前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(47)●『秘密保全法案」を急ぐ〝時代状況〟を危惧』★『愛川欽也が「kinkin .tv」を開局』

   

 池田龍夫のマスコミ時評(47)
 
秘密保全法案」を急ぐ〝時代状況〟を危惧
愛川欽也が4月7日に「kinkin .tv」を開局

池田龍夫(ジャーナリスト、毎日新聞O
 
●「秘密保全法案」を急ぐ〝時代状況〟を危惧(3月7日)
 
政府が今国会提出を目指す「秘密保全法案」に対して、日弁連など有識者からの問題点が指摘されているものの、メディア側の関心が乏しいのが気懸かりである。

有識者会議が昨年8月まとめた報告書によると、秘密保全法案は、防衛・外交・治安に関し、重要だとして国が指定した「特別秘密」を漏らした公務員や閣僚らに最高5年か10年の懲役を科す内容。そもそも、2010年に起きた尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ映像流出や、警視庁などの国際テロ情報が漏洩した事件が背景にあって、この法案策定の動きが急ピッチで進められてきた。

                                     有識者会議の「報告書」議事録を、また作成せず
すでに明らかになっている「報告書」を読むだけでも、運用次第では国民の重要な「知る権利」を侵害しかねない危険性をはらむ法案だ。

毎日新聞3月4日付朝刊が特報した記事によると、報告書議事録がまたまた作成されていないことが判明した。先に、原子力安全・保安院や東電関係者の原発関連議事録を策定しなかったことに続く不祥事で、官僚システムの〝無責任構造〟には呆れ果てる。
法令制定過程などが事後に検証できるよう文書作成を義務づけた公文書管理法(11年4月施行)に違反しており、しかも「秘密保全法案」の審議が隠蔽されるとは‥‥。半年間で6回(各2時間程度)の〝密室審議〟要旨がA4判2枚程度では、全く検証の役に立たないではないか。

      国民の「知る権利」を阻害する恐れ
日本弁護士連合会は会長声明を発表、「当該秘密保全法制では、規制の鍵となる『特別秘密』の概念が曖昧かつ広範であり、本来国民が知るべき情報が国民の目から隠されてしまう懸念が極めて大きい。

また、罰則規定に、このような曖昧な概念が用いられることは、処罰範囲を不明確かつ広範にするものであり、罪刑法定主義等の刑事法上の基本原理と矛盾抵触する恐れがある。

禁止行為として、漏洩行為の独立教唆、扇動行為、共謀行為や、『特定取得行為』と称する秘密探知行為についても独立教唆、扇動行為、共謀行為を処罰しようとしており、単純な取材行為すら処罰対象となりかねず、そこでの禁止行為は曖昧かつ広範であり、この点からも罪刑法定主義等の刑事法上の基本原理と矛盾するものである。

現実の場面を考えても、取材及び報道に対する萎縮効果が極めて大きく、国の行政機関、独立行政法人、地方公共団体、一定の場合の民間事業者・大学に対して取材しようとするジャーナリストの取材の自由・報道の自由が侵害されることとなる」などの問題点を鋭く指摘している。

日本新聞協会などマスコミ諸団体も法制化に反対姿勢を示しているものの、世論の〝閉塞状況〟が憂慮される。メディアは、戦前の「治安維持法」の轍を踏まぬよう、「秘密保全法案」をめぐる動向に、警戒心を高めてもらいたい。情報公開・知る権利を害するような〝言論統制〟は阻止しなければならない。
 
 愛川欽也が47日に「kinkin .tv」を開局(312日)
 
 CS放送「朝日ニュースター」の看板番組「愛川欽也パックインジャーナル」が3月末で放送打ち切ると2月13日付ウオッチで伝えたが、同番組存続を望む声が高まっていた。このため、愛川氏は「自由な言論の場を引き続き提供したい」と決意、記者会見を3月5日に開いて、「インターネットテレビ局『kinkin .tv』を4月7日に開局する」と発表した。
「愛川欽也パックインジャーナル」は、朝日ニュースターで14年間も毎週放映。愛川氏の軽妙な司会で時事問題を取り上げ、有識者が踏み込んだ論議を交わし好評を博してきた。

ところが、親会社「テレビ朝日」に経営統合されたため、解散に追い込まれたという。原発問題について〝脱原発学者〟らを招くなど、大胆な「2時間トーク番組」は、視聴者の支持を得ていた番組だった。〝横並び報道〟が多いメディア界活性化のため、新生「kinkin .tv」独自のニュース分析を期待している。

 
(いけだ・たつお)1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを
歴任。著書に『新聞の虚報と誤報』『崖っぷちの新聞』、共著に『沖縄と日米安保』
 
 

 - IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本メルトダウン・カウントダウンへ(902)『安倍首相の退陣すべきを論じる】③『米WSJ紙「役に立たない一時的救済」』●『増税延期の安倍総理に必要なのは 二枚舌でなく「謝ること」』●『日本の財政は主要リスク、信認喪失なら世界経済に波及=OECD』 

   日本メルトダウン・カウントダウンへ(902) 『安倍首相の退陣す …

no image
◎「特定秘密保護法や日米の安全保障について米外交・安全保障の専門家・ハルペリン氏の記者会見(5/9)

   特定秘密保護法や日米の安全保障について米外交・ 安全保 …

no image
<クイズ>日本における『言論の自由』の歴史とは・・<1945年までは言論の自由、メディアの報道の自由は制限されていた>

日本における『言論の自由』の歴史について<1945年(昭和20)までは言論の自由 …

no image
★5世界が認めた日本人アスリートの活躍(2016/4月間賞)前田健太、岡崎慎司、香川信司、イチロー

世界が認めた日本人アスリートの活躍(2016/4月間賞) 前田健太、岡崎慎司、香 …

no image
『オンライン日本の戦争講座①/<日本はなぜ無謀な戦争を選んだのか、500年間の世界戦争史の中から考える>➀『大英帝国の植民地主義への道』★『ロシアの大膨張主義が日露戦争の原因』

2015年7月24日世田谷市民大学・戦後70年の夏・今を考える講義『太平洋戦争と …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(59)『井戸川・双葉町長の核心を衝いた発言』『事故調査報告を生かし原子力政策を刷新せよ』

   池田龍夫のマスコミ時評(59)   ◎『 井戸川・双葉 …

no image
(記事再録)140年前の外国新聞 (フランス紙『ル・タン』)が指摘した日本病の正体とは①論理的な学問なし②記憶力、詰め込むだけの教育③理性的学問では小学生レベルの無能な学者を量産④優柔不断で論理性のない人間ばかり⑤新しい状況に適応できない、実際的な良識にかけた人間を作っている。

  (記事再録) 1874(明治7)年5月23日付 フランス紙『ル・タ …

『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(101)』「パリぶらぶら散歩(2015 /4/30-5/3)★『パリ・オペラ地区の大衆レストラン、シャルティエは 百年以上パリ市民から愛されてきた名店,銀座にこんな居心地のいい親しみやすい店はない』

逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/10/11/am700)  &n …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(51) ●孫崎亨氏のツイッターによると、『尖閣問題 歴史的事実位は勉強して下さい』

 池田龍夫のマスコミ時評(51)   孫崎亨氏の「尖閣問題」ツイッター …

CEATEC JAPAN 2017(10/5)-『Panasonicのプレゼン「Smart Aging Care System」★『omronのブース『ピンポンロボット(フォルフェウス)の第4世代機を発表』

 日本の最先端技術「見える化』チャンネル 「CEATEC JAPAN 2017」 …