100周年を迎えたシャープは存亡の危機にたつー創業者・早川徳次の逆境・逆転・成功人生に帰れ「ピンチの後はチャンスが来る」
<月刊「理念と経営」2012年5月号>
『難』あり、『有難(ありがた)』し」

夜中に表に放り出され、冬なのに井戸水を頭からかける折檻や、長屋住宅の共同便所の便壺の中に突き落とされ、泣き叫ぶ声で近所の人からやっと助け出されたこともあった。養父と継母の間には次々に子供が生まれ、徳次はますます肩身の狭くなる。栄養失調でやせ細り、見るに見かねた近所の人が継母に説教すると、余計にひどい虐待がはねかえった。
2つ、3つ、4つと考える。だいたい、3つ目ぐらいにはうまくいく」
早川は一から出直しすることを決断した。それまでのシャープペンシルの特許50件、実用新案権など全部売って借金返済に当て、大阪へ都落ちし現在のシャープ本社の所在地・大阪市阿倍野区長池町(当時は東成郡田辺町)に借家を得て、早川金属工業研究所が開設した。シャープペンシルはもう製作できぬため、万年筆の付属金具やクリップの新型製作を開始し、新分野、新製品の開発に取り組んだ。
おぼつかない」
すでに外国ではラジオが普及し始めていたが、日本でも3月から、NHKラジオ放送局(NHK)が開設されたばかり。早川はこのラジオセットを徹底して分解し研究した。電気の初歩的知識もなかったが、長年の金属加工技術から、検波器.ノッチ、タ―ミナル、コイルなどのラジオ部品を見よう見まねで作り、同4月、自家製小型鉱石セットの組み立てに成功、日本で初めてのラジオ受信機第1号の完成である。
毎日、大阪市内の電気器具店やラジオ屋へリヤカーで卸に行くと、そのそばからどんどん、売れに売れた。これが早川電機(現・シャープ)のラジオ製作の先駆けとなった。1929年(昭和4)には真空管ラジオを発売し、『ラジオのシャープ』として業績を拡大、その後、第二次世界大戦を挟んで、徳次は幾度となく苦境に立たされた。しかし、徳次は持ち前の発明家精神で、その都度、逆境を克服する新製品を開発、普及させていった。
しかし、早川は「社員を失業者の群れに投じてまで延命をはからない」と銀行団の条件を断然拒否、「社員588人、全員一運托生で会社を去ろう」と厳命した。そこに思いもがけぬ事態が起きた。労組代表が「われわれの中から二百十人が希望退職をします。融資をうけ再建して下さい」と早川に訴えたのだ。「至誠天に通ず」早川は感泣した。以後、労使は火の玉となって再建へ立ち上がった。
が生んだ悲劇』
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20120829/ecn1208291811009-n1.htm
関連記事
-
-
Z世代へのオープン歴史講座・なぜ延々と日韓衝突は続くのかルーツ研究⑧』★『1894(明治27)年7月13日付『英国タイムズ』★『(日清戦争2週間前)「朝鮮を占領したら、面倒を背負い込むだけ』★『日本が朝鮮を征服すれば,この国が厄介きわまりない獲物であることを思い知らされる一方,中国にはいつまでも敵意を抱かれることになる』
2014/09/06 /現代史の復習問題/「延々と続く日韓衝突のルー …
-
-
人気記事再録/世界が尊敬した日本人(54)地球温暖化、地球環境破壊と戦った世界の先駆者/田中正造―『ただ今日は、明治政府が安閑として、太平楽を唱えて、日本はいつまでも太平無事でいるような心持をしている。これが心得がちがうということだ』」
2016/01/25世界が尊敬した日本人(54) 月刊 …
-
-
日本リーダーパワー史(36) パリで恋と芸術と賛沢三昧に600億円を使ったコスモポリタン・薩摩治郎八(上)
日本リーダーパワー史(36) パリで恋と芸術と賛沢三昧に生き、600億円を使った …
-
-
◎現代史の復習問題『日韓150年紛争の歴史はなぜ繰り返され続けるのか、そのルーツを検証するー「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など外国紙が報道した「日韓併合への道』の連載➂(21回→27回終)』
2018年1月13日記事再録/ 日本リーダーパワー史(873) 「 英 …
-
-
記事再録/『2007年にちょうど100年目を迎えたブラジル日系移民の苦難の歴史』
新橋演舞場上演 2007,11月 「ナツひとり」パンフレットに掲載   …
-
-
日本リーダーパワー史(103)名将川上操六⑯日清戦争の大本営で見事に全軍を指揮する
日本リーダーパワー史(103) 名将川上操六⑯日清戦争の大本営で見事に全軍を指揮 …
-
-
日本の「戦略思想不在の歴史」⑸『日本最初の対外戦争「元寇の役」はなぜ勝てたのか⑸』★『当時の日本は今と同じ『一国平和主義ガラパゴスジャパン』★『一方、史上最大のモンゴル帝国は帝国主義/軍国主義/侵略主義の戦争国家』★『中国の『中華思想』『中国の夢』(習近平主義),北朝鮮の『核戦略』に共通する』
日本の「戦略思想不在の歴史」⑤「元寇の役」はなぜ勝ったのか』 クビライは第一回 …
-
-
日本リーダーパワー史⑬ 100年前、地球環境破壊と戦った公害反対の先駆者・田中正造
日本リーダーパワー史⑬ 100年前、地球環境破壊と戦った公害反対の先駆者・田中正 …
-
-
弁護士・正木ひろし(まさき・ひろし)の資料、記録について
正木ひろし(まさき・ひろし)の資料、記録について 前坂 俊之 …
-
-
日本経営巨人伝①・リサイクルの巨人先人・浅野総一郎の猛烈経営『運は飛び込んでつかめ』
日本経営巨人伝①・リサイクルの先駆者・浅野総一郎の猛烈経営 『運は水の上を流れて …