前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

知的巨人たちの百歳学(138)『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボルー尾崎行雄(95歳)、瀬島龍三(95歳)

      2015/11/11

  •  知的巨人たちの百歳学(138)

    『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボルー尾崎行雄(95歳)、瀬島龍三(95歳)

  • 『民主主義をはきちがえて、自分や少数の欲望を満たすために、多数の迷惑を顧みない心得違いものが増えた。この連中に正邪善悪を教え込むのが民主主義教育の使命だ』(尾崎行雄)

  • 『精神と肉体のバランスに細心の注意を払い、生活は簡素に自然体で過ごすのが健康法」(瀬島龍三)

95歳 議会政治の父・尾崎行雄 (1858年12月24日―1954年10月6日)

明治23(1890)年の第1回総選挙で当選以来、連続25回当選、63年間というギネスブックの最長議員の記録を作った尾崎だが、70歳代を過ぎたその晩年の政治活動が一層輝いている。太平洋戦争中の昭和十七年四月の翼賛選挙での演説で「売り家と唐様でかく三代目」の川柳を引用したのが不敬罪にひっかかった。

八五歳となっていた尾崎は巣鴨刑務所にぶち込まれるが、裁判闘争で無罪を勝ち取った。八十歳を過ぎてもスキーに挑戦するなど体力、気力を保ち続けたことが、その不屈の闘志の原動力となった。このころの愕堂は逗子の私邸『風雲閣』で暮らしていたが、長女・佐々木清香はこう養生法を述壊する。(尾崎愕堂全集第11巻収録)

「太陽と共に起きるのが日課で、朝食は七時(夏は六時)、昼食は十二時、夕食は六時からと、一分も違わない。朝食は、ヨーグルド少々、みそ汁は海草が眼病によいので、毎朝、ワカメを大椀に、玄米か、麦飯を一杯に。食後は朝鮮人参の煮たもの一片。

朝食後は、新聞二紙を読み、庭掃除。廃物利用を徹底、目が覚めている間は片時もぼんやりしていることはない。昼食も夕食もお汁に魚一品、野菜一品、麦飯一碗」と話す。

それから7年後の昭和24年。尾崎は日本の議会政治の父として、92歳となっていた尾崎の声望はますます上がり、米国からも高く評価された。その生活ぶりは太陽と共に起きるという習慣は十年前と変りない。七時頃朝食。八時過ぎに新聞(朝毎読3紙)を書生が記事を読み上げる。昼食は十一時半、夕食は五時。果物はミカン、リンゴでも皮まで食べ、汁を顔中、手という順序でこすりつけ、目に非常に効果があったという。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『精神と肉体のバランスに細心の注意を払い、生活は簡素に自然体で過ごすのが健康法」(瀬島龍三(95歳)

95歳 大本営参謀、伊藤忠会長 瀬島龍三(1911年12月9日~2007年9月4日)

ソ連(ロシア)のシベリアで11年間もの間、酷寒の極限の抑留生活を送った。そのときの経験から、健康維持に人一倍気を配った。冬はマイナス40度近くになる極寒の地シベリアでは、日常生活のちょっとした油断が即命取りになる。

想像を絶する過酷な労働条件を強いられた。極限状況の中で、健康を維持していかに生きのびるか。そのギリギリで身につけた健康法は、精神と肉体のバランスに細心の注意を払い、“生活は簡素にして、自然に逆らわない”自然体の生活に徹すること。

シベリア抑留を終えて帰国後も、自然体の生活を自分のライフスタイルとして生涯貫いた。晩年になってから、とくに精神と肉体のバランス維持に配慮した。

肉体の健康管理のため、春秋の年2回信頼する病院で人間ドッグに入り、検査結果に基づいた医師のアドバイスを忠実に守った。また、精神の健康管理は、ストレスの負担になる家事や家計のやりくりはいっさい奥さん任せでノ-タッチ。

「自分は軍人でしたので、いつ何時国家に殉じるかもしれません。そのため、家事はいっさい女房に任せ、自分は世のため人のために何ができるか、自分のできることにベストを尽くす。これが私のライフスタイル、健康法です」と語っている。

食生活は精進料理が中心。普段からできる限り野菜を多くとるよう心がけたが、ただ菜食主義者ではないので肉類を一切食べないわけではなかった。肉も魚もえり好みせず、食べたいものを食べる。

