日本リーダーパワー史(78) 辛亥革命百年(15)平山周、犬養毅の証言する孫文との出会い
七百坪位の大きな屋敷だ。そこで犬養さんの家から借りにやったが「犬養には貸さぬ」という。松隈内閣で罷めさせられたから怒っているのだ。ところが犬養さんはああいう人だから、貸さんというなら、何とかして借ろうじゃやないかというので、犬養さんの家におった島村という書生を開博直(旧岡山新見藩主、子爵)さんの家令ということにして借にやって話がきまったので早速引越した。
孫文 の 思い出
ここらで、木堂の「孫文の思い出」を聴くことにする。
そして外務省に出頭して「報告書の代りに見本を一匹連れて帰った」とやったので、役人連中すっかり毒気をぬかれたそうじゃ。
しかし、故国を追われて身を寄せて来たからには、黙って見てもおれんので、頭山満、平山周、古島一雄なんかと相談して、いろいろ金を工面したあげく、早相田に小さな家を持たしてそこに住まわせておいた。
支那人の名義では都合が悪かろうというので、標札には「中山樵」とだしておった。この仮名の中山がいつのまにか孫文の号になってしまって、今では孫中山の方が支那人のあひだで、通りがいいようじゃ。その時分は政府でも政党でも外国の亡命志士なんかてんで相手にしなかった。政府ではかえって、対外関係を恐れて弾圧主義を取っていた。
で、頭山などは、わしの顔を見るたびに、「政党で浪人の面倒見るの貴様だけだ。貴様はよほど物好きじゃのう」などといいおった。っ
そのとき孫文は三十四、五の若盛りじゃやった。顔立ちは引きしまって、辮髪は組ますにハイカラに分けて、日本人然たる様子をしとった。ふだんは、しんみりした物静かな男じゃが、満洲朝廷の腐敗などを説きだすと、とても議論が立って、気鋒の鋭い人物じゃったよ。だんだんつきあっているうちに、わしもこいつは大物じゃと見てとった。
あれなら相当のことが出来るじゃろう」と頭山なんかとも話し合ったことじゃ。
支那人に似合わず潔癖な男で、風呂に入るのが何より好きじゃった。それで、わしの家に来ても、先づ風呂をたててくれといって、ゆるゆると長湯を使って喜った。酒はさっぱりやらなかったが、飯はどんなまづい菜でも喜んで食った。
(昭和五年七月二十一日付、東京朝日新聞)
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