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★「冷戦終結のベルリンの壁崩壊から30年、今、再び「新冷戦」の時代へ」

      2020/01/15

 

              前坂 俊之(ジャーナリスト)

 

歴史は繰り返すのか。2019年11月9日、東西冷戦の象徴だった「ベルリンの壁」の崩壊から30年目を迎え、メルケル首相は「もう二度と、壁で人々を分断してはならない。われわれはどんなに高く、頑強な壁も打ち破ることができる」と述べた。ところが、トランプ大統領は「自由な人の流れや貿易」を止めるための「メキシコとの壁」を築き、米中貿易関税戦争を引き起こしている。

中国も一帯一路政策で「中国主導の経済貿易圏」を構築しファーウエーの5Gネットワークと監視カメラでて国内に巨大な歴史上初めての「人権抑圧の監視国家」を建設中だ。冷戦時代は「鉄のカーテン」「ベルリンの壁」がそのシンボル的なだったが、今や中国の「竹のカーテン」に仕切られた「スマホ・監視カメラによるIT牢獄国家」の「新冷戦」の時代に突入している。(11月15日までのもの)

  • 米下院、トランプ氏の弾劾調査開始へ

 

「米議会下院は10月31日、トランプ大統領のウクライナ疑惑について、大統領の弾劾調査を正式に進める決議案を賛成232、反対196で可決しました。民主党のペロシ下院議長は「トランプ氏の行動は国家安全保障を損ね、米憲法に違反する。大統領は説明責任を果たす必要がある」と非難した。民主党によると、トランプ氏が7月25日に、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談した際に、軍事支援4億ドル(約440億円)を実施する条件としてバイデン前副大統領(民主党)親子に関する疑惑を捜査するようにゼレンスキー大統領に要求し、その捜査を公表すれば、軍事支援4億ドル(約440億円)を支払うという取引条件をつきつけた職権乱用の疑惑が浮上しているのです」

この件で内部告発の通報があり、下院の各委員会で弾劾予備調査を関係者を呼んで非公開で行いましたが、トランプ氏の疑惑を裏付ける証言が次々に出てきたのです。10月18日 ゴードン・ソンドランド駐EU大使は『ジュリアーニ氏(トランプ氏の顧問弁護士)は同大統領の意向として、バイデン氏問題をウクライナ政府が捜査するとの公式声明をゼレンスキー大統領に出すようにと強く迫った。軍事支援約4億ドル(約440億円)の保留は、ウクライナ側の捜査実施の公表の条件だ』と当局者に伝えたことを認めたのです。続いて同22日にはウクライナ米大使ウィリアム・テイラー氏(72)(国務省のベテラン外交官)が「アメリカの正規の外交ルートではない、トランプ氏の個人ネットワークのヴォルカー・ウクライナ米特使、ソンドランド駐EU大使、ジュリアーニ氏らを使ってバイデン問題と軍事援助を取引条件に使ったことで、「両国の関係が根本的に損なわれた」と証言しています」

  • ウクライナ疑惑を裏付ける証言が続々

「さらに疑惑を裏付ける証言が続きます。ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)のメンバー、アレクサンダー・ビンドマン中佐は7月25日の両大統領の電話会談に同席していて、直線電話のやり取りを聞いていた人物です。同中佐は10月29日に証言し『トランプ氏がバイデン氏について捜査するよう、ウクライナ側に圧力をかけるのを聞いた。そのことは問題だと、その場で、反対意見を表明し、米国家安全保障会議(NSC)にもその後通報した』と述べた。同中佐は「外国政府に米国民の捜査を求めるのは適切とは思わなかった。この捜査要求は不適切だとして、何度も警告した」という。同中佐は電話会談の第一次情報を握る内部告発者で、ウクライナから3歳で家族とともにニューヨークに移住、陸軍に入隊、イラク戦争に従軍、外交担当武官、モスクワのアメリカ大使館で勤務をへて、2018年7月からはボルトン大統領補佐官(当時)のもと、国家安全保障会議(NSC)で勤務していた人物です。トランプ内部大統領から強い圧力がかかり告発すれば逮捕される危険もあったが良心と勇気をふるって委員会の証言に立ったもので、最も有力な証言だといえますね』

(「このほか31日、NSCの欧州ロシア上級部長を務めたティム・モリソン氏が証言し『米国のソンドランド大使がウクライナ政府高官にバイデン氏に関する捜査に着手すれば、ウクライナに対する約四億ドル相当の軍事支援を実施する、と伝えていた』ことも明らかにした。こうした疑惑の数々から、ヴィンドマン氏の委員会証言が終わった直後に、下院民主党は、トランプ氏の弾劾調査を担当する下院委員会に正式な権限を付与する決議案を発表し、31日に本会議で決議したわけです。この結果、今後の弾劾調査はこれまでは非公開だった下院委員会の証言聴取が公開になるなど、よりオープンな進行となります」

 

  • 弾劾裁判は上院で成立するのか、どうか

 

「ニューズウイーク日本版電子版(10月29日付)『弾劾で追い込まれたトランプが再選を投げ出す?』によると、電話会談の様子をもっと具体的に書いています。

「トランプ大統領はまず、バイデン親子への捜査を正式に開始しなければ、ゼレンスキー大統領が望むホワイトハウスでの首脳会談はナシだというメッセージを明確に伝えた。ゼレンスキーはこの求めに応じず、会談は実現しなかった。

