前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(499)勝海舟の外交必勝法ー「多くの外交の難局に当ったが、一度も失敗はしなかったヨ」①

   

  日本リーダーパワー史(499

 

今年は第一次世界大戦(1914)から100年目。来年は大東亜戦争

全面敗北(1945)から70年、あと4年後2018年は明治維新から150年、

2020年は東京オリンピック開催と―歴史的記念年が目白押しである。

150年の近代日本興亡史は『外交連続失敗の歴史』でもある。

 

いま米国の一国支配構造は崩れ、中国の躍進で国際秩序は大きく変化

している。そんな中で、憲法改正、集団的自衛権の論議、TPP加入問題、

尖閣問題などによる日中韓との対立の長期化懸念―など外交的懸案

が山積しているが、<外交力のある政治家>がいないのである。

明治維新の国難で幕府側の外務大臣(実質首相兼任)役の

勝海舟の外交突破力こそ見習え➊

 

前坂俊之(ジャーナリスト)

「氷川清話」にみる勝海舟の「外交談」

 

 

第1条     おれはこれまでずいぶん外交の難局に当ったが、しかし幸い一度

も失敗はしなかったヨ。外交は一つの秘訣があるのだ。

「心は明鏡止水(めいきようしすい)機に臨み、変に応じて事に

処する」「他人の意見など聞くな」

 

 

 おれはこれまでずいぶん外交の難局に当ったが、しかし幸い一度も失敗はしなかったヨ。外交に就いては一つの
秘訣があるのだ。

                        

 心は明鏡止水(めいきようしすい)のごとし、といふ事は、若い時に習った剣術の極意だが、外交にもこの極意を
応用して、少しも誤らなかった。

 

かういふ風に応援して、かういふ風に切り抜けうなど、あらかじめ見込を立てておくのが、世間の風だけれども、

これが一番わるいヨ。おれなどは、何にも考へたり目論見(もくろむ)たりすることはせぬ。ただた,いっさいの
思慮を捨ててしまって、妄想や雑念が、霊智をくらすことのないやうにしておくばかりだ。

 

すいはゆる明鏡止水のやうに、心を磨ぎ澄ましておくばかりだ。かうしておくと、機に臨み、変に応じて事に処
する方策の浮び出ること、あたかも影の形に従ひ、饗の声に応ずるがごとくなるものだ。

 

それだから、外交に臨んで、他人の意見を聞くなどは、ただただ、迷ひの種になるばかりだ。甲の人の説を聞くと、
それも暴(あら)いやうに思はれ、また乙の人の説を聞くと、それも暴(あら)いやうに思はれ、かういふ
風になって、遂には自分の定見がなくなってしまう。

 

畢竟(ひっきょう)、自分の意見があればこそ、自分の腕を運用して力があるのに、人の智憲で働かうとすれば
、喰ひ違ひの出来るのは当り前サ。

 

 

 

2条   外交の極意は誠心正意にある。ごまかしなどをやりかけると、
かえてこちらの弱点を見抜かれるものだヨ。

 

                 

 外交の極意は、誠心正意にあるのだ。胡麻化(ごまかし)などをやりかけると、かえて向ふから、こちらの弱点を
見抜かれるものだヨ。

 

維新前に岩瀬忠震(ただなり)、川路聖謨(かわじ としあきら)の諸氏が、米国と条約を結ぶ時などは、
五洲の形勢が、諸氏の胸中によくわかつて居たといふわけではなく、たゞ知った事を知ったとして、

知らぬ事を知らぬとし、誠心正意でもつて、国家のために譲られないことは一歩も譲らず、折れ合ふべきことは、
成るべく円滑に折れ合ふたものだから、 ハリス米国公使もつまり、その誠意に感じて、
後に向ふから気の毒になり、相欺(あいあざむ)くに忍びないやうになったのサ。

 

 

 

日本リーダーパワー史(68

勝海舟の外交コミュニケーション術・至誠と断固たる気骨で当たる

     http://maesaka-toshiyuki.com/detail/454

 

 

 - 人物研究 , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『オンライン講座/日本興亡史の研究 ⑬』★『児玉源太郎のインテリジェンスはスゴイ!⑨』★『クロパトキン陸相の日本敵前視察に<すわ、第2の大津事件か!>と日本側は戦々恐々』★『児玉いわく、何も騒ぐことはない。クロパトキンに日本が平和主義で、少しも対露戦備がないことを見せけてやり、ロシア皇帝に上奏させるのが上策だ。クロパトキンの欲するものは包み隠さず一切合切見せてやれ、と指示した』

