前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『Z世代のための国際秩序変化問題』★「恨みの政治は長く続かない」★『韓国政治は「復讐・報復の歴史?」』★『弾劾裁判の行方は?』

   

トランプ次期大統領誕生と同時に、世界各国の政治体制がガタガタと音を立てて崩れ始めた。お隣・韓国の政権交代の大騒動がまたまた始まった。
12月3日夜、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は来年の予算案に合意しない野党側の態度などを非難して「国政はマヒ状態なので、憲政の秩序を守る」と突然「非常戒厳宣布」を発した。
 軍の部隊が国会の建物に突入し、国会を「ユン大統領打倒!」の国民数千人が取り囲む非常事態となった。韓国国会は即、非常戒厳を解除する決議案を提出、可決。ユン大統領はわずか6時間後に非常戒厳令を解除する朝令暮改のドタバタ劇を演じた。4日午後には、最大野党「共に民主党」など野党6党はユン大統領の弾劾を求める議案を国会に提出、7日の採決で与党議員のほとんどが議場から退出したため、議案は廃案になった。
 検察は尹錫大統領を内乱罪で捜査し、金龍顕前国防相を拘束、警察は警察庁長官とソウル警察トップを拘束する非常事態に発展。12日、野党側は尹大統領の2度目の弾劾訴追案を国会に再提出。採決は14日に行われたが、野党のほか、保守系与党から8人以上が賛成に回わったため、弾劾訴追案が可決され、ユン氏の大統領権限は即時停止。韓悳洙(ハン・ドクス)首相が大統領の職務を代行することになった。
 弾劾議案が可決されたユン大統領は「私はいましばらく立ち止まるが、この2年半、国民とともに歩んできた未来への旅路は私は決して諦めない。」との談話を発表した。
今後のプロセスは憲法裁判所(裁判官9人)が公開で行われ180日以内に弾劾が妥当かどうか、尹氏を罷免するか、復職させるかの審理を行い、裁判官9人のうち6人以上が賛成すれば決まる。
この非常戒厳発布によって、ユン大統領の支持率は2022年5月の就任後最低の16%に急落し、不支持率は75%に上昇した。野党は攻勢を強めている。
韓国の政治権力の混乱が長期化するけねんが高まっており、日韓関係はじめアジア情勢に悪影響が及ぶす可能性が高い。

●韓国政治は「報復の歴史?」

これまでの韓国政治は「復讐政治」、「報復の歴史」がくり返されてきた。保守と進歩という2大政治権力が激しい政治闘争をくりひろげ、大統領経験者の末路は悲惨となっている。
歴代韓国大統領の末路を調べてみると、任期中に暗殺されたり、亡命したり、退任後の逮捕、有罪判決で刑務所行となる悲惨なケースがほとんど。初代の李承晩は1960年、ハワイに亡命、朴正煕(暗殺)、全斗煥(逮捕、実刑)、盧泰愚(同)、金泳三(家族の逮捕)、金大中(同)、盧武鉉(自殺)、李明博(逮捕、実刑)朴槿恵(同)と悲惨な運命をたどっている。新政権が誕生するごとに「過去断罪」と称して徹底的に前の大統領の不正を暴く「復讐政治」が繰り返されてきた。
フランスの韓国学者は、「元大統領を刑務所に送ることは、驚くべきことだ。政権交代は復讐ではないのに、選挙のたびに復讐が行われる「民主主義は権力行使ではなく、反対側への尊重が重要だ」と警告している。

では、ユン大統領は今後、どうなるのか。非常戒厳宣布をめぐり、警察などの合
同捜査本部は12月20日、ユン氏に、「内乱の首謀と職権乱用」の容疑で25日午前10時に政府高官らを捜査する「高位公職者犯罪捜査処」(公捜処)に出頭するよう改めて要請した。だが、尹氏はこれまでも出頭要請に一切応じず、弾劾審判の書類の受け取りも拒んでいる。検察も11日、尹氏に15日に出頭するよう求めていたが、尹氏はこれも拒み、にらみ合いが続いている。
憲法裁で弾劾案が「合憲」と認定されれば、尹大統領は直ちに辞任しなければならず、大統領選挙は60日以内に行われる。

新らたな大統領選挙になれば、戒厳令以降の世論調査では、5割を超える支持率の『共に民主党』の李在明(イ・ジェミョン)代表が選出される可能性が高い。

ところが、李在明代表は「反日の闘志」で尹政権を「親日売国政権」と非難し「これまでの対日外交をすべて覆すと主張している。元徴用工訴訟問題でも「日本企業の韓国内財産を売却して賠償すべきだ」とか、「第三者弁済案による解決を国の恥だ」などと批判する。

