オンライン講座/日本は新型コロナパンデミックを克服できるのか(上)』★「インド変異株で五輪開催か、中止の瀬戸際に(上)」★『「死に至る日本病」の再来か』★『3度目緊急事態宣言再延長(5月末)』★『死に至る日本病」の再来か』(5月15日までの状況)★『菅首相のリーダーシップとインテリジェンス(見識)』★『SNS上で「玉砕五輪!」「殺人五輪」の非難合戦』
2021/06/27
「インド変異株で五輪開催か、中止の瀬戸際に」
前坂 俊之(ジャーナリスト)
感染力の強いインド変異ウイルスの世界的な感染拡大(リバウンド)が止まらない。日本でも東京五輪まであと2ヵ月余をとなったギリギリで国内外からの「五輪中止」の大合唱が起きている。
政府与党内からも悲観論、中止論の声がでてきた。無観客大会、IOC関係者の大幅削減、ルール違反の罰則をめぐって議論があり、東京五輪は最後の最後までもめている。
(この情報は5月15日までの分析です)
「それでは恒例の世界各国・地域の新型コロナ感染者数(死者数)から入りましょうか。5月15日現在の数字は米ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると以下の通りとなっています。
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インド変異種の蔓延
世界全体の累計感染者は約1億6190万(死者数約335万人)です。
米国 3289万(58万5千)
インド 2437万(26万7千)
ブラジル 1551万(43万3千)
フランス 591万(10万8千)
トルコ 509万(4万4千)
口シア 486万(11万3千)
英国 446万(12万8千)
イタリア 414万(12万4千)
スペイン 360万(7万6千)
ドイツ 358万(8万6千)
番外 日本は 67万9496人(1万1477人)です。
「変異株が猛威をふるうインドの感染第2波は依然として収まる気配はない。インドでは5月5日の1日当たりの死者が4187人と過去最多で、全国の新規感染者は40万1078人となった。
世界最大の感染国の米国は累計で約3289万人。1月中旬には世界全体の25%超が米国に集中していたが、感染拡大のペースが緩み直近では20.4%まで低下した。第3位のブラジルは1551万人です。
イスラエルでは4月22日、死者がゼロとなり、新規感染者数も約1年ぶり最低を記録した。急速なワクチン普及が成功し経済再開につながった。また、米国での感染者数も平均で1日約37000人(5月10日)でピークだった1月7日の15%にまで激減しています」
「ただし、WHOのテドロス事務局長は5月14日の記者会見で、「パンでミック2年目の死者数は1年目の死者(334万6813人)よりもはるかに多くなるとの見解を発表した。
また、富裕国と貧困国とのワクチン接種格差が拡大していることにも警告を鳴らしている。世界210の国と地域で14億回分のワクチンが接種されたが、このうち約44%が富裕国(世界人口の16%)で接種された。しかし、29の貧困国(世界人口の9%)ではわずか0.3%に過ぎない。富裕国に対してワクチンの公正分配を目指す国際的枠組み「コバックス(COVAX)」にワクチンを寄付するよう訴えています」。
3度目緊急事態宣言再延長(5月末)
「一方、日本はどうかといいますと、ワクチンが効かない可能性があり、「二重変異ウイルス」をさらに上回る「三重変異株」がインドで猛威を振るってきました。
4月末にはインドでは新規感染者が約31万5千人と世界最多記録を更新、それ以来連日30万人を突破
する感染者が続いている。5月11日現在で累計死者数は25万4197人と急増し、感染者数は2330万人と世界ワースト第2位となった。
このため、インド変異ウイルス感染者が日本でも急激に増えてきた。そんな危機的な状況の中で、後手後手批判の続く政府は4月23日、東京、京都、大阪、兵庫の4都府県に3度目の緊急事態宣言を発令した。期間は25日から5月11日までの17日間での短期にしたのです」。
「当初、厚労省側は3週間を主張したが、政府が2週間に短縮したのはIOCのバッハ会長が5月17、18日の2日間の日程で広島での聖火リレーに出席しするための来日に合わせた「背水の陣」の決断したのですよ。官邸幹部は「五輪は政権の生命線だ。開催に水を差すことはあってはならない」(中日新聞4月24日付)と決意を語ったといいます」。
「私はこの言葉をみた瞬間、ハッとしたよ。太平洋戦争の敗戦につながった「満蒙(中国東北部)は日本の生命線」(陸軍が固執した国策スローガン)が頭をよぎったからね。「失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫) を見るまでもなく、相変わらず戦力の小出し、逐次投入(ちくじとうにゅう)」を繰り返す愚策(失敗)を繰り返した」。
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「死に至る日本病」の再来か
