世界/日本リーダーパワー史(904)『日本企業の男性中心の風土は変わらず、セクハラ被害を訴える女性は全体で43%に上る』
2018/05/08
世界/日本リーダーパワー史(904)
日米セクハラ騒動とメディアの戦い
日米でセクハラ、女性問題で政権が揺れている。
福田淳一前財務省次官がテレビ朝日女性記者へのセクハラ問題で辞職に追い込まれた結果、安倍内閣の支持率はさらに低下。
一方、トランプ大統領も何件ものセクハラ問題を抱えている上にコミー前FBI長官がその回顧録「より高き忠誠:真実と嘘とリーダーシップ」で、「大統領就任早々、彼がかつてモスクワのホテルのスイートルームで複数の売春婦と同衾に及んだというスキャンダル報道について「ノックダウンせよ(撃ち落とせ)」と命令した。マフィアのような大統領だ」と暴露したことで、セクハラ問題とロシアゲート事件の成り行きが一層注目されている。
日経新聞(4月29日付朝刊)の報道によれば、2007年に男女雇用機会均等法で企業のセクハラ対策措置が義務づけられたにもかかわらず「セクハラが起こる男性中心の企業風土は変わらず、セクハラ被害を訴える女性は全体で43%に上り、その相手が社内の場合は61%、社外の場合は68%が我慢している」という被害実態が出ている。
海外メディアもこのセクハラ騒動を一斉に報道し、「日本の女性はこれまで無視され、辱められてきた。女性が沈黙する文化はゆっくり崩れつつある」(米CNN)、『女性の活躍推進にもかかわらず、日本では政治的にも経済的にも男女の格差はまだ大きい』(英BBC)、「投資家はジェンダーの多様化に真剣でない企業には安心してお金を投資しない」(ブルームバーグ)などと批判している。
さて、こうしたセクハラを生む男尊女卑の根強い日本的風土について考えてみたい。
今年は徳川封建時代を脱し近代国家に変革した明治維新から150年目に当たる。1898年(明治31)に制定された民法では徳川時代の武士階級の家父長制的な男尊女卑の家族制度が持続された。
それが1945年の敗戦を契機にGHQ(連合軍総司令部)主導の新憲法に改定され、個人の人権と自由の尊重、言論、表現の自由、男女平等、女性参政権などの諸権利が認められ明治憲法下の国家主義的な政治、社会体制は大改革された。ところが徳川時代からの遊郭制度を引き継いだ女性差別の悪名高い公娼制度(赤線地帯)が廃止されたのは売春防止法が成立した1957年(昭和32)のことである。
この後に高度経済成長時代に突入するが「男は仕事、女は家庭」という性別役割分担が固定化され、女性の働く場所は制限されていた。「24時間働けますか」「モーレツ社員」「企業戦士」「過労死」「亭主元気で留守がいい」「家庭崩壊」(流行語)などに象徴された男女関係、家族、家庭環境の歪みが1990年のバブル崩壊まで続いた。
政府が男女均等法、セクハラ、パワハラ防止、働き方改革を声を大にして唱えても、日本人のDNAに深く宿る『昭和サラリーマン武士道』的な体質は、今の人口の3分の1近くを占めるアナログ昭和高齢世代が平成デジタル世代に交代するまでは一朝一夕には変わるものではないとおもわれる。
今回の事件のもう1つの問題点はメディアと政治の関係である。
アメリカメディアはトランプ政権とガチンコ勝負をしており、日本も安倍政権と日本メディアの仁義なき戦いが続いている。
テレビ朝日の発表では、福田前財務省次官の執拗なセクハラに悩んだ女性記者は社内で相談したが、真剣に取り上げてくれず、自社で報道すれば女性記者が特定されて2次被害にあう恐れがあるとして同社は報道を見送った。
セクハラに対する無理解な社の態度に反発した女性記者は他の女性記者の苦しみも救うためにも、週刊新潮に情報を持ち込んだのではないかとみられている。
いうまでもなく、メディアの役割は「国民の知る権利」を代行であり、政府を監視し「情報公開」を迫る権利を持つと同時に国民に対しては自己メディアの「情報公開」をする義務がある。
今回のテレ朝のケースは官僚トップの重大なセクハラ事件を自社で報道せず、そのスクープを週刊誌に売って攻撃するという2重の反則を犯している、と思う。
1971年の外務省機密漏洩事件(西山事件)の場合も取材上知り得た機密情報を国会議員に漏洩した国家公務員法違反に問われたが、これと似たケースである。
今回、男女平等の国・アメリカで「#MeToo」を合言葉に起こったトランプ氏やセレブのセクハラ事件は、実名告発で裁判闘争に訴え互いの主張を激しく戦わせるガチンコ対決をしており、世界中の大きな影響を与えた。
ところが、1周、2周遅れの日本の場合は男性側とメディア双方の遅れたジェンダー意識もあり、政府対メディアの対決は変則的、閉鎖的である。メディアの取材方法も「記者クラブ制度」や「夜討ち朝駆け」などの前近代的な取材方法は改革できておらず、マスコミの労働環境はセクハラ、パワハラ多発の3K職場といわれている。
