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速報(265)★『世界を震撼させた3月の7日間』 ② 菅前首相のリーダーシップー外国紙は評価、日本のマスコミは酷評!?

   

 

速報(265)『日本のメルトダウン』
 
<福島原発事故独立検証委員会調査・検証報告書>
『世界を震撼させた3月の7日間』 ②
 
<菅前首相、首相官邸のリーダーシップは発揮されたのか、
BBCなどは高くの評価、日本のマスコミは酷評するが、
いずれが真相に迫っているのかー>
 
 
事故調の発表に対しての各メディアの論調はほぼ同じで「菅首相」の原発事故対応に「ゾッとした」「民間事故調報告」にみる「イラ菅」の功罪』といった見出しで、菅降ろし、菅たたきのニュアンスが強い。

① 当時、「イラ菅」の通称もある菅氏が事故対応の様々な局面で「怒鳴っていた」との指摘は、早い段階から、報道ばかりでなく、池田元久経済産業副大臣(当時)の手記などで広く知られている。
② 報告書では、東電幹部に「そんな言い訳を聞くために来たんじゃない」と迫ったエピソードなどを紹介し、「関係者を萎縮させるなど心理的抑制効果という負の面があった」と指摘した。
③ 事故現場でバッテリーが必要と判明した際、菅氏が自分で携帯電話を通じて担当者と話し、必要なバッテリーは「縦横何メートル?」などと質問し、やりとりを続けた。その現場にいた関係者は「首相がそんな細かいことを聞くのは、国としてどうなのかとゾッとした」と証言したという。
④ 報告書が菅氏を評価している。「東電による全面撤退申し出」説に関連する「菅首相による東電本店乗り込み」。11年3月15日に東電から「現場撤退」の報告が来たとして、「本社に乗り込み、『撤退なんかあり得ない!』と語気を強めて言った」と話している「結果的に東電に強い覚悟を迫った」東電側は以前から、「全面撤退ではなく一部撤退の要請」と反論している。しかし報告書では、清水社長が未明に何度も政権幹部らに電話している点から推定し、全面撤退を求めていたのだとみている。
⑤ 水素爆発の可能性について2011年3月12日未明、菅氏は福島第1原発へ向かうヘリの中で、原子力安全委の斑目春樹委員長に質問したが、答えは「爆発はしない」だった。 しかしその午後、1号機原子炉建屋が水素爆発した。「爆発しないって言ったじゃないですか」と驚く菅氏に対し、斑目氏は「あー」と頭を抱えた。そして、情報が入ってこないのと、原子力安全の責任者の斑目委員長のミス判断に大きな不信感を抱いたのである。
 
<各紙の紙面展開の比較>
 
 
 産経 「官邸介入で無用の混乱」(1面)、「官邸 稚拙で泥縄」「菅氏の『人災』明らか」(3面)、「しがらみなく官邸や東電をばっさり」(27面)
 
 毎日 「官邸の初動 混乱要因に」「菅前首相が強く自己主張 反論難しく」(1面)、「電源車手配、警察に任せず 菅前首相『俺に報告しろ』」(5面)
 
 読売 「菅首相介入で混乱拡大」「『バッテリーは縦横何㍍』 携帯で自ら確認」(2面)、「菅氏の個性 正負両面に」(4面)
 
日経 「首相『質問にだけ答えろ』」「官房長官『悪魔の連鎖に』」(39面)
 
  東京 「対応『場当たり的』」(1面)、「菅氏の個性で混乱も」(2面)

、各紙とも民間事故調が菅氏や官邸の対応を厳しく指弾していることをきちんと書いているのに、
朝日はそれらの問題点について一切、見出しはない。この点について、
このブログ「民間事故調」報告書報道にみる朝日の異様さ
では口をきわめて朝日を批判しているが、これは明らかにバランスの欠けた報道である。
 
 
この1年間の新聞の原発報道、政治報道はどうだったのか、政治と同時に新聞、メディアへの国民の不満は膨れ上がる一方なのに、原子力ムラの広告、宣伝メンバーである、メディアからは一向に自己反省の弁は聞こえてこない。メディアが政治を声高に批判すればするほど、国民は「自分を棚に上げたメディアの報道責任は問われないのか」ときびしい視線を注いでいる。
与野党が権力闘争に走り、被災地を中心に「何も決められない政治」に対する不信が高まり、新聞に対しても「菅降ろし」に走る政局報道に批判が高まった。松本復興相の失言問題、鉢呂経産相の「死の町」発音や「放射能つけた」のオフレコ問題など日本の「政治報道」の低レベルが世界に恥をさらしている。

原発問題は、朝日新聞が4月4日の社説で脱原発依存を主張し、毎日新聞は4月15日社
説で脱原発依存へと「政策の大転換」を主張した。いずれも「即脱原発」ではない。現在、
明確に脱原発を主張しているのは東京新聞だけ。読売、産経は原発維持。特に読売は社論を統一している。こうした各新聞の姿勢が紙面展開、見出しには直接現れている。
 
こうした危機的な状況の中で、国の最高責任者としての総理大臣はどのように行動すべきなのか。危機のリーダーシップは・・・・
① 「総理は黙って、口は出さず各担当責任者にまかしておくべきなのか」
② 「怒鳴りつけようが、叱り飛ばそうが自らが先頭に立って命令、行動すべきなのか
③ または、この中間的な叱っては、励ます、ほめると態度を使い分けるべきなのか

