前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

知的巨人たちの百歳学(112)「日本開国の父・福沢諭吉」寿命の長さ【長寿】ですべて良しとせず、平生の心身の働きを大にして、寿量(生涯の質量)を多くせよ。

      2015/08/17

          知的巨人たちの百歳学(112)

「日本開国の父・福沢諭吉(66)の寿量学」

 人生はただ寿命の長さをもってすべて良いとすべきにものにあらず。平生その心身の働きを大にして、寿量を多くする覚悟が肝要なり。

前坂 俊之(ジャーナリスト)

田舎士族の流儀

福 沢 諭 吉

私はもともと田舎士族(田舎侍)で、少年の時から粗衣粗食、それで結構、病気一つしないで丈夫で育ってきた。ところが、文明開化の風潮につれ、東京に居住して当世風の衛生をやかましくいわれ出したら、田舎者だった体の方が驚いてしまい、風邪をひいたり、熟を出したり、病気がちになった。

それに、かたわらから医者がうるさく口を出す、その命令におとなしく従っていたら、いわば病気におもねる結果ともなって、体は弱り、病気はいっそうツケ上がる。

そこで私は、田舎流の生活がいちばんとばかり、万事昔風-非開化風-に改めてしまって、みんなに笑われたりいぶかられたりだった。

ただ、食物ばかりは西洋風をまねて、好きな物、栄養のある物をうんと摂った。あとはすっかり昔の田舎士族にかえり、米つき、まきわりその他、一切の力仕事に精を出して運動代りにした。おかげで、次第にもとの健康体になって、金もかからず、愉快な毎日を送り迎えている。

寿量

およそ生を好み、死をいとうのは、人間普通の情にして、老少・貴践・貧富の身分にかかわらず、いやしくも、尋常の心身を具えている者にして、寿命の長からんことをこいねがわざる者なし。

しかれども、如何せん、天然の命数には限りありて、人力の及ぶところにあらず。されば、到底求むべからざる延命の術に恋々たらんよりも、寿命の長短は第2の考えにして、もっぱらその量(はたらき)を多くする一方に心がけんことを勧告するものなり一。

即ち常に心身を労して多くの事を為す人と、生涯無事を祈りて安閑に月日を送る人とを比すれば、労する人は生命の大なる人、換言すれば寿命の量の多き人というべし。

西洋学者の言に、人の生命に長さもあれば、また幅も、厚さもありという。この意味において、人生はただ寿命の長さをもってすべて良いとすべきにものにあらず。平生その心身の働きを大にして、寿量を多くする覚悟が肝要なり。

 - 健康長寿

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『リーダーシップの日本近現代史』(167)記事再録/『柔道を世界的なスポーツにした嘉納治五郎』★『嘉納治五郎が招へいに成功した幻のオリンピッ ク(1940年昭和15 年の東京大会)』

2015/12/14/世界が尊敬した日本人(38)記事再録 前坂 俊之(静岡県立 …

no image
百歳学入門(91)『ビデオYoutube,カヤックフィッシングで釣った魚をおいしく食べて、 生き急ぎ、死に急げ』

 百歳学入門(91)   「死ぬまで生涯現役だよ」 -ブログ …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(46)記事再録/『江戸を戦火から守った西郷隆盛と勝海舟、高橋泥舟、山岡鉄舟の(三舟)の国難突破力①』★『『人、戒むべきは、驕傲(きょうごう)である。一驕心に入れば、百芸皆廃す』

2011/06/04  日本リーダーパワー史(157) &n …

『湘南海山ぶらぶら日記/海外編(2022/6/22)』★『米国で『カブトガニ産卵地の海岸』を発見!』★『砂浜にカブトガニの殻があちこちに散乱していたというから驚く』

逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/10/08/am8)   202 …

『和製ジェームス・ディーンと言われた「赤木圭一郎」の激突死(1961/02/21)』★『不死鳥の“トニー”は嘘だった』★『鎌倉英勝寺に眠る』

  赤木圭一郎が1961年(昭和36)2月14日昼休み、ゴーカートを運 …

no image
知的巨人たちの百歳学(122)作家・里見弴(94歳)「90歳になっても欲張った方がいいね」文章の極意は「過不及なし」、『〝老醜”の”醜〃を恐れちゃだめ』

知的巨人たちの百歳学(122) 作家・里見弴(さとみ とん)(94歳) 文章の極 …

『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ回想録③』★『パリ美術館ぶらり散歩』★『ピカソ美術館編④」★『ピカソが愛した女たちーその多種多様、創造的インスピレーションには本当に圧倒されますね』』

2015/06/15  『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッ …

no image
百歳学入門(160)★『100歳以上の高齢者、過去最多の6万5692人、国内最高齢は116歳の女性』★『「老人に押し潰される」日本の医療に迫る危機4人に1人が75歳以上の時代はそう遠くない』★『2030年、遂に「ピンピンコロリ」が普遍化!? AIが迫る介護業界の抜本的なモデルチェンジ』★『「万引き老人」悲しく切なすぎる貧困の実態――食うに困っていてもいなくても』★『「世界未病の日」をつくるべきだと思う。そしてその声を日本が上げていかなきゃ – 第10回片山さつき氏』

  百歳学入門<160> 100歳以上の高齢者、過去最多の6万569 …

no image
百歳学入門(65)「女性芸術家たちの長寿・晩晴学④」―石井桃子、武原はん、宇野千代、住井すゑ

百歳学入門(65)   「女性芸術家たちの長寿・晩晴学④」 ―石井桃子 …

『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ回想録①』★『「パリぶらぶら散歩/ピカソ美術館編」★『ピカソが愛した女たちー画家の精力絶倫振りは、超弩級、地球人とも思えません。』

『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(111)』 「ラ・セレスティー …