前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

知的巨人たちの百歳学(168)記事再録/『ロケットの父・糸川英夫(86)の『加齢創造学』ー人間の能力は6,70歳がピークだよ

   

 

   百歳学入門(37)―『百歳長寿名言』

 

①     日本には加齢学がない。

②      人間の能力は六十歳から七十歳がピークである。

③      基礎体力と生産効率は関係がない

④     人を食いものにする老人産業は日本だけ

⑤     私の健康法は①若い内から継続的に自己啓発の習慣を身につける

⑥      「私の健康法は②若さの秘訣は自分に適当な負荷をかけること

⑦      そのためには人生の針をゼロに戻して、謙虚になること

⑧     「なにも知らない人間だから、新しいことを勉強しなければならない」と
挑戦意欲をもつことだ。

 
 
 
                前坂俊之(ジャーナリスト)
 
Wikiによると糸川 英夫(いとかわ ひでお、1912年7月―1999年2月)は専門は航空工学、宇宙工学で、東大工学部教授、ペンシルロケットの開発者、ロケット開発の父」と呼ばれる。子供の時分から天才で、中島飛行機に技師として入り有名な戦闘機「隼」の設計者に従事、ロケット、エンジンのや脳波計の研究、バイオリン、水泳、チェロ、ピアノ、クラシックバレーなど何でもござれで、60,70で、天才老人に成長、その創造脳を縦横無尽に開花させ、ベストセラーを連発した。そのベストセラー本は発想の宝庫であり、メチャ面白い。文字通り、天才、奇才、偉才の超人、天才大老人であり仙人、千人力である。糸川本をよんで、実践して天才老人になろうよね。
 
 
 人間の能力は六十歳から七十歳がピーク
 
 「トヨタの創業者」豊田佐吉(豊田織機を創立者)は「日本の発明王」と言われるほど、発明、特許、実用新案をたくさん出した人だが、四十歳から五十歳までは年に二十件以下である。これが年に三十件から五十件になったのは、五十五歳から六十五歳のあいだである。したがって、五十五歳以上になっても、実用新案を出すようなアイディア能力はいっこうに衰えず、成長し続けているということになる。(松山美保子『定年革命』(日本経済新聞社刊)
 
スペイン出身の世界的なチェロ奏者、パブロ・カザルスは九十七歳まで生きた人だが、高齢になっても少しも演奏能力が衰えかった。もちろん、高齢になると生理的に指に力が入らなくなるから、音色は変わったが、彼の音楽に対する解釈力は死ぬ直前まで上昇し続けた。彼は、死ぬ二週間前まで、弓をどうやって弾いたらいい音が出るかということを、さかんに研究していたという。カザルスほどの世界的名手がなぜ……と思うかもしれない。しかし、彼が常に針をゼロに戻した春自己啓発を行なっていたからこそ、九十七歳で死ぬ一週間前まで生産的であり得たのである。(糸川英夫著『日本が危ない』講談社、1987年刊、227P)
 
糸川氏は自らの6070歳代のその天才創造脳の活動を実践された、経験から、
 人間の能力は六十歳から七十歳がピーク』であると主張する。
 
「もっとも知的生産能力が要求されるのは、科学者であろう。そこで、科学者を調べてみると、生産性の職能年齢が比較的低いところにあるのは数学者だけである。あとのたとえば物理、生物、生化学、地質学などの分野では、その学者が年間にどのくらい論文や著書を出しているかで比較すると、そのピークはいずれも六十歳から七十歳である。
 このように、人間の能力というものは総じて、六十歳から七十歳がピークであるというのが、加齢学での常識になっているのである。高齢者の豊かな経験がものをいうのが人間の生産活動なのである。」
 
このため、糸川自身は五十五歳で東京大学をやめたあと、将来、石油の値段が上がるに違いないと思っていたので、海洋技術の研究所を創設して、海中に石油備蓄の施設をつくるための研究をはじめた。『組織工学研究所』を作った。
また、五十を過ぎてからクラシックバレエに挑戦したり、またチェロ演奏など幅広い趣味と多方面の研究にも挑戦した。そして、自分よりはるかに若い人たちの中で1つの技術を身につけたのであった。
七十歳をこえて、ベストセラーを連発した。「まさに、世間で言う〝高齢者〟そのものである。しかし、仕事はいそがしく、時間がいくらあってもたりないくらいだ。年には数回、海外にも行くし、健康状態が気になることもない」と本人は東大時代以上に多忙を極めている。      

 

糸川式の天才老人の作り方
 
①若さの秘訣は自分に適当な負荷をかけること
 
 これは、実は口で言うほど容易ではない。しかし、これができれば、人間は永久に若さを保つことができる。
 高齢になると病気にかかりやすくなるというのは、俗説にすぎない。よく定年退職後、急激に元気がなくなって、病院に通うことが多くなったりする例があるが、あれは精神的な張りがなくなったからにはかならない。基本的なことは、負荷が適当にかかっているかどうかである。
 
 機械でもそうで、たとえば、五十馬力のモーターも、五十馬力を出すのにふさわしい定格負荷がかかっていないと、空まわりして、あちこちの部品が故障してしまう。自動車の空ふかしがエンジンのためによくないと言われるのもそのためである。
 
 人間の健康も同じことだし、また、年をとって生産性が高まるかどうかも、適当な負荷をかけるかどうかにかかっている。
 負荷とは、具体的に言えば、仕事があるということである。「仕事なき人生はゼロだ」と言った人もいるように、仕事がないと、生産性はどんどん落ちていき、精神的にも張りがなくなるから健康を害するようになる。そうすると、家庭でも社会でも浮いた存在になり、ますます落ち込んでしまう。ボケも早く来る。悪循環である。
 
