『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』➉福沢諭吉の「脱亜論」と時事新報主張に全面的に賛成した英国紙
2021/05/01
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』
日中韓のパーセプションギャップの研究』➉
130年前の今も全く変われない中国と、習近平体制
「ノース・チャイナ・ヘラルド」の指摘
① 中国は世界最大の国の1つだが、不幸なことに,きわめて尊大な国民なため,西洋諸国との賢明な関係を持つことを拒否している。
② 何千年もの間、中国人はほとんど、あるいは全く知的進歩をとげておらず.「たくさんの魂のない自動人形」のように暮らして,世界を知らずにぼんやりと過ごしている。
③ 中国の慢性的な保守主義は、戦争で負けるまでは直らない。
④ 中国は長年にわたり「軍艦や鉄砲,水雷」の製造に莫大な金を費やしている。
⑤ 現在.中国が陥っている「進退きわまった状態」は,金が誤った使い方をされ浪費されたことによるものだ。軍備も軍需品も先進文明における本質的な要素では決してない。
⑥ 地方行政の失政,おそまつでみすぼらしい道路,財政制度に見られるきわめて不適当な財政上の原則.未発達な貨幣制度-中国の内政は最悪の状態にある。
⑦ 中国に今必要なものは要塞や銃ではなく,政治上.行政上の改革だ。が、そのような博愛主義の計画が少しでも考慮されているとはとうてい思えない。
上海発行の英国紙「ノース・チャイナ・ヘラルド」1884(明治17)年5月2日
福沢諭吉の「脱亜論」と時事新報の主張に全面的に賛成した英国紙
日本は,お隣の大国の政治的苦境に関する指導者とまでは言わないまでも,説教者ぐらいの役割を果たすことにやぶさかでないようだ。今回のトンキン事件(清仏戦争)の間中,天皇の顧問たちによって厳正中立が.それをやめさせようとする誘惑にもかかわらず.守られたことは,絶賛に値する。
だからといって,人々がその問題について広く自分の意見を述べなかったということはない。日本の政治記者の意見の中には.洞察力に富み.風変りでおもしろいものがある。
これらの記者によると,日本はある一連の主義に転向した人のようなもので,その実践は今までのところ大成功を収めてきたが,一方同様にその主義を必要としている中国は一貫してそれらを拒否し.その結果,最も良質な油の不足のため,持っているランプが消えかかっている愚かな娘のような状態にあるということだ。(※文明開化を目指した明治維新のリーダーや福沢諭吉の『脱亜論』<明治18年3月)>の主張・行動を支持し、封建的な中華思想に閉じこもって文明化を拒否している中国を批判している)
したがって日本人記者が自分たちの方針に都合のいいように,明白な教訓を引き出すという誘惑に負け,中国が日本の例に倣い,進歩に向かって足を踏み出そうとしない愚かさについて.中国人に説教したい気分になるのは当然のことだ。
時事新報の記事の中に,そういったことがすべて興味をそるように説明されている。学者ぶった知恵とすぐれた徳の持主であるかのような態度をした記者によって書かれたその記事は,それを読んだ中国人読者に(もし中国人読者がいたならの話だが)しかるべき感銘を受けてもらいたいと思う内容だ(※この時事新報の主張は福沢諭吉の『脱亜論』と中国の遅れた封建主義、中華思想の華夷秩序、「冊封体制」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1434709419
を批判した『反中国論』「反朝鮮論」である。)
彼の言によれば.中国は広大な領土を有し.肥沃な土地.大森林地帯,豊かな鉱山に恵まれた世界最大の国の1つだ。しかし不幸なことに,彼らはきわめて尊大な国民なため,西洋諸国との賢明な関係を持つよりも孤独を好んでいる。
何千年もの間、中国人はほとんど.あるいは全く知的進歩をとげておらず.おびただしい数の人々が記者が言う一には「たくさんの魂のない自動人形」のように暮らし,「国境のすぐ向こう側の大きな世界を忘却のかなたに追いやって.ぼんやりと過ごしている」のだ。
