前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『オンライン/ウクライナ戦争講座』★『歴史-それは人類の犯罪と愚行と不幸の記録以外の何物でもない』(英国の歴史家・エドワード・ギボンの言葉』★『「赤い旗(共産主義国家)の利点は殺人者が血に濡れた手を拭っても汚れないうことだ」』

   

 

社会主義「ジェノサイド」国家の運命

 

『歴史-それは、人類の犯罪と愚行と不幸の記録以外の何物でもない』とは英国の歴史家・エドワード・ギボン(一七三七~一七九四)の言葉だ。ロシアプーチン大統領(ツアー)によるウクライナ戦争の残虐行為、ジェノサイドを見続けているとつくづくそう思う。

英BBC(4/4)によると、「ウクライナの首都キエフ周辺地域からロシア軍が撤退したことで、ロシア軍による無差別殺人の痕跡が次々と明みに出ている」という。ウクライナ民間人が手足を縛られ、後頭部を撃たれて処刑されていた遺体や、証拠隠滅のため焼かれたかのような遺体も複数見つかった。「410人の市民の遺体が運び出された」(ウクライナの検事総長), 「数百人の市民が殺害された。世界がこれまでに見たことのない悲惨な行為だ」(北東部スムイ州知事)などウクライナ側は「残忍な戦争犯罪の決定的な証拠だ」と強く非難した。

国連のアントニオ・グテーレス国連事務総長は、独自調査を呼びかけた。国連の人権当局によると、民間人1400人超が死亡、2000人以上が負傷したという。実際の数はこれよりはるかに多いとみられている。

ロシア政府は、ロシア軍がブチャで民間人を殺害した事実はないと、証拠も上げず全否定した。ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、国連の安全保障理事会で演説し「第2次世界大戦以降、最も悲惨な戦争犯罪だ」としてロシアを強く非難した。
ウクライナとEUは戦争犯罪などを捜査するため合同捜査チームを立ち上げ、国際刑事裁判所に証拠を収集して提訴する方針だ。

米国はロシア制裁をさらに強めた。ロイター(4月5日)によると、米国は5日、同国金融機関のロシア政府口座からドルを支払うことを停止すると発表した。これまでロシアが米国の金融機関に持つ口座から「ドル建て債務の返済」を行うことを個別には認めてきたが、それを完全ストップし、ロシアをデフォルト(国家破産)に追い込む方針だ。

ますます追い込まれていくプーチン「共産主義国家」はどう出てくるのか毎日、目が離せない。歴史的にみると共産主義国家の本質は今も全くかわらない、「赤い旗の利点は殺人者が血に濡れた手を拭っても汚れないうことだ」とのユダヤの格言があるが、的を得ていると思う。

カール・マルクスが大英図書館にこもって独創的な共産主義理論の『資本論』を書いて出版したのは1867年で、明治維新の1年前のことだ。その後、資本論は社会科学と称され、社会主義のバイブルとなったが、社会科学と称する以上、実証的、実験作業によって真実を証明する必要がある。薬品などの場合は、モルモットで実験したり、化学的な実験によって、その成果を証明しなければ薬品として認証されない。

マルクス理論もまず、小さな国で小規模に行われれば犠牲、被害は少なくてすんだのに、いきなり世界一大きな国ロシアと世界一人口の多い国中国で資本論をバイブルにして壮大な、ユートピアをめざしてレーニンによるロシア革命(1917年)、毛沢東による中国革命(1949年成功)が実験されて、建国した。

その間にギボンのいう『人類の犯罪と愚行と不幸の歴史』が言論の自由を封鎖した『監獄国家』『収容所列島』の中で繰り返されてきた。

マッシュ・ホワイト著の大作「人類の犯した大罪―殺戮の世界史」(全731頁、早川書房、2013年刊)によると、両国の革命勃発、内戦、外戦の過程での失政、暴政、虐殺による犠牲者は『旧ソ連』『中国』の場合、三千五百万人から四千万人に上るという。その内訳は、中国の『大躍進運動』による犠牲者が二千二百万人、文革による犠牲者が六百万人。旧ソ連では、シベリアの収容所で死亡した者が七百万人、少数民族の強制移住による犠牲者が三百万人、農業集団化の強行による犠牲者がウクライナを中心に三百万人など人類の「大量虐殺」「ジェノサイト」の歴史であることを示している。

