百歳学入門(⑭)<日本超高齢社会>の過去④・・<日本の天才長寿脳はだれなのか・・>・
百歳学入門(14)
<日本超高齢社会>の過去とは④・・・
<日本の天才長寿脳はだれなのか・・>
前坂 俊之
(静岡県立大学名誉教授)
<Q>・・それじゃ日本の晩年長寿の天才たちはどうなんでしょうか。
『映画監督では「世界のクロサワ」といわれた黒澤明(1910-1998)も還暦で、挫折し自殺未遂事件を起しています。国内の映画会社が資金提供せず制作ができない困難を克服して晩年は、海外に活躍の場を求めて、一段とスケールの大きな、国際的な活躍を見せていますよね。
65歳で、ソ連に渡り『デルス・ウザーラ』(1975年)=アカデミー賞外国語映画賞受賞=を製作して、カムバックします。70歳で、『影武者』(1980年)=カンヌ国際映画祭最高賞受賞、75歳でフランスとの合作の『乱』(1985年)=全米批評家協会賞作品賞、この作品はスティーブン・スピルバーグが外国版製作総指揮を務めた。80歳で『夢』(1990年)等の作品を監督。1985年11月、文化勲章受章。81歳で『八月の狂詩曲』(1991年)、『まあだだよ』(1993年)、それから亡くなったのは5年後の1998年9月で、87歳です』
『野上弥生子(明治18年=1885- 昭和60=1985)は文学者では最長寿ですね。夏目漱石の門下生と結婚し、漱石の謦咳にも接している彼女は99歳でなくなる2日前まで現役作家として、長編小説を執筆していた。作家生活70年。知識人の生き方を問う『迷路』『秀吉と利休』『森』を執筆し日記も生涯書き続けている。
代表作の『迷路』は戦前からの構想を昭和23年、63歳でまず第一部を出版、70歳で6部作を完成している。最後の作品の『森』 は八十二歳のときから書き始め亡くなる直前まで、十八年にわたって書き継がれました。『野上弥生子全集』(全23巻)がある。
弥生子は九十九歳までほとんど病気らしい病気はせず長寿を保った。晩年は軽井沢の別荘で執筆生活に明け暮れたが、その生活は早寝早起の規則正しいもの。毎朝7時頃から2~3時間で、原稿用紙2~3枚書くのが日課。テレビで最晩年にその姿を映していましたが、倍くらいの原稿用紙に、天眼鏡で大きな字でマス目を埋めていた姿を見たことがありますね。
孫の野上謙一氏には「主体的に自分を生かすには、学問・芸術しかない。何か1つライよくアドバイスしていたようですね』
<Q>・・・いやはや、こう世界史上の天才、英雄のスゲーヤツのオンパレードという感じで、凡人のわれわれは全くビビッてしまうよね。日本史と年齢、長寿というテーマにさらに広げましょうか。天皇、将軍、総理大臣らの日本の指導者、リーダーの年齢チェックといきましょう。歴代天皇の中では、昭和天皇が一番長寿だよね、
「そうですね。歴代天皇では、昭和天皇が87歳で最長寿、在位期間も63年で一番長いですね。昭和天皇は124代といわれていますが、歴代天皇で100歳以上といわれている天皇はたくさんいます。しかし、文献的な信憑性がない。特に平均寿命はせいぜい30,40歳にも達しない古代に、『古事記』「日本書紀」では推定年齢はバラバラですが、初代の神武天皇がいきなり137歳で以下、15代目くらいまでに100歳以上のオンパレードなんでビックリ仰天です。
記紀では天皇が如何に短命であったかを延々と書きながら、いきなり『セントナリアン』の連続なので、古代の史実、伝説、神話を証明しているようなものですね。
年齢の多いとされている年齢の順番では、5代孝昭天皇113歳、6代孝安天皇 137歳、7代 孝霊天皇128歳、8代 孝元天皇 116歳、9代 開化天皇111歳、10代 崇神天皇 168歳、11代 垂仁天皇153歳、12代 景行天皇137歳、15代 応神天皇 130歳、16代 仁徳天皇 110歳など、スーパー長寿の古代天皇が続くという不思議です。
57代 陽成天皇 82歳( 949年没)、比較的ちかい近代に入ると108代 後水尾天皇が85歳(1680年没)などは長命ですが、そのほかは実在の天皇の実年齢に合わせたのでしょう。そして、生年月日のはっきりしている124代 昭和天皇 は87歳(1989年没)となっています。これは一番確実ですね。
年齢が確かな持統天皇以後、大正天皇までの八十七天皇の平均寿命は47歳なのに
平均寿命がせいぜい3,40代のときに古代天皇たちが12,30歳のオンパレードというのは信じられませんね」
『聖徳太子が作ったといわれる歴史書『天皇記』では、神武天皇の即位年を西暦BC660年に定めたものの、その頃、天皇は20人ほどしか知られていなかった。
これでは年数が合わないので架空の天皇を作ったり、皇紀年数を大幅に延ばすなどの苦肉の策でつじつまを合わせたというのが歴史家の見方ですね。架空の天皇を増やすよりも、あえて長命にしたのは不老不死、不老長寿に対する強烈な願望のあらわれでしょうし、種本となった古代の中国の長寿思想の影響もあったのでしょうね』
<Q>・・・日本以上に、世界でも数々の長寿者伝説がありますよね。
『世界でも数多くの長寿者の神話や伝説があります。不老不死の伝説、永遠の神による不死信仰で『旧約聖書』などをみても、100歳をはるかに超えた長寿者が登場します。少しでも長生きしたいという人間の永遠の憧れ、願望の反映なのでしょう。
