池田龍夫のマスコミ時評(86)◎『原発再稼働は新基準に基づき厳正公正に情報公開を』
◎『原発再稼働は新基準に基づき厳正公正に情報公開を』
ジャーナリスト 池田龍夫
福島事故以来、欠陥原発の〝廃炉〟処理が問題化してきた。気が遠くなるような時間と危険性――人類はどう立ち向かうのだろうか。政府も東京電力も放射線物質による海水汚染など、小出しに発表するものの、2年3カ月後の全体像がさっぱり見えてこない。
27年前のチェルノブイリ原発事故の傷痕に衝撃
そこで注目したのは、チェルノブイリ原発(ウクライナ)事故から27年の企画。朝日新聞6月22日付朝刊が、1面トップと2面を大動員して「廃炉作業がいかに困難か」を詳細に伝えた。同紙記者が事故原発4号機には入って見たリアルな報告である。
「石棺内部にある制御室。放射線測定器は毎時7マイクロシーベルトを指す。1990年に別の記者が入ったと時は30マイクロ、4分の1に減った。だが、分厚いコンクリート壁を隔てた先に、爆発事故を起こした原子炉に溶けた燃料がそのまま残る。近づけば即死するほど放射線量が高く、簡単に立ち入れない。崩れかかっている原子炉建屋を80㍍ほどの高さの巨大鉄骨で、辛うじて支えている。
むき出しの鉄筋から赤い錆び、放射性物質が外に飛び散らないように封じ込めるのに精一杯だ。雨水が隙間から入り込み、中の放射性物質と混じり合い、土壌に漏れ出している」――チェルノブイリ原発事故は史上最大といわれ、放射性物質は北半球全体に広がった。福島事故を上回る規模だったが、福島の現在も同じような恐怖に包まれており、戦慄を覚えた。
原子力規制委の新安全基準、7月8日に施行
原子力規制委員会は6月19日、原発に関する新安全基準を決めた。閣議決定を経て、7月8日に施行される。毎日新聞20日付社説は、「新基準の施行に当たり、規制委と事務局の原子力規制庁は、安全審査チームを3つ作ることにした。総勢で80人規模となる。規制庁は1つの原発審査に少なくとも半年程度はかかるとみている。
これに対し、茂木敏充経済産業相から原発再稼働が(早ければ)『今年秋になる』との発言が飛び出した。安部政権が閣議決定した成長戦略には、新基準に基づき安全性が確認された原発の再稼働を進めることが明記された。
……新基準の施行は、原発を安全性というふるいにかけて、適合できなない場合は退場してもらう時代の幕開けを告げるものである。廃炉がスムーズに進む枠組み作りに本腰を入れて取り組むことこそが、安倍政権には求められている」と報じている。
^ 〝密室〟での取り引きを警戒
田中俊一規制委員長は19日の会見で審査過程について(電力会社と適合の可否をめぐって)せめぎ合いがあるだろう」と語っていた。
電力各社は施行日の7月8日に向けてどの原発の再稼働を申請するか検討を急いでいるが、第1号の再稼働が固まるのは最短で年末年始とみられている。
ともかく、規制委の公正な判断を望みたい。そして審議状況の情報公開を節目節目に実施してほしい。国民は、〝密室〟での取り引きを警戒している。
(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。
関連記事
-
-
『Z世代への昭和史・国難突破力講座㉓』★『日本一の戦略的経営者・出光佐三(95歳)の独創力・長寿逆転突破力スゴイよ②』★『眼が悪かった佐三は大学時代にも、読書はしなかった。「その代わり、おれは思索するんだ」「本はよく買ってきては積読(つんどく)、放っ読(ほっとく)」だよと大笑い』
2021//12/25『オンライン/ベンチャービジネス講座』再録・再編修 出光佐 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(226)/日米戦争の敗北を予言した反軍大佐、ジャーナリスト・水野広徳(上)」『 松山で下級武士の子として生まれるが、一家離散に』★『海軍軍人になり、日本海海戦で活躍』★『「此一戦」の執筆を空前のベストセラーとなる』★『 日米戦争仮想記「次の一戦」で、匿名がバレて左遷』★『第一次大戦中の欧米へ視察旅行へ、』★『再び大戦終了後の欧州視察へ、思想的大転換、軍備撤廃主義へ』
日米戦争の敗北を予言した反軍大佐、ジャーナリスト・水野広徳② &nb …
-
-
日中韓対立のルーツ『日清戦争』を日本の新聞はどう報道したのかー徳富蘇峰,福沢諭吉、朝比奈知泉らの主張は・①『対朝鮮発言権は日本のみと』(徳富蘇峰)
日中韓対立のルーツ『日清戦争』を日本の新聞は どう報道したのかー徳 …
-
-
『明治裏面史』 ★ 『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー,リスク管理 ,インテリジェンス㊶★『明治37(1904)/2/4日、日露開戦を決定する御前会議が開催』●『明治天皇は苦悩のあまり、10日ほど前から食事の量が三分の一に減り、眠れぬ日が続いた。』★『国難がいよいよ切迫してまいりました。万一わが軍に利あらざれば、畏れながら陛下におかれましても、重大なるご覚悟が必要のときです。このままロシアの侵圧を許せば、わが国の存立も重大な危機に陥る(伊藤博文奏上)』
『明治裏面史』 ★ 『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 …
-
-
速報(229)『50年後の人口は4000万人が減少―誰もいなくなる日本』『それなのに、座して死を待つのか自滅国家日本』
速報(229)『日本のメルトダウン』 ●『50年後の日本人口は40 …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(160)』ー『発行部数を「水増し」してきた朝日新聞、激震! 業界「最大のタブー」についに公取のメス』●『米大統領、5月サミット後の広島訪問を検討 』●『李首相も反旗?習主席がおびえるシナリオ「経済政変」 (金子秀敏) 』●『コラム:円高で懸念される外国人訪日客数、3兆円消費に影響も」
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(160)』 発 …
-
-
現代史の復習問題/「延々と続く日韓衝突のルーツを訪ねるー英『タイムズ』など外国紙が報道する120年前の『日中韓戦争史②<日清戦争は朝鮮による上海の金玉均暗殺事件で起きた』
2011年3月4日の記事再録 英『タイムズ』などが報道する『日・中 …
-
-
『Z世代のための日本戦争学講座②』★『 歴史インテリジェンスからみた真珠湾攻撃と山本五十六②』★『山本五十六は三国同盟への反対をなぜ最後まで貫けなかったのかー今の政治家、トップリーダーへの遺言』
『Z世代のための日本戦争学講座①』★『今日(2024/12/08)は80年前の真 …
-
-
大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を読み解く⑤ 死刑・冤罪・誤判事件ー30年変わらぬ刑事裁判の体質③
大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を読み解く⑤ 裁判官・検事・弁護士・ …
-
-
日本メルトダウン脱出法(594)『任務を負った安倍首相―行先は不明』(英FT紙)『吉と出るか凶と出るか?解散総選挙」
日本メルトダウン脱出法(594) ●『任 …