また、李代表は「日韓GSOMIA」(軍事情報に関する包括的保全協定)の「正常化」を宣言(2023年3月、岸田前首相、ユン大統領との首脳会議でやっと成立)に強く反対しており「日本は軍事的敵性国家」で「日本の自衛隊が韓半島(朝鮮半島)に駐留する可能性がある。戦って防がなければならない」と、『とんでも発言』で野党支持者を扇動している。

彼が大統領になれば再び『ちゃぶ台返し』をすることは間違いない。日米韓GSOMIAと日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)により、ロシア・中国・北朝鮮の脅威に対して、防衛ラインをひいている、一角が崩れかねない。

ところが、李代表にもアキレス腱がある。前回の大統領選挙の過程で虚偽の発言をしたとして公職選挙法違反の罪に問われており、今年11月の1審で「懲役1年と執行猶予2年」の有罪判決を受けた。この判決が終審で確定すれば、李代表は今後10年間、被選挙権が剥奪され、次期大統領選挙への出馬は不可能になる。

ユン氏の弾劾裁判の結果が先か、李代表の判決が先かによって、韓国の運命が決まるだろ。日本の防衛計画にも大きな影響をあたえる。今後の展開に目が離せない。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, 湘南海山ぶらぶら日記

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本メルトダウン脱出法(856)「トランプ圧勝は確実、しかし本選はヒラリーの理由党内の結束力に大きな差、経済の安定も強い追い風に』●『中国の「欺瞞」外交にオバマもいよいよ我慢の限界ー口では協調を求め、裏では米国に大胆に挑戦(古森義久)』●『人工知能が囲碁トップ棋士に勝つ時代に考える「知的職業」の未来』

日本メルトダウン脱出法(856) トランプ圧勝は確実、しかし本選はヒラリーの理由 …

no image
終戦70年・日本敗戦史(135) なぜ国際連盟を脱退し「世界の孤児」と化したのかー「満蒙の特殊権益」を死守するためで、 新聞は一致して脱退を支持した。(2)

終戦70年・日本敗戦史(135) <世田谷市民大学2015> 戦後70年  7月 …

no image
日本リーダーパワー史(73) 辛亥革命百年⑫インド独立運動を助けた頭山満(ジャパンタイムズ評)

日本リーダーパワー史(71) 辛亥革命百年⑫インド独立を助けた頭山満 <ジャパン …

no image
日本メルダウン脱出法(642)「歴史無知の安倍お友達内閣と自民党の面々が近衛戦時内閣の『日中・日米外交の失敗』を再び繰り返すのか

日本メルダウン脱出はこれでは無理か!?(642) 「安倍お友達内閣と自民党の歴史 …

no image
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(224)/★『世界天才老人NO1・エジソン(84)<天才長寿脳>の作り方』ー発明発見・健康長寿・研究実験、仕事成功の11ヵ条」(下)『私たちは失敗から多くを学ぶ。特にその失敗が私たちの 全知全能力を傾けた努力の結果であるならば」』

』   2018/11/23  百歳学入 …

no image
『日本を救え、世界を救うために、決断を!』ー<福島原発―最悪のシナリオから考える(3)>(池田知隆)

『日本を救え、世界を救うために、決断を!』 福島原発―最悪のシナリオから考える( …

no image
終戦70年・日本敗戦史(110)日本兵はなぜ「バンザイ突撃」「玉砕」「餓死」など 「死んでも戦った」のか。その秘密は日本兵残酷物語「戦陣訓」と「内務班」にある②

                                        …

最高に面白い人物史①人気記事再録★「日本人の知の限界値」「博覧強記」「奇想天外」「抱腹絶倒」―南方熊楠先生の書斎訪問記(酒井潔著)はめちゃ面白いよ①

    2015/04/29 &nbsp …

no image
終戦70年・日本敗戦史(117)日本開国の父・福沢諭吉の『脱亜論』の真相、儒教鎖国中華思想に惰眠を貪る清国との戦争を唱える④

 終戦70年・日本敗戦史(117)                        …

no image
<数字>イラク戦争から6年半、イラク民間犠牲者は減らずー死者8.5万人 約5年間で

イラク戦争から6年半、イラク民間犠牲者は減らず 「イラク:テロや戦闘の死者8.5 …