こういう考え方がすぐれた筆の力で展開されており,われわれはその後に続く主張,すなわち中国の慢性的な保守主義は「中国人が立ち向かおうとしている抵抗不可能な力に.彼らが強制的で不愉快なやり方によって気づかされるまで」直らないだろうという主張を全面的に支持する。
そして時事新報の信じるところでは,中国は現在.徐々にこのことに気づかされ始めている。事実,記事の見出しは「仏国ハ支那ノ恩人ナリ」というもので.中国は.いやいやながらも正しい方向へ1歩踏み出すことを強要したフランスに恩義を感じるだろうというのが,記者の意見にほかならない。
しかし,わが日本の友人は,自身の原則を適用するさい重大な過ちがあった。中国がフランスから学ぶよう記者の望んでいる教訓は,より良い自衛手段に不可欠な軍事的なものに限られているのだ。
訓練された優秀な陸海軍が絶対不可欠だと思われるときには,「最も平和的な心の持主でも,軍艦や銃砲,水雷の製造に注目しなければならないだろう」というのだ。
ところで,これは決してよい忠告とは言えない。実際のところ,中国は長年にわたり「軍艦や鉄砲,水雷」の製造に莫大な金を費やしている。
そして大げさな表現で言うならば現在.中国が陥っている「進退きわまった状態」は,金が誤った使い方をされ浪費されたことによるものだ。軍備も軍需品もすべて大いに結構だが,先進文明における本質的な要素では決してない。
時事新報が「現在の国内通信の悲惨なる非能率さ」に触れているのは.おおむね的を射ている。最新式の軍備と頑迷固陋な保守主義とは相いれるもので,事実,軍備は保守精神の結果や表現だろう。確かに,中国はもっと平和的な改革を導入すれば.真の利益を図れるだろう。
地方行政の失政,おそまつでみすぼらしい道路,財政制度に見られるきわめて不適当な財政上の原則.未発達な貨幣制度-中国のいわゆる文明に見られるこういった特徴やその他多くの特徴は.クルップ製大砲の購入や水雷の製造より,もっと注目すべきものだ。
中国全土に広がり,国全体の士気をくじいているように見える。この奇妙で宿命的な無気力さはいったい何だろうか?いっもこうだったわけではない。中国が活動的で.繁栄し,進歩したすばらしい国だった時代もあった。
唐朝の中国はすばらしい国だったに違いない。中国のいたるところに見られる過去何世紀にもわたる遺跡、たとえば精巧な彫刻を施したすばらしい石で造られた大建築,無数の獅子とアーチのついたみごとな橋,立派な水道.巨大な城壁などはすべて,過去の壮麗な雰囲気だけではなく.その進歩ぶりをも物語っている。現在の不潔な古い首都に対して当初立てられた壮大な計画,すなわち建物の正確な方位.幅の広い立派な通り,公園.湖.庭園,宮殿,寺院.ぞしてとりわけすばらしい比類なき水道などを見れば,創建者たちの当初の目的がどういうものだったか知ることができる。
もしマルコ・ポーロの時代に鉄道が世に知られていたとしたら.中国は現在のように鉄道を嫌疑と疑惑の対象としてみなす代わりに,喜んで取り入れただろう。暗い影が支配者と人民両方の心の上に覆いかぶきってしまっているようだ。彼らは改革に対し異常なくらい嫌悪の情を示している。
北京のある門の道路は,雨が降ると泥の海と化し.空気が乾くとロンドンの霧のような土煙をまい上がらせている。この道路の敷石は,荷車として知られている不格好な箱の往来のため.ところどころすり減っており.約30センチの深さのでこぼこがあちこちにできている。数週間前,ある裕福な官吏が自費でこの道路を修理する許可を求めたが,それは皇帝の仕事であり,そのような申出をするとは不届き千万な振舞いであるという返事を受け取った。
この小事件は現在の中国の政策全体を反映しており,非常に小さな事件でありながら大きな教訓を含んでいる。
中国の内政は最悪の状態にある。中国に今必要なものは要塞や銃ではなく,政治上.行政上の改革だ。もしフランスがそのような改革をなしとげるため何かをするならば,実際にフランスは中国の恩人と呼ばれるに値するだろう。
しかし,そのような博愛主義の計画が少しでも考慮されているとはとうてい思えない。
