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速報(298)『大飯原発再稼動、検証委もグラツク?(池田龍夫)』『5月10日チェルノブイリ周辺の永久立ち入り制限 小出裕章』

   

速報(298)『日本のメルトダウン』
 
 
池田龍夫(ジャーナリスト)
 
大飯原発再稼動、検証委もグラツク?関電の電力不足
解消に〝助け舟〟
 
 今月6日に原発50基がストップしたため、電力需給見通しが危ぶまれている。果たして「原発ゼロ」で今夏のピーク時を乗り切れるだろうか。
 
内閣府の「需給検証委員会」(委員長・石田勝之内閣府副大臣)は5月10日の第5回会合で、需給予測の最終報告案を論議した。委員会はこれまで原発ゼロを前提に議論してきたが、前回の会合で大飯原発再稼動の数値を明らかにして欲しいとの提案があり、この日の会合で事務局から「大飯3、4号機(福井県おおい町)を再稼動した場合、電力不足はほぼ解消できる」との試算が提出された。事務局の説明では、同原発2基の出力は236万㌔㍗で、夜間に汲み上げた水を利用する揚水発電量も増加、関西電力では計446万㌔㍗の供給力増が見込まれるという。
 
 要するに、原発再稼動に踏み切れば電力不足は解消できるとの言い分である。藤村修官房長官は「今回の試算が政府の再稼動判断とは結びつかない。地元の判断に関係してくる可能性がある」と記者団に慎重に答えていたが、検証委が「再稼動」を暗に〝後押し〟している印象を受ける。いずれにせよ、12日の次回会合で最終報告書をまとめる予定だが、政府は果たして明快な方針を示せるだろうか。
 
                                   「再稼働、国の覚悟が見えない」おおい町長苦言
 
 一方、大飯原発再稼働問題をめぐって福井県内の論議が日ごとに高まっている。おおい町の時岡忍町長は5月9日、報道陣に対し「国の覚悟が見えてこない。再稼働の是非を慎重に判断したい」と述べ、国が原発の安全性とエネルギー政策を明確に示さない限り、再稼働を容認しないとの考えを示した。時岡町長はこれまで再稼働に前向きな発言を繰り返してきたが、電力消費地の関西圏で理解が進まない状況を受け、国に一層の対応を促したとみられる。
 
                                               福井県議会でも厳しい政府批判
 
福井県議会も9日、全員協議会を開き、国の原子力安全・保安院や資源エネルギー庁などから説明を聞いた。政府が決めた新たな安全基準を基に大飯原発の安全性を確認したことや、この夏の電力需給が厳しいことの説明を受けたあと活発に質疑。議員からは「政府の対応はこれまでブレ続けてきた。
 
技術的な信用というより、政府そのものに信用がない」「枝野大臣は『個人的には運転再開に反対だ』としながらも、再開への理解を要請しに来た。『反対だといっての要請』では福井県の安心は得られない」など、これまでの政府の対応を批判する意見が相次いだ。また、「住民の避難など事故が起きた際の防災対策が不十分ななかでの『運転再開』はおかしい」といった再開に慎重な意見も出たという。
 県議会は今後、県の専門家会議による安全性の検証結果や、おおい町の判断を踏まえたうえで、会派ごとに意見を集約し、西川知事に意向を伝えるが、知事自身も京都、滋賀、大阪首長らからの厳しい安全基準の要請もあって対応に苦慮している。
 9日付「ウオッチ」でも指摘したが、原子力行政を監督する第三者機関「原子力規制庁」を早急に発足させ、ゼロベースで見直すべきである。姑息な手段で決着を急げば急ぐほど、政治不信は高まる一方である。
  
 
     原子力委の「議案隠し」は許せない
 
 
 関西電力・大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の再稼動の是非をめぐって、世論の関心が高まっている。野田佳彦政権は第一次ストレステストの報告を受けて再稼動への意向を固めたものの、地元自治体との調整が難航している。
 
