前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

★『リーダーシップの日本近現代史』(74)記事再録/「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」-「日英同盟はなぜ結ばれたのか⑤」★『1902年2月19日付『ノース・チヤイナ・ヘラルド』『 日英同盟の成立ー『日本は地理的位置の問題を除けば,完全に西洋の国家であるということができる』

   

    2016/12/01/「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」-「日英同盟はなぜ結ばれたのか」⑤

 1902(明治35)216日『露ジュルナル・ド・サン・ベテルスプール』

『英日条約』に対抗『清国、朝鮮独立と保全.その他のロシアの利益は大シベリア横断鉄道の

完成によって十分保証されている』

ロシアの新聞雑誌から

わが国の報道機関は.先ごろイギリスと日本の間で締結された条約の重要性についてすでに見解を表明している。以下に翻訳した取引所報知紙の記事は.この件に関するロシアの各紙の一般的意見がよく集約されている。

「極東の地に,中国と朝鮮の独立と保全を維持することを目的とする英日2国間の新たな同盟が成立した。

これは大きな政治的ニュースとして全世界に広がった。英日同盟の条約内容は,ペテルプルグの日本公使を通じてわが国の外務省に通知されたが,木曜夜に受け取ったロンドンからの至急電でも十分詳しく報告されている。

電報で伝えられた要約から,この条約をめぐるイギリス世論の反応と新旧両大陸の国々の新聞に現れたさまざまな論評のあらましを知ることができる。

極東における列強の新たな連合形態に対してロシアがどのような態度をとるかについては,事態の成行きを公平に観察し,中日戦争以来ロシアがとってきた政策の方向を深く理解している人にとっては,おのずから明白だろう。

事実.中国と朝鮮の独立と保全の原則はまさしくロシアがこのアジアの2つの国に対する政策の基本として宣言してきたものにほかならない。

一同じく,極東における包括的和平の保持および現状維持はロシアがとりわけ配慮してきたことであり,この配慮に基づく救済行動は.弱体国家の朝鮮からも,ここ数年にわたる騒乱で国家の根底まで揺らいだ巨大な中国帝国からも感謝された。

たとえ5年越しで調印を見た条約によって.イギリスと日本がこれと同様の原則の守り手となり,ロンドンと東京の内閣が接近することになったとしても,1900年から1901年にかけて勃発した極東の事件で競合する列強があわてたときでさえ変わらなかったロシアの政策が,いまさら変更されることはないだろう。

一過性で偶発的な事件や外交的かけひきによって,ロシアの政策に影響が出ることはあり得ない。

その政策は,アジアにおける文明化の使命と地理的条件に由来する原則から成り立っている。それはすでにわが国が成し遂げた実績と,またわが国の鉄道が走る地方に安寧を回復した際に如実に示された圧倒的な物質力をよりどころにしている。

満州.モンゴル,中国に接したトルキスタン地方,ならびに東アジア全体におけるロシアの利益は,対抗する列強各国間で外交協定が締結されたとしても,それとは全く無関係に守られてきたので,わが国ではこれらの協定をきわめて平然と直視してきた。

中国をめぐる英独協定であれ-これは結局宙に浮いたままになったが-この2年たえず取りざたされてきた英米同盟のうわさであれ,東アジアにおけるロシアの政策になんら影響を与えることはなかった。

それだけにいっそう冷静にロシアの民衆は英日同盟締結というニュースを受け止める

ことができたのだ。

朝鮮と中国の独立と保全という原則を守ることを目的とする協定

を定めた両同盟国は,それによって自ら正式にこの原則を順守することを取り決めた

わけだが,これはまさしくロシアの望むところだ。

 

 この新たな2国間同盟はヨーロッパで大きなセンセーションを巻き起こしているが,その受け止め方は複雑だ。

1895年に中国を分割から救い,1896年には日本と個別の協定を結んで朝鮮の独立を確保し,1900年から1901年にかけては満州を保護することのできたロシアにとって,この

同盟は.極東が世界政治の舞台となって以来、しばしば画策された外交的取引の1つに見える。

わがアジアの隣国の独立と保全.ならびにその他のロシアの利益は大シベリア横断鉄道の完成によって十分保証されており,これによって必要とあらば.太平洋沿岸に兵力を増強することもできるのだ」

 

―――――――――――――――――――――――

1902年2月19日『ノース・チヤイナ・ヘラルド』

日英同盟の成立ー『日本は地理的位置の問題を除けば,完全に西洋の国家であると称することができる。

ローズべリー卿が.日本の中国に対する勝利の成果を日本が維持することを妨げ,それをロシアに1人の人命も1ルーブルも費やすことなく得さしめた連合(三国干渉、ロシア・ドイツ、フランス連合)に加わることを拒否して以来,事態は今回の大円団に向かって動き続けてきた。日本は驚くべき忍耐を維持してきた。

ロシアの横暴な振舞い

 

に一再ならずいらだたしい思いをさせられ,ロシア側につく同盟国が少なくとも1つはあるのではないかという恐れさえなかったら,日本ははるか以前に武力に訴えていたことだろう。

日本はずっと英語を話す2か国に向かって物欲しそうな顔を向けてきた。だが同時に合衆国が東アジアにおいて冒険的な政策に出るのはきわめて例外的な状況がある場合だけだということは知っていた。

イギリスの政治の動きはきわめてゆっくりしているので,ついに日本はこれ以上は決断を先送りにできないので,もしイギリスが同盟締結に応じないならば,日本の提議を積極的に待ち望んでいたロシアと可能な限りよい条件の取決めをせざるを得ないことを理解させた。ランズダウン卿は手遅れになる前にその危険に気づいた。

