★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日英同盟はなぜ結ばれたのか」➂ 1902(明治35)年2月14日『英タイムズ』-『日英同盟の意義』●『日英同盟がイギリス植民地、米国で受け入れられたことは,極東,太平洋と南洋全域,進歩を阻んできた嫉妬と誤解を解消していく。』★『中国に味方する者の多くは,日本は革命国家で,わけのわからぬ,他人に言えぬ意図を秘めた国家と見てきた。だが、日英同盟にそうした警戒感は消えていくだろう』
2016/12/01
★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」-
「日英同盟はなぜ結ばれたのか」➂
1902(明治35)年2月14日『英タイムズ』–日英同盟の意義』
➀日英同盟がイギリス植民地と合衆国で受け入れられたことは,極東において,太平洋と南洋全域において,進歩を阻んできた嫉妬と誤解を徐々に解消していくだろう。
②中国に味方する者の多くは,日本は革命国家で,わけのわからぬ,他人に言えぬ意図を秘めた国家と見てきた。だが、日英同盟にそうした警戒感は消えていくだろう。
➂中国におけるイギリスの通商の利益はすべての他国をはるかに超える。日本はどの西洋国家よりも,中国人の性格と生活状態をよく理解している。
極東における英日両国の共通の利益の安全を保障するための両政府の協約が遅滞なく議会に提出され,両院において,その効力と国論の一致に疑問を残さないよう審議されたのはまことに結構なことだ。
外務次官が咋日、甲上院に入ると大きな拍手と歓声で迎えられたが,これはいっもば落ち着いた上院ではきわめて異例の感情表現だった。
議案が.半世紀近くにわたり形成されてきた.わが国にとっては最も重要な同盟の締結とあっては.この種の感情的行動も,まさに無理はなかった。ローズべリ卿の演説は.その政治経歴と,外務省で支配的な影響力をふるっていた際に実行しようとした原則にぴたり一致するものだった。卿は条約に「虚心に」好感を持ったと第一印象を述べて,政府が日本とこの了解に達したことに祝意を表した。
これがもっと早くできなかったことが,まさに卿の唯一遺憾とするところのようだった。下院では野党の正面席からやかましい批判がなされたが,ローズベリ卿の賛成の方がはるかに大きな価値がある。
野党の批判も二義的な細かい点に限られていた。下院の野党党首は「今後の政策の主要点については,相当の意見一致があると思う」と述べた。
サー.ヘンリー・キャンベルツヾナーマンやサー・ウイリアム・ハーコートの熱烈な支持者がどこにいるかは別として,彼らとて,両氏が国際政治の権威として優秀だと強弁はしないだろうし,ランズダウン卿が尽力しローズベリ卿が歓迎したこの条約の細目に両氏が同意しないからといって,大勢に深刻な影響はあるまい。
サー・エドワード・グレーが討論に参加できなかったのは残念だった。
サー・キャンベル=バナーマンの批判は,あちこちに注文をつけ,われわれは条約の責任を一切負わずに,その利点だけ独り占めにしてよかろうという示唆を行う以上のものではなかった。こうしたことは,
ローズベリ卿の支持や,それに加え,ジョゼフ.ウォルトン氏のような極東通の自由党議員の温かい賛成に比べれば,比較する価値もない
サー・ウイリアム・バーコートは,一方で.われわれは日本と深く結び過ぎるのではないか,他方で.われわれはもし日本が1国のみに脅かされた場合は,助ける義務を負うべきではないかなどと質したが,これについては,英日両国は,こうして,予想し得るすべての困難を拡大視するなら.どんな国際的約束もできないと言い出すだろう。
英日協約は,両国およびわが植民地で熱烈に歓迎され,イギリスの政策を警戒視する.諸国においてすら,公平な容認を受けてており.これが両締約国にとってどの程度の不利になるかという問題は,論議の必要がない。