                                               なぜ削った? 「地域社会との共生」
 
 政府の打開策を待ち望んでいたところ、内閣府原子力委員会の「議案隠し」が発覚したとの報道に驚かされた。毎日新聞5月8日付朝刊が特報した記事によると、有識者で構成する「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)は現在、原子力政策指針づくりを進めている。ところが、その議案書の一つから「(原子力と)地域社会との共生」という記述が消されていたことが、明るみに出てしまった。有識者委員会は原子力政策をゼロベースから見直す目的で設置されたものだが、隠蔽体質は改まっていないようだ。
 近藤委員長は、毎日新聞の取材に対し「事務局から『地域との共生』についての報告を受けたが、議案が煮詰まっていなかっただけ」と弁明している。しかし、「地元の理解が必要」と受け取られるような記述を避けたに違いない。当面、大飯原発再稼動の難題があるだけに、恣意的に隠蔽したと考えられるのである。大飯原発に隣接する京都、滋賀、大阪から早期稼動に反対する声が強まっている中で、公平・中立であるべき原子力委員会の責任は極めて重大と言わなければならない。
 
                                       事故原因究明など3条件の確認が前提
 
原発再稼動をめぐっては①福島事故原因の徹底究明、②事故責任の明確化、③原子力行政の抜本改革――この3原則を確認したうえで、改めて論議して結論を出す慎重さが求められる。近藤氏が事故後も原子力委員長にとどまっている点にも批判が上がっており、「原子力規制庁」発足を急いで、原子力行政・新エネルギー戦略の策定に全力を傾注すべきだ。
 
                                     玄海原発周辺の自治体も安全協定を要請
 
原発の安全をめぐる自治体の不安が日に日に高まっており、今度は玄海原発(佐賀県玄海町)から30㌔圏内にある伊万里市と長崎県松浦市、佐世保市、平戸市、壱岐市の市長らが5月7日、九州電力に原子力安全協定の締結を要請した。山元春義副社長は「30㌔圏内の自治体とは安全協定の締結に向け、協議のテーブルに着きたい」と回答。玄海原発については玄海町と佐賀県が協定を結び、玄海町以外の県内10市9町も先月九電に締結を求めている。30㌔圏内には唐津市と福岡県糸島市も入るが、唐津市は市長会で要請したため、今回の要請活動には不参加。糸島市は4月に連絡体制の確立などにとどめた安全協定を締結しているという。 
地元との合意形成なくして、原発再稼動を強行できない状況が各地で盛り上がっている現実を直視することをためらってはならない。その点から見ても、原子力委の情報隠しの姿勢を許してはならないと思う。
 
(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。著書に『新聞の虚報と誤報』『崖っぷちの新聞』、共著に『沖縄と日米安保』。
 
2012年5月11日
2012年5月10日(木)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。
メインテーマは……。
・原発の再稼働をしてもしなくても危険性は同じ、という1意見
・環境省主催の除染講習会に参加したとされる人の意見
・ウクライナ政府が、チェルノブイリ周辺1000平方キロメートルは永久立ち入り制限と発表したこと
などについてです。
放送内容
2012年5月10日【木】
プーチン氏大統領復帰で日露関係は・・・
7日、ロシアのプーチン氏が大統領に再び就任しました。メドベージェフ前大統領は北方領土訪問を強行するなど、日露関係は良好とは言いがたいものでした。一方、プーチン氏は柔道家でもあり親日的とされています。関係者の期待は高まっていて、野田政権が森元総理を特使として派遣というビックリするような話が出ています。でも前回の大統領時代よりプーチン氏の権勢は衰えていて楽観視はできないという指摘もあります。今後の対ロシア関係でいかなる戦略をとるべきか、ロシアに詳しい大阪商業大・中津孝司教授に話を聞きます。
録音
20120510 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章


2012年5月10日
2012年5月9日(水)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。
メインテーマは……。・米国公演・シカゴでの公演・大阪における瓦礫埋め立て3案
などについてです。
放送内容
2012年5月 9日【水】
高速ツアーバス事故の背景
群馬県の関越道で発生した高速ツアーバス事故では、
バス会社の安全管理の杜撰さや、
運転手のいびつな雇用・勤務実態などが
明らかになっています。
きょうは、20年以上、観光バスの運転手として働き、
現在はバス・タクシー労働者の組合
「自交総連」の書記次長を務めている
松下末宏さんにスタジオにおいでいただき、
規制緩和による過当競争、運転手の厳しい勤務状況など、
事故の背景について話を聞きます。
リスナーのみなさん、ツアーバスに乗車して
怖いと感じたことはありませんか?メール・FAXでお寄せください。
京大原子炉実験所の小出裕章さんには、
アメリカでの講演について、
また、大阪府・市の震災がれき処分方針について聞きます。
録音
20120509 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章

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