『オープン講座/ウクライナ戦争と日露戦争➄』★『国家予算、軍事力とも約10倍のロシアに日露戦争開戦に踏み切った児玉源太郎の国難突破決断力②』★『ロシアと戦ってきっと勝つとは断言できないが、勝つ方法はある』★国破れて何の山河じゃ。ロシアの無法に譲歩すると国民は必ず萎縮し、中国、インドと同じ運命に苦しみ、アジアは白人の靴で蹂躙され、植民地からの脱却は何百年も先となるぞ』
2022/04/21
2017/05/27日本リーダーパワー史(815)記事再録
『日清、日露戦争に勝利した明治トップリーダーのリスク管理 、インテリジェンス㉚『日本史決定的瞬間の児玉源太郎の決断力②』★
前坂 俊之(ジャーナリスト)
寺内陸相は「君に就任してもらえば、軍部としても全く心強い。そして、国民もようやく政府の断固たる決意を知って了解するであろう。しかし、内務大臣ではあり、現内閣の柱石の副総理の地位にある君が、その栄誉ある職をなげうってまで……」
児玉は「何をいうか、おぬしは後輩の田村の占めていた地位に就くことを我輩のために気の毒ぢじゃと言いたいのか。そんな馬鹿な!ことをいうな。
親任官であらうと勅任官であろうと国のために、国民のために微力をつくすのは当たり前のことじゃ、そんな斟酌はどうでもいいことじゃ」
桂首相は「その君の気持ちは分る。寺内のいうことも無理でないが、君が政府を去ったら我輩としては、実に片腕をもぎとられる思いで、天下に公約した行政と財政整理も不可能となるじゃろう……」
児玉「おぬしも近眼になったものじゃ、開戦する以上は行政改革も財政整理もない!わしの累生の大事業の地方制度の改革の府県合併案も他日を期する。今後は挙国一致、官民文字通り協力し、勝利を得るため1点にしぼって全力を尽くせばよい。」
児玉はつづけて対ロシア戦の抱負を口にした。
「ロシアと戦って我輩もきっと勝つとは断言せぬ。勝つと断言できないが、勝つ方法はある。考えれば困難、障害は限りなく出てくる。勝つ見込みもやがて曖昧になる。
しかし、ロシアが満州から外交交渉のみによって兵を撤退し、韓国への野望を断つとは期待されぬ。しからば、屈伏するか、起って戦うか、ギリギリの二者択一を日本は選ばねばならぬ!」
「国破れて何の山河じゃ。ロシアに譲歩することによって、わが国民は必ず萎縮し、支那人(中国人)、インド人と同じ運命に苦しみ、アジアは白人の靴で蹂躙され、光明を見るのは何百年の先のことになるかもしれない。
わしは満州の原野に屍を曝しても、白人の奴隷となり、アゴで使われることに甘んずることを断乎として排撃する。」
「桂よ、寺内よ-
我々3人男は明治はじめの血気盛んな『やっとこ大尉』の青春時代にもう一度、還って、内閣総理大臣、内務大臣、陸軍大臣などと、どうでもいい肩書も名誉を放り投げて国のため、国民のため、この日本という国の永遠の発展のために.肉体も心もささげて、眞黒になってロシアに戦いを挑もう。」
と決然たる意志を表明した。
この児玉の一言に桂首相も奮い立ち、「大阪の兵学寮の時代に還るか。よし!ロシアに対する作戦の全責任はおぬしと寺内と俺が分担しょう!明日にでも山県公を訪ねしてくれ、児玉よ!死なばもろ共ぢや!」と意思統一が出来たのである。
以上は宿利重一『児玉源太郎』(国際日本協会、1942年刊、578-586P)の引用である。
この会話の部分は宿利の想像して書いたものだが、児玉の心中を一番よく表していると思うので、そ
のまま引用した。
大山参謀総長はこの児玉自らの提言に、「すべて児玉さんにお願いする」と辞意を取り下げた。10月12日に児玉の次長就任式が行われた。
関連記事
-
-
『オンライン講座/作家・宇野千代(98歳)研究』★『明治の女性ながら、何ものにもとらわれず、自主独立の精神で、いつまでも美しく自由奔放に恋愛に文学に精一杯生きた華麗なる作家人生』『可愛らしく生きぬいた私の長寿文学10訓』
