戦争)の道へ陥れた。この4ヵ月後に渋沢は亡くなった』
近現代史の重要復習問題/知的巨人の百歳学(158) 明治、大正、昭和で最高のトッ …
-
-
『Z世代への昭和史・国難突破力講座②』★『アジア・太平洋戦争で全面敗北した軍国日本(1945年)は、戦後一転し「平和経済国家」を目指し、奇跡の高度成長を遂げ米国に次ぐ経済大国にのし上がった』★『鈴木貫太郎、吉田茂、田中角栄、松永安左衛門、田中角栄、松下幸之助らの国難突破バトンリレーが成功』★『『吉田茂と憲法誕生秘話①ー『東西冷戦の産物 として生まれた現行憲法』『わずか1週間でGHQが作った憲法草案』①』
『東西冷戦の産物としてのマッカーサー憲法 前坂 俊之(静岡県立大学名誉教授) < …
-
-
最高に面白く、やがて悲しくなる人物史⑪『日本風狂人伝⑦ ー アル中、愚痴の小説家の葛西善蔵』
2009/06/23 ・日本風狂人 …
