日本敗戦史(42)「終戦」という名の『無条件降伏(全面敗戦)』の内幕<ガラパゴス日本『死に至る病』①
2017/08/16
日本敗戦史(42)
「終戦」という名の『無条件降伏(全面敗戦)』の内幕—
<ガラパゴス日本の『死に至る病』①>
前坂 俊之(ジャーナリスト)
『ガラパゴスジャパン・敗戦史—リーダーシップの欠如、
無責任体制によって2度あることは3度ある。それは
日本人の精神的な構造欠陥,国家システムの崩壊である』
今年は終戦70年周年という。『終戦』という言葉は中立的に響くが、「終戦」『戦争の終わり方』のプロセスにも「勝利の終戦」「敗北の終戦」「双方互角の終戦」などといろいろある。
1945(昭和20)年8月15日の「終戦記念日」は「勝利による終戦」や「日米互角の激戦の停止的な終戦」ではもちろんない。「太平洋の島々、東南アジアの占領地域での全面敗北、日本全土へのB29の空襲攻撃による数百万人の死傷者、国民の多大な犠牲、家屋消失,各都市が焦土、廃墟と化した大惨劇の末での敗北」なのである。この日本歴史始まって以来の国民の犠牲, 甚大な被害、大惨事の『戦争の大悲劇』を、「終戦」のわずか2文字で消し去るのは、「言葉のペテン」以上に『歴史を偽造』であろう。
戦争中の「大東亜戦争」という正式な名称が「太平洋戦争」にGHQによって替えられたように、1945年(昭和20)8月15日は「昭和天皇が国民にマイクをつうじてポツダム宣言受諾による「『無条件降伏(全面敗戦)』と知らせた日であり、この発表が「天皇の聖断」ともすり替えられているのと同じ。こうした言葉のすり替えは大東亜戦争中に横行し、「支那事変」が「聖戦」、「全滅」が「玉砕」、「敗北撤退」が『転進』、などウソ発表の代名詞となった大本営発表」による戦果の誇張が日常化した。
敗戦後の東久爾内閣では、戦争を推進したリーダーたちの戦争責任の明確化の前に『一億国民総懺悔』なる声明が出されて、国民にその責任が転嫁された。最終的には国民意識にも問題があったことは確かだが、まず先にこの国を戦争、敗戦を先導した天皇、軍人、政治家、経済人、マスコミの『戦争責任』『敗戦責任』を問う事が先決であったろう。
GHQによる東京裁判がこの部分を担ったわけだが、死線をさまよい、廃墟と化した国内で食糧に飢えて飢餓寸前に陥った多くの国民にとってはまず食べて命をつなぎ、生き延びる事が先決であり、国民自身による戦争責任、敗戦責任追及は後回しにされた。
そのうやむやになった歴史が70年後の現在で続いている。今も繰り返されている「従軍慰安婦問題」「靖国参拝問題」「中国への侵略問題」「南京虐殺問題」などはそのツケであり、日本人の事実に徹底的に追及して真実に迫る思考力の欠如、ヨーロッパ人が封建思想から脱した近代科学精神、近代合理主義が日本では『和魂洋才』の名の下に、西欧の近代技術だけを輸入して、その肝腎の精神部分は根付づかなかったといえる。
その意味で、終戦ではなく、『無条件降伏(全面敗戦)』による「惨敗壊滅史」なのであり、「敗戦70周年」という認識がより正確である。
ポツダム宣言による『無条件降伏』が日本に通告されたのは7月26日である。これを本土決戦、徹底抗戦を主張する陸軍によって鈴木貫太郎内閣は28日に「黙殺声明」を発する。この結果、広島(8月6日)、長崎(同9日)の2発の原爆が投下され、数十万人もの犠牲者を出した。
結局、受諾するまでの3週間、すったもんだの御前会議を何度も開催しても終戦を決断できず、米B29の本土無差別空襲、原爆投下などにより子供、女性、老人ら非戦闘員の多大な死傷者と国土の徹底した破壊、焦土化を招いた。「終戦」の虚名のもとに黒こげの累々たる遺体の山、全面黒こげに焼けただれた廃墟の歴史を消去してはならない。そのために『無条件降伏全面敗戦史』の真実をふり返る。
1 ブログ「地球の中の日本、世界史のなかの日本人」
を中での「日本リーダーパワー史」連載
私は2010年ごろからブログ「地球の中の日本、世界史のなかの日本人」を立ち上げて、その中で「日本リーダーパワー史」なる連載コーナーを作って、毎日のように現在進行形の日本政治、外交、経済について過去と現在のリーダーシップの比較検証を文を書いている。ここで2011年3月7日に次の原稿を書いた。