ロシア,日本,中国の親密な連合関係が成立すれば,それ以外の世界の国々にとってきわめて深刻な脅威になっていただろう。だが前に述べたように,今回の大英帝国と日本との連合は,何人にも脅威を与えはしない。

それはわれわれ両者とも,これ以上の領土の獲得も領土配分の変更も望まず,現状維持と万人に対する門戸開放を望んでいるからだ。われわれ両者とも,中国が最近の病の発作から可能な限り速やかに回復することを望んでいるのだ。

 

ヨーロッパの国とアジアの国との,他のヨーロッパの国に対して向けられる可能性のある同盟に対する感情的な反感を持つ人々もいる。

地理的位置の問題を除けば,日本は治外法権の鎖を脱ぎ捨てたときに、完全にそして無制約にその一員として加わった偉大な家族のいかなる成員とも同様に,西洋の国家であると正当に称することができる。

それでもなお日本が,北京に出兵した他の西洋列強と平等な扱いを受ける権利を持つことに疑義があるなら,日本はその軍隊の天津および首都への途上での行動の記録を指摘するだけでよいのだ。〈北清事変〉

われわれは協約が調印されたというニュースを心から歓迎している?それはサー.アーネスト・サトウの活動を強化するに違いないし,また平和の維持と万人の平等な権利を促進するからだ。

中国の独立と保全を侵害し自国民のために排他的権利を奪い取ることを欲する国でなければ,この新同盟のあら探しはできないはずだ。日本にとっては,この協約はその大望の最高の結果だ。

以上の記事が活字に組み込まれてから受け取った電報によれば.本質の各新聞も,この画期的な協約の評価において本紙と一致していることを大いなる喜びをもってここに記す。815OrWcimiL.SR160,240_BG243,243,243 (1)

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
外国人観光客へのおすすめスポット/日本の庭園美をぶらり散歩(2019/3/27)ー京都の名勝、渉成園(枳殻邸)は源氏物語の主人公光源氏ゆかりの地、春爛漫の「雅」(みやび)が薫る。

外国人観光客へのおすすめスポット/日本の庭園美をぶらり散歩(2019/3/27) …

『新型コロナウイルスのパンデミックの影響で2020年慶応大学入学式(当初は4月1日,3日に予定)は9月入学式(学部・大学院)に、4月入学者も参加する形で開催することを検討している』★『2017年度慶應大入学式ー清家篤塾長の式辞(動画)』★『2019年度慶応大入学式-長谷山彰塾長の式辞(動画)』★『福沢諭吉先生』の旧居、福沢記念館(大分県中津市留守居町)(動画)』★『日本近代化の父・福沢諭吉に関する論考、雑文一覧 』

 前坂俊之(ジャーナリスト) 新型コロナウイルスのパンデミックの影響で2020年 …

no image
最高に面白い人物史⑨人気記事再録『日本風狂人伝(28)』 大預言者(?)で巨人の大本教の開祖・出口王仁三郎のジョーク

日本風狂人伝(28) 大預言者(?)で巨人の大本教の開祖・出口王仁三郎のジョーク …

no image
日本が初の議長国となった20カ国のG20首脳会議(6/28/29日)の結果はー首脳宣言では2年連続で「保護主義ついての文言」は米国の反対で盛り込めず、代わりに入ったのが『自由』、『公平』、『無差別』、『透明性』、『予測可能』な『安定』した貿易」と、単語を六つ重ねて反保護主義を強くにじませる苦肉の文言。

 G20首脳会議の結果は    日本が初の議長国となった20カ国のG2 …

no image
日本リーダーパワー史(764)―『さらば!「東芝」の150年歴史は「名門」から「迷門」、「瞑門」へ』● 『墓銘碑』経営の鬼・土光敏夫の経営行動指針100語を読む』③『社内の人間の顔をたてるよりも、社外への会社の顔をつぶさぬことを考えよ』★『賃上げは生産性向上の範囲内で」ではなく「賃上げを上回る生産性向上を」と考えよ』

  日本リーダーパワー史(764) さらば!「東芝」の150年歴史は「名門」から …

no image
<最強の外交官・金子堅太郎⑨>『外交交渉の極致―ポーツマス講和会議で日本を支持したルーズベルト大統領』(終)

<日本最強の外交官・金子堅太郎⑨>  ―「坂の上の雲の真実」ー 『外交 …

no image
日本メルトダウン脱出法(758)「アベノミクス「経済の秋」GDP600兆円は不可能な数字では無い!」●「中国の「中間層」が世界最大規模に、米に比べ成長2倍」●「コラム:英政府が「中国製」原発で払う高い代償」

日本メルトダウン脱出法(758) 「マイナス発信控えるべき」と提言 福田元首相が …

no image
日本メルトダウン脱出法(689)「安倍政権の背後にいる右派団体「日本会議」のルーツー」「93%の日本人は中国が嫌い」という調査数字が中国国内に起こした波紋」

  日本メルトダウン脱出法(689)   安倍政権の背後にいる右派団体 …

no image
『野口恒の原発事故ウオッチ』①ー独立した「原子力規制委員会」と「広域放射能汚染モニタリングシステム」の設置を

『野口恒の原発事故ウオッチ①』   米国のような独立した「原子力規制委 …

no image
高杉晋吾レポート⑪「脱原発」「脱ダム」時代の官僚像ーー元、淀川水系流域委員長 宮本博司氏へのインタビュー(上)

高杉晋吾レポート⑪   ダム推進バリバリの元国交省エリート、宮本博司が …