議会動議とともにこの間題を持ち出したノーマン氏は,日本は極東以外においてはイギリスと共通の利害を持たないのに反し,イギリスはその利益のため,世界中で他の諸大国とかかわりがあると論じた。この懸念は野党側の演説にも表れていた。
だが事実として,対日了解の主たる利点の1つは,日本が極東以外での利益対立のために,イギリスの政策への誠意ないし忠実を弱める恐れがないということだ。われわれが極東において日本と同盟しながら,日本のその他の場所の利益を考えずに済むのは.そういうものが存在しないからだ。
もし,わが隣国ドイツがほのめかすように-彼らはその点でわれわれをあざけることなどできないはずだ-われわれが「ヨーロッパ大陸の剣」を確保することを望んだとしたら,日本相手のようにはいくまい。
「大陸の剣」は,われわれが日本を信用するように他国を信用できたなら,手に入れていたかもしれない。
問題の反対側,つまり協約のもとで.日本がもし1国のみの攻撃の危険にさらされた場合,安全保障があるのか,という点については,サー.ウイリアム・バーコートは理解して
いないようだが,条約の義務とは全く別に,どんな国も友好国が困ったときには,これ
を助ける権利があるという以上に付け加える必要はない。
もとより,そうした援助への請求権には,法的な根拠はなかろうが,この協約で英日両国が主張している利害の一致によってそれが大いに強化されるに違いない。
それは時のたつほどに,また両国が互いの利益のために力をふるうほどに,発展することは確実だ。この同盟は,極東における通商の自由と門戸開放政策のために,また中国が,その最も有能で開明的な人々によって近代的進歩の本流に身を投じるのを妨げている勢力から同国を救うために.役立つはずだ。
英日協約が,両国だけでなく,イギリス植民地と合衆国においても受け入れられたことは,極東において,またオーストラリアの首相がいみじくも認めるように,太平洋と南洋全域において,進歩を阻んできた嫉妬と誤解を徐々に解消していくだろう。
中国に味方する者の多くは,これまでは,日本は革命国家で,わけのわからぬ,他人に言えぬ意図を秘めた国家と見てきた。だが日本がその政策を,イギリス政府の保守的な目的に連結した以上,そうした警戒感は消えていくだろう。
中国におけるイギリスの通商の利益はすべての他国をはるかに超える。日本はどの西洋国家よりも,中国人の性格と生活状態をよく理解している。
かくて,異なった面から中国問題に密接にかかわっているこの両国は.今や目的と行動において団結し,しかも極東海域で物理的な力の圧倒的優位を握るのだ。
イギリス外交の表面的なためらいに元気をなくしてきた中国の改革派は,これからは安心するだろうし,彼らも日本不信をすでに捨てたから,近く実質的な進歩が見えるものと期待してよかろう。
また同時に,オーストラリア連邦のパートン首相が,この新しい同盟こそ,戦争になっても,どこの外国政府からも海軍の攻撃を受けることはないという,当座だけでなく,事実上絶対的な保障に大いになるだろうとして,これに絶大な歓迎を寄せていることにも.留意してしかるべきだ。
オーストラリア国民は,母国の政府の外交のこの成果に注意して,大英帝国の海軍の建設に応分の寄与をするとともに,国内立法においては.イギリスが同盟者として歓迎するところの,活力と進歩に富んだ国民の,正当な感受性にしかるべき配慮をするがよかろう。
関連記事
-
-
『ウクライナ戦争に見る ロシアの恫喝・陰謀外交の研究④』★『明治最大の敵国<恐ロシア>に対して、明治天皇はどう対応したか』(2) 大津事件で対ロシアとの戦争危機・国難(日露戦争)を未然に防いだ 明治天皇のスピード決断、突破力に学ぶ(下)
2019/09/21 『リーダーシップの日本 …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(151)』★『わがメモアールーイスラエルとの出会い、Wailing Wall , Western Wall 』(嘆きの壁)レポート(1)
