『リーダーシップの日本近現代史』(334)-『地球環境異変はますます深刻化」★『豊穣の鎌倉海も海生物が激減、魚クンたちは逃げ出してしまったよ』●『米離脱後のパリ会議の行方はどうなる』
2020/04/22
湘南海山ぶらぶら日記」記事再録
「目に青葉、山ほととぎす、初鰹(はつがつお)」―
松尾芭蕉と親交があった江戸の俳人・山口素堂(1642(寛永19)年~1716)が初夏に鎌倉海を眺めながら詠んだ一句。素堂は同海を一望する小高い丘で、これを詠んだという。
ガキの頃から釣りキチだった老生は、この吟詠場所あたりの逗子市小坪に移り住んではや35年年余。鎌倉海はまさしく夢のような「豊饒の海」だった。
ところが、今や海一面の海藻の大繁茂は影も形の消え失せてほぼ全滅、海の砂漠化が進み、岩礁、海藻の繁茂した魚クンの住み家、寝床、産卵場所は亡くなった。難民ならぬ「難魚」となって、魚クンたちは「流民」ならぬ「流魚」となって、太平洋から世界の海を放浪中だ、遠からず陸上の生物だけでなく、海の生物も絶滅していくだろう。今回の新型コロナウイルスもこのCO2の排出問題、地球環境異変、海水温の上昇の一環であることは間違いない。
カヤックフィッシングで季節の魚が年中楽しめる。春はキス、夏はカツオ、イナダ、秋はカワハギ、冬はメバル。サバ、アジ、イワシなどは年中釣れた。
休みには和賀江島(日本最古の築港跡、国史跡)前の材木座海岸から夜明け前に一人で海に漕ぎ出す。海面では小魚がぴちぴちはねる。透明に近いブルーの海底にはカジメ、ワカメ、ホンダワラなどの海藻類がびっしり繁茂しパドルに絡みついて前に進めない。
リール竿2本を投入すると、すぐにガタガタ竿を揺らしてさかな君から魚信が来る。タイ、ヒラメ、タコなど多種類の魚が次々に遊びに来る。
わが子の通う幼稚園の夏の恒例行事の『地引網』(1980年代)にはボラ、スズキ、いわしなどで大漁だ。
古希を過ぎた今でも釣り,磯遊び、海水浴、砂浜散歩で筋トレ、ストレス発散を続けている。
この「生命(いのち)に満ちた海」は35年ですっかり変わり果てた。30年前、いや20年前までは干あがった砂浜にはヤドカリ、カニ、ウミウシなど海生物が無数に生息していた。
にげまわるカニ。踏んずけないように注意しながら歩いたほど生命に満ちていた。それが今や貝類、ヤドカリやカニ、フナムシまで一斉に姿を消してしまった。
海面上昇で広大な材木座、由比ガ浜の砂浜も3分の1は水没した。海藻類の死滅が拡大し、和賀江島、逗子マリーナ沖合の海藻群落はほぼ90%なくなった。この魚の産卵場所の喪失が根魚の減少につながった。
生命の連鎖、食物連鎖からか、今年の釣りも惨々でサバも.カワハギも釣れなかった。今年の台風21号は湘南を直撃し、岸壁や防波堤の被害が相次ぎ、海水は道路上まであふれた。これは鎌倉海の一部限定のわが定点観測レポートだが、今後の温暖化の被害拡大が心配である。
海面上昇は地球温暖化と連動している。パリ協定(気候変動抑制に関する多国間の国際的協定)では産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えるため、今世紀後半に世界全体で排出を実質ゼロにすることを目標として、CO2の排出削減に取り組んでいる。
海面上昇の原因は、海水の温度上昇による膨張と氷河や氷床の融解による。パリ協定資料によると、1901-2010年の約100年の間に19cm海面が上昇し、21世紀中に最大82cm上昇すると予測される。
すでに、フィジー諸島、ツバル、マーシャル諸島共和国など海抜の低い多くの島国では潮が満ちると海で住宅や道路が浸水、「環境難民」がニュージーランに移民している。
日本でも、1m海面が上昇すると、全国の砂浜の9割以上が消滅する。大阪では、北西部から堺市にかけて海岸線は水没。東京でも、江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区のほぼ全域が影響を受ける、という。(以上同協定付随資料)
「ナショナルジオグラフィック日本版」(二〇一七年七月二日)によると、西南極の氷(面積はフランスの国土2倍、厚さは三千m)が溶けだしており、これがすべて海に流出すれば、世界の海水面は平均三、三m上昇すると警告している。
地球はこれまで人類が経験したことのない「未知の領域」に入った。温暖化、CO2による気温上昇は、異常気象による巨大台風、洪水、干ばつを引き起こし、食糧危機、社会的な緊張と対立を増幅し、環境戦争を誘発し、経済危機へと跳ね返る。
二〇一七年十一月六~十七日まで第二三回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)がドイツ、ボンで開催された。米トランプ政権の協定離脱後、初の会合であり、この米国ショックからか、各国はパリ協定の問題点から目をそらし取り組むべき課題を先送りした感じの結果に終わった。
