前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日中北朝鮮150年戦争史(14)日清戦争の発端ー陸奥宗光の『蹇々録』で読む。日本最強の陸奥外交力⑦『朝鮮農民の置かれた状態はどうだったのか?』→『貪官汚吏の苛欽誅求(きびしく、容赦ない取り立て)な税金の取り立てにより「骨髄を剥ぐ」悲惨、過酷な惨状だった。

   

 日中北朝鮮150年戦争史(14)

 日清戦争前『農民たちの置かれた状態はどうだったのか』

 

日中北朝鮮150年戦争史(13)日清戦争の発端ー陸奥宗光の『蹇々録』で読む。 日本最強の陸奥外交力⑥『朝鮮事情』(ダレ著、東洋文庫)『〝生き地獄″を生きた李朝朝鮮の農民たち』●『農民に対する貪官汚更の苛欽誅求な税金の取り立ては「骨髄を剥ぐ」という悲惨、過酷な状態だった。

http://www.maesaka-toshiyuki.com/longlife/18384.html

 

『農民たちの置かれた状態、生活はどのようなものだったのか』

 

『朝鮮事情』(ダレ著、金容権訳 平凡社・東洋文庫)では、『〝生き地獄″を生きた李朝朝鮮の農民たち』として、こう書いている。

「1871(明治4年)から、1872にかけて、驚くべき飢饉が朝鮮半島を襲い、国土は荒廃した。あまりの酷さに、西海岸の人びとのなかには、娘を中国人の密貿易者に一人当たり米1升で売る者もいた。

北方の国境の森林を越えて遼東半島にたどり着いた何人かの朝鮮人は、惨たらしい国状を絵に描いて宣教師たちに示し、『どこの道にも死体が転がっている』と訴えた。

しかし、そんなときでさえ、朝鮮国王は、中国や日本からの食糧買入れを許すよりも、むしろ国民の半数が死んでいくのを放置しておく道を選んだ」(『朝鮮事情」322P』

 恒常的自然災害に対して生まれた民族的な諦観(ていかんーあきらめ)

『また、李朝時代の朝鮮農民は、あたかも「自然法則」に弄ばれるように、四、五年に一回、巨大な干ばつ、あるいは水害に襲われるので、農業はきわめて不安定であり、農民は自然災害に対しても無抵抗であった。

政治に対してもそうであった。すべての民衆はこの人力をはるかに超える恒常的自然災害に対しては、いかんともしがたい天命として甘受しつづけてきた。そこから生まれたのが民族全体の諦観(あきらめ)であろう。』(同27P)

丁若●(チョン・ヤ・ギョン)(1762~1836)著の『牧民心書』(細井肇訳・朝鮮叢書第1巻)も、李朝社会の貧官汚吏(たんかんおり)の下であえぐ悲惨な朝鮮農民の生活について、こう書いている。

 

「試みに税米の一事を言えば、戸曹(こそうー大蔵省)に納めるのは一千石だが、実際に邑民(ゆうみん、村民)から徹したのは四千石以上である。奸吏その中に在って、隠結(おんけつ、隠し田)で収め、官結で除き、低価で買い上げ、或いは米の量を誤魔化したりする、初秋以来、沢山の米がいずこともなく消えて行った。

 

奸吏はそれぞれ懐を肥やして了ってから、その残りの米を王家に納めるのだ。その王税に充てる米は、いずれも一家零落、貧窮惨憺たる小農から、ムチで打ち、加椎(かせ)を加えて、取り上げたもののみである。

想い見よ、一結の田からその穀を得るもの、多くて八百斗、少ないのは六百斗、甚だしいのは四百斗に過ぎない。

農夫は皆、他人の田を耕して年中額に汗しながら1家を養いかね、近所合壁、互いに融通し合う。

秋になると、地主が黙って収穫の半ばを割いて取る。収穫六百斗にして残るもの三百斗、その中から翌年の種子を除き、借財を払えば、あますところは百斗に満ぬ。

しかも賦税(ふぜい)の剥奪この極に至る。哀々たる下民、活きんと欲して能わず、民牧たるもの、猾吏(かつり)のそしりと怨みを免れんとして、その曲非を裁抑すれば、民怨は凍って必ずわざわいを苗裔(びょうえい・末裔)に流すであろう」 (同65P)

『牧民心書』に書かれている李朝時代の農民に対する貪官汚吏の苛欽誅求(かれんちゆうきゆうー租税などをきびしく、容赦なく取り立てること)は、文字表現そのままの「切骨の病い」「骨髄を剥ぐ」という悲惨な姿ではないか。