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(151)』 『F国際ビジネス …
-
-
『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』ー「2020年4月,米欧から遅れること1ヵ月.日本は「平時から非常時へ」,「知られざる敵との第3次世界大戦に参戦した。第2次世界大戦(太平洋戦争)の愚かな戦争ではなく、「ITデジタルスマート戦争」にする必要がある』
コロナパニックと緊急事態法発令へ 前坂俊之(ジャー …
-
-
『 地球の未来/世界の明日はどうなる』ー『トランプ大統領は認知症なのかどうか』★『レーガン元大統領はアルツハイマー病を告白した』★『認知症ではないが、アルコール中毒の病歴があったブッシュ大統領(第43代)』
CNNは1月15日、「トランプ米大統領は認知症ではないのか」と米、 …
-
-
日中韓150年三国志―尖閣問題のル―ツの研究(パーセプション・ギャップ)―尾崎咢堂の「『朝鮮(韓国)は助けて、支那(中国)は討て』②
<日中韓150年三国志―尖閣問題のル―ツの研究> 『日清戦争勃発に至 …
-
-
日本の最先端技術『見える化』チャンネル★5『TOKYO GAME SHOW 2016』(『東京ゲームショウ2016』(9/15-18)の全ブースを動画紹介、SHOW UP!②
日本の最先端技術『見える化』チャンネル 『東京ゲームショウ2016』(9/15 …
-
-
『Z世代への昭和史・国難突破力講座⑰』★『アジア・太平洋戦争下」での唯一の新聞言論抵抗事件・毎日新聞の竹ヤリ事件の真相」★『森正蔵「挙国の体当たりー戦時社説150本を書き通した新聞人の独白」(毎日ワンズ、2014年)の勇気ある記録』
「アジア・太平洋戦争下」の唯一の言論抵抗事件・毎日新聞の竹ヤリ事 …
-
-
『オンライン/鎌倉カヤックーカワハギ釣りバカ日記』(2012/10/27)★『10年前の鎌倉海は<豊穣の海>だった』★『「コツ」「カキン、グイッ」と一閃居合い釣り』★『鎌倉カヤックフィッシングー稲村ガ崎へパドル1万回、筋肉マン誕生だよ』
鎌倉カヤックーカワハギは「コツ」「カキン、グイッ」と一閃居合い釣り •2012/ …
-
-
『Z世代のための最強の日本リーダーシップ研究講座㉛」★『第ゼロ次世界大戦の日露戦争は世界史を変えた大事件』★『勝利の立役者は山本海軍大臣と児玉源太郎陸軍参謀長、金子堅太郎(元農商務大臣)のインテリジェンスオフィサーです』
2019/10/19 『リーダーシ …
-
-
速報「日本のメルトダウン」(519)東京都知事選に脱原発めざし「細川・小泉元首相タッグコンビ」が出馬か、大歓迎する。
速報「日本のメルトダウン」(519) ★☆ …
- PREV
- ★『2018年は明治150年』- (記事再録)明治偉人の研究』『西郷どん』の『読める化』チャンネル ④』 ◎『金も名誉も命もいらぬ人でなければ天下の偉業は達成できぬ』●『坂本龍馬は「西郷は馬鹿である。大馬鹿である。 小さくたたけば小さく鳴り、大きくたたけば大きく鳴る]と。』●『一個の野人・西郷吉之助を中心とし、一万五千の子弟が身命を賭して 蹶起し、そのうち9千人までも枕を並べて討死するとは、じつに 天下の壮観であります。』 『情においては女みたいな人ですからね』(大久保の西郷評)』★『江戸城無血開城を実現した西郷 隆盛、勝海舟のウルトラリーダーシップ(大度量)』
- NEXT
- 日本メルトダウン( 968)『黒田日銀総裁の「敗北宣言」は新たな戦いの始まり 「真珠湾」の奇襲で日本経済は回復しなかった』●『中国の歴史:虚無主義と戦う習主席 (英エコノミスト誌 2016年10月29日号)』●『国際舞台で派手に転ぶ中国人投資家 驕りにかけては欧米並み、買収計画が相次ぎ頓挫 (英FT紙 2016年10月31日付)』●『大前研一の特別講義「大卒に特別な価値はない。世界教育動向と進む学歴インフレ」』●『 イタリアの避難所に簡易個室 建築家の坂茂さんが実演』
