前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(236)-『 ムハンマド皇太子の今後の進退には全世界の注目が集まっている』★『皇太子の任命権者サルマン国王と同盟国米国のトランプ大統領は現時点ではMBS(皇太子)の罷免に消極的であり、事態がこのまま推移すれば、政変になる可能性は少ない、と思われる』

   

F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(236)

 

今 世間の耳目を集めているカショギ氏事件とムハンマド皇太子の進退についてまとめてみました。
サウド家のアラビアですから、人民も土地もサウド家の持ち物という事でしょうか?究極的には首長には人民の生殺与奪の権利があるのでしょうね? 膝下の秘密警察を使って周囲に全く分からないように殺人、拷問などの悪事を好き勝手にやっているのがサウジアラビアという印象です。
巨大な石油利権に群がる王家一族は、corruption汚職まみれで既得権を貪る反改革の岩盤層です。ムハンマド皇太子は「MBS」とも呼ばれる。王族ではMBS以外は全て反対派という中で、政治改革、経済改革を実行するにはやはり狂気が必要でなのか?

独裁者に反抗する国民を国内で秘密裏に抹殺する政治習慣を、勢い余ってアメリカ、トルコの監視する国外で実行してしまった狂気の内弁慶の失敗が今回の事件です。
    

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-46078961

https://www.bbc.com/news/world-middle-east-46222337

https://www.jpost.com/Opinion/President-Erdogan-and-the-Khashoggi-killing-571145

https://www.bbc.co.uk/news/world-europe-46183630

    https://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-46222337

    10/2 、 サウジのジャーナリスト、カショギ氏がトルコのサウジアラビア総領事館で殺害された事件は、

1)サウジ政府の国内体制、サルマン国王=ムハンマド皇太子(MBS)の改革路線、長年の石油依存からハイテク傾斜への新産業構造創出などに、中止と後退を促し兼ねない情勢の流動化をかもししつつある。

サルマン国王は、国内の反MBS勢力の伸張を抑えるため、実弟で元内相のアハメド王子を英国から呼び戻し治安の劣化、国民からの不信感の増殖を防いでいる。

11/15 、サウジ検察は、実行犯とみられる容疑者11人を起訴しこの内犯行を指示した5被告には死刑が求刑された。MBS等王室上層部の関与は否定され、殺害を命じたのは現場指揮官であると結論づけ、口封じと早期の幕引きを図っている。

自国のイスタンブールで不法かつ残忍な殺害事件をおこされたトルコのエルドアン大統領は、サウジサルマン国王以外の最高権力者の殺害指示があったと、現場音声の公開と合わせて、しつように繰り返しMBSの殺害指示を内外に喧伝しており、これは米国滞在中の政敵ギュレン師の送還、そしてサウジGCCによるカタール制裁の停止をも狙っていると指摘されている。

2)仮にムハンマド皇太子(MBS)の失脚があれば、それはサウジ国内の超保守勢力の再興をかもし彼等がムハンマドの政策を全て放擲する事に繋がるだけでなく、サウジをスンニ派とする湾岸協力機構 (GCC)の結束とイランとの対抗関係や、サウジのムハンマド皇太子とトランプ米国大統領の娘婿で上級顧問、ユダヤ人のクシュナー氏との個人的な関係も寄与して急速に改善しているイスラエルとGCCの関係などに極めて深刻かつ甚大な影響を及ぼす。

イスラエルのネタニャフ首相は、「ムハンマド皇太子の失脚は、サウジ+GCC +イスラエルによるイラン包囲網が空中分解する」とトランプ大統領に再三にわたり、サウジへの制裁圧力をゆるめるよう要請している。

MBSの退陣を望んでいるのは、スンニ派が主導しイスラムの盟主を標榜するサウジの弱体化を望む宿敵シーア派イラン、オスマントルコの再興を目指して中東における影響力の拡大を企図するエルドアンのトルコ、GCC各国から国交断絶(国境封鎖)を受けてもなお平静を保つ金満国家カタールであり、

MBSの失脚を何としても避けたいのは、同盟国サウジと協力し大規模で長期のイラン制裁を企図する米国。ムハンマド皇太子との友好関係を通じて宿敵イランの膨張を阻止したいイスラエルである。