気温上昇を2度未満に抑えるためにはCO2の排出を制限するだけでは達成できない。再生エネルギー(太陽光発電、風力発電、バイオマスなど)を普及して、化石燃料の使用を減らすと同時に、現在大気中に蓄積された温暖化ガス(CO2)を大幅に回収しなければならない。ところが、CO2を地中に埋める技術や、植林の面積拡大などで温暖化ガスを減らす技術はいまだに開発されていないので前途多難である。
さらに、世界のCO2排出量(2010年時点)第三位の13.8%のアメリカが、今回パリ協定から離脱し、代わりにCO2排出量22.2%で世界一の中国がEUと組んで、パリ協定実施の先導役を務めることになった。
しかし、これまでとかく誇大宣伝、有言不実行、国際非協調主義の中国の行動スタイルがどこまで本気で実行するか注意する必要がある。
関連記事
-
-
『鎌倉カヤック釣りバカ日記』懺悔録②バンクーバーでカヌーのスローライフを見て以来、釣りバカ暮らし50年に。
『鎌倉カヤック釣りバカ日記』懺悔録② 45歳の時にカナ …
-
-
日本メルトダウン脱出法(685)「世界経済:来たるべき景気後退に備えよ 」(英エコノミスト誌)「黒田発言なければ現実化した近未来、懸念は管理不能な円安」
日本メルトダウン脱出法(685) 世界経済:来たるべき景気後退に備えよ (英 …
-
-
★5中国・韓国・台湾からの観光客Welcome!ー「東アジア最大級の大型カルデラと雄大な外輪山を持つ活火山「阿蘇山」をじっくり拝見30分」
「東アジア最大級の大型カルデラと雄大な外輪山を持つ活火山「阿蘇山」をじっくり拝見 …
-
-
TADAKENの「世界なんでも見てやろう」(2) 6/18~6/21、初夏の上海市内を散歩 『上海でダンスするワンちゃん」「夜の路地裏 」
TADAKENの「世界なんでも見てやろう」(2) &nb …
-
-
日本メルトダウン( 977)『トランプショックの行方は!?』●「アジア最大の負け組日本」「第2のBrexit」トランプ大統領の誕生に英国は?『アジア最大の負け組日本」「第2のBrexit」トランプ大統領の誕生に英国は?』●『トランプ氏勝利「オーストラリアにとって最悪」「世界に危険をもたらす」豪州メディア』●『米大統領選、中国の反応「トランプくみしやすし」』●『トランプ人気は「憤怒の政治」 世界のトレンドは脱グローバル化』●『トランプ氏勝利に「投資家」が学ぶべき4つのこと』
日本メルトダウン( 977) —トランプショックの行方!? 「 …
-
-
百歳学入門(35)―『百歳長寿名言』グリコ創業者・江崎利一(97歳)『健康法に奇策はない』
百歳学入門(35)―『百歳長寿名言』 長寿経営者の健康名言・江崎利一(97歳) …
-
-
正木ひろし弁護士の超闘伝⑧全告白・八海事件の真相ー真犯人良心のうずきから「偽証を告白」
◎「世界が尊敬した日本人―「司法殺人(権力悪)との戦い …
-
-
現代史の復習問題/記事再録★『山本五十六海軍次官のリーダーシップー日独伊三国同盟とどう戦ったか』★『ヒトラーはバカにした日本人をうまく利用するためだけの三国同盟だったが、陸軍は見事にだまされ、国内は軍国主義を背景にしたナチドイツブーム、ヒトラー賛美の空気が満ち溢れていた。』
2012/07/29 記事再録・日本リーダーパワー史(2 …
-
-
[60,70歳のためのための加齢創造学講座』★『ロケットの父・糸川英夫(86)の『加齢創造学』ー人間の能力は6,70歳がピークだよ
2012/04/11 百歳学入門(37)―『百歳長寿名言』再録 &n …
-
-
『世界史を変えるウクライナ・ゼレンスキー大統領の平和スピーチ』★日本を救った金子堅太郎のルーズベルト米大統領、米国民への説得スピーチ」★
2017/06/23   …
- PREV
- 『巣ごもり動画一挙公開(60分)これを見るだけで現地にはいかないでね!』★『日本の「秘境」を往く』-『熊本県の平家の落人伝説のある五家荘→五木村(五木の子守唄の里)→二本杉五家荘へ」(自然林と大峡谷)へ
- NEXT
- 『新型コロナウイルスのパンデミックの影響で2020年慶応大学入学式(当初は4月1日,3日に予定)は9月入学式(学部・大学院)に、4月入学者も参加する形で開催することを検討している』★『2017年度慶應大入学式ー清家篤塾長の式辞(動画)』★『2019年度慶応大入学式-長谷山彰塾長の式辞(動画)』★『福沢諭吉先生』の旧居、福沢記念館(大分県中津市留守居町)(動画)』★『日本近代化の父・福沢諭吉に関する論考、雑文一覧 』