②人生の針をゼロに戻すとは、謙虚になること
 
 自分に対して適当な負荷をかけられないのは、人生の針をゼロに戻せないということである。ゼロに戻すためには、謙虚さがなければならない。年をとると、どうしても傲慢になりやすいものだ。とくに日本では、一つでも年齢が上なら偉いという考え方があるが、第三の人生のスタートにとって、これは大きな障害となる。
 
③若いうちから継続的に自己啓発をやる習慣を身につけること
 
  マスコミでよく○○健康法が老化防止に効果があるというようなことが話題になるが、そんなことは枝葉末節だと思う。基本は、加齢学の研究者がしきりに言うことだが、若いうちから継続的に自己啓発をやる習慣を身につけること、これしかないだろう。
  自己啓発には、まず謙虚さが必要である。つまり、「自分はなにも知らない人間である」と自分に言い聞かせることだ。これが針をゼロに戻すことにほかならない。そして二なにも知らない人間だから、新しいことを勉強しなければならない」ということになって、新しいことへの挑戦意欲が湧いくる。これが自己啓発のプロセスである。
 
<参考-糸川英夫著『日本が危ない』講談社、1987年刊)

 - 健康長寿

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
 日本メルトダウン(1025)『3・11東日本大震災・福島原発事故から6年』ー『l  ウエスチングハウス破産申請か 東芝に問われる保証責任』◎『福島原発事故から6年 「アンダーコントロール」からほど遠い現状、海外メディア伝える』★『3・11とメディア 福島 もう一つの真実』●『原発事故から6年。食品の汚染度は低下するも「食の安全」は本当に取り戻せたか?』◎『国の東芝支援はあり得ない…「ゾンビ企業」を保護する日本に海外メディアが苦言』★『廃炉措置機関の創設で国が責任を持つ体制に変えよ 福島事故6年目、ガバナンスの根本改革にとりかかるときだ』

 日本メルトダウン(1025) 『3・11東日本大震災・福島原発事故から6年』 …

『チコちゃんに叱られた新春大笑い』『50、60,70/ボーっと生きてんじゃねーよ③』★『江戸中期、俳人・横井也有の<江戸の老人8歌仙と現在の令和超高齢少子社会の老害、借金漬けまわし>は同じ」★『81歳を18歳に逆転する爆笑術!』

『70.80歳過ぎて、いつまでも地位や金やアンチエイジングにしがみつくな!』 「 …

『オンライン講座/野口恒の先駆的なインターネット江戸学講義⑯』★『諸国を遍歴、大仕事をした“歩くノマド”たち(下)』ー90歳まで描き続けた葛飾北斎』★『全国を歩いて学問を修め、数々の発明を成した破天荒の「平賀源内」』★『紀州藩御庭番として各地を遍歴、膨大な著作を残した「畔田翠山」』

    2012/05/30  /日本再 …

no image
百歳学入門(40) 昭和の傑僧、山本玄峰(95歳)の一喝!『法に深切、人に親切、自身には辛節であれ』

百歳学入門(40)―『百歳長寿名言』     &n …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ ニュース・ウオッチ(186)』●『英国のEU離脱を予言していたエマニュエル・ トッドの「ドイツ帝国が世界を破滅させる、日本人への警告」(2014年刊)の内容」●「英国がEU国民投票で離脱を決断へー疑問点をまとめた(小林恭子)』

『F国際ビジネスマンのワールド・ ニュース・ウオッチ(186)』   …

no image
百歳学入門⑯ <日本超高齢社会>の過去とは⑥…<若者よ日本をチェンジせよー明治維新の志士は20歳の若者たち>

百歳学入門⑯  <日本超高齢社会>の過去とは⑥… <若者 …

『生涯現役」百歳学入門(147) 鎌倉カヤック釣りバカ日記(5/14)★ 『天然生活』『筋トレダイエット』 「海上座禅散歩」「ストレスクリーンアップ」できれば、釣れなくても良しじゃ」

『生涯現役」百歳学入門(147)    鎌倉カヤック釣りバカ日記(5/14)- …

no image
世界/ 日本メルトダウン(916)『米国一極体制の終焉」宣言だったトランプ旋風』(ノーム・チョムスキー)●『英EU離脱は未曾有の世界景気後退の入口を開いた』●『英国はEU離脱で「のた打ち回る」ことになる』●『アベノミクス終焉で日本はかなり厳しくなる』

   世界/ 日本メルトダウン(916)   「米国一極体制の終焉」宣 …

百歳生涯現役入門(178)-『晩年の達人の渋沢栄一(91歳)③』★『別に特種の健康法はないが、いかなる不幸に会おうともそれが人生なのだと達観し、決して物事に屈托せざるが(くよくよしない)私の健康法です』★『いつまでも「若々しい」人はドコが違うのか 中曽根元首相に茂木健一郎氏が聞いた秘訣』

 百歳生涯現役入門(178)ー 『生涯現役/晩年の達人の渋沢栄一③』 筆者は現在 …

百歳学入門(232)-東京で歩いて百歳めざす<健康長寿階段>ナンバーワンはここじゃよ?ー(答)地下鉄永田町駅です

百歳生涯現役実践入門ー東京の長寿「健康階段」ベストワンはここだよ。 http:/ …