ちなみに国境なき記者団が発表した「2018年報道の自由度ランキング」では、
1位はノルウェー 、15位がドイツ 33位はフランス、40位がイギリス、43位は韓国で前年63位から躍進、45位はアメリカは 67位、日本は67位(前年72位)である。
関連記事
-
-
●「日本の新聞ジャーナリズム発展史」(上)『 日本での新聞の誕生・明治期』『 大新聞と小新聞の発展』★『日露戦争と新聞 』★『大正デモクラシーの担い手となった新聞』★『関東大震災と新聞』
「日本の新聞ジャーナリズム発展史」(上) 2009/02 …
-
-
『Z世代のための日中韓外交史講座⑧』★『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』㉓ 西欧列強下の『中国,日本,朝鮮の対立と戦争』(上)(英タイムズ)」★『朝鮮争奪戦の内幕、西欧列強の砲艦外交、策略と陰謀と暗躍の外交裏面史」をえぐっており、「日中韓戦争史」を知る上では必読の記事』
2015/01/01『日中韓150年戦争史』㉓記事再録編集 日中1 …
-
-
「オンライン・日本史決定的瞬間講座⑧」★「日本史最大の国難・太平洋戦争敗戦からGHQ「日本占領」と「単独講和」を乗り越えて戦後日本の基礎を築いた吉田茂首相の<国難逆転突破力>③』★『ダレス米国務長官の強硬な再軍備要求を断固拒否した吉田茂のリーダーシップ・外交術を学べ(田中角栄の証言)』
2016/02/1/日本リーダーパワー史(662)記事 …
-
-
★5日本リーダーパワー史(781)―『日中歴史対話の復習問題』明治以降、日中韓(北朝鮮)の150年にわたる紛争のルーツは 『朝鮮を属国化した中国」対「朝鮮を独立国と待遇した日本(当時の西欧各国)」 との対立、ギャップ』②★「中国側の日本観『日本の行動は急劇過ぎる。朝鮮は末だ鎖国状況で、 日本はともすれば隣邦(清国、台湾、朝鮮)を撹乱し、 機に乗じて奪領しようとする」(李鴻章)』★『現在の尖閣諸島、南シナ海紛争、北朝鮮問題に続く日中パーセプションギャップのルーツの対談』
★5日本リーダーパワー史(781)― 明治以降、日中韓(北朝鮮)の150年に …
-
-
日本リーダーパワー史(811)『明治裏面史』 ★『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、リスク管理 、インテリジェンス㉖『「 戦争は避けることばかりを考えていてはますます不利になる」(マッキャベリ)』★『田村参謀次長は『このような微弱な戦力をもってロシア陸軍に起ち向かうことは無謀にひとしく、確固たる自信は持てない』と明言した』
日本リーダーパワー史(811)『明治裏面史』 ★ 『「日清、日露戦争に勝利」し …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(126)/記事再録★『世界が尊敬した日本人ー『欧州連合(EU)の生みの親の親は明治の日本女性、クーデンホーフ光子』★『戦争を防ぐためにできたEUが今,大量の難民流入とテロで危機にさらされている」★『ヨーロッパと日本の混血児が「EU」(価値観の多元的共存・地域共同体)を生んだ。』
2015/11/25   …
-
-
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 米国、日本、東アジアメルトダウン(1064)> ★「第2次朝鮮核戦争!?」は勃発するか④ 』★『北朝鮮への安易な「交渉」スタンスはむしろ金正恩の暴走を招く』●『北朝鮮がミサイル発射のため「資本主義化」を止められないジレンマ 』★『北朝鮮のICBM発射で日本の核武装に現実味―北の開発進展を内心喜ぶ中露、有効打のない米国はジリ貧免れず』
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 米国、日本、東アジアメルトダ …
-
-
片野勧の衝撃レポート『太平洋戦争<戦災>と<3・11>震災⑤ーなぜ、日本人は同じ過ちを繰り返すのか』郡山空襲と原発<上>
片野勧の衝撃レポート 太平洋戦争<戦災>と<3・11>震災⑤ 『なぜ、日本人は同 …
-
-
日本リーダーパワー史(629)日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(22) 『川上操六は日清戦争は避けがたいと予測、荒尾精の日清貿易研究所を設立しで情報部員を多数養成して開戦に備えた』。
日本リーダーパワー史(629) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(22) …
