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速報(112)『日本のメルトダウン』<電力不足の最中、日本人は電気の使用制限に進んで協力>『ニューヨーク・タイムズ』(7/28)

   

速報(112)『日本のメルトダウン』

Japanese, in Shortage, Willingly Ration Watts
<電力不足の最中、日本人は電気の使用制限に進んで協力している >
『ニューヨーク・タイムズ』(7/28)
 
 
F国際ビジネスマンからの便りが届きました。
今回は、福一全面停止と電力供給不足に伴う市民と企業の節電努力の実態報告、そしてその社会科学的分析の報告です。
 
日本人を分析するNYTの基本的な視点、何故今、節電で日本人が苦しまなければならなくなったか、日本人は、根本、スタート、原点に戻って考える必要がある。
 
素晴らしいチームワークで、節電効果を上げている、と云う様なことで満足している様ではダメだ、と言っています。』
 
(記事の要約)
 
. 政府の対前年比15%削減という節電目標の元、政府企業、家庭、電力会社がチームワ  
ーク良く、使用電力の削減成果を上げている。
日本人の集団主義の圧力も、この様なテーマでは有効に働き、削減目標の達成に拍車を掛けている。勤勉で誠実な日本人にとって、ブラックアウト(大停電)を回避することは難しい問題ではない。
 
斯様なテーマで、国民を意思統一して危機を回避するという様なことは、日本人の得意とする所であるが、一番苦労させられている一般市民は、どうしてこの様な事態になったか、原発の歴史の根本に遡って考える必要がある。原発問題を全て国民課題として、デモクラシーの根幹に据えて、民意を纏めて行かなければいけない。
 
(訳者コメント)
 
勤勉で、危機に対する結束力に定評がある日本人には節電というこの程度の課題を乗り切ることは容易と思われているが、これを乗り切る過程で、最大の問題、原子力発電を、日本は今後どうするのか、国民一人一人に突き付けられた課題であることを片時も忘れないで貰いたい、とNYTは云う。
 
政府でも原子力村でも無い、一般市民の総意を纏めて決めて行かなければいけないと。今度こそ、日本の原発の歴史の悪き連鎖を断ち切りなさいと。

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2011728   NYT by NORIMITSU ONISHI
" Japanese, in Shortage, Willingly Ration Watts "
 

 

『電力不足の最中、日本人は電気の使用制限に進んで協力している "』
 
 
東京 ー この夏、電力不足で苦しむ日本で、 クニユキ・ミチオ氏は、職場の立教大学での施設管理パトロールを一段と強化している。
 
今まで、過去6回の夏をそうして来た様に、クニユキ氏、彼の仕事の日常は、人けの無い教室で照明や空調が消し忘れたままになっていないかどうか、確認する作業に費やされて
いる。教室で学生を見付けると、エアコンの電気を消し、照明については尋ねる。
 " 付けた儘にした方がよいのか、それとも消しても良いのか "ある日、クニユキ氏は尋ねた。
 
" ええ、まあ "、若者が一人、躊躇い勝ちに、半ばクニユキ氏に次の行動に移るチャンスを与えていた。
 
カチリ、消灯。
 
今では、このパトロール隊に新しく任命された仲間達に支えられて、クニユキ氏は、キャンパス全体を掌握出来る行動ルートを戦略的に詳細計画を作り上げ、そしてクニユキ氏の背中を見るや否や、照明を点け直す傾向の学生達を出し抜く事も出来る様になった。これは、2重に効果的だ、彼はいう。
 
既に資源保護のリーダーでもある日本は、国連人口基金によれば、一人当たりのエネルギー使用量は、アメリカの約半分と云う。経済が回復しかけた丁度その時、原子力災害が発生し、それ以来更に、このエネルギー使用量の差は開いて来た。福島第一原子力発電所の事故とそれに起因した原子力発電に対する反発は、日本の54の原子炉の内たった17基が稼動するのみと云う状況を招いている、一年で最も暑い月、8月にこの国、日本は心を鬼にしている。
 
予備的な数字が示している。資源保護の命令下にある地域は、地球温暖化に関する関心が増大している時、資源保護の潜在力の可能性モデルを提供しつつ、削減目標を達成したり、
オーバーしたりさえすることが出来る、と。
東京地域(東京電力管内)では政府が、大停電を回避する為ウィークデイの午前9時から午後8時の間は、電力使用を15%カットする様、推進している。例えば、木曜日では、
昨年に比較し、その目標が設定されている。
 
日本人は、資源保護に意識を高揚させ、国民の情熱、忍耐力スローガンの巧みな操作、技術力、社会的な強制力などの、特徴のある組み合わせを、上手く実現している。
 
" スーパークールビズ "運動、これは2005年の夏に始まった、ノーネクタイのビジネス衣裳で個人が好きに選べるものとしてスタートしたが、これが今ではポロシャツや日本の
常夏の島、沖縄で着られる伝統的なアロハスタイルのシャツを身につけるなどして、サラリーマンに一層ドレスダウンをする事を促している。
 
使用電力削減の呼びかけをバックアップする為、電力会社は、その日の供給能力を予測し、消費電力の路線需要は、リアルタイムで情報提供され、これは、焼ける様な夏の太陽や湿気の多い空気と同様、この夏の主要な特徴の一部となっている。
これら需給の情報は、朝のニュースの天気予報と一緒に提供され、幾つかの電車では、乗車すると、次の停車駅と並んで放送される。
 
政府の注意報は、全体の需要が供給能力一杯に近付くと、携帯電話の加入者に送られる、家庭に注意を促し、エアコンを緩くさせるとか、それでもダメなら、一斉にスイッチを切
って貰う。
 