史上で最も有名な長寿とエイジレスのシンボルはイギリスのト-マス・パーでしょうね。
彼は一五八三年、英国生れで、百五十二歳九カ月で死亡したといわれています。パーは老化しなかったことでも有名で、百歳の時に三人目の妻と死別したが、性欲を抑えきれず、二年後に村娘をレイプし、十八年の刑を言い渡されました。
百二十歳で出所しましたが、すぐ四十五歳の妻をめとり、その後、百三十四歳まで毎日のようにセックスをしていたというから驚きます。1635年に百五十二歳の時に、彼の健康長寿ぶりがチャールズ1世の耳に入り宮廷のパーティーに招かれましたが、そこで調子にのって食べすぎて急死したといわれます。
死後、近代生理学の始祖・ウィリァム・ハーグェーが解剖すると「セックスの性腺は萎縮しておらず、骨も若い人と同じ弾力があったという」結果が出ました。ウエストンスター寺院に埋葬されたパーは、現在は高級ウィスキー『オールド・パー』のレッテルになっていますが、その肖像を描いたのが有名なルーベンスです。しかし、このト-マス・パーも正式の出生届や戸籍によるものではないので、年齢は確定できていません』
キリスト教の世界はミレナリアン(不老不死の1000年人間)も登場
「ユダヤ教、キリスト教の正典という『旧約聖書」はもとよリ古代の伝説の部分が多いので、割引きして聞くしかありませんが、人類の祖であるというアダムは何才まで生きたかというと、930才。その子のセツは912才で死んだそうですし、また、この孫、その子とすべてが800,900歳以上を生きたというから、『ミレナリアン』(千年人間)というすごい世界、トンデモ世界ですね。そして、この末裔のメトセラが969才で、旧約聖書の中では最長寿というのだから、まさしく神話ですね。
英国の劇作家・バーナード・ショー(1856―1950、94歳)は長寿ですが、不老不死にあやかってこれを近未来の長寿社会の寓話にして『メトセラに帰れ』という戯曲を書いて、大評判になりました。
メトセラの孫が箱船で有名なあのノアなんですが、『創世記』によると、ノアは大洪水のあと350年生き、950才で死んだといわれていますね。さらにどんどんと時代は現在にさかのぼり、伝説から歴史の時代に入る。イスラエルの民をエジプトから脱出させたモーゼは120才で亡くなった、というので、天皇記とくらべると、天皇記はまだまだ可愛い。「聖書」はまさしく壮大な伝説、史実ですよね』
関連記事
-
-
百歳学入門(188)★『日野原重明先生(105歳)』★『92歳の時の毎日の生活ぶりだが、そのエネルギーと分刻みの緻密なスケジュールと仕事ぶりはまさに超人的!』
百歳学入門(188) 日野原重明(1911-2017、105歳) https:/ …
-
-
オンライン説法/清水寺貫主・大西良慶(107歳)の『生死一如』12訓★『 人生は諸行無常や。いつまでも若いと思うてると大まちがい。年寄りとは意見が合わんというてる間に、自分自身がその年寄りになるのじゃ』
2018/11/18 記事 …
-
-
「逗子なぎさ橋珈琲店テラス」からみた「冬の富士山ベストビュー」(2025 /12/26-27pm700)
<逗子海岸、鐙摺(あぶづり)海岸、葉山マリーナから見た富嶽36景>
-
-
知的巨人たちの百歳学(127)<カルピス王・三島海雲(96)の健康長寿・生涯現役\経営術>モンゴルで緬羊(めんよう)事業に着手、中国の排他主義で悪戦苦闘ついに事業から撤退、裸一貫に
知的巨人たちの百歳学(127) <カルピス王・三島海雲(96)の …
-
-
★『リモートワーク動画』★『日本最強のパワースポットへの旅』/『サムライの聖地」、宮本武蔵が『五輪の書』を書いた熊本の霊厳洞を訪ねる」★『宮本武蔵終焉の地・霊厳洞は五百羅漢が立ち並び迫力満点の超パワースポット』★『勝海舟の宮本武蔵評』
<剣聖>宮本武蔵終焉の地・「五輪の書」を書いた熊本の<霊厳洞>を訪ね …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(157)』 『イスラエルに魅せられて再訪(2016/1)」レポート(5)『死海(Dead Sea) で30年ぶりの浮遊体験』ー平均1年、1mのペースで湖面が低下しているという。
2016/03/09 『F国際 …
-
-
『Z世代への昭和史・国難突破力講座⑮』★『松永の先見性が見事に当たり、神武景気、家電ブームへ「高度経済成長」へと驀進』★『92歳でアーノルド・トインビーの「歴史の研究(全24巻)」の日本語版を刊行』★『トインビーは松永翁を「織田信長、秀吉、家康を超えてた、昭和の一休禅師のような存在と激賞した』
2021/10/06 「日本史決定的瞬間講座⑫」記事再録再 …
-
-
片野勧の衝撃レポート(70)★『原発と国家』―封印された核の真実⑧(1960~1969)『アカシアの雨がやむとき』(上)
片野勧の衝撃レポート(70) ★『原発と国家』―封印された核の真実⑧(1960~ …
-
-
長寿学入門(217)-『三浦雄一郎氏(85)のエベレスト登頂法②』★『老人への固定観念を自ら打ち破る』★『両足に10キロの重りを付け、これに25キロのリュックを常に背負うトレーニング開始』★『「可能性の遺伝子」のスイッチを決して切らない』●『運動をはじめるのに「遅すぎる年齢」はない』
長寿学入門(217) 老人への固定観念を自ら打ち破れ ➀ 60歳を …
