『Z世代のための日中韓外交史講座⑦』★『「ロシア紙」からみた「日中韓150年戦争史」(66)『(日清戦争開戦2ヵ月後―「新たな世界的強国の誕生」『ノーヴォエ・ヴレーミャ』1894(明治27)年10月4日』★『モルトケに弟子入りした川上操六参謀本部次長のインテリジェンスの勝利』

1894(明治27)年10月4日 『(日清戦争開戦2ヵ月後―「新たな世界的強国の誕生」
日本人はヨーロッパ人の陸海軍の戦略だけでなく,その外交戦略をも学び取っている。モルトケのみならずビスマルクをも理想としている。
日本が「内政の苦境から注意をそらせる」つもりで戦争を企てたのでは決してない。日本政府は1885年以来中国に.地方当局の許可を得て(!)スパイにもなれば扇動員にもなる「半官の手先(インテリジェンス網)」を多数置いていた。(つまり、モルトケに弟子入りした川上操六参謀本部次長のインテリジェンスの勝利だったのである。)
「新たな世界的強国」-ドイツ人外交官のこの感嘆が.この10日間に変化した情勢を,何よりも鮮やかに描き出している。
ヨーロッパ外交が,調停の申出の形式,内容および適当な時期を審議している間に-日本は行動していた。そして.今や介入の時を逸してしまったとも、うことは,外交官のロからさえ聞くことができるし,あるいは少なくとも彼らの会話の端々からうかがい知ることができる。
和平が締結されてからでも.「条約を結んでいる列強」が日中条約を再検討および修正に付することができるだろうと考えて,自分を慰めている者もいる。
ところがこれに対して,日本が示す和平はおそらくヨーロッパの貿易にとって有利な条件を含んでいるだろうとする反論がなされている。日本政府がいかなる特権も要求するつもりはなく,ヨーロッパおよび日本の外国貿易に対し全中国を開放するよう主張するだろうということは,日本政府のさまざまな声明から明らかだ。
この1つをとっても,西欧は,この条件に対して好意的なまなざしを向けてしかるべきだ。また朝鮮については,その現状維持をロシアが求めているのは周知のとおりだが,東京の内閣は,朝鮮の独立を形式的に尊重し.日本の望む「改革」を朝鮮王の名で行うことによって.このロシアの要求を満たすことだろう。
さらに.あらゆることからわかるとおり,日本人はヨ一口ッパ人の陸海軍の戦略だけでなく,その外交戦略をも学び取っている。明らかに彼らは,モルトケのみならずビスマルクをも理想としている。比本の外務大臣は,ヨーロッパの代表たちの質問や助言から慇懃なほほえみを浮かべて逃れるときはいっでも,軍がうるさいので.というのを口実にしている。
日本の為政者たちは,ヨーロッパがなんらかの重大な行動を起こそうとする前に,この戦争を終わらせようと努めているのだ。
新聞のみならず外交の情報も一致して伝えるところによると,日本政府は中国に対し.一連の猛攻を仕掛けることを決定しており,そのため中国皇帝は,日本の要求に屈服するか,あるいは満州人王朝を廃せざるを得ないだろう,ということだ。
日本がやみくもに,あるいは「内政の苦境から注意をそらせる」つもりで戦争を企てたのでは決してないことは,今や明らかとなっている。逆に,それが企てられたのは.中国王朝の内政状態を日本政府が知ったからだ。
日本政府は1885年以来中国に.地方当局の許可を得て(!).スパイにもなれ
ば扇動員にもなる「半官の手先」を多数置いていた。このため日本政府は.ヨ一ロッパの国々の政府よりもよく中国の軍事力や中国人民の気分について知っていただけでなく.事件に大きな影響を及ぼすことができるその地方の共感にも支えられている。
私はこの数日間で何度も,こちらの日本人留学生や居住者たちと会談した。彼らのうちの何人かは,さまざまな政府機関からの任務を受けている。彼らの話に共通する意義から私が思い起こしたのは,つい最近本紙紙上で取り上げられた日本の小冊子だった。私は彼らとの会話の中に,新奇で非常に興味深いものを見出した。それは汎モンゴル志向である。
あらゆる政党やあらゆる傾向の日本人がロをそろえて,極東のさまざまな民族に対するヨーロッパ人たちの不公正で校滑な態度について,憤りながら倦むことなく語っている。イギリス領インドについては,彼らは思慮深く沈黙を守っているが,その代わり.インドシナの民たちが味わっている屈辱には心を砕いている。
シャム王に対するフランスの待遇に至っては.それが東洋全体への侮辱であるかのように.彼らはほとんど口角泡を飛ばさんばかりに語る。すべての答は,何世紀にもわたる自らの権利を利用せず,トンキンにおける民衆運動を支援せずに放置し,アジアの人々全員の面前で,恥ずべき戦争と,それよりももっと
恥ずべき1887年の対仏講和によって自分の顔に泥を塗った北京の政府にある,というのだ。

日本の若者はもっと過激だ。彼らは,満州人王室の転覆の必要性を唱え,「内政改革を行い,日本と共にモンゴル世界をヨーロッパによる侵害から解放する」ような民族的かつ進歩的な王朝が中国に誕生することの必要性を唱えている。
