『地球環境大異変の時代④』/『日本災害列島から地球全体に例外なく気象大変動が毎年襲ってくる「世界大災害時代」へ』★『 「ハリケーン・フローレンス」米ノースカロライナ州に上陸』
2018/09/15
『地球環境大異変の時代へ④』
先週、日本は国家的危機(カントリーリスク)に連続して襲われた。
9月4日に四国、近畿に上陸した台風21号の最大瞬間風速は、第2室戸台風(1961年)を超えて観測史上最大で、関西国際空港では58.1mを記録した。紀伊水道、大阪湾沿岸では高潮と重なって大阪市では329センチと潮位が高くなり、関西国際空港ではA滑走路3,500mが最大50 cm浸水、第1ターミナルビルの1階到着ロビーなども浸水し、ターミナル全体が停電した。
また強風にイカリを切られて漂流したタンカーが空港との連絡橋に衝突し、橋桁が大きくずれた。このため、空港は全面閉鎖となり、利用客3,000人と職員2,000人が空港内に取り残され、真っ黒となった空港内で一夜を明かす孤立状態となった。
9月5日までの消防庁調べでは死者9人、負傷者467人、住家の全壊1棟、半壊3棟、一部破損1068棟などにのぼる。
今回の「関西国際空港の水没」は高潮、暴風は想定外とした海上空港もろさ露呈した。「護岸を越えて、ここまで浸水するとは想定していなかった」と関係者は口をそろえた。
94年に完成の第1ターミナルやA滑走路がある1期島は2017年12月までに約3㍍も沈下。B滑走路と第2ターミナルがある2期島も約4㍍沈んだ。このため、「50年に1度」に相当する高潮や高波がきても浸水を防ぎ、南海トラフ地震で想定する津波の水位2・6㍍にも耐えられる、堤防のかさ上げ工事も実施してきたが、それ以上のスーパー台風の襲来だった。
北海道胆振大地震
続いて6日午前3時8分頃、北海道胆振地方中東部を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生した。札幌では震度6。地震と同時に北海道電力のすべての火力発電所が停止、北海道全体で295万戸が停電 、水道も止まり、各地で土砂崩れ、土壌の液状化現象にも襲われた。北電のすべての火力発電所が停止、交通網も全面的にストップした。9日の政府発表では死者42人。
関空の全面復旧にはまだしばらく時間がかかりそうで年間1兆円を突破したインバウンド(外国人旅行客)景気が大幅にダウンするのではないかと心配されている。
北海道地震もインフラの復旧は急ピッチに進められているが10日現在、肝心の電力はしばらく節電の必要があり、北海道経済ばかりでなく、日本経済全体へダメージも決して小さくない。
このような地球温暖化による想定外の大規模自然災害は日本ばかりでなく全世界的に頻繁に起こると世界の気候学者は警告してきたが、それが一挙に現実化してきた。日本の危機(Japan’s crisis)だけではなく、地球的の危機(Earth crisis)の到来である。
『環境危機時計が過去最悪で14分進んだ』(旭硝子財団)
旭硝子財団は9月7日『環境危機時計が過去最悪で、14分進んだ』と発表した。同財団が主催する、地球環境の悪化に伴う人類存続の危機感を世界の研究者らに尋ねて時刻で表す「環境危機時計」のこと。危機時計は深刻さを0時1分から12時までで示し、9時以降は「極めて不安」に分類される。地域別では北米が10時11分と最も深刻で、日本は9時31分だったが、これが昨年から14分進んで今年は9時47分になった。1992年の調査開始以来最も懸念が強まっていると発表した。トランプ米大統領が「パリ協定」からの離脱を表明し、米国の環境政策の大幅な後退が要因とみられる。
一方、 地球温暖化防止に取り組む環境省はこのほど、YouTubeチャンネルで動画「2100年未来の天気予報」を公開した。それによると、現状を上回る温暖化対策を取らなかった場合には2100年には2,6から4,8度上昇、逆にとった場合は0,3度から1,7度となると推定、東京の最高気温は43.6℃、名古屋44度、大阪43度、福岡42度、札幌でも41度、那覇39度になるという。
また、温暖化による人間への影響について「WIRED」(2018.8.14 )電子版によると、『地球温暖化で自殺やうつ病が世界的に増加する』との研究結果がまとまった。こうした現象は「エコロジカル・グリーフ(生態学的な悲嘆)」といわれる。研究をまとめた米ウースター大学の心理学者は「うつ病や不安、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、薬物乱用、家庭内暴力などのすべてが、自然災害のあとで増加する。自然災害が増えるにつれて、このような精神衛生への影響も増える。自殺率は月平均気温が1℃上がるたびにメキシコで2%、米国で0.7%上昇する。」という。
「ニューヨークタイムズ」の「「温暖化」の影響、実はこれからやってくる」
