前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

世界/日本リーダーパワー史(900)ー何も決められない「ジャパンプロブレム」を変革する大谷選手の決定力 /最速王―「日本人の歩みは遅い」と批判した ハリルホジッチ前監督は解任」★『日本は当たり前のことさえ決めるのに15年はかかる』(キッシンジャー)』

      2018/05/19

「ジャパンプロブレム」を変革する大谷選手の決定力、

スピード最王―「日本人の歩みは遅い」と批判した

ハリルホジッチ前監督

            

大谷投手は4月24日(日本時間25日)、敵地ヒューストンで行こなわれたワールドシリーズ覇者アストロズ戦に先発。5回1/3を投げ6安打4失点で3勝目はならなかったが、メジャー移籍後最速となる時速101マイル(162・5キロ)を記録、メジャーの先発投手で今季最速を更新した。

大谷は「メジャー最速王」敵地どよめく2球https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/201804260000110.html
大谷は完全休養でリカバリー 29日マー君と対決
https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/201804260000039.html

 

この間、大谷フィーバーは続き海外メディアの報道では新たな視点からの仰天の賛辞が続いている。

「大谷翔平はレオナルド・ダ・ヴィンチという新説」「スポーツ・イラストレイテッド誌電子版)によると、「世界中で職業の専門化が進んでいるようにメジャでも、選手の分業制が極度に進んでいる。

大谷はルネッサンス期に絵画、彫刻、建築、工学などの天才芸術家だった「レオナルド・ダ・ヴィンチ」に匹敵する存在として「メジャーリーグ版の燦然と輝くダヴィンチである」とまで評した。

野球、サッカーとも盛んなメキシコ紙「エル・ディアリオ・デ・フアレス」電子版では「メッシは世界の外、大谷は太陽系外の怪物?」の見出しで「クリスティアーノ・ロナウドはワールドワイドな怪物、リオネル・メッシはこの世界の外側の怪物」とのサッカー界の2大スターと比べて「オオタニは太陽系外の怪物だろうか?」と投打走で大活躍するそのポテンシャルに驚いている。

解任されたハリルホジッチ前監督は「日本人の歩みは遅い」と批判。

以上のように連日、大谷選手の話題が日本、世界中をにぎわせている。一方で、サッカーワールドカップ開催2か月前に突然、解任されたハリルホジッチ前監督が4月21日に来日し、涙ながらに「名誉を取り戻すために戦う」と語っているのが、目を引いた。

来日前にハリル氏はクロアチアの新聞に「日本人の歩みは遅い」との独占インタビュー記事が掲載された。それによると、「経済的に世界で最も強い国の一つで安定した国として、日本はサッカーにもっと投資しなければならないと、私は口酸っぱく言ってきた。

多くの日本より貧しい国、小さな国が、ある点で先に進んでいる。日本人の歩みが遅いので、私は若い選手の育成から、その先のことも彼らに注意してきた」

ハリル氏は「日本に勝つ文化を植え付けたい」と強調して「そのためには精神面とコミュニケーション、同時に体調を101%にすることだ」と攻撃的なスピードサッカーを指導してきた。

しかし、『守り主体のスローモーなパスサッカーの日本』を変えることが出来なかった。このため、予選では得点力不足、決定力不足、けが人続出の体力不足に泣かされ最後の最後まで苦戦した。

この選手の個人技不足とハリル流の指導力のミスマッチが今回の解任劇の原因ではないかと思う。

スローモーすぎる「ジャパンプロブレム」(日本問題)

キッシンジャーは『日本は当たり前のことさえ決めるのに15年はかかる』と評した。

大谷選手の活躍と「日本サッカーの問題点」が「ジャパンプロブレム」(日本問題)に直結している。

大谷選手は今や世界的なスターとしてデビューした。ではスターとは何か。結果を出す人である。それによって空に輝く星のような希望と夢を与える人をいう。

二刀流でメジャーリーグに挑戦し、前人未踏の結果をすぐに出したために、大谷は一躍世界に輝くスターとなった。一方、ハリル前監督は大会2ヵ月に迫ってもついに結果しか出せなかったために解任となった、のである。

これを「「ジャパンプロブレム」に拡げて考えてみる。かつてのベストセラーのカール・ウォルフレン著「人間を幸福にしない日本というシステム」(1994年)によるまでもなく、日本の(死)ステムは『ガラパゴスジャパンシンドローム』である。

キッシンジャーは『日本は当たり前のことさえ決めるのに15年はかかる』と評したが、日本全体がスローモー行動力で、決定力に欠ける。伝統的・保守的な体質が根強く、自己改革ができず、総合的で合理的・科学的な思考力が欠如している、と思う。

キッシンジャーは『日本は当たり前のことさえ決めるのに15年はかかる』

国会では憲法改正問題を1945年の敗戦以降70年にわたってえんえんと論議を続けて未だ『会議は踊る、されど決せず』状態である。

現在進行形の森加計問題も3年にわたって「証拠を出せ、出さない」と『小田原評定中』で国会はストップしている。本来の政治家は国会で論議すると同時に政策の決定、結果をすぐ出す人でなくてはならないはずだ。

