前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『オンライン/昭和史研究』『昭和天皇による「敗戦の原因分析」①★『敗戦の結果とはいえ、わが憲法改正もできた今日において考え て見れば、国民にとって勝利の結果、極端なる軍国主義 となるよりもかえって幸福ではないだろうか。』

   

 

   終戦70年・日本敗戦史(102)記事転載

 ー昭和天皇による「敗戦の原因分析」①ー

    ①立憲君主国に於て、国務と統帥との各最上位者が完全なる意見の一致をもって上奏し来りたる事柄は、かりに君主自身内心に於ては不賛成の事柄なりとも、君主はこれに裁可を与うるを憲政の常道なりと確信す。

②国民の不満を負うて軍が立ち上がり、軍の中心勢力の少壮客気の者達が手段を選ばざる無謀を敢てするも、抑止することは難事中の難事であった。

③鈴木首相と米内海相とは「大勇」があったのでよく終戦の大事を為し遂げた。

④なぜ日本人種は嫌われたかー(イ)白色人種の有色人種に対する優越感(ロ)日本人の独善性(ハ)日本人の教養の不足(二)日本人の宗教の異なること

 ⑤わが国の国民性は付和雷同性の多いことが、戦争防止の困難の1つであった。この欠点を矯正して国民の教養を高め宗教心を培って確固不動の信念を養う必要がある。

 ⑥『軍備は平和確保の為の一手段である』。平和の為に軍備をするといいながらその軍備の力を使用したがる軍人があった。

⑦敗戦の結果とはいえ我が憲法の改正も出来た今日に於て考えて見れば、我が国民にとって勝利の結果、極端なる軍国主義

となるよりも却って幸福ではないだろうか。

 

以上は「<防衛庁防衛研究所戦史部監修・中層裕次編「昭和天皇発音言己録集成(下巻)」 ㈱芙蓉書房出版 2003年>の中から1946年4月ごろと思われる「天皇の敗戦記録」の部分を転載させていただいた。

「政談拝聴記録原稿Ⅰ(木下道雄 「側近日記」 211-212頁)

 

◎ 緒言

第一次世界大戦後の講和会議に於て、我が国代表によりて、主張せられたる人種平等に関する日本国民の叫びは、列国の容るる所とならず、黄白の差別観は世界の各地に残存し、かの加州移民拒否の如き、又豪州の白豪主義の如きは、我に相当の発展力を有しながら、しかも国土狭小にして人口の過剰と物資の不足とに悩む日本国民をして憤慨せしむるに充分なものであった。

のみならず、私が英国を訪問して相互の親善に努力したに拘わらず、その直後に於て日英同盟は廃棄せられ、又軍備縮小に関する列国の対日圧迫は年に月に強化し、青島は還付を強いられ、かつ支那に於ける排日教育は列国の弱者に対する同情の下にその根底頗る固く、為に日支の関係は悪化の一途をたどるの外なきに至った。

しこうして、この国際的悪条件に対処すべき我が国の政治力は政党腐敗の結果、漸く衰弱の相を呈し、もはや政党者の手に政治を委せていては国家の前途危うしという感が国民大衆の間に弘く浸潤しっつあったかかる国家の危機に際しては、国民の心気は自ら鳴動するものである。

この情勢に乗じ、国民の不満を負うて軍が立ち上がったのであるから、たとえ軍の中心勢力たる少壮客気の者達が手段を選ばざる無謀を敢てすることがあっても、これを抑止するということは難事中の難事であった。

なぜならば、これら無謀な行動も国家の窮状打開という愛国的行動と一脈相通ずるかの観を呈していたからである

私はこれら無謀な行動が招来すべき結果に付て、非常に憂慮したが故に、機会ある毎に軍の首脳者に諭すところがあったが、当時下剋上の風潮流行し、首脳者の訓戒も部下に徹底しない、さればといって私自身直接に下級将校を両論することは軍の指揮統率の上からいって許されること (以下不明)

二一年?月?日 聖談拝聴記録原稿② 《側近日誌二一三貢》

◎ 「立憲君主国に於ける君主の常道」

立憲君主国に於て、国務と統帥との各最上位者が完全なる意見の一致をもって上奏し来りたる事柄は、かりに君主自身内心に於ては不賛成の事柄なりとも、君主はこれに裁可を与うるを憲政の常道なりと確信す。