  2017/04/20   日本リーダーパワー史 …

no image
★『地球の未来/明日の世界どうなる』 < 東アジア・メルトダウン(1074)> ★『第2次朝鮮核戦争の危機は回避できるのか⁉④』★『「クリスマスまでに…」トランプが安倍首相に告げた北朝鮮危機限界点』★『アメリカは北朝鮮の「先制攻撃」を、いまかいまかと待っている 国連安保理の制裁決議で起こること』★『北朝鮮より大きな危機が、5年以内に日本を襲う可能性 中国に「乱世」がやって来る』

★『地球の未来/明日の世界どうなる』 < 東アジア・メルトダウン(1074 …

no image
世界、日本メルトダウン(1034)–『朝鮮半島チキンレースの行方はどうなる!』★『北朝鮮攻撃は偶発的な軍事衝突以外にはありえない』●『中国流の「言葉の遊び」「空約束」外交にオバマ政権も日本外交も何度も騙されてきたが、トランプも同じ失敗の轍を踏むのか?』

世界、日本メルトダウン(1034) 『朝鮮半島チキンレースの行方はどうなるのか! …

『日中台・Z世代のための日中近代史100年講座⑦』★『日本恋愛史の華』★「燁子を救うのか私の義務」と宮崎龍介〔大正10年10月22日 東京朝日〕

2015/01/01/NHK「花子とアン」のもう1人の主人公・柳原白蓮事件/記事 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(52)記事再録/日本風狂人伝⑳日本最初の告別式である『中江兆民告別式』での大石正巳のあいさつ

『中江兆民告別式』での大石正巳のあいさつ      …

no image
日本リーダーパワー史(463)「西郷隆盛」論④明治維新で戦争なき革命を実現した南洲、海舟のウルトラリーダーシップ

 日本リーダーパワー史(463) 「敬天愛人」民主的革命家としての「西 …

『Z世代への昭和史・国難突破力講座⑪』★『大宰相・吉田茂首相と戦後憲法』ーマッカーサーは 憲法は自由に変えてくださいといった 』★『それを現在まで延々と「米国の憲法押し付けた」「いや押し付けられた」と非難、 論争するほど無意味なことはない』★『1週間で戦後憲法を作った米国超スピード主義』『憲法(日本の国家システム)を80年間バージョンアップしていない日本の沈没政治』

  2019/11/03  『リーダーシ …

「トランプ米大統領の関税国難来る!ー石破首相は伊藤博文元老の国難突破力を学べ①』―「日露戦争開戦と同時に伊藤博文はルーズベルト米大統領と「ハーバード大の同窓生・金子堅太郎(農商相)を米国に派遣、 ル大統領を味方につける大統領工作に成功した。世界外交史に輝くインテリジェンス外交』

2025/04/08/「世界・日本リーダーパワー史」(1567) 石破首相は4月 …

no image
★『明治裏面史』/ 『日清、日露戦争に勝利した明治人のリーダーパワー, リスク管理 ,インテリジェンス(52)『宇都宮太郎は、思想的には大アジア主義を唱えていた。』★『孫文や黄興ら中国革命家たちを支援した犬養木堂、頭山満ら玄洋社の支援グループの一人だった』★『『辛亥革命百年の真実』『孫文を助けた大アジア主義者・犬養毅らの熱血支援』

                                 ★『明治裏面史 …

no image
『2018年、米朝戦争はあるのか』⑧ー伊勢崎賢治氏の『米朝開戦の瀬戸際で、32ヵ国の陸軍トップを前に僕が話したことー日本メディアの喧騒から遠く離れて』★『憲法9条を先進的だと思ってる日本人が、根本的に誤解していることー世界が驚く奇想天外な状況』★『知らなければよかった「緩衝国家」日本の悲劇。主権がないなんて…日米地位協定の異常性を明かそう』★『世界的にもこんなの異常だ! 在日米軍だけがもつ「特権」の真実ー沖縄女性遺体遺棄事件から考える』

『2018年、米朝戦争はあるのか』⑧ 2017年9月末、北朝鮮開戦が心配されてい …