ムハンマド皇太子の今後の進退には全世界の注目が集まっている。

上記の各紙の論調は、いずれも予断を許さないとしているが、MBSの任命権者サルマン国王、国王への影響力が最も大きいとされる同盟国米のトランプ大統領、この両者は現時点ではMBSの罷免に消極的であり、事態がこのまま推移すれば、政変になる可能性は少ないと思われる。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
★「ストップ・ザ温暖化で地球を救え、人類を救え!」ー国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPPC)は「温室効果ガス増加による人類の未来は今後数年の対応によって決まる」と声明』★『海が想定の1.6倍も熱を吸収していたことが判明、地球温暖化への取り組みの見直し』

  国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPPC)は「温室効果ガスの …

知的巨人の百歳学(151)人気記事再録/日本経営巨人伝⑤・伊庭貞剛(79歳)ー明治期の住友財閥の礎・住友精神を作った経営者』★『明治33年(1900)1月、伊庭は総理事へ昇任したが、この時、「四つの縛りつけ」を厳重に戒めた。 ① しきたりとか、先例に従えといって、部下のやる気に水を差すな ② 自分が無視されたといって、部下の出足を引っ張るな。才能のない上役ほど部下がいい仕事をすると、逆に足を引っ張ったりする ③ 何事も疑いの目で部下を見て、部下の挑戦欲を縛りつけるな ④ くどくど注意して、部下のやる気をくじくな。

日本経営巨人伝⑤・伊庭貞剛(79歳)ーー明治期の住友財閥の礎・住友精神を作った経 …

no image
日本メルトダウン脱出法(891)『トランプ氏、支持率逆転 対クリントン氏で米世論調査』●『安倍政権を支える右翼組織「日本会議」の行動原理【DOL】』●『「日本大好き」な保守系の国民は本当に増えているのか?』●『日本の中国嫌いが徒に?潜水艦売り込み失敗の真相【DOL】』●『中国のネット検閲、実態は…2015年「微博」から削除された書き込みトップ5』

日本メルトダウン脱出法(891)   トランプ氏、支持率逆転 対クリン …

no image
速報(274)『日本電気産業の凋落』★『世界に“周回遅れ”の再生可能エネルギー』●『ドイツ経済はなぜ絶好調なのか』

速報(274)『日本のメルトダウン』   ◎『日本電気産業の凋落浮き彫 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(190)記事再録/『忘れられたユーモアある哲人政治家・田淵豊吉―太平洋戦争中に東條英機首相を批判した反骨でならし『世間では仙人と呼んでいるが、わしはカスミの代りに飯を食い酒も飲む、だから半仙人とでもしておこうか、と大笑い』

  2010年9月7日日本リーダーパワー史(92)記事再録 &nbsp …

★『大爆笑、メチャおもろい日本文学史』⑤『アイヌ「ユーカラ」研究の金田一京助はメチャおもろい』講義は人の3倍の情熱、純情一直線の金田一先生』

  2016/02/21 『大爆笑、メチャおもろい日本文学史 …

no image
『 オンライン講座/東京五輪開幕』★『連日、新競技のスケーボー女子で西矢椛(13歳)が日本最年少での金メダル、スケボー男子では堀米雄斗(22歳)も金メダル、柔道の阿部兄妹の金メダルというメダルラッシュに沸いた。』★『2019年の課題」-『平成30年は終わり、老兵は去るのみ、日本の未来は「Z世代」にたくそう、若手スポーツマンの活躍を見ればわかる』

  東京五輪が7月23日に開幕した。 いざフタを開けると開会式が56. …

『オンライン講座・日中韓異文化理解の歴史学(4)』日中のパーセプションギャップ、コミュニケーションギャップの深淵』★『(日清戦争開戦1週間前ー「戦いに及んでは持久戦とすべきを論ず」(申報)』

オンライン講座日中韓異文化理解の歴史学(4)   2014/09/09 …

『Z世代のための<日本政治がなぜダメになったのか、真の民主主義国家になれないのか>の講義④『憲政の神様/尾崎行雄の遺言/『太平洋戦争敗戦で政治家は何をすべきなのか』<1946年(昭和21)8月24日の尾崎愕堂(96歳)の議会演説ー新憲法、民主主義についてのすばらしいスピーチ>』 

『オンライン/日本興亡史サイクルは77年間という講座②』★『明治維新から77年目 …

no image
『5年前の記事を再録して、時代のスピード変化と分析ミスをチェックする』-『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか④』ー『日露戦争と違って出口戦略がなかった太平洋戦争の大敗北』★『今も同じ-出口戦略なし財政再建/日銀マイナス金利の失敗政策』

2013年6月12日 2018年「日本の死」を避ける道は あるか–日 …