『リーダーシップの日本近現代史』(208)ー『2019年の流行語大賞となったW杯ラクビ―大成功の戦略「ワンチーム」「ジャパンウエー」』★『その勝利の秘密はエディー・ジョーンズ前HCのコ―チ学にあり、これはリーダーシップの免許皆伝の書といえる』(上)
2019年の流行語大賞となったW杯ラクビ―大成功の戦略「ワンチーム」とその秘密
前坂 俊之(ジャーナリスト)
日本初開催となったラグビーワールドカップ(9/20日から11/2)は、日本は念願のベスト8を達成、南アフリカの優勝で幕を閉じた。私もテレビにかじりついてその圧倒的な迫力の団体肉体格闘技に手に汗握った。まるで夢のような44日間だった。
記録づくめの大会となり、期間中の観客動員数は延べ128万人を超え、2015年イングランド大会は248万人にはかなわなかったが、1試合の平均観客数は、34,596人。TV視聴率はスコットランド戦の平均視聴率は「39.2%」、瞬間最高は「53.7%」。準々決勝の南ア戦は平均が「41.6%前坂」、瞬間最高「49.1%」を記録した。日本戦をリアルタイムで見た国内の視聴者数は約8,731万人。
大会公式SNSが閲覧された回数は17億回を超え、これは2015年大会の4倍以上にのぼった。大会の期間は1ゕ月以上なので、外国人フアンの滞在期間も長く、消費金額も大きいため経済波及効果は4370億円に上った。 2015年大会の3,220億円を大きく上回り、日本でラクビ―ビジネスが開花する大会となった。
世界のラグビーの統括団体である国際ラグビーボード(IRB)は今後、大きな成長が見込まれるアジアスポーツ市場に進出するための東京開催は成功だったといえよう。FIFA(国際サッカー連盟)は巨大なサッカービジネスを展開しているが、ラクビ―はアマチュア精神を依然とし根強く残っており、今大会の優勝した南アフリカへの賞金額はゼロに対して、W杯カップサッカーの優勝賞金額はなんと41億円というのだから驚く。
このため、日本ラグビー協会は「2021年秋から、新しいプロリーグを創設し、南半球のスーパーラグビーとも連携して、フランス、イングランドのリーグと世界を二分するようなリーグを作りたい」とぶち上げて「新プロリーグ設立準備委員会」を設置し準備を急ピッチで進めている。確かに、あれだけ激しいぶつかりあいは他のボールゲームでは絶対見られないので、日本のフアンが激増することには間違いない。
さらに20年夏の東京五輪、21年には関西でワールドマスターズゲームズの大きな世界大会が続いており、この3大会の事務総長が戦略的な連携協定を結び各大会の運営、知見、経済効果、結果を戦略的に活用する、という。新たなスポーツビジネスの創出、それと一体となった地域振興、観光ビジネスの発展に大いに期待できそうだ。
さて今回のラクビ―を観戦して久しぶりに私の若き血が騒いだ。古希をとっくに過ぎた老生は昭和20年代の少年期は「ガキ大将」「ワンパク坊主」として野山をかけめぐり、サラリーマン時代は今や全面的に否定されたマッチョな「モーレツ社員」「働き中毒」で過ごし、いつの間にか林住期、遊行期に入った。そして、口には出さねど、昨今のナヨナヨしたやさ男ばかリがモテはやさる風潮を苦々しい思いで見てきた。
それだけに今回のマッチョな巨漢のキン肉マンぞろいが縦横無尽に大暴れする世界団体格闘技のド迫力と面白さ、サッカー以上のダンプカー的なスピード突進、激突にハラハラドキドキで体中から汗が噴き出すような興奮を味わった。
例れば、肥満体の大相撲の関取りを100キロ以上のキン肉モリモリマンに減量して、押し相撲と短距離スタートダッシュの脚力を鍛えた選手たちの肉弾戦といってよく、これに国際法(ルール)作りに長けた英国人が試合を面白くする難しい反則ルール(公平ルール)をいくつも設けて、スリル満点の体力、知的、コミュニケーション3点セットのエンターテイメンに仕立て上げたという感じであるる。
ラクビ―は80分間は見ていても息つくヒマもない。野球やサッカー(時間90分)の場合は、試合中に多くの間があるが、ラクビ―(40分)はボールをもって積極果敢に前に体当たりして進むしかない力ゲームなので見る側も興奮して熱くなり力が入って、一瞬たりとも目が離せない、まさに臨場感あふれる没入体感ゲームで、これからの4Kテレビ、5G,時代Yutube動画向きのリッチ、スタミナコンテンツであろう。
