池田龍夫のマスコミ時評(88)『安倍政権の安全保障政策に高まる不安(7/29)ー「熟慮の政治」を望む
2015/01/01
◎『安倍政権の安全保障政策に高まる不安(7/29)
ジャーナリスト 池田龍夫
参院選に圧勝した安倍晋三自民党政権は、集団的自衛権の行使をはじめ、防衛計画大綱の策定、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)見直しなど、安全保障関連の課題に取り組もうとしている。
「日米同盟強化」が目的というが、〝米国依存体質〟からの脱却とは程遠く、右寄り路線の安倍政権の前途を危険視する周辺国が多い。
NYタイムズ紙社説も、歴史認識の欠如に言及
中・韓両政府の激しい抗議が続いている折、米紙ニューヨーク・タイムズ7月22日の社説を電子版に掲載、警告を発した。
時事通信社電によると、「今回の選挙で安倍政権の経済政策は支持された。しかし、日本の重要貿易相手国である中国を刺激する靖国神社参拝や防衛力増強などに突き進めば、経済成長や政治基盤の安定を損なう。選挙結果が、歴史認識の見直しや中国に向けた強硬発言、自衛隊の活動を拡大させる憲法改正に対する支持だと捉えてはならない」と、安倍政権の行き過ぎた姿勢を憂慮している。
朝日新聞が27日付朝刊に掲載したアーミテージ元米国務副長官とのインタビュー記事も、示唆に富む。「安倍政権は経済政策を優先すべきだ。日本では集団的自衛権の行使容認に向けての議論が起きているが、近隣諸国に警戒感が強い。
日本が(戦争責任などの)歴史問題で修正主義をとらず、未来志向であるのとセットであれば大丈夫だろう」と述べていた。安倍首相とも親しいアーミテージ氏は、6月に都内で首相に面会しており、終戦記念日の靖国参拝にくぎを刺した発言は重い。
安倍首相の不用意発言に、米国内の懸念広がる
首相が4月の国会で「侵略の定義は定まっていない」と答弁したことに、米国内の衝撃は広がっている。
米国のバイデン副大統領は7月26日,シンガポールで安倍首相と会談。バイデン氏も「尖閣諸島をめぐる日中両国の対立について、緊張緩和のため双方が必要な措置を取るべきだ」と要請した。
これを受けて毎日新聞27日付朝刊が、アジア専門の米学者2人の意見を掲載していた。「安倍政権への懸念は、参院戦勝利を『政策を劇的に変える許可書だ』と解釈することだ。憲法改正は政治的に不可能だと思うし、挑戦してほしくない。
米国が日本に望むことの90%は、集団的自衛権の行使を容認することでできる」、「安倍首相は『日米』だけの枠から脱する必要がある。米国の多くの人は日本が民主主義国として世界や地域に良い影響を与えることを望んでいる」などと指摘していたことに、共感する。
絶対多数に奢らず、「熟慮の政治」を望む
安倍首相は靖国参拝を見送るとの観測が流れており、憲法改正についてもトーンダウンしてきた。確かに日本国民が安倍政権に全権を託したわけではない。「絶対多数に奢らず、熟慮の政治を志向してほしい」というのが、国民大多数の願いであろう。
(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。
●「日本の参院選:雪辱果たし、改革へ」
(英エコノミスト誌 2013年7月27日号)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38330
●『日本を抑え込む「シルバー民主主義」
―― 少子高齢化が強いる社会保障支出の見直し
http://www.foreignaffairsj.co.jp/
関連記事
-
-
池田龍夫のマスコミ時評(23) 参院選・民主党敗北と政治不信- メディアの報道姿勢も検証
池田龍夫のマスコミ時評(23) 参院選・民主党敗北と政治不信 …
-
-
人気リクエスト記事再録『百歳学入門(195)』-『『超高齢社会日本』のシンボル・『クリエイティブ長寿思想家』の徳富蘇峰(94)に学ぶ➀』★『生涯現役500冊以上、世界一の読書家、著作家の長寿・執筆、散歩術』
2010/09/29の記事再録 『生涯現役500冊以上、世界一の読書家、著作家の …
-
-
★10『人気記事リクエスト再録』-20世紀に世界で最高にもてた日本人とは誰でしょうかー 答えは「ハリウッドを制したイケメンNo.1, 『ハリウッドの王者』うたわれた早川雪洲」★『映画の都「ハリウッド」を制したイケメン・ナンバー ワンは–「セッシュウ・ハヤカワ」とは何者かー チャップリンを超えた男』●『「働き中毒」「アメリカになじまず」「出稼ぎ労働者の日本人移民」は 「排日移民法、排日土地法」の成立でアメリカから追放され、セッシュウもパリに移った』
20世紀に世界で最高にもてた日本人とは誰でしょうかー 答えは「ハリウッドを制 …
-
-
★『 地球の未来/明日の世界どうなる』 < 東アジア・メルトダウン(1071)>★『北朝鮮の暴発による第2次朝鮮戦争の危機高まる!?』★『「クリスマスまでに…」トランプが安倍首相に告げた北朝鮮危機限界点 【特別レポート】電話会談で話された事』◎『「米中が組んで北朝鮮を討つ」そんなシナリオさえ現実味を帯びてきたーー利害は案外一致している』★『あまりに幼稚な左派の「北朝鮮核容認論」これでは日本が滅びる』☆『北朝鮮の暴走が止まらない‥だがそのツケも出始めて』
★『 地球の未来/明日の世界どうなる』 < 東アジア・メルトダウン(10 …
-
-
知的巨人たちの百歳学(175)記事再録/『一億総活躍社会』『100歳元気社会』のシンボル 「 医師・日野原重明(103)、漢字学者 白川静(96)に学ぶ」
2015/11/05知的巨人たちの百歳学( …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(911)-米朝首脳会談(6/12日)はトランプ大統領が5月24日に中止を発表」③-『その理由は北朝鮮側の度重なる約束違反』★『役者が違うトランプ氏は「米軍は世界で最強だ。必要であれば、(軍事的措置の)準備はできている」と暴れん坊小僧の金正恩に、会談のテーブルに戻る様に促す。』
トランプ大統領は24日午前(日本時間25日夜)、米朝首脳会談(6月12日)を中止 …
-
-
●『今から約10年前の 2012/01/23のマイニュース 速報(222)再録』★『日本のメルトダウン』★『迫りくる<日本沈没>は不可避か』●今こそ『インテリジェンス(叡智)と国難突破力が問われている』
速報(222)『日本のメルトダウン』 ★『迫りくる<日本沈没>=巨大地震・内部被 …
-
-
池田龍夫のマスコミ時評(59)『井戸川・双葉町長の核心を衝いた発言』『事故調査報告を生かし原子力政策を刷新せよ』
池田龍夫のマスコミ時評(59) ◎『 井戸川・双葉 …
-
-
新刊出版です-「カメラがとらえた昭和巨人伝―昭和の100人 (洋泉社MOOK)」(団塊世代には超懐かしの本ですよ)
「カメラがとらえた昭和巨人伝―昭和の100人 (洋泉社 …