前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『オンライン講座/『生死一如ー 鈴木大拙師(96歳)を偲んで』★『敢えて、今日から明日へ、来年また来年と、将来に希望をかけることが私の九十三歳の健康法だ』●『特別に健康のことを考えて暮らすわけではないが、わしは過去のことは考えんな。いつも未来のことを考えておる。あれをしなくてはならぬ、これをしなくてはならぬとな』

   

 

    百歳学入門(171)-生死一如・鈴木大拙師(96)を偲んでー

敢えて、今日から明日へ、来年また来年と、将来に希望をかけることが私の九十三歳の健康法だ

 

1960年(昭和35)6月、鈴木大拙は90歳で聖路加国際病院に一週間入院の人間ドックに入った。

当時の鈴木大拙は北鎌倉の東慶寺境内の松ケ同文庫で研究と執筆に没頭していたが、睡眠時間は午後十一時から朝五時までの約6時間、午後に1時間の昼寝をすると本人が記している。(日野原重明「鈴木大拙先生を偲んで」より)

 

人間ドックの報告書では、病状は動脈硬化性高血圧、白内障、難聴で治療を要するものは高血圧症だけだった。

90歳を超えても、ますます旺盛な執筆量となった大拙師は原稿は横になって英文で横書きし、ウォータマンの万年筆だけがインキの出がよいといって、その万年筆を常用していた。

ギリシャの哲学者がコーチ(安楽椅子)に横になって哲学を論議したことから、横になると脳の循環がよくなると考え、このスタイルで執筆していたのである。

 

これも聖路加国際病院での話。

病院内で患者と医師との会があった際、たまたま居合わせた93歳の大拙師に司会者がその健康法について質問した。

大拙師はにこやかな表情で「私はただ明日のことを考えるだけだ。私は来年はアメリカで万国宗教大会があるから、それに是非出席したい。そのために、私の健康は大丈夫だろうかと思って、聖路加病院へお世話になったのです。

人間は過去のことにこだわらないで、過ぎ去ったことは忘れ去ってゆく。在るのは今日から未来へということだ。いつも未来を考えている人間が即健康を保ち得るわけだ。

もちろん、忘れがたいことも随分あるだろうが、敢えて、今日から明日へ、来年また来年と、将来に希望をかけることが私の九十三歳の健康法だ」と答えた。

鈴木大拙に20年間師事した武蔵野女子大学教授の志村武氏によると、晩年の大拙師はこう話していた。

「特別に健康のことを考えて暮らすわけではないが、わしは過去のことは考えんな。いつも未来のことを考えておる。あれをしなくてはならぬ、これをしなくてはならぬとな」

「年をとると、どうも考えがブツプツ切れてしまうわい。それをつなげるのがたいへんだ。しかも、せいぜい二時間ぐらいしか思考が続かんし、とても疲れる。プツプツ切れたままで、何とかするようにせにゃならん」

 

仕事への意欲が先生の生命を支えていた。百歳近くの老人になれば、まずたいていは耄碌してしまう。老齢からくる障害と戦いながら、鈴木大拙は死の前日まで前進をやめなかった。

 

 - 人物研究, 健康長寿, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
<日本最強の参謀は誰か-「杉山茂丸」の研究② 「日露開戦前に児玉源太郎を参謀次長に引っ張り出し「無隣庵会議」にも参加

 ·    &n …

no image
知的巨人たちの百歳学(111)-明治の大学者/物集高見、高量(106歳)の大百科事典『群書索引』『広文庫』の奇跡の長寿物語➂→「(人間に必要なのは)健康とおかねと学問・修養の三つでしょうね。若い時は学問が一番、次がおかね。健康のことなんかあまり考えないの。中年になると一番はなんといってもおかね。二番が健康、学問なんかどうでもいいとなる。そして年取ると・・・」

物集は膨大な日記を書いている。 それは「百歳は折り返し点」の自伝の「年表の総まく …

『Z世代への戦後80年の研究講座』★「再録・終戦70年・日本敗戦史(83)記事』★「空襲はない、疎開は卑怯者のすること」と頑迷な東條首相は主張ー田中隆吉の証言➂』

   2015/06/02終戦70年・日本敗戦史( …

no image
『リモート動画」/鎌倉カヤック釣りバカ日記(2020/6/17/am530)-「夏が来た、海だ、カヤックだ、釣りのシーズン、セイリングだよ。ロッド・スチュアートの「セイリング」を歌いながら、材木座海岸から午前5時半にゴーゴー!。ブルースカイ!オーシャンブル!、太陽がいっぱい、「Wonderful Sea World!」だね。

鎌倉カヤック釣りバカ日記(2020/6/17/am530)- 「夏が来た、海だ、 …

『Z世代のための独ベルツによる「日中韓」500年史講座③』★『世界からは尊敬され、韓国からは逆恨みされ暗殺された伊藤博文(初代総理大臣)の悲劇』★『日韓コミュニケーションギャップ、反日韓国のパーセプションギャップ(誤解、逆恨み)ルーツがここにある』

  2019/10/21  日本リーダーパワー史(107)記 …

終戦70年・日本敗戦史(137)1932年(昭和7)のロㇲ五輪の馬術で優勝した国際人・西竹一は陸軍内では左遷に次ぐ左遷で『戦車隊長」で硫黄島に配属、玉砕した。

終戦70年・日本敗戦史(137) <世田谷市民大学2015> 戦後70年  7月 …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(107) ◎『気がかりな「アベノミクス」の景気動向(2 / 7)』

    池田龍夫のマスコミ時評(107) &nbs …

『オンライン講座/ウクライナ戦争と安倍外交失敗の研究 ➂』『プーチン大統領と12/15に首脳会談開催。三国干渉の侵略ロシアと「山県有朋・ロマノフ会談」の弱腰外交でていよくカモにされた②

2016/09/24   日本リーダーパワー史(738)j記事再録 『 …

「オンライン回想動画/鎌倉カヤック釣りバカ日記(2015/07/30 )★『海上散歩×釣り×筋トレ×リラックス×釣った魚の刺身×地産地消=最後にきたよ「33センチの大アジが」かわいいね

    2015/07/30 &nbsp …

no image
速報(20)『日本のメルトダウン』1ヵ月経過⇔レベル7、チェルノブイリを超える、制御はまだまだ!?●

速報(21)『日本のメルトダウン』1ヵ月経過 ◎レベル7、チェルノブイリを超える …