朝鮮近代史研究は李朝時代の農民を「牧歌的な生活」と語るが、どこが「牧歌的な生活」なのか。虐げられた小民の姿を、自ら「其状、ガマの水に浮かぶが如し」と言っている。

このようにして非理横道にも幾百年と従順に慣れ、百姓二諜さえできなかった朝鮮農民の実態こそ、千年属国に甘んじてきたもっとも根本的理由の一つではないだろうか。〈70-71P〉

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
世界の最先端テクノロジー・一覧③『日本のリニア新幹線を吹き飛ばす新技術!動画:超高速交通システム「ハイパーループ」』●『コイン型電池を飲み込んじゃった→東工大ら、排出する「マイクロロボット」を開発』●『世界で最も稼ぐサッカー選手、ロナウドの1ゴールは8000万円』『Facebook、意図的に保守系ニュースを排除か ザッカーバーグ氏がコメント』など6本

    世界の最先端テクノロジー・一覧③   <日本のリニア …

no image
『リーダーシップの世界日本近現代史』(292 )★『鈴木大拙は1945年『日本亡国の3つの『日本病』を上げた。そして、約70年後、大拙師のいう『日本病』を克服できなかったために、 3/11原発事故を引き起こし、日本は再び沈没中である。

  2012/06/19  日本リーダー …

no image
『百歳学入門』(166)『大成功した人たちが毎朝7:30前にしている7つのこと』★『 1日に3時間超の公演を次々こなす97歳、金子兜太の力の源泉』●『【書評】残酷な延命治療で「死なせてもらえない」高齢者たち』●『「もういい歳だから」が口癖の人ほど、どんどん老け込んでいく訳』●『目が死んでいる、早期リタイアした人々。その意外なデメリットは』●『10人に1人が100歳以上、イタリア「長寿村」の秘密 研究』●『ピンピンコロリの長野県、長寿日本一の秘密』●『なぜ、世界共通で「男性よりも女性の方が長生き」なのか?』

  『百歳学入門』(166)   大成功した人たちが毎朝7:30前にし …

no image
日本リーダーパワー史(152) 国難リテラシー⑨最後の首相・鈴木貫太郎、木戸幸一、宇垣一成は敗戦をどうしたか

 日本リーダーパワー史(152)   国難リテラシー⑨最後の首相・鈴木 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(115)/記事再録☆『百年先を見通した石橋湛山の大評論』★『一切を棄てる覚悟があるか』(『東洋経済新報、大正10年7月 30日・8月6日,13日号「社説」)『大日本主義の幻想(上)』を読む②『<朝鮮、台湾、樺太も棄てる覚悟をしろ、中国や、シベリヤに対する干渉もやめろーいう驚くべき勇気ある主張』

    2012/08/27 &nbsp …

『Z世代のための日本戦争学入門④』★『平和時に戦争反対はやさしい。戦争時に平和を唱えて戦った軍人は・③』★『日米戦争の敗北を予言した反軍大佐/水野広徳』★『日米非戦論・軍縮を唱え軍部大臣開放論を唱えた』

2018/08/20 /日米戦争の敗北を予言した反軍大佐、ジャーナリスト・水野広 …

no image
日本メルダウン脱出法(636)「日本の政府債務は太平洋戦争末期に匹敵」「『安全策を取り、将来を危険にさらす欧州」など6本

日本メルダウン脱出法(636) 『本当のところ、どの程度危ないのか?日本の政府債 …

no image
小倉志郎の原発ウオッチ(5)「NNNドキュメント「チェルノブイリから福島へ-未来への答案-」をぜひご覧ください

    小倉志郎の原発ウオッチ(5)   < …

『Z世代のための  百歳学入門』★『日本超高齢者社会の過去から現在の歴史』★『来年2025年は昭和終戦(1945)から80年。明治時代〈約45年間),大正時代(15年),昭和戦前(20年 )まで約80年間の平均寿命は約40-50歳だった』

<Q1>それでは、日本人の寿命の歴史的な変遷について話してくれますか。 明治以後 …

世界一人気の世界文化遺産『マチュピチュ』旅行記(2015 /10/10-18>「ペルー・リマかクスコへ向かう」スゴイ、感動、感激!水野国男(カメラマン)①

2015/10/28  <世界一人気の世界文化遺産『マチュピチュ …