結局、結果よりもプロセス重視のガンバレ、がんばりますのガンバリズム(我慢主義)、猛練習主義、個人力でなく集団主義で「和」を尊ぶ、実力よりも学歴主義、年功序列、閉鎖的体質などなどの「ガラパゴスジャパン」からいまだに改革できていない。

その結果、過去20年間でGDP(国内総生産)や経済、その他の国際競争力は低下の一途で、先進国では最低ラインに落ち込んでいる。

大谷の陰でパドレスに入った下手投げの牧田和久投手は、日米野球の違いは「皆、楽しんでいる、日本だとピリピリして精神的に疲れちゃう選手も多い」という。

ちなみに、2018年の「世界幸福度ランキング」(世界155カ国)を見ると、シンガポール(26位)、タイ(32位)、台湾(33位)、マレーシア(42位)、日本は51位で、アジアで5位となっていた。

 - 人物研究, 現代史研究, IT・マスコミ論 , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
●リクエスト再録記事『日本インテリジェンスの父』『日本リーダーパワー史(331)空前絶後の参謀総長・川上操六(44)鉄道敷設,通信設備の兵站戦略こそ日清戦争必勝のカギ

日本リーダーパワー史(331)空前絶後の参謀総長・川上操六(44)鉄道敷設,通信 …

 片野 勧の衝撃レポート⑥「戦争と平和」の戦後史⑥『八高線転覆事故と買い出し』死者184人という史上最大の事故(下)■『敗戦直後は買い出し列車は超満員』▼『家も屋敷も血の海だった』★『敗戦直後、鉄道事故が続発』●『今だから語られる新事実』

  「戦争と平和」の戦後史⑥   片野 勧(フリージャーナリスト) 八 …

『日中台・Z世代のための日中近代史100年講座③』★『宮崎滔天の息子・竜介(1892―1971、弁護士)による「孫文回想記」』★「1966年11月12日、朝日新聞講堂での孫文先生生誕100年記念講演の抜粋』★「現代中国と孫文思想」(岩村三千夫編 講談社、1967年刊に掲載)

  2010/06/25    …

『オンライン講座/日本興亡史の研究 ⑭ 』1904年(明治37)/2/4日、日露戦争を決定する御前会議が開催』★『明治天皇は苦悩のあまり、10日ほど前から食事の量が三分の一に減り、眠れぬ日が続いた』★『国難がいよいよ切迫してまいりました。万一わが軍に利あらざれば、畏れながら陛下におかれましても、重大なるご覚悟が必要のときです。このままロシアの侵圧を許せば、わが国の存立も重大な危機に陥る(伊藤博文奏上)』

2017/07/22  「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパ …

no image
速報(162)『日本のメルトダウン』ー『日本の温泉の魅力を脅かす中国の温泉ブーム 』『日中民間外交―知るほどに募る互いへの不安』

速報(162)『日本のメルトダウン』   ◎『日本の温泉の魅力を脅かす …

no image
安倍<多動性外交>の行方は(1/31)「靖国参拝・ダボス発言は成功か失敗か」「NHK新会長「従軍慰安婦発言」動画座談会(70分)

 日本リーダーパワー史(471 )   <安倍<多動性外交? …

no image
世界リーダーパワー史(928)-『「アメリカ・ファースト」から「トランプ・ファーストへ」」★『トランプの仕掛ける世界貿易戦争勃発』、第一ターゲットは対中国、第2ターゲットはEU・NATO同盟国、日本も第3ターゲットに?』★『1945年後の米国1国支配の国際秩序の崩壊へ』―「トランプ・ファースト」へ

  米中貿易関税戦争勃発―「トランプ・ファースト」へ コミー前FBI長 …

『Z世代への日本リーダーパワー史』『 決定的瞬間における決断突破力の研究 ②』★『 帝国ホテル・犬丸徹三は関東大震災でどう対応したか②』★『関東大震災でびくともしなかった帝国ホテルの建築』★『焼失した各国大使館、各メディアは帝国ホテルに避難して世界に大震災の情報を送り続けた』★『フランク・ロイド・ライトは世界的な名声を得た』

犬丸は語る。 「最初の晩は、火事が心配であった。次の夜は、暴徒の侵入が恐ろしかっ …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(174)記事再録/★『三浦雄一郎氏(85)のエベレスト登頂法②』『老人への固定観念を自ら打ち破る』★『両足に10キロの重りを付け、これに25キロのリュックを常に背負うトレーニング開始』★『「可能性の遺伝子」のスイッチを決して切らない』●『運動をはじめるのに「遅すぎる年齢」はない』

    2018/12/04 /知的巨人の百歳学( …

『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(102)』「パリぶらぶら散歩」②モンパルナス地区のカラフルでアートな商店街を楽しむ

  2015/05/11   記事再録 …