池田龍夫のマスコミ時評(39) ★『沖縄密約文書「廃棄の可能性」―不可解な「無いものは無い」判決―』
池田龍夫(ジャーナリスト)
米国公文書館に両国が交わした〝密約文書〟が保管されていることが10年前に明らかになっているのに、日本政府は「無いものは無い」と何時までも強弁し続けるのだろうか。原告団が強く要請しているように、「日本側に文書が無いならば、米公文書の写しを取り寄せて精査すれば明確になる」ことなのである。
「そもそも開示請求対象の文書の写しは米国立文書館で公開されており、元外務省局長も文書に署名したことを認めている。密約文書はあったというのが国民の抱く常識的感覚だ。…公文書は役所のものではなく、国民の共有財産である、という自覚が、日本の行政には著しく欠けてはいないだろうか」と『毎日』社説が指摘する通りである。
これに対し、国側は二審で『有識者委員会でも調査したが、文書が無いという結論は同じだ』と主張を繰り返した。こちらは(原告で作家の)澤地久枝さん、小町屋育子弁護士を中心に調査チームを作って、国が(2010年度に)公表した外交文書4500㌻から、係官の手書きメモなども丹念に調べ、密約合意に至る過程を時系列に並べた。そうすることで密約協議の経過が分かったが、私たちの求める密約文書だけがない。これはどう考えてもおかしい。
国家権力が自分の利害に絡む行為をしたとき、それが適法なのかどうかをみんな知りたい。それが満たされることが、民主主義の成熟につながる。国の作為で事実が隠匿され、結果的に国民に不利益を与えている。日本の情報公開制度の在り方が問われているのだ」と語った。
文書の廃棄は仕方ないと割り切ったように読める判決だが、ことは国を左右するような重要な国家間の密約である。そうした歴史に対する冒涜ともいえる愚挙を、訴訟の本筋からするりと見逃す態度はいかがなものか。これは結果的に、政府の秘密体質(捨て得)を追認することになりかねない」と、琉球新報9・30朝刊で見事な分析をしていたが、民主党政権になっても改まらない〝隠蔽体質〟が嘆かわしい。
関連記事
-
-
『Youtube鎌倉絶景チャンネル・10周年記念』★『鎌倉紅葉の名所・天園ハイキングコースの「獅子舞」へ向かう』(2022年12月10日午後3時-4時)』★『奇跡の森もあと1週間の命』①
観光ガイドー最高の『モミジの名所」獅子舞が「紅葉谷」になるのは1 …
-
-
日本メルトダウン( 967)『東京五輪、反対してもいいですか?「やめる」を納得させる5つの理由』●『「悲惨なアメリカ」を証明した、二つの衝撃レポートの中身 大統領選の行方にも影響アリ?』●『ドゥテルテ大統領来日で再確認!アジア外交の主役はやはり日本だ 中国はこの接近に焦っている』●『 スマホが子どもにもたらす「隠された3つの弊害」』●『ウェブメディアの「検索回帰」が始まったワケーSNSのアルゴリズム変更に高まる不信感』●『ネットニュースの虚実に迫れるか 「Google News」に「ファクトチェック」タグ導入』
日本メルトダウン( 967) 東京五輪、反対してもいいですか? …
-
-
『世界一人気の世界文化遺産「マチュピチュ」旅行記』(2015 /10/10-18>「朝霧の中から神秘に包まれた『マチュピチュ』がこつ然と現れてきた」水野国男(カメラマン)⓶
2 2015/11/02★< …
-
-
「75年たっても自衛権憲法を全く変えられない<極東のウクライナ日本>の決断思考力ゼロ」★「一方、ウクライナ戦争勃発3日後に<敗戦国ドイツ連邦議会>は特別緊急会議を開き、防衛費を2%に増額、エネルギーのロシア依存を変更した」★『よくわかるオンライン講座/日本国憲法制定真相史①』★『なぜ、マッカーサーは憲法制定を急いだか』★『スターリンは北海道を真っ二つにして、ソ連に北半分を分割統治を米国に強く迫まり、トルーマン米大統領は拒否した』』
  …
-
-
池田龍夫のマスコミ時評⑩ 「沖縄密約」情報開示訴訟 吉野文六氏らの証人尋問、12月1日に正式決定
池田龍夫のマスコミ時評⑩「沖縄密約」情報開示訴訟 吉野文六氏らの証人尋問、 …
-
-
野口恒のインターネット江戸学講義(18)『江戸は意外に「実力主義」の競争社会―人材登用と開明政策を進めた田沼意次』
日本再生への独創的視点<インターネット江戸学講義(18) 第8章 …
-
-
池田龍夫のマスコミ時評(78) 「F35の国際生産に加担していいのか-「武器輸出3原則」さらに形骸化」
池田龍夫のマスコミ時評(78) ◎「F35の国際生産に加 …
-
-
最高に面白い人物史⑨人気記事再録『日本風狂人伝(28)』 大預言者(?)で巨人の大本教の開祖・出口王仁三郎のジョーク
日本風狂人伝(28) 大預言者(?)で巨人の大本教の開祖・出口王仁三郎のジョーク …
-
-
池田龍夫のマスコミ時評 ⑥「集団的自衛権」見直しを—武器輸出三原則緩和の報告書に驚く
池田龍夫のマスコミ時評⑥「集団的自衛権」見直しを 武器輸出三原則 …
-
-
●「日本の新聞ジャーナリズム発展史」(上)『 日本での新聞の誕生・明治期』『 大新聞と小新聞の発展』★『日露戦争と新聞 』★『大正デモクラシーの担い手となった新聞』★『関東大震災と新聞』
「日本の新聞ジャーナリズム発展史」(上) 2009/02 …