前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

百歳学入門(89)「日本人の死に方の美学」ベストワンは中江兆民先生の『一年有半』を原典で読む(フリー電子図書館)

   

   <百歳学入門(89)>

 

長生きばかりを願う老人のなんと多いことか。

自分で生きているのではなく、勝手に心臓が動いているだけなのに。

長生きして死ねなくなったらどうするのじゃ。

生死一如、生きることは死ぬこと。死に向かって生きる。「一日一生」

「生き急ぎ、死に急ぎ、自分の死に方の美学」を日々考えねばならん。

「日本人の死に方の美学」ベストワンはこの人

 

明治の議会主義を切り拓いた「東洋のルソー」中江兆民の遺書

『一年有半』を原典で読む。

http://book.maesaka-toshiyuki.com/book/detail?book_id=103



                

 前坂俊之(釣りバカ大愚)

 

 

『「東洋のルソー」といわれた自由民権の思想家・中江兆民(1847 ―1901)の死はもっと壮絶ですね。明治34年3月、兆民54歳の時、ノドに激痛を覚え、医者から「口頭ガンで余命は一年半、せいぜい二年」と宣告されます。

 「余は高々5,6ヵ月と思いしに、1年とは寿命の豊年なり。極めて悠久なり。一年半、諸君は短命といわん。短といわば十年も短なり、百年も短なり」と覚悟を決める。早速、気管を切開するガン摘出手術を受けて、筆談でしか意思の疎通ができなくなった。

 兆民は呼吸も困難、食事もノドを通らず、身体も動かすことも出来ず、四六時中激痛にさいなまれ、やっと麻痛剤で眠る状態が続いた。痛止めなどもない時代。
 

すさまじい苦痛と闘いながら、気力をふりしぼり、一冊の本もたず、記憶だけで毎日、書きつづけ、約2ヵ月で 8月3日に遺作『一年有半』を脱稿、これが博文館から出版され約二十万部のベストセラーとなります。

同9月3日、医者に死期の明言を迫り、「来年2,3月ごろまで」との回答を得る。一層激しくなる疼痛、不眠、咳痰に苦しみなが、最期の力の1滴までをふりしぼって、わずか二十日余りで『続一年有半』を書き上げて、10月15日に出版する。

 

http://book.maesaka-toshiyuki.com/book/detail?book_id=103

 

 

この中で、自説の「無仏、無神、無精魂」を主張しています。神仏には一切頼らぬという合理主義者の兆民に、周囲からの加持祈祷の勧めがくるのを断固拒絶。このあと気力を使い果たしたのか12月13日に衰弱で死去、享年54歳です。

遺言は「遺骸は解剖すること、葬式は行わざること」、このため、弟子たちは葬式を廃して、遺骸に告別する儀式を行った。これが現在の告別式の始まりで、板垣退助、大井憲太郎、頭山満ら自由民権運動家、幸徳秋水らの門弟約一千人の参列して盛大な告別式を行なっています。』 

http://book.maesaka-toshiyuki.com/book/detail?book_id=103

 - 健康長寿 , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
百歳学入門(183)-現在、65歳以上の人は「2人に一人が90歳以上まで生きる時代」★『義母(90歳)の『ピンコロ人生』を見ていると、「老婆(ローマ)は1日にしてならず」「継続は力なり」「老いて学べば死しても朽ちず」の見事な実践と思う。

 百歳学入門(183) 老いて学べば、死しても朽ちず(佐藤一斎)   今年の「敬 …

130年に1度の三浦半島2大霊場大開張奉修(4/29) ー『浄楽寺』(横須賀市芦名)の運慶作の国宝『阿弥陀仏三尊』に感動す。(動画2本あり)』●『5月28日まで公開中、お宝拝観にでかけよう』

130年に1度の三浦半島2大霊場大開張奉修(4/29) ー浄楽寺の運慶作の国宝『 …

人気リクエスト記事再録『百歳学入門(195)』-『『超高齢社会日本』のシンボル・『クリエイティブ長寿思想家』の徳富蘇峰(94)に学ぶ➀』★『生涯現役500冊以上、世界一の読書家、著作家の長寿・執筆、散歩術』

2010/09/29の記事再録 『生涯現役500冊以上、世界一の読書家、著作家の …

『リーダーシップの日本近現代史』(172)記事再録/『100歳でロッキー山脈を滑った生涯現役スキーヤー・三浦敬三氏(101歳)は三浦雄一郎のお父さん』★『ギネスブックの百歳冒険家の超人親子』

    2015/03/27 /「百歳・ …

no image
知的巨人たちの百歳・臨終学(143)『生死一如、生きることは毎日死に向かって行進中。「生き急ぎ、死に急ぎ、 エンディングストーリー」を考える』

知的巨人たちの百歳・臨終学(143) 生死一如、生きることは毎日死に向かって行進 …

『オンライン/日本政治史講座」★『 日本議会政治の父・尾崎咢堂の語る<150年かわらぬ日本の弱体内閣制度のバカの壁』★『 明治初年の日本新時代の 当時、参議や各省長官は30代で、西郷隆盛や大久保利通でも40歳前後、60代の者はいなかった』

『 青年の意気は天を衝くばかり。40を過ぎた先輩は遠慮がちであった』 2012/ …

no image
記事再録/知的巨人たちの百歳学(142)ー「最後の元老・西園寺公望(90歳)-フランス留学10年の歴代宰相では最高のコスモポリタン、晩年長寿の達人の健康十訓」★『 まあ生きてはいるがね、涙が出る、はなが出る、いくじがなくなって、 これも自然でしかだがない』』

   百歳学入門(80) ▼「最後の元老・西園寺公 …

『リーダーシップの日本近現代史』(236)/百歳現役入門― 団塊世代は元気な百歳をめざそう, <健康長寿の秘訣はこれじゃ>『「少くして学べば、則ち壮にして為す有り。壮にして学べば、則ち老ゆとも衰へず。老いて学べば、則ち死すとも朽ちず」(佐藤一斎)』

   2018/02/09 /百歳学入門(198)/記事再録 …

no image
日本リーダーパワー史(976)ー『150年前の日本と中国―副島種臣外務卿のインテリジェンス』★『世界に先駆けて『奴隷解放』に取り組んで勝利したマリア・ルス号事件(明治5年7月)を指導した』

  150年前の日本と中国―副島種臣外務卿のインテリジェンス 前回、一 …

no image
日本メルダウン脱出法(665)「歴史的機会逃す」など安倍首相の演説の韓中米メディアの報道」●「時代は「80日間世界一周」から80時間世界一周へ」など6本

  日本メルダウン脱出法(665) 「歴史的機会逃す」「終戦70年のしるし」安倍 …