『Z世代のための中国近代史講座①』『辛亥革命100年で孫文を助け、辛亥革命を成功させた最大の日本人は宮崎滔天で、宮崎家は稀有な「自由民権一家」であった。(上)
前坂俊之(ジャーナリスト)
志を抱いた浪人
このように宮崎家は“明治の奇跡”ともいわれる「自由民権一家」である。長男の八郎は明治3年に上京し、新政府の専制,幕藩政治に怒りを感じ、中江兆民訳「民約論」に感激して、植木学校を作るなど自由民権運動にのめり込んだ。「九州のルソー」に例えられた人物で、明治政府を激しく批判し、西南の役では西郷軍に身を投じた。
陣中に中江兆民が訪れ「西郷は自由民権主義ではない、一考せよ」と忠告したが、「西郷に天下をとらせて、そのあとまた叛反を起こす」と答え二十七歳で戦死した。滔天が八歳のときである。
兄八郎の生き方に凝縮された自由民権の思想、官職を拒否して革命を企てる豪傑、大将になること、畳の上で死ぬな、という宮崎家の哲学が滔天を革命家一筋の道を歩ませていくことになる。
滔天の兄姉は夭折したものが多かったが、残った2姉2兄のうち、上の兄・民蔵は15歳で地主制度による小作人の貧窮に心を痛め、自由民権と同時に土地という不平等を解消すること、天から与えたれた土地は人類の基本的な人権の一つではないかと考えるようになった。社会主義的な思想の先駆けだが、土地の平等な配分、土地問題を志して「土地復権会」を組織、明治30年から4年間、同志を求めて欧米各国にも遊説して回った。英国では社民党のハイドマン、自由党のロイド・ジョ―ジ、米国では社会労働党のドゥ・レオンらに会い識者の意見を聞いた。下の兄・弥蔵はまず中国に革命を起こすことによって西欧列強の植民地支配からアジアを開放していくことを念願し「革命的なアジア主義」を唱えて奔走した。有名な「自由民権の三兄弟」である。滔天は弥蔵からも大きな影響を受けた
このように滔天が中国革命を目指すきっかけは、宮崎家の家風、兄たちの強い影響があった。19歳の時、郷里の荒尾にある四ツ山という小さな山の上で民蔵、弥蔵、滔天の3兄弟と近所の青年たち6、7人が集まり、数日間にわたって日本とアジア、世界をどうするか、天下国家を論じ尽くした。
二天一流の剣道家として知られた父・長蔵は幼少期、滔天の頭を毎日なでながら、「豪傑になれ、大将になれ」と繰り返した。「金銀、お金に手を触れるのは、いやしい行為だ」と教えた。貧者には「施せ」という家訓を残した。
母も「畳の上で死ぬのは男子の恥だ」と諭した。周囲の人々はみな「西南戦争の指導者の一人として戦死した長兄・八郎のようになれ」と口を揃えた。このため物心もつかぬうちから、滔天は官のつく人間は泥棒か悪人で、賊軍とか謀叛(革命)は大将や豪傑が行なうものとの考えを叩き込まれた。
このように宮崎家は“明治の奇跡”ともいわれる「自由民権一家」である。長男の八郎は明治3年に上京し、新政府の専制,幕藩政治に怒りを感じ、中江兆民訳「民約論」に感激して、植木学校を作るなど自由民権運動にのめり込んだ。「九州のルソー」に例えられた人物で、明治政府を激しく批判し、西南の役では西郷軍に身を投じた。
「大丈夫の真心こめし梓弓、放たで死することのくやしさ」
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