2019/12/06 記事再録 …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ回想録④』★「パリ・ぶらぶら散歩/ピカソ美術館編」(5/3日)③ーピカソが愛した女たち《マリ=テレーズ・ワルテル」》
2015/06/03『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッ …
-
-
記事再録「知的巨人の百歳学」(143)ー日本の食卓に長寿食トマトを広めた「トマトの父」・カゴメの創業者蟹江一太郎(96歳)の 長寿健康・経営10訓①
2013年4月10日の百歳学入門(70) 日本の食卓に長寿食トマトを広めた「トマ …
-
-
『2021年新春/新型コロナを吹き飛ばせ!稲村ケ崎サーフィンで滑ろう』★『 大晦日、滑りおさめの鎌倉稲村ケ崎サーフィン(2020/12/31 /am10)-稲村付近で約50人のサーファーが富士山、江の島をバック今年最後の滑りを楽しんでいたよ、ここは湘南第一の富士山ビューポイントだよ』
大晦日、滑りおさめの鎌倉稲村ケ崎サーフィン(2020/12/31 / …
-
-
百歳学入門(187)彫刻家・北村西望(102歳)★『わたしは天才ではないから、人より五倍も十倍もかかるのです」★「いい仕事をするには長生きをしなければならない』★ 『たゆまざる 歩み恐ろし カタツムリ』
百歳学入門(187) 「わたしは天才ではないから、人より五倍も十倍もかかるので …
-
-
日本リーダーパワー史(580)『スーパーマン・『イチロー(42)』の去就に注目ー『打ってほめられるよりも、打てなくて騒がれるようになれ』●「「小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただひとつの道」(イチロー名言)
  …
-
-
『Z世代のための 百歳学入門(216)』<松原泰道老師!百歳>『 生涯150冊、百歳こえてもマスコミ殺到!』★『 その百歳長寿脳の秘密は、佐藤一斎の『言志晩録』に「見える限り、聞こえる限り、学問を排してはならない、とある。私も、いまや、目も見えない、耳も聞こえませんが、読み、書く、話すことは生涯続けたいと思います』
2018/03/17 …
-
-
★『世界を襲う地球温暖化による異常気象』-『“ヒートドーム”に閉じ込められた北半球、史上最高気温続出』★『世界人口は2055年には100億人を突破。燃え上がる地球で人類は絶滅種族に向かう』
『青い地球は誰のもの、 青い地球は子どものもの、 青い地球はみんなのもの、 人類 …
-
-
知的巨人の百歳学(162 )記事再録/「昆虫記を完成したファーブル(92歳)は遅咲き晩年長寿の達人-海、山を観察すれば楽しみいっぱい
2013/07/30 / 2015/01/ …
-
-
『オンライン入門講座/シルバーYou tuber(前坂俊之チャンネル)になる方法』★『ネット動画の時代に乗り遅れる既存メディアー 情報をあまねく広げる「個人」の出現で社会が変わる』(2012年でのインタビュー)記事全文再録)
取材場所:日本記者クラブ (インタビューの聞き手:沖中幸太郎氏) …
- PREV
- 『オープン講座/ウクライナ戦争と日露戦争④』世界史の中の『日露戦争』⑱『日露戦争-朝鮮の独立と領土保全のための戦争』『タイムズ』【開戦3週間】★『日本が朝鮮と締結した条約の全文は,英米両国は好意的にみている。』★『 日本は朝鮮の皇室の「安寧」と「朝鮮帝国の独立と領土保全」を保障している』
- NEXT
- 『オープン講座/ウクライナ戦争と日露戦争➅』★『英国の歴史家H・G・ウェルズは「日本国民はおどろくべき精力と叡智をもって、その文明と制度をヨーロッパ諸国の水準に高めようとした。人類の歴史において、明治の日本がなしとげたほどの超速の進歩をした国民はどこにもいない。』★『日露戦争』は川上操六プロデューサー、児玉源太郎監督、主演は川上の薫陶をうけた情報参謀の福島安正、柴五郎、明石元二郎、海軍は山本権兵衛、東郷平八郎、秋山真之らオールキャスト