◎『中韓首脳、慰安婦・歴史問題で日本批判、自衛権は韓国側黙認
地元紙
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140704
/kor14070414220007-n1.htm
◎『対日世論戦を指示 中国、自衛権絡め
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140704
/chn14070418160004-n1.htm
関連記事
-
-
片野勧の衝撃レポートー『戦災と震災』⑨『なぜ、日本人は同じ過ちを繰り返すのか』サハリン引き揚げと福島原発<下>
片野勧の衝撃レポート 太平洋戦争<戦災>と<3・11>震災⑨ &n …
-
-
『戦争と新聞」-日本海軍と新聞記者のインテリジェンスの明暗
日本海軍と新聞記者のインテリジェンスの明暗 前坂俊之(元毎日新聞記 …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(896)-『明治150年、日本興亡史を勉強する』★『明治裏面史―明治30年代までは「西郷兄弟時代」が続いた。』★『その藩閥政権の縁の下の力持ちが西郷従道で明治大発展の要石となった』★『器が小さいと、とかく批判される安倍首相は小西郷の底抜けの大度量を見よ』
明治裏面史―明治30年代までは「西郷兄弟時代」 『明治藩閥政権の縁の下 …
-
-
『世界が尊敬したスーパー日本人』ー『世界議会史上最長のギネス政治家(議員生活六十三年)の尾崎行雄(咢堂)
『世界が尊敬したスーパー日本人』 世界議会史上最長のギネス政治家〔議員生活六十三 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(170)記事再録/「プラゴミ問題、死滅する日本周辺海」(プラスチックスープの海化)ー世界のプラゴミ排出の37%は中国、2位のインドネシアなど東南アジア諸国から棄てられた海洋プラゴミは海流によって日本に漂着、日本の周辺海域は「ホットスポット(プラゴミの集積海域=魚の死滅する海)」に、世界平均27倍のマイクロプラスチックが漂っている』
「プラゴミ問題」(日本海はプラスチックスープの海) …
-
-
『オンライン/米日豪印対中国の軍事衝突は日清戦争の二の舞となるのか』★『日中韓の誤解、対立はなぜ戦争までエスカレートしたか」ー中国・李鴻章の対日強硬戦略が日清戦争の原因に。簡単に勝てると思っていた日清戦争で完敗し、負けると「侵略」されたと歴史を偽造する」
『 日本リーダーパワー史(614)』記事再録/日本国難史にみる『戦略思 …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(962)ー『2019年は『地政学的不況』の深刻化で「世界的不況」に突入するのか,米中貿易協議(3/1)の行方はどうなる!?』➀
世界/日本リーダーパワー史(962) 前坂俊之(ジャーナリスト) 2018年12 …
-
-
「Z世代への遺言」★「日本を救った奇跡の男ー鈴木貫太郎首相①』★『昭和天皇の「聖断』を阿吽の呼吸でくみ取り、『玄黙戦略」でわずか4ヵ月で80年前終戦を実現』★『太平洋は神がくれた平和の海でトレード(貿易)のためのもの。これを戦争の海に使ったならば、両国ともに天罰を受ける』
2024/08/16 記事転載再編集」 …
-
-
『ウクライナ戦争に見る ロシアの恫喝・陰謀外交の研究➅』★日露300年戦争(2)-『徳川時代の日露関係 /日露交渉の発端の真相』★『こうしてロシアは千島列島と樺太を侵攻した⑵』
ホーム > 人物研究 >   …
-
-
★<新刊予告>前坂俊之著『世界史を変えた「明治の奇跡」』(インテリジェンスの父・川上操六のスパイ大作戦~)海竜社(2200円(+税)、8月上旬刊行)★『 明治維新150年特別企画 張り巡らされるスパイ網、発揮された智謀。日清・日露戦争大勝利の背景には、川上操六の指導力があった!』
新刊予告『世界史を変えた「明治の奇跡」』 ~インテリジェンスの父・川上操六の …