ロシアに関しては,少なくともロシア人と話をする中で,彼らはロシアを「半モンゴル的」な国家だと言っている。彼らはフィンランド人とタタール人をロシアにおける「モンゴル人」あるいは「インドシナ人」とみなしている。
中年の日本人はもっと慎重な言い方をする。彼らは専ら,日本の勝利を見ることはすべての列強にとって利益になる,と力説している。なぜならば,日本が勝利すればその結果,ヨーロッパの貿易が発展し,中国にヨーロッパ文明がもたらされることになるからだ。
しかし彼らも,古い文化と歴史的民族性を持ったアジアの国々の問題にヨーロッパが介入する日々は.永久に過ぎ去ったと断固として宣言している。日本は自らはいかなる条約もいかなる法的権利も犯しはしないが.また,日本としては自己の独立性へのいかなる圧迫も甘受しないだろう。
今明らかになりつつあることすべては,ヨーロッパでもっと以前に知られ得たし,知られているべきだった。日本には新聞も国会も,さまざまな情報公開の制度も存在する。ヨーロッパの通信員たちが何にも注
意を払わなかったのには驚きだ。ヨーロッパの外交官がどこに注意を向けていたのかは,さらに言いがたい
関連記事
-
-
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』❹ 壬午事変後の清国側の『大院君拉致の非を論ず』(明治15年9月8日)
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』 日中 …
-
-
『自宅にこもってSNSで京都観光しよう』-冬の京都・三千院、比叡山延暦寺、湖西の石山寺、三井寺を周遊、『この数年ヨーロッパばかり回り、石造り建築の露骨な存在感に食傷しておりましたので、自然と一体となった日本の寺院建築の楚々とした佇まいに改めて魅了されました。
『F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(201)』記事再録 …
-
-
日本リーダーパワー史(624) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』 ⑱清仏戦争で台湾を占拠したフランス、イギリスは ロシアの朝鮮侵攻をけん制して巨文島を占拠、アメリカはハワイを併合、危機迫る日本の周辺事態!
日本リーダーパワー史(624) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』 ⑱ 清 …
-
-
日本メルトダウン脱出法(689)「安倍政権の背後にいる右派団体「日本会議」のルーツー」「93%の日本人は中国が嫌い」という調査数字が中国国内に起こした波紋」
日本メルトダウン脱出法(689) 安倍政権の背後にいる右派団体 …
-
-
湘南最高の海辺のテラス(逗子なぎさ橋珈琲店)から眺めるワンダフル富士山・江ノ島・逗子海岸(2023/6/17am7.9)
Wonderful Mt. Fuji, Zushi Bay, Zushi Coa …
-
-
記事転載/1895(明治28)年1月20日付『ニューヨーク・タイムズ』 ー 『朝鮮の暴動激化―東学党,各地の村で放火,住民殺害,税務官ら焼き殺される。朝鮮王朝が行政改革を行えば日本は反乱鎮圧にあたる見込』(ソウル(朝鮮)12/12)
: 2014年11月4日/「申報」や外紙からみた「日中韓150年戦争史 …
-
-
★『鎌倉釣りバカ人生30年/回想動画記』➀(2011年から10年間)」★『Severe winter in KAMAKURA SEA』と『老人の海』=『ラッキー!大カサゴのお出ましじゃ』
2011/02/13 「鎌倉カヤ …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(131)/記事再録★『陸軍軍人で最高の『良心の将軍』今村均(陸軍大将)の 『大東亜戦争敗戦の大原因』を反省する①パリ講和会議で、日本は有色人種への 「人種差別撤廃提案」を主張、米、英、仏3国の反対で 拒否され、日本人移民の排斥につながる。
2016/05/26日本リーダーパワー史(711)記事再録 Wik …
- PREV
- 『Z世代のための日中韓(北朝鮮)外交史講座⑥』★『福沢諭吉の「脱亜論/日清戦争開戦論」を読む』(10) 『英ファイナンシャルタイム紙』(3月2日付)『金正男氏殺害の「大胆さ」に中国の影?』●『北朝鮮は基本的に中世の絶対君主制国家。中世イングランドのプランタジネット朝やオスマン帝国のスルタンを思わせる殺人』
- NEXT
- 『Z世代のための日中韓外交史講座⑧』★『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』㉓ 西欧列強下の『中国,日本,朝鮮の対立と戦争』(上)(英タイムズ)」★『朝鮮争奪戦の内幕、西欧列強の砲艦外交、策略と陰謀と暗躍の外交裏面史」をえぐっており、「日中韓戦争史」を知る上では必読の記事』