「3・11、東日本大震災、福島原発事故発生」の4日前である。当時は民主党政権、菅直人総理大臣のもとで1年以上にわたって政治の混乱と失敗、リーダーシップの不在が繰り返されていたことは記憶に新しい。NHKの番組と突然の外相辞任のニュースを見ながら、『大東亜戦争の大敗北』と「3/11の東日本大震災、福島原発事故」による日本の第2の敗戦へのデジャビュー(既視感)を覚えてので書いたものである。これが見事に的中したものだが、以下にその記事を紹介する。(原文を一切変更はしていない)
「日本リーダーパワー史(129)『自滅国家日本の悲劇』
ー太平洋戦争開戦でのリーダーシップと比較検証する(2011/03/07)①
前坂 俊之(ジャーナリスト)
① いまわれわれがリアルタイムに目にしている政治状況は国家が崩壊していく過程である。
②なぜ、大東亜戦争がおこって、国が滅びていったのかと同じ道をーこれまた同じ責任のなすりあい、足の引っ張り合い、リーダーシップの欠如、不決断、問題先送りの政治的、外交的なミスを連発して、日本丸の国家運営を沈没させてしまった悲劇・喜劇が再現されている。
③菅民主政権も、鵜合の政治集団も官僚もメディアも、来るべき結果の重大性に目をつぶって自滅的な行動を繰り返している。
2 「自滅国家日本を止められるか」
2011/03/06日夜にNHKスペシャル『日本はなぜ戦争へとむかったのかー開戦決定の驚きの真相、迷走する指導者たち』をみた。ちょうどこの放送中に、前原誠司外務大臣
の在日韓国人からの25万円の政治献金問題で辞任した臨時ニュースがテロップでながれた。
世界3位のGDP,国家予算90兆円の日本の表向きの代表外務大臣がわずかな25万円の金を昔からの知り合い在日外国人(いちいち献金者の国籍を外国人かどうかチエックしなかったということ)ということが、大臣が辞めなければならないという理由らしい。
これには各国の政治、外交当局者もクレイジー、理解できないと、あきれてものも言えないというコメントが載っていた。
法令に違反したからという問題と、対米外交、対中、対ロシア外交の要の外交責任者がわずか半年で引責させる悪影響を考えればこの問題をどう処理するかは前原個人の問題ではなく、国民、国家の将来にかかわることは言うまでもない。そして、ホンの小さなミス(このようなあらさがしを徹底してやれば、すべての政治家ばかりでなく、個人だって警察の別件逮捕のようにやられてしまう)
前原辞任の臨時ニュースが流れた瞬間、いよいよ菅政権だけでなく、日本の政治主体が末期症状からサムライの『ハラキリ』、自殺行為へ、70年前の誰も望まないのに国家滅亡に転落していった近衛内閣、東條内閣と同じ『不決断』『誤決断』『責任のなすりあい』との明白な既視感を覚えたので、ここにしっかりと書いておく。
迷走中の民主党菅内閣はさらに苦境となり、民主党内のバラバラの自覚なき当事者能力、自民党の国益のためというよりも党利党略による前原辞任要求(外務大臣は外国に対しては日本の交渉トップ、対外窓口責任者―これが半年間でコロコロ変われば外国は日本を相手にしない。
その方こそ国益を大きく損なう。わずか、20万円の『外国人の政治勢力が日本に影響を与えるといけない』という政治献金規制法の条項で、外務大臣をやめさせることのどちらがより国益にかなうのか。
政治家はことの軽重を判断する能力が欠かせない。法令違反追及の警察官ではないのだ。グローバル化した時代に、ドメスティック(国内的)な判断、法規よりも、グローバルな判断力、決断こそがリーダーには不可欠なのだ。
前原外相辞任に見る菅内閣のリーダ―シップの不在、問題先送り、国民に対しての毅然とした決意の表明と断固やるという意志の欠如がまたまた繰り返された。
同時に、他の民主党の小沢一郎、鳩山前首相、自民党の連中も含めてコップの中の論争不在の政争1点張り、国益無視、国民生活不在の党派、派閥優先の永田町の『世界の非常識サル芝居』が、鳩山のように口軽ではないので外国は全部見ていて口には出さないが、世界の物笑い、軽蔑のタネになっている。
前原辞任でさらなる国家破産のカウントダウンに一歩近づいたといえよう。まさに、太平洋開戦前夜である。
つづく
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