ただ、生ものはいっさい口にしなかった。お酒は付き合い程度。天気がいいとよく散歩に出かけた。それも健康や体力つくりのためというより、散歩したいから散歩するという自然な行動からだ。食事も散歩も、自然体のライフスタイルが健康法であった。

 - 健康長寿

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『リーダーシップの日本近現代史]』(25)-記事再録/トランプ大統領は全く知らない/『世界の人になぜ日中韓/北朝鮮は150年前から戦争、対立の歴史を繰り返しているかがよくわかる連載⑵』ー(まとめ記事再録)『日中韓150年戦争史の連載70回中、21-35回までを再掲載)

日中韓異文化理解の歴史学(2)(まとめ記事再録) 『日中韓150年戦争史の原因を …

no image
世界が尊敬した日本人● 『東西思想の「架け橋」となった 鈴木大拙(95)』〔禅の本質の究明し、知の世界を飛び回る〕

 世界が尊敬した日本人     東西思想の「架け橋」となった …

知的巨人たちの百歳学(145)『94歳、生涯現役・長寿の達人・生涯500冊以上を執筆、日本一の読書家、著作家』の徳富蘇峰(94)に学ぶ 「わが好きは朝起き、読書、富士の山、律儀、勉強、愚痴いわぬ人」

知的巨人たちの百歳学(145) 再録『94歳、生涯現役・長寿の達人・生涯500冊 …

『『ウクライナ戦争に見る ロシアの恫喝・陰謀外交、日露戦争の研究⑨』』「1903(明治36)年1月3日 付『英タイムズ』『満州とロシア鉄道』(下)『ロシアが軍事占領した満州の都市建設の全容』★『義和団の乱の報復のため阿什河は満州で最大の被害を被った町だ。』●『満州人は誇り高く,経済観念が乏しく,アへン中毒者が多く反キリスト教で.貧乏だ。』

    2016/12/21  『日本戦 …

★⑩日本リーダーパワー史(714)伊勢志摩サミットの陰の主人公はこの人注目!(記事再録)「真珠王」だけでなく『世界の生涯現役・長寿王でもあった御木本幸吉(96歳)』「朝食は茶碗3分目、昼は2分目、夜は「旨い物は2箸残す」

  日本リーダーパワー史(714) <記事再録>百歳学入門(69 …

no image
日本メルトダウン脱出法(833)「長期金利が史上初のマイナス、世界的金利下げ圧力-20年まで過去最低 」●「日本国債の7割が水没、マイナス金利策で先行のドイツ国債に追い付く」●「IEA:世界の石油過剰供給見通しを引き上げ-OPEC増産で」●「逆オイルショック:世界経済に与える衝撃は予想以上、サウジが18年破綻の見方も」

 日本メルトダウン脱出法(833)   日経平均900円超安、安全求め …

no image
『世界サッカー戦国史』⑥『日本対ベルギー戦は3日(火)午前3時キックオフ!』★『日本が勝てば、今大会最大の衝撃!? 海外メディア「ドイツ敗退よりも驚くべきこと」

『世界サッカー戦国史』⑥   日本が勝てば、今大会最大の衝撃!? 海外 …

「Z世代のための約120年前に生成AI(人工頭脳)などはるかに超えた『世界の知の極限値』『博覧強記』『奇想天外』『抱腹絶倒』の南方熊楠先生の書斎訪問記(酒井潔著)はめちゃ面白いよ①』南方熊楠の方法論を学ぼう』

   2015/04/30/ 「最高に面白い人物史①記事再録 …

「オンライン・戦略思考講座」日本戦争史での『戦略思考の欠落』★『元寇の役ー徳川鎖国230年間ーペリー黒船来航で幕府崩壊ー日清、日露戦争勝利へ大逆転へ」

        2015/11 …

「Z世代への遺言・日本を救った長寿逆転突破人の研究①」★『「電力の鬼」松永安左エ門(95歳)は70歳から再出発、昭和敗戦(1945年)のどん底から立ち上がり電力増産の基盤インフラ(水力発電ダムなど)と9電力体制を万難を排して実現し、高度経済成長を実現した『奇跡の男』①

  2021/10/05「オンライン・日本史決定的瞬間講座⑩ …