結局、マルクスという経済学者が発明した経済理論は、実験にほぼ一世紀を費やした結果、人命尊重、人権重視の現代政治体制では壮大なる失敗実験であり、最悪の政治体制であったことがすでに証明されわけである。

ちなみに同書による共産主義国家による大粛清、処刑、強制収容所、飢餓、民族浄化、水漏れのするボートでの必死の逃走のための死亡者数の推定値は中国、ソ連についで➂北朝鮮:300万人④エチオピア200万人➄カンボジア170万人➅ベトナム:36万5000人(1975年以後)⑦ユーゴスラヴイア:17万5000人⑧東ドイツ:10万人⑨ルーマニア:10万人⑩北ベトナム5万人(内部で1954-75)などとしている。

以上は、死者の推定値だが、戦争、内乱、飢餓による難民の数値は同書の中にも示されていない。今回のウクライナ戦争では、グランディ国連難民高等弁務官の3月20日のツイッターでは避難民が1000万人を超え侵攻前のウクライナの人口は約4200万人だったのが、約4人に1人が避難を強いられたという。」

 

(評論家)

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『ガラパゴス国家・日本敗戦史』➁『近衛文麿、東條英機の手先をつとめたのは誰か』➁水谷長三郎(日本社会党)の国会演説

  1年間連載開始―『ガラパゴス国家・日本敗戦史』➁   なぜ、米軍B …

no image
高杉晋吾レポート⑥日本の原発建設は住民の命を「いけにえ」に、企業の利益を守る立場で出発①

高杉晋吾レポート⑥   日本の原発建設は住民の命を「いけにえ」に、 企 …

「Z世代のための生成AIをはるかに超えた『世界の知の極限値』・南方熊楠先生の書斎訪問記(酒井潔著)はびつくり話③』★『先生は本年65歳。数年前より酒を廃して養生に心がけ、90歳まで生きて思うよう仕事を完成して、「死んだら頭の先から爪の先まで売り払って乞食にいっぱ飲ましてやる」と豪語された。』

2015/05/01  記事再録編集 <以下は酒井潔著の個人 …

no image
森田実氏が書評で絶賛した新刊紹介『8・15戦災と3・11震災―なぜ悲劇は繰り返されるのか』(片野勧著、第三文明社刊)

          &nbsp …

no image
日本の「戦略思想不在の歴史」⑵(記事再録)-日本で最初の対外戦争「元寇の役」はなぜ起きたか②『「モンゴル帝国は計6回も日本に使者を送り、外交、貿易、 属国化を迫ってきた』『日本を攻めようにも風涛艱険で、 モンゴル軍が安全に進攻できるところではない』

「モンゴル帝国は計6回も日本に使者を送り、外交、貿易、 属国化を迫ってきた』『日 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(267)★『6年前のSTAP細胞問題の小保方晴子氏会見をみて感じた 「死に至る日本病」の正体とは・』★『説明責任を果たさない公人側と厳しく追及しない日本の記者会見の無責任体制はいつまで続くのか』

  2014/04/10  日本のメルト …

no image
終戦70年・日本敗戦史(113)◎『太平洋戦争と新聞報道を考える』(日本はなぜ無謀な戦争をしたのか、どこに問題があったのか>

                                     終戦7 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(141)再録★<提言>『教育改革に①「英語の第2国語化」②「プログラミング」③「世界旅行【海外体験)を取り入れる』

    2017/12/06 の記事再録&nbsp …

『オンライン講座/日本興亡史の研究⑦』『児玉源太郎の電光石火の国難突破力➂』★『早期開戦論に反対した伊藤博文元老、山本権兵衛海相を説得』★『伊藤博文は、世界に対して大義名分が必要、戦を好まない日本帝国が、万止むを得ずして自衛の手段に訴えて戦争に立ち上がらされたことを示さなければならん』

 2017/05/28  日本リーダーパワー史(8 …

『Z世代への遺言 ・日本インド交流史の研究②』★『インド独立運動革命家の中村屋・ボースを<わしが牢獄に入っても匿うといった>頭山満の決断力』★『ラス・ビバリ・ボースの頭山満論』

2023年5月20日、「グローバルサウス」の代表格で核保有国 インド・モディ首相 …