「ニューヨークタイムズ」の「「温暖化」の影響、実はこれからやってくる」 (8月16 日付)によると、「さらに強烈な熱波が頻繁に来る。専門家にとっても、今年は気候変動を研究するだけでなく、気候変動を実際に生きることの始まりだ。個人も社会も温暖化に適応できていない。1996年末に「パリ協定」が締結されたが、アメリカなど世界最大級の温暖化ガス排出国は、自ら提示した削減目標を達成できそうにない。富裕国が約束した、途上国のための温暖化基金への拠出も進んでいない」と悲観的な見通しを述べている。
「ハリケーン・フローレンス」米ノースカロライナ州に上陸
https://news.yahoo.co.jp/byline/morisayaka/20180914-00096899/
大型ハリケーン「フローレンス」 米南東部に上陸
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3473099.html
「ハリケーン・フローレンス」弱まっても記録的被害が懸念される理由
https://news.yahoo.co.jp/byline/morisayaka/20180914-00096776/
猛烈な台風22号がフィリピン上陸へ 520万人が影響か
https://www.sankei.com/world/news/180914/wor1809140034-n1.html
超大型台風22号、フィリピン北部に上陸
http://www.afpbb.com/articles/-/3189716?cx_part=top_topstory&cx_position=1
ハリケーンを報じる米天気予報、被害を完全再現したCGが話題に 「やはり視覚化は大事」
「一撃でビビって逃げられる」http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1809/14/news150.html
危険な熱帯低気圧、世界で9個同時発生:洋上に並ぶ姿をとらえた衛星写真
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/09/9-16.php
関連記事
-
-
知的巨人たちの百歳学(169)記事再録/小説家・小島政二郎(100歳)の人生訓ー 『いつまでもあると思うな親と金、ないと思うな運と借金』
2012/11/23 百歳学入門 …
-
-
日本敗戦史(51) A級戦犯徳富蘇峰が語る 『なぜ日本は敗れたのか』③「米英ソ中のリーダーと東條、近衛の指導者との圧倒的な差」
日本敗戦史(51) マスコミ人のA級戦犯指定の徳富蘇峰が語る 『なぜ日本は敗れた …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(200)-記事再録/『日露戦争の勝利が日英米関係の転換となり、日米戦争の遠因となった』★『日露戦争勝利は「日英同盟」、米国のボーツマス講和会議斡旋のおかげなのに日本は自力で勝ったと思い上がり、おごりを生じた。』★『②日米関係を考える上で、〝歴史の教訓″は1924(大正十三)年七月一日に施行された排日条項を含む「外国移民制限法」である。』
2015/08/05 /終戦70年・日本敗 …
-
-
速報(331) 『日本のメルトダウン』原発事故・東電のテレビ会議の情報公開拒否に見る『民主主義落第国家』日本の惨状―
速報(331) 『日本のメルトダウン』 福島原発事故・東電のテレビ会議の情報公開 …
-
-
日本メルトダウン脱出法(692)「悲願の憲法改正の可能性を消した安倍政権3つの誤り」「日本は、中国ガス田開発に対抗できないー残念ながら日本の反論は間違っている」
日本メルトダウン脱出法(692) 悲願の憲法改正の可能性を …
-
-
★5「英国のEU離脱の背景、歴史の深層を読む』 (ジャーナリストディープ緊急座談会)梶原英之×前坂俊之
★5「英国のEU離脱の背景、歴史の深層を読む』 (ジャーナリストディープ緊急座談 …
-
-
戦後80年・現在の自民党の生みの親・政界の最長老ともいうべき古島一雄の敗戦の弁を聞く』★『大東亜戦争敗戦の原因である軍閥・官僚統制国家を改革できなかった政治の責任を反省する』(昭和20年10月8日の手紙)
2011/07/23 日本リーダーパワー史( …
-
-
★スクープ写真『2011年3月11日福島原発事故約1ヵ月前の『鎌倉カヤック釣りバカ快楽日記』★『老人と海、大カサゴのお出まし』★『若者は書を捨てて大海に出よ』★『ネットサーフィンをやめて、海でサーフィン、カヌーをやれ、そのあとにネットサーフィンやれば、もっとエキサイティングに世界一周できるぜ!』
2022/09/20 記事再編集 前坂 俊之(ジャーナリスト) 『三寒四温』とは …
-
-
『オンライン講座/日本は新型コロナパンデミックを克服できるのか(下)』★『欧米紙はIOCを「ぼったくり男爵」と大批判』★『「無観客大会」へ 会議は踊る、されど決せず』★『「ホテルに缶詰め、食事はカップ麺と欧州選手団から非難殺到」』★『スペイン風邪の苦い教訓』★『「大谷選手の100年ぶりの快挙」』
『オンライン講座/日本は新型コロナパンデミックを克服できるのか(下)』 …