すると、トランプは脅しを強めた。要求に従わなければ武器支援を行わないとの意向を示し、それでも相手が従わないとみるや、捜査を始めなければ4億ドル近い軍事援助も行わないとはっきり伝えた。2人の高官が宣誓証言で嘘を述べていない限り、現職のアメリカ大統領が選挙を自らに有利に運ぶ目的で外国指導者の力を借りようとし、そのために露骨な脅しをかけていたことになる」と。

この記事のコラムニストはトランプの取引、脅しの手口はマフィア的と書いているが、まさしくトランプはニューヨークの下町のマフィアの巣窟の近くで育ったので、まさしくこの通りのやり取りだったと思うよ(苦笑)。アメリカの「ニューヨークタイムズ、ウオールストリートジャーナル」「ニューズウイーク」など各紙、雑誌では同大統領とマフィアとの関係記事は山ほどのっている周知の事実です」

「大統領の弾劾については①反逆罪、②収賄罪、③その他重罪及び軽罪があり、トランプ大統領のウクライナ疑惑について③の軽罪に当たるかどうかが争点となる。弾劾手続きは下院が弾劾訴追権をもち、決定すれば弾劾裁判権をもつ上院にあげる。下院は単純過半数によって訴追ができるので現在、定員435議席のうち民主党が235議席を占めているため、弾劾訴追が成立する可能性は高い。しかし、上院では3分の2以上が賛成しなければ、大統領を罷免できない。現在定数100議席のうち共和党が53議席を占めているので、共和党議員の15人以上が造反しないと、トラ大統領解任できないわけで、上院で罷免の可能性は現在のところ少ない。過去の大統領で弾劾されたのは、ジョンソン大統領とビル・クリントン大統領の2人だが、上院の弾劾裁判では有罪を認めなかったため、いずれも解任はされていない。ニクソン大統領は下院の弾劾採決を待たずに辞任しています」

 

「ちょうどトランプ氏の弾劾訴追決定と大統領選挙が1年後と迫ってきたタイミングに合わせたのか2019年10月30日に米ツイッターは政治広告の掲載を11月22日から世界中で禁止すると発表した。理由はツイッターでの政治広告の、大きな影響力があり、非常に有効な手段だが、一方では政治に重大な危険を及ぼしている」というもの。この禁止に対してトランプ陣営の選対委員長は「トランプ大統領と共和党を黙らせるための左翼による新たな試み」と強く反発している。フェイスブックは「民主主義では、民間企業が政治家やニュースを検閲することが正しいとは思わない」と禁止しないといいます」

 

  • 火花を散らす米中対決、ぺンス副大統領の演説

 

(A)「ぺンス米副大統領が10月24日、中国に対する約50分に上る包括的な政策演説を約1年ぶりに行い「中国の行動はますます攻撃的、不安定になっている。香港デモへの対応は中国共産党の自由への嫌悪を最も示したものだ」と一段と中国への対決姿勢を強めています。 日経(10月)26日付)や各紙によってその概略を列挙しますと、

  • 過去17年間で中国の国内総生産(GDP)は9倍以上成長し、世界第2位の経済大国になった。世界史上最大の富の移転で、この成功の多くは米国から中国への投資によるもの。 昨年の対中貿易赤字は4000億ドルで、これはアメリカの貿易赤字額の半分近い。トランプ氏が何度も言っているようにそんな時代は終わりだ。
  • 数百万人の少数民族(新疆ウイグル族)と宗教的少数派の人々(チベット族)らの宗教的、文化的なアイデンティティーを根絶しようと中国共産党は隔離、弾圧している。中国共産党は何億台もの監視カメラが、あらゆる方角から監視している世界一の人権監視国家を構築し、その技術をアフリカ、南米や中東に輸出している。

➂知的財産侵害を止めると2015年に約束したが、その後も、中国政府は米国の知的財産の侵害を支援し続けている。麻薬入り医療用鎮痛剤「フェンタニル」によって、毎月何千人ものアメリカ一体人の命を落としている。

④この1年間で中国の行動は隣国に対してさらに挑発的になってきた。中国は南シナ海を軍事化するつもりはないと言う一方、対艦ミサイルなどを人工島に配置。東シナ海では、同盟国である日本は中国の挑発に対する緊急発進(スクランブル)の回数が19年は過去最多となる見通しだ。また日本に施政権がある尖閣諸島の周辺水域に60日以上連続で艦船を送り込んだ。中国は広域経済圏構想「一帯一路」を使って世界中の港に足場を築いている。

➄過去1年の間に、香港の運動ほど、中国共産党に対する反感を示したものはなかった。ここ数年、北京は香港に対する介入を強化し、香港人の権利や自由を縛ろうという行動を起こしてきた。香港の権利や自由は、「一国二制度」という国際的な約束によって保証されている。

―こうして厳しい批判をしながら、最後では米国は引き続き中国とのより良好な関係を求める。我々は、米国と中国が平和と繁栄の未来を共有するために協力できる、ウインウインの関係が構築できると呼びかけているのです」

 

「ところが、10月30日、米国のマイク・ポンペオ国務長官が演説し、ペンス副大統領以上の強い調子で「中国共産党政権は米国やその他の民主主義諸国の価値観を否定している」と激しく糾弾しています。「中国はマルクス・レーニン主義の政党であり、そのイデオロギーは闘争と世界制覇を目指している。中国共産党政権の軍事力増強は、自衛に必要な水準をはるかに超えて、他国に脅威を与えるようになった。米中間の諸問題は、もはやイデオロギーの根本的な違いに触れずに考えたりはできない」として「全世界の民主主義諸国が団結して中国と対決すべきだ」と呼びかけたのです」

つづく

 - 人物研究, 戦争報道

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