この電力需給予測は、東京電力のHPに、そしてニュースメデイアでも7月の初めから公開されているが、サービスエリアで只今現在使用されている電気の総量を、昨年の同じ日
の使用量と一緒に 表示している。
 
東京地区では、東京電力、通称TEPCO、福島原子力発電所のオペレーター、この会社が翌日の電気の需給予測を、当日の夕方には公開する、その後も、この見通しを、変わりや
すいお天気を気にしながら、翌朝まで、見直している。
当日は一日中、TEPCOは5分毎に、電気の使用量の数字を更新する、午前中の安定した上昇、午後のピークに向う電力使用量を、住民が予測し易い様に、棒グラフにして見せてい
る。
 
先週は、この需給バランスでは、需要は供給の75%前後と、台風の齎した季節外れの涼しい天候のお蔭で、落ち着いている。タヤマ・ユキヒコ氏、TEPCOの需要・供給問題
の専任マネジャーは云う、この夏は今までの所、全体としての需要は供給能力の危険水域にはまだ達していない、需給状態の実況レポートが、土壇場で人々の行動に影響を与
えるかどうか、はっきりとは分からない、と。このテストの本番が、8月に控えている、とタヤマ氏は云う。
 
地方自治体は、コンテストを開催し、省エネのアイデアを出す様懇願している。 各家庭は節電が効果的な、午前9時から午後8時の間の時間帯を越えて節約をしている。
そして、企業は、従業員の休日をウィークデイにシフトし、ペナルティを避ける為だけでなくー 上限は100万円だが ー 国家の努力に対し貢献すると云う、別の対策をも引き受けている。
 
メイワ・ゴム、東京に工場を持つ印刷機メーカー、ここでは、照明はうす暗く、お湯の使用は制限され、エアコンの利用も減らされている。一人の従業員が、TEPCOの提供し
たソフトウエアを使って工場の実時間の電力使用状況を追い掛け、調べてみた。
実際の需要が、この会社の昨年の最大使用量に接近した場合、工場内と管理事務所でオレンジの光が点滅し、もし需要が昨年の最大使用量をオーバーしそうになると、赤い光
が点滅する、その時は従業員のリーダーが3台の空調設備のスイッチを切る。
 
” 政府の要請する数字は15%だが、我々は昨年の25%カットを目標にしている ” とナカハラ・タツオ氏、63才、この会社の総務課長が云う。 3月の大災害の後の数ヶ月は、
この会社は20%削減の維持に既に成功していた、と彼は付け加えた。
 
この会社のオフィス、これは既にアメリカ標準で爽やかだが、室温は82.4度Fでセットする様に指示されていた、が、実際の室温は、特に暑い日は、多くのオフィスで86
度Fに上昇している。
 
我々は日本の為にこれを実行している、誰かに助けて貰えるものではない、と ナカダ・ジュン氏、36才、サラリーマンは云う。彼のオフィスの照明は、蛍光灯の管球を8本
から2本に減らして薄暗い。
 
協力しなければ不機嫌な顔をされる。幾つかの会社では従業員に卓上扇風機の電源を入れる事を禁止している。その様な禁止事項が無い所でも、節電と逆の事をすれば、その人の経歴に害になると考えられている。
 
週刊誌も、掟破りがいない事を確かめている。数社は、温度計で武装した記者をオフィスに送り込み、その中には一般大衆から見て原子力災害の加害者と見做されるところ、
特に原子力村の三頭目、東京電力、原子力規制担当、原子力賛成派の政治家など、広く世間から共謀者でグルと思われているところを調べている。原子力村の権力者達も、一般大衆と同様、汗臭い夏を耐え忍んでいる、と週刊誌も大いに満足して、報道している。
 
しかし、此処では、社会的な非難の圧力があるので、恐らく、キチンと守られているかどうかをチェックする必要は殆どない。
 
タニヤマ・ミツハル氏、73才、小さな保険業務のオーナーは、横浜の小さなビルの2階にある彼の事務所で、部下に照明の数を減らす様に指導している。
 
ご覧の様に、このビルは四方が窓になっている、そのため日没後、外を歩いている人達が、このオフィスの中で照明が全部点灯していれば、変に思うだろうし、今は私はそれに罪悪感を感ずる、とタニヤマ氏は云う。
 
彼の世代の日本人と同様、足許の節電国民運動は、第二次大戦中の灯火管制を思い出させる、とタニヤマ氏は云う。アメリカの軍用機による夜間空襲の標的にならない様に、明かりが外から見えない事を確かめながら、たった一つの電球の回りに家族が群がった。
 
省エネルギーに対する現在の熱狂の背後で、戦後 日本が経済成長にひたむきに集中した事を思い起こさせる、とタニヤマ氏は云う。多くの人は原子力発電を放棄する用意があ
る、たとえそれが、日本が戦争でアメリカに敗れた当時のライフスタイルにタイムスリップする事を意味するとしても。
 
省エネルギー(節電)は、ネオンの鮮やかな光と巨大な映像スクリーンで有名な都市東京を、この夏は、薄暗いものにしている。この事は、差し当たり、当地では特別な楽しみを提供するエネルギー多消費型の道具や小物への関心を控えさせてもいる。
 
サエキ・サクコ氏、75才は、家庭の電気器具のスイッチを切るだけでなく、プラグを引き抜いている、と云う。彼女は、エアコンのスイッチを殆ど付けない、その代わり、
リビングルームで扇風機を使っている。しかし、結局止められない設備が一つあると、ウオシュレットと呼ばれている全自動トイレ、機械が自分で洗浄してくれるもので、自分で蓋を上げ下げする、初めて日本を訪れる外国人が皆んな驚く奴。
 
” 私は自宅のウオシュレットのスイッチを切ろうとした、しかし、切るのを止めました ” と サエキ氏は云う。
 

 

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