「案の定、インド株の世界的パンデミックが日本にも上陸し、大阪、東京、全国各地で新規感染者数重症患者、死者数とも激増で緊急事態宣言の延長に追い込まれた。連休明けの11日までというのを、5月末まで再延長するという失敗の連続です。消費者の自粛疲れと飲食店業、ホテル業界の倒産増、消費マインドの落ち込みの三重苦で日本経済の敗戦につながるのではないかと危惧されている」。
「コロナパンデミックからすでに1年余が経過し、コロナパンデミックくることはわかっていた。東京五輪も1年延期したのに、この1年間に日本政府も政治家も官僚も自治体首長も医師会(医療逼迫改善をすべき)も一体何をやってきたのか、と問いたいね。
「五輪開催」を国策ㇲローガンに掲げながら、その戦略的取り組み体制、PCR検査の拡充、ワクチン開発、の早急取組体制、政府のデジタル化、テレワーク化、公立、民間病院の協力医療看護体制の一体化、ワクチンスピード接種体制の構築のすべてに失敗したわけです。先進国中のランキングでは最下位に転落した。1%に満たないワクチン接種率で3度目の緊急事態法の2週間の短期発令によって伝染力の強い二重、三重変異型ウイルスの感染を防止できるわけがない。連休明け(5月10日)から再び5月末まで延長する後手後手の連続失敗。あきれ果てる機能不全です」。
「結局ね。菅政権は世界的なコロナパンデミックリスクを甘くみて、厳重な水際対策を取らずトランプ流の「人命尊重と経済優先」の2兎を追うものは1兎を得ずを踏襲した結果ですね。それに日本の時代遅れの錆ついたアナログ・スローモー・政治官僚制システムが足を引っ張った。
PCR検査体制の不備、デジタル対策の失敗、ワクチン接種最低という連続オウンゴールで、3月に決定するはずの五輪開催全体スケジュールはまたも延期されギリギリの土壇場に追い込まれてしまったわけだ」。
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菅首相のリーダーシップとインテリジェンス(見識)
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「その非常事態下での5月10日の国会集中審議会となったもので、いやがうえにも菅首相のリーダーシップとインテリジェンス(見識)が国内外から注目されたのです。
野党からの質問は「感染爆発(ステージ45)でも五輪開くのか?」に1点集中した。これに対して、菅首相は「選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく」と計12回も答弁書にかかれている文句を棒読みして同じ答弁を繰り返し、明確な回答を避けた。
安全安心の具体的な内容も国民に向けての納得のいく説明もできず、菅首相の答弁の目もうつろに沈んでいた印象を受けましたね」。
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SNS上で「玉砕五輪!」「殺人五輪」の非難合戦
「菅首相はこれまでの記者会見で「開催の決定権はIOCにある」と説明し「(安全安心の大会にするために)自衛隊、医療関係者、民間をも総動員して5月中旬から1日、100万人のワクチン接種体制を実現し7月末までに1億回分の接種を行いたい、希望する国民全員に接種する」とも語った。
この言葉を聞いてまたまた私は太平洋戦争敗戦直前(1945年前期)の竹やりで戦う本土決戦を思い出した。すでに「玉砕五輪!」「ワクチン五輪」「殺人五輪」など「やめろ!」という過激な言葉がSNS上では乱れ飛び、中傷批判合戦がヒートアップしているよ(苦笑)」
「確かに、ますますやばくなってきたね。英国株などの1.7倍という強烈なインド株の侵入で、連休後も国内の感染者、死者数、重症者数も増え続けており、医療崩壊が全国的に波及してきた。このため10日、全国知事会は、現在の東京、大阪、京都など8都府県に出されている緊急事態宣言を全国に拡大するように政府に提言書を出した。
新規感染者数は大型連休明けから39の都道府県で1・3倍ほどの増加傾向があり、6,7000人を突破し死者数も連日百人を超えてきた。自宅で療養を続けている人も1ヵ月間で4.7倍の34537人(5月12日時点)と医療崩壊、病床不足が決定的となってきた」
「その新規感染者数が「ステージ4」(直近1週間の人口10万当たりの感染者数が25人を超えたレベル)の都道府県は、5月12日の時点で21に上っている。このうち12の県は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの対象とはなっていないない。こうした国内の安全、安心体制が全面崩壊中なのに、五輪開催をなぜ強行するのかという疑問の声が国内外からもにわかに高まってきたましたね」
つづく
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