また、奇跡(?)をおこしたといわれた日本チームのメンバーは31人のうち、15人が外国出身の「多国,多民族混成、グローバルチーム」で個々の実力ぞろいの選手が一致結束して「ワンチーム」となって、逆転劇を演じたもので日本スポーツ史上に例がない快進撃であった。
大活躍した松島幸太朗選手の場合、国籍は日本だが南アフリカで6歳まで育ち、高校卒業後は同国やオーストラリアでプロに所属して活躍してきた。父親はアフリカジンバブエ人、母親は日本人。他の選手の出身国をみるとリーチマイケル主将(ニュージーランド)、マフィー(トンガ)、ラブスカフニ(南アフリカ)、具智元(韓国)、トンプソンルーク(ニュージーランド)オーストラリア出身者ら足し多士済々。
今、日本では声高に国際化が叫ばれ、グローバルに活躍する人材、日本企業をグローバル企業に変えていける外国人人材の登用について論議されているが、このスローガン「ワンチーム」づくりはジョセフヘッドコーチの指揮でチームの守り神として「甲冑のカツモト」(映画『ラストサムライ』で渡辺謙が演じた勝元盛次のカブト)をチーム内に据えた。
リーチ主将は出陣前に「自分たちの鍛え上げた刀を信じて戦おう」「「自分たちはハードな練習によって、何度も何度も火入れし、叩いて強くした刀は、世界でも負けない強度を誇る」と選手にハッパをかけた。
(つづく)
関連記事
-
-
『オンライン/日本はなぜ無謀な戦争をしたかがよくわかる講座』★『今から90年前に日本は中国と満州事変(1931年)を起し、その10年後の1941年に太平洋戦争(真珠湾攻撃)に突入した』★『その当事者の東條英機開戦内閣の嶋田繁太郎海相が戦争の原因、陸軍の下剋上の内幕、主要な禍根、過誤の反省と弁明を語る』
2011/09/05 日本リーダーパワー史(188)記事再録 日本の …
-
-
『ウクライナ戦争に見る ロシアの恫喝・陰謀外交の研究⑦』★日露300年戦争(3)★『『露寇(ろこう)事件とは何か』―『教科書では明治維新(1868年)の発端をペリーの黒船来航から書き起こしている。 しかし、ロシアの方がアメリカよりも100年も前から、日本に通商・開国を求めてやってきた』
2017/11/16日露300年戦争(3) 『元寇の役』 …
-
-
日本リーダーパワー史(145)国難リテラシー・『大日本帝国最期の日』(敗戦の日)昭和天皇・政治家・軍人はどう行動したか③
日本リーダーパワー史(145) 国難リテラシー・『大日本帝国最期 …
-
-
日本メルダウン脱出法(671)「安倍訪米は成功だったー歴史問題では明確な“ジェスチャー”が必要」●「世界最大の機関投資家が支えるー日本の株式市場に未来はあるか?」など9本
日本メルダウン脱出法(671) 安倍訪米は成功だったーー歴史問題で …
-
-
日本メルトダウン(950)『福島原発のアンダーコントロールは「うそ」-小泉元首相が特派員協会で原発批判』(動画)●『東日本大震災 福島第1原発 凍土壁2カ所、溶けた状態に』●『財政再建へ独立機関設置を、IMF、日本に提言』●『小池知事、報酬半減案を提出へ9月議会に』●『日本人アスリート初! 本田圭佑、マサチューセッツ工科大の特別研究員に就任』
日本メルトダウン(950) アンダーコントロールは「うそ」- …
-
-
尖閣問題・(資料)『琉球処分にみる<日中誤解>(パーセプション・ギャップ)<歴史認識>の衝突④『琉球朝貢考』清国新聞『申報』
尖閣問題・日中対立の先駆報道の研究 (資料)『琉球処 …
-
-
日本風狂人伝⑰ 宮武外骨・奇人変人の日本最高傑作だね(下)
(2009/07/12) 日本風狂人伝⑰宮武外骨・奇人変人の最高傑 …
-
-
日本リーダーパワー史(398)ビデオ座談会<参議院選大勝後の安倍自民党政治の行方はー消費税、超高齢化、麻生発言
日本リーダーパワー史(398) ビデオ政治 …
-
-
日本リーダーパワー史(858)ー来年1月からNHK大河ドラマ「西郷どん」が始まる。国難の救世主「西郷隆盛のリーダーシップ」に学ぶ。
日本リーダーパワー史(858) 国難の救世主「西郷隆盛のリーダーシップ」に学ぶ。 …