☆日本のメディアの「総理は怒鳴ってはダメという無知!」

<昭和史国難での『怒りのリーダーシップのケーススタディー』・昭和12年{1937年}・2・26事件では昭和天皇は陸軍の皇道派の大将たちに甘やかされて下剋上した若手反乱軍に激怒し、自らが鎮圧するいきり立ったではないか。太平洋戦争中の東條英機内閣では、『カミナリ東條』は首相、陸相、参謀総長を兼務し、嶋田海相も軍令部層総長を兼ねて統帥を1本化、対立する陸海軍を何とか1本化しようと努力した。戦時下の危機の宰相は『おとなしいイエスマン(これまでのほとんどの歴代総理はこのタイプ)』ではダメなのだ。
この点でも、『怒りの菅元首相』が最悪の事態をくいとめたことは確かなのではないか。
 
 
 
●【死んだっていい 俺も行く】原発危機的状況に前首相 
東電が発言詳細記録』
(共同配信)315
 
 
 水素爆発が相次ぎ福島第1原発事故が危機的状況に陥っていた昨年3月15日未明、菅直人首相(当時)が東京電力本店に乗り込んだ際の「60(歳)になる幹部連中は現地に行って死んだっていいんだ。俺も行く」などとの発言を、東電が詳細に記録していたことが15日、分かった。
菅氏の東電訪問は政府の事故調査・検証委員会の中間報告などでも触れられているが、記録からは、東電が第1原発から全面撤退すると考えた菅氏が、かなり強い口調でできる限りの取り組みと覚悟を迫っていたことがうかがえる。
 記録によると、本店2階の緊急時対策本部に入った首相は、政府・東電の事故対策統合本部の設置を宣言。「このままでは日本国滅亡だ」「プラントを放棄した際は、原子炉や使用済み燃料が崩壊して放射能を発する物質が飛び散る。チェルノブイリの2倍3倍にもなり、どういうことになるのか皆さんもよく知っているはず」と強い危機感を示した。
さらに「撤退したら東電は百パーセントつぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ」と迫った。 東電の事故対応について「目の前のことだけでなく、その先を見据えて当面の手を打て」「無駄になってもいい。金がいくらかかってもいい。必要なら自衛隊でも警察でも動かす」と、改善を求めた。

 15日未明の段階では、2号機も水素爆発の恐れがあった。状況説明に対し、菅氏が「何気圧と聞いたって分からないじゃないか」といら立つ場面もあった。菅氏は対策本部に大勢の東電社員がいるのを見て「大事なことは5、6人で決めるものだ。ふざけてるんじゃない。小部屋を用意しろ」と指示、勝俣恒久(かつまた・つねひさ)会長ら東電トップと対応を協議した。菅氏が撤退を踏みとどまるよう求めた発言と、対策統合本部の設置について、福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)は「(危機対応として)一定の効果があった」と評価している。

 今月14日の国会の事故調査委員会では、菅氏の東電訪問時の映像(音声なし)が残っていることが明らかになった。

菅氏の主な発言
 東京電力が記録していた昨年3月15日未明の菅直人首相(当時)の主な発言は以下の通り。
・被害が甚大だ。このままでは日本国滅亡だ
・撤退などあり得ない。命懸けでやれ
・情報が遅い、不正確、誤っている
・撤退したら東電は百パーセントつぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ
・60になる幹部連中は現地に行って死んだっていいんだ。俺も行く
・社長、会長も覚悟を決めてやれ
・なんでこんなに大勢いるんだ。大事なことは5、6人で決めるものだ。ふざけてるんじゃない
・原子炉のことを本当に分かっているのは誰だ。何でこんなことになるんだ。本当に分かっているのか
 
 
●『BBCのドキュメンタリー・メルトダウンの内幕』
◎『BBC This World 2012 Inside the Meltdown 576p HDTV x264 AAC MVGroup org

 
 
●『菅前首相の怒鳴り込みビデオあった』
 
●『発事故対応は「大失敗」=官邸に備えなく、情報不十分-菅前首相』
前首相』(時事配信)(2012/02/28-15:45)
 菅直人前首相は3月11日で東日本大震災発生から1年となるのを前に時事通信のインタビューに応じ、東京電力福島第1原発事故について「事前の備えがあまりにも不十分だった。備えがなかったという意味で大失敗だった」と述べ、事故を想定していなかった政府や東電の対応に大きな問題があったとの認識を示した。
 菅氏は「それ(備え)があればもっと事故も放射線被害も大きくならずに済んだと思うだけに、責任を感じる」と指摘。同時に「東電から上がってくる情報そのものが極めて不十分だった」とし、その原因については「全部『3・11』前になる。つまり全電源喪失を一切想定しなかったからだ」と断じた。
 政府の初動対応をめぐり、民間の「福島原発事故独立検証委員会」(民間事故調)は、官邸が過剰に現場に介入したなどとする報告書をまとめた。これに関し、菅氏は「首相が陣頭指揮を執るのは例外だ。今回はやらざるを得なかったからやった。(官邸執務室に)黙って座っていても何も情報が来なかった」と釈明。震災翌日にヘリで原発視察に向かったことについても「黙って見ているときではなく、現場で実際に対応している所長に、きちんと話を聞かないといけないと思った」と語った。(2012/02/28-15:45)
 
 
●『ドイツ:日本の「原発ムラ」降伏せず…メディアの関心高く』
 
 
 
 

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