もし君主に於て自己の意に満つるときは裁可し、満たざるときは拒否するに於ては、これ名に於ては立憲君主なりといえども、実に於ては専制君主というべきなり。

朕をしてこの確信を得せしめたるは1つの苦き経験なり。それは即位後間もなく起たる彼の満州に於ける張作霧爆死事件なり。多くの日本人は知るところなかりしも、当時世界の与論はごうごうとして日本軍に非難をあびせ来れり。

朕はよって首相田中義一に事の真相の調査を命じ、もし事件が日本人の手によって行われたるものならば、厳重処罰すべきことを厳命せり。調査の結果は、遺憾にも右事件は日本軍に属する若干の将校の計画実行せるものなること判明し、首相は朕に対し厳重処罰すべきことを言明上奏したるのみならず、内大臣及び西園寺元老には尚詳らかに事件を説明し、犯行者を軍法会議の審問に付すべきことを言明したる由なり。

しかるに事件拡大の兆しを察するや、首相は前上奏をもって朕に約するところに反し、改めて閣議決定をもって事を有耶無耶に付せんとする上奏を為し来れり。ここに於て朕は首相に対し其の食言を責め、辞表の提出を求めた。

首相これに服し、ここに田中を党首としたる政友会内閣は倒壊するに至れり。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『オンライン昭和史講座/白洲次郎の研究』★『 日本占領から日本独立へ ,マッカーサーと戦った日本人・吉田茂と白洲次郎(1)』★『憲法問題の核心解説動画【永久保存】 2013.02.12 衆議院予算委員会 石原慎太郎 日本維新の会』(100分動画)

 2013/03/14  /日本リーダーパワー史(367), …

no image
知的巨人の百歳学(145 )-声楽家・中川牧三(105 歳)-『生涯涯現役/健康長寿法、「好きなことを好きなようにやってきたら、いつの間にか100歳を迎えていました」

    2015/10/13 / 知的巨人たちの百 …

『テレワーク、SNS,Youtubeで天然生活術』★『鎌倉八幡宮の源氏池のハスの花の万華鏡(2020/7/11/am730)』★『世界で最も美しいこの花を見ずして死ねないよ』★『7年前の鶴岡八幡宮の蓮の花』●『人は誰でも,心の中にこの世で最も忘れがたき花 がある。ひとめぼれした永遠の花とは

  鎌倉八幡宮の源氏池のハスの花の万華鏡)-世界で最も美しいこの花を見 …

no image
日本リーダーパワー史(447)「安倍靖国参拝外交を検証する③」外交は結果がすべて、国益追求「外交」を国益毀損「害交」にするな

  日本リーダーパワー史(447)   「安倍靖国 …

Z世代への遺言「東京裁判の真実の研究②」★『敗戦で自決した軍人は一体何人いたのか』★『東京裁判ではA級戦犯の死刑はわずか7人、BC級裁判では937人にものぼり、下のものに圧倒的に重罰の裁判となり、「復讐の裁判」との批判を浴びた』★『戦陣訓』で、捕虜になるより自決を強制した東条英機の自殺失敗のお粗末、無責任』

『リーダーシップの日本近現代史』(124)ガラパゴス日本『死に至る病』 &nbs …

no image
日本リーダーパワー史(413)『中国の沙漠を甦らせた奇跡の男・遠山正瑛』<歴史読本(2009年3月号)

  日本リーダーパワー史(413) 『中国の沙漠を甦らせた奇 …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(138)』VW不正事件、「事実・背景・今後」を「時間軸」で整理‏」◎「経営者の資質は、業績貢献よりも、人格識見と倫理感の秀でた人材が相応しい、という鉄則を想起」

  『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(138)』  経営者の資 …

no image
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑦1903(明治36)年4月30日『英ノース・チヤイナ・ヘラルド』 『ロシアは満州撤退せず』『ロシアと日本』

    『日本戦争外交史の研究』/ 『世界史の中の日露戦争』⑦ 1903(明治3 …

no image
名リーダーの名言・金言・格言・苦言・千言集⑦『お客さまに尊敬されよ』(稲盛和夫)『トップは役員会に出席するべからず』(本田宗一郎)

<名リーダーの名言・金言・格言・苦言 ・千言集⑦>       前坂 俊之選 & …

no image
「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日本の新聞が伝えた日英同盟」④桂首相、小村外相か貴衆両院で報告〔明治35年2月13日 時事〕●『『東洋の平和と清国、朝鮮領土保全のため』〔明治35年2月13日 時事新報社説〕』

  ★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日本の新